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成果乏しいトランプ訪欧 山積する課題/日経デジ
トランプ政権 ヨーロッパ 北米 2019/6/8 1:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45858290Y9A600C1FF8000/
パリ=中村亮】トランプ米大統領は6日、訪欧の公式日程を終えた。欧州の安全保障環境を一気に流動化させかねない米ロ中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効問題や、イラン核問題への対応など課題が山積しているにもかかわらず、米国と欧州主要国の首脳会談は目立った成果を出せずに終わった。米欧同盟の空洞化が止まらない。
トランプ氏は今回の訪欧で、対ロシア政策に関する欧州諸国との調整をほぼ素通りした。中でも大きな問題なのが、8月には米ロ間のINF廃棄条約が失効することだ。
失効後、ロシアはINFの再配備をする公算が大きい。欧州を射程に収めるが、米本土にはとどかないロシアのINFが再配備されれば、米国が欧州にさしかける拡大核抑止(核の傘)の信頼性が大きく揺らぐ。仮に有事となり、ロシアがINFで欧州に核攻撃を仕掛け、米国が報復のため米本土から核ミサイルを発射すれば、今度はロシアが米本土に核を撃ち込むことが想定される。ここで「米国は欧州を助けるために本当に自国をリスクにさらすだろうか」という疑念が生じる。
冷戦時代、ソ連がINFを配備した時、脅威にさらされた当時の西独のシュミット首相は米軍のINFの自国内への配備受け入れを決断。INFという分野でいったん実力を均衡させた後、米ソはINFを全廃させる歴史的な条約の締結で合意に至った。米欧同盟に打ち込まれたソ連のくさびを除去できた背景には、シュミット氏やレーガン米大統領(当時)ら当時の首脳たちの相互信頼を基盤にした強固な米欧関係があった。
トランプ氏は5日、英南部でメルケル独首相と会談した。米政府によると、会談時間は10分程度にとどまり、外交・安保問題や通商問題で突っ込んだ議論にはならなかった。INF失効を引き金に急速に欧州の安保環境が悪化し始めたタイミングで、米独首脳会談が10分程度というのは、それ自体が欧州にとっては深刻な意味を持つ。トランプ氏は6日、米FOXニュースのインタビューで「ロシアと良好な関係を構築できる」と語った。
中東情勢を一段と悪化させかねないイラン核問題の扱いも一連の首脳会談では突っ込んだやりとりにはならなかった。
2015年のイラン核合意は、イランとその後ろ盾のロ中と、イランを警戒する米国を英仏独が取り持つ形で結ばれた。イランの核開発の進行を遅らせると同時に、イランが核保有に向かう動機である米欧への敵対意識を少しでも弱めるために双方の経済交流の活発化を目指した。しかし、トランプ政権は一方的に合意から離脱。イランとの対立を深めている。
「イランの核開発を阻止する手段は既にある」。マクロン仏大統領は6日の会談でトランプ氏に力説した。そこには核合意は今でも有効だとの確信とともに、イランを「10番目の核保有国」に向かわせているのは他ならぬトランプ政権だとの恨みがにじんでいた。
トランプ氏は「米仏関係はこの上なく良好だ」ととりつくろったものの行動は伴わなかった。6日は仏滞在を6時間程度にとどめ、アイルランドで自身が運営に関与するゴルフリゾートに移動した。2018年4月にはトランプ政権下で初の国賓としてマクロン氏を米国に招待したが、その緊密な関係は薄れた。
今回のトランプ氏の訪欧で目に付いたのは、欧州のポピュリスト勢力への接近だった。4日には訪問先のロンドンで、英国の欧州連合(EU)離脱を主張し、欧州議会選で躍進したブレグジット党のファラージ党首と面会した。ファラージ氏は「すばらしい対話だった」と親密な関係を印象づけた。
トランプ氏は強力な反移民政策を進めたり、強権的な政権運営をしたりする指導者とは緊密な関係を構築しやすく、外交政策でも取引がしやすくなるとみる。ポピュリスト勢力と結びついて国際社会での孤立を避ける思惑も透ける。
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