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視点;米大統領の対イラン発言に明白な変化、脅迫から要請へ
2019年05月27日20時19分
トランプ大統領
アメリカのトランプ大統領は、大統領選期間も、また大統領に就任した2017年1月以降も、一環してイランの弱体化と体制転換を目指してきました。
トランプ大統領は、イラン核合意離脱と核関連の対イラン制裁の復活宣言により、最大限の圧力行使政策という形でイランの経済を押しつぶそうとしています。この数週間も、米軍やその同盟国に対するイランの脅迫を口実に、トランプ大統領と政権内の好戦主義的なボルトン補佐官らは、イランへの軍事的脅迫という段階に突入しました。
こうした中、トランプ大統領は今回の日本訪問の中で、安倍首相に対しアメリカとイランの仲介役を要請し、アメリカはイランの体制転換を望んでいないと主張したのです。また、イランとの協議の展望を楽観的に見ているとも述べています。トランプ大統領は、「自分は、我々が合意に到達できる、そしてイランが経済分野で高い可能性を秘めていると考えている。我々は、イランの体制転換を求めていない。追求しているのはイランが核兵器を保有しないことだ」としました。
トランプ大統領と安倍首相の共同記者会見
IAEA国際原子力機関の14回に渡る報告書は、イランが核合意に定められた責務を完全に履行し、同国の核計画は平和目的で軍事目的への逸脱は一切ないと記しています。また、イランの体制転換の問題について、トランプ大統領は事実上、イランの体制転換を何度も要求してきたボルトン大統領補佐官のような過激派の政治家に現場を任せ、悪意に満ちた自らの意思を表明してきました。トランプ政権はイランの屈服や崩壊を求め、それ以外には何ら現実的な目的を有していないのです。
しかし、アメリカが最大限の圧力行使という形でイラン関連の目的を達成できず、さらにイランへの軍事的な脅迫すらも成果なく終わり、さらには制裁の効果も薄れていることから、トランプ大統領はイランとの協議要請という、ある種の立場変更に転じました。加えて安倍首相にテヘラン訪問を勧めアメリカとイランの仲介役を促すという行動にさえ出たのです。
読売新聞は、「トランプ大統領は安倍首相に対し、なるべく早い時期に(仲介のため)イランを訪問するよう求めた」と報じました。安倍首相は、トランプ大統領との共同記者会見で、イランとアメリカの仲介に向けて努力するとし、「日本は地域の平和と安全のため、いかなる努力も惜しまない」と語り、トランプ大統領はこの発言を歓迎しています。
アメリカが真にイランと交渉する意向があるなら、最大限の圧力行使政策や軍事的脅迫をやめ、平等な視点からイランに提案する必要があります。協議に当たってはいくつかのマナーもあり、その最も重要な点は相手に敬意を払うこと、脅迫的な発言や行動を慎み、責務を履行して信頼を構築する事です。トランプ大統領がイランとアメリカの関係の現状を打開したいならば、イランに対する経済的な圧力行使の停止という、現実的な方法を考える必要があります。
イランは、アメリカの軍事的脅迫を無意味とみなしています。経済制裁が存在する間はアメリカからの協議のオファーには現実性がないと考えているのです。
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