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反証にもかかわらずグリホサートはOKと言うアメリカ環境保護庁
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2019年5月22日 マスコミに載らない海外記事
2019年5月9日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
アメリカ環境保護庁(EPA)は、おそらく発がん性があるだけでなく、身体を衰弱させる他の複数の健康問題の原因でもあるという警鐘的な証拠が増えているにもかかわらず、この論争の的であるグリホサート殺虫剤の認可更新を認めることに決めた。新しい研究も、グリホサートによる人間や動物のDNA損傷が、世代を超えて広がると主張している。
ちょうど、アメリカ環境保護庁は、今はドイツ・バイエルの一部であるモンサントにより市場に出され、広く使われているラウンドアップ殺虫剤の主成分グリホサート再認可を提案したところだ。環境保護庁裁定への元々のWebリンクは、実に奇妙なことに本記事執筆の時点で、こういうメッセージが出る。「申し訳ありませんが、現在このWebページは見ることができません。」
おかげで詳細な批判をするのが、いささか困難になる。だが、いくつか事実を言うことが可能だ。第一に、GMO監視ウェブサイトSustainable Pulseによれば、長年、環境保護庁の裁定部門は、業界データさえ使って、化学業界に有利な裁定をすることで知られている。彼らは、環境保護庁が自身や他の独自調査ではなく、業界の実験に大きく依存しており、今回も同じだったと主張している。欧州連合の欧州食品安全機関を含め、そうした業界研究の多くは、虚偽であることがわかったり、ひどく偏ったりしている。
第二に、環境保護庁は、2015年の世界保健機構国際がん研究機関(IARC)によるグリホサートは「おそらく発がん性物質」だとする判断、つまり続々現れる証拠にもかかわらず、モンサントが必死に否定しようとしている裁定を断固無視することに決めたのだ。
第三に、しかも最も露骨なのは、最近の環境保護庁裁定が、グリホサートとがんのある特定のタイプの間に関連があるという国際がん研究機関に同意したもう一つのアメリカ行政機関アメリカ保健福祉省有毒物質と病気登録局による以前の決定を無視したことだ。4月8日、アメリカ保健福祉省の有害物質・疾病登録局(ATSDR)は、他の調査結果に加えて、去年モンサントに二つの重大な敗訴をもたらし、更に13,400件の係争中の訴訟が、極めて論争の的のモンサント買収後、モンサント買収以来40%も値下がりして親会社バイエルの株価に損害を与え、最近の株主による経営者に対する反乱を引き起こした、グリホサートと、がんの一種である非ホジキンリンパ腫との関連の証拠を決定した、グリホサートに関する長く待ち望まれていた毒性報告草案を発表していたのだ。
未来世代が危険にさらされる
今憂慮すべき新研究の結果が発表された。ワシントン州立大学の研究者が、重度の腫瘍や他の病気が、グリホサートに曝露したネズミの第2世代や第3世代の子に現れることを見いだした。彼らは「グリホサートに曝露したネズミの第2世代、第3世代の子に、前立腺や腎臓や卵巣の病気や肥満や出生異常が」を含む病気や健康異常が見られることを発見した。それらは「精子のエピジェネティック(後成的DNAメチル化)パターン変化と相関関係があった」。研究はワシントン州立大学のマイケル・スキナー生物学教授が率いた。
スキナーの研究は、2世代目と3世代目に、いくつかの病状で「劇的増加」があることを発見した。2世代目は、肥満と同様、睾丸と卵巣と乳線の病気が「かなり増加」していた。研究者は、第3世代のオスで、前立腺病が30パーセント増加するのを発見した。対照群の3倍だ。第3世代のメスでは、腎臓病が40パーセント増加、つまり対照群の4倍だ。
スキナーの新研究はグリホサートの「継世代毒性」と呼ばれるものを調べて公表された最初の研究だ。研究は、公式に無害とされているグリホサート投与量を下まわるグリホサート投与量で試験した。世界で最も広く使われている殺虫剤グリホサートが数十年にわたり、毎年農業や植物栽培で使われ、世代を越えて人間や動物の曝露を引き起こすのだから、これは大いに意味がある。
EPAが使用し、OECDが推薦している試験法は、最も限定された形のものを除いて、継世代効果を無視しており、重大な悪影響が規制当局には注目されていないことを示唆している。スキナーの研究は、業界に批判されているが、明らかにEPAやEUや、他の規制当局が、殺虫剤化学物質に対する曝露の健康への安全を決定する規則を、長期間、多世代にわたる潜在的影響を調べるために修正する必要性が切迫していることを示唆している。ここで中核となる重要な原則は、科学的調査が、可能性のあるリスクを見いだした場合、そのリスクが確実に排除されるまで、政府には危険に対する曝露から大衆を守る社会的責任があるという、一般に認められた「予防原則」だ。グリホサートは、明らかに健康上のリスクが排除された例ではないのだ。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/05/09/us-epa-says-glyphosate-ok-despite-contrary-evidence/
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