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いつまで続く?米中“貿易戦争” 特派員が読み解く〜相互不信高まる/nhk
2019年5月15日 18時13分米中貿易摩擦
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190515/k10011916751000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_002
米中の貿易摩擦が、5月に一段と激しい対立に発展し、混迷を深めている。合意に向かっていたかに見えた貿易交渉は、最終盤でつまづき、両国の関係はみるみると悪化。互いに関税を掛け合う応酬が再びエスカレートしている。米中両国で“貿易戦争”をウォッチしている2人の特派員に聞いた。(ワシントン支局記者 田中健太郎/中国総局記者 吉田稔)
ワシントン支局 田中健太郎記者
Q1 トランプ大統領は、交渉をどう着地させようとしているのだろう?
(田中)アメリカには「中国は約束を破る」という不信感が満ちている。交渉着地のポイントもそこにある。
中国の国有企業は過剰な補助金で優遇され世界市場を圧倒している。中国に進出したアメリカ企業が、自社の技術を中国側に提供するよう強制されている。こうした中国のやりかたを見直すよう迫っている。
そのうえで約束を確実に履行させるために、アメリカが監視する仕組みや、中国に法律を整備させ、法的拘束力を持たせたいと思っている。さらに履行を確認するまでは、関税をかけ続けると主張している。
Q2 アメリカの要求は、習近平国家主席が受け入れられる内容か?
中国総局 吉田稔記者
(吉田)受け入れられない。だから5月の交渉は失敗した。中国はワシントンでの交渉終了後、劉鶴副首相のインタビューを通して「譲れない一線」を公表した。
交渉が妥結したらアメリカは関税を速やかに撤廃する。合意文書の書きぶりは、「国家の尊厳」に配慮した、バランスのとれたものにすることなどを求めている。アメリカの要求を真っ向から拒否する主張だ。
中国からすれば、アメリカの要求は「中国の主権を侵害する」内容そのものに映っている。
これまでの経緯
▽アメリカは5月10日に、中国からの輸入品2000億ドル分の関税を引き上げた。首都ワシントンで閣僚交渉が行われているさなかの決定だった。
▽中国も負けずに対抗。13日に600億ドルのアメリカ製品に関税を上乗せする報復措置を発表。6月1日から実施する。
▽すると、アメリカは新たな対応を。これまで手をつけずにいた中国製品3000億ドル分にも関税を上乗せする手続きに入った。
▽対象は中国製の輸入品ほぼすべて。中国で生産されるアップルのiPhoneや人気ブランドのスニーカーやシャツなども含まれた。
これまでの経緯
強硬路線には行き詰まりも
Q3 関税を掛け合う争いは長期化しそうだが、プラスは何もないのではないか?
(田中)アメリカ経済には確かにマイナスだ。貿易戦争は金融市場にも重しになる。株価の不安定な動きも起きている。しかし中国と厳しく対じすることを支持する声も根強い。強硬路線には行き詰まりもダウ平均株価も値下がり
トランプ大統領にとっても、来年の大統領選挙を展望すると、中国への強硬姿勢は保守派の支持をつなぎとめるうえで、プラスになっている。ただ引いた目でみると、貿易摩擦を引き起こして1年以上がすぎても、アメリカは成果を得られていない。
米中交渉の目的は「貿易赤字の削減」「不公正な貿易慣行の見直し」が目的だったはず。しかし、最近トランプ大統領が自慢しているのは摩擦によって「関税収入が増えた!」ということ。
強硬路線には行き詰まりも見えている。
(吉田)関税引き上げの影響で、中国の4月の対米輸出は前年同月比で2ケタの減少になった。新たな制裁と報復の応酬は、中国企業や消費者にさらなる負担をもたらす。
中国の国営メディアは先週の米中交渉が不調に終わった後、「経済は堅調で、中国はあらゆる面で対応ができている」とさかんに報じている。これは危機感の裏返しだと思う。
中国共産党指導部は内心おだやかではないはずだ。
「アメリカ国内で生産しろ!」
Q4 アップルのiPhoneなどにも関税をかけることが、中国への圧力になると、トランプ大統領は思っているのだろうか?
(田中)みずからを「タリフマン」と称したトランプ大統領は、世界1位の経済力を背景にした関税戦略こそが、中国はじめ各国からの譲歩を引き出す圧力になると信じているのだと感じる。
関税を課されるのが嫌ならば、中国の工場をよそに移せばいい。それはアメリカ企業も例外でない。
トランプ大統領はツイッターで「アメリカ国内で生産しろ!」というシンプルなメッセージを繰り返している。工場がなくなったら中国は困るが、アメリカは雇用が増えプラスになると訴えている。
Q5 アメリカが、中国の知的財産権侵害や、国有企業の過度な優遇を問題にするのは、もっともな面もあるのではないか?
(吉田)その通りだ。中国経済は40年前、改革開放政策にかじを切って以来、市場原理を取り入れながら成長を続けてきた。
しかしいま成長の減速に直面し、構造改革の必要性が叫ばれている。非効率な国有企業に競争原理を導入しなければならないし、技術立国の地位を確保するには、中国みずからが知的財産権の保護を強化しなければならない。
中国国内の改革派には、アメリカの「外圧」は、中国を変える絶好のチャンスだという受け止めもある。
6月のG20大阪サミットで直接対決?
▽トランプ大統領は、6月下旬に大阪で開かれる、G20サミットに合わせて、中国の習近平国家主席と会談し、貿易問題について、直接交渉する意向を示している。
▽しかし中国は、国家の根幹に関わる重大問題では「絶対に譲歩しない」と繰り返す。アメリカの圧力に一方的に歩み寄ることはしないと、対抗姿勢を鮮明にしている。
▽どちらも折れる気配はない。事態はこう着し、どうやって打開するのか、全く見えなくなっている。
解決するタイミングを失った状態!?
Q6 米中の“貿易戦争”は、どうなると思うか?
解決するタイミングを失った状態!?
(田中)トランプ大統領は、6月下旬のG20大阪サミットで、習近平国家主席と会談することに意欲を示している。
しかし、そこで合意できるのか。そもそも現状では、首脳会談が開けるかどうかもあやしいのではないか。それほど、両国の溝は深くなっている。米中の対立は、米中どちらかの経済に急ブレーキがかかって、音を上げるまで、我慢比べが続くのではないだろうか。
米中ともに、財政出動で景気を下支えし、摩擦への慣れというか、耐性のようなものも持ち始めている。日本企業を含め世界は、米中両国が覇権を争って対立する状況が、ニューノーマル=普通の状態だと思ってつきあっていくしかないのではないか。
(吉田)中国は今回の交渉の最終段階まで、アメリカの要求を、ある程度受け入れ、合意にかなり前向きだった。しかし、今は貿易戦争を解決するタイミングを失った状態だ。
中国側は交渉が不調に終わったあと、みすから「譲れない一線」を公表した。それを見ると、中国国内の保守派が前に出て、改革派が後退した印象さえ受ける。
このまま保守派が押し切ることになれば、改革派は、構造改革を推し進める千載一遇のチャンスを逃すことにもなりかねない。6月のG20に合わせ、首脳会談で急転直下の合意にたどりつくには、双方が相当思い切った歩み寄りをする必要がある。
G20で合意できなければ貿易戦争は長期化する可能性が高くなるのではないか。
- NY株 米中協議に安心感 200ドル余値上がり/nhk 仁王像 2019/5/15 20:08:47
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