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長周新聞 2019年5月7日
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クーデターを粉砕し勝利に沸く群衆
ベネズエラではアメリカの後押しで暫定大統領を宣言し、現マドゥロ政府転覆の先頭に立つ野党指導者・グアイドが4月30日早朝、カラカスの空軍基地で「メーデーの1日にベネズエラ全土で権力奪取に向けた蜂起」を展開するよう呼びかけたが、失敗に終わった。マドゥロ大統領は同日午後、テレビ演説で「反乱首謀者による小競り合いだった」「少数の反乱軍人を鎮圧した」と説明、「勝利宣言」をおこなった。
4月30日夜、マドゥロ大統領はクーデターの企みを阻止したことを宣言するとともに、5月1日のメーデーを労働者階級の力強いデモによって祝おうと訴えた。またインターネットをつうじても「ベネズエラの労働者階級は、その成果を防衛するために、クーデターとアメリカの干渉にノーをつきつける大規模なデモ行進」を呼びかけた。
メーデー当日、首都カラカスの中心街は約40万人の労働者の隊列によって埋めつくされた。労働者とともに各地から集まったボリバル民兵も行進した。
集会のなかでは、「クーデターの阻止でアメリカ帝国主義は大きな打撃を受けたが、反革命の企みをあきらめず、警戒を続けなければならない」と語られた。マドゥロ大統領は「ボクサーのようにたたかう必要がある。一方の拳で外部の脅威から祖国を守り、もう一方の拳で新しい段階へ革命を進める」と表明した。ベネズエラの今年のメーデーは、アメリカとその手先によるクーデターの企みを労働者をはじめ、圧倒する国民の力によってうち砕いた真っ只中で開かれた。
アメリカのトランプ政府は、今年1月末にベネズエラ野党の国会議長グアイドに「暫定大統領」を宣言させ、ベネズエラ政府の転覆、軍事介入の策動をおこなってきたが、失敗をくり返している。
このなかで4月30日朝、グアイドは野党の党首レオポルド・ロペス(クーデター未遂で有罪となり拘禁中だった)と25人の政府軍兵士とともにインターネットに登場し、「ベネズエラ政府軍は自分の支配下に入った」といい、政府打倒の「自由作戦の最終段階に入った」と宣伝した。そして首都カラカス近郊の空軍基地の前で、政府軍の幹部や兵士に対し政府に反対して立ち上がるよう促した。アメリカのトランプ政府はこれを支援し、「マドゥロがキューバに亡命しようとしたがロシアに止められた」などのデマを流した。
だがベネズエラ政府軍はあらためてマドゥロ政府と国民への忠誠を表明し、グアイド側には与しなかった。また数万人の国民が大統領官邸周辺にかけつけ、マドゥロ政府と革命防衛のためのスクラムを組んだ。ベネズエラ各地でも「クーデター」の呼びかけはまったく効果がなかった。グアイドが呼びかけた「ゼネスト」に同調する者もいなかった。グアイド派のデモ参加者は数百人規模にとどまり、北東部バルキシメトのデモは治安部隊が催涙ガスを噴射して排除した。
グアイドはアメリカの傀儡(かいらい)であり、ベネズエラの労働者、勤労人民のなかに足場がないことをあらためてさらけ出した。午後にはロペスがチリ大使館に家族とともに逃げ込んだ(その後、スペイン大使館に移動)。今回の動きに同調した25人の軍人も逃亡し、ブラジル大使館に身を寄せている。
ベネズエラのアレアサ外相は4月30日、「暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長はアメリカの命令で動いている」「軍がクーデターを企てているのではない。ワシントンや米国防総省、国務省でボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が直接この計画を練っている」との見解を示した。
マドゥロ大統領は4日、約5000人の兵士らを前に演説し「アメリカ帝国主義がわれわれの領土に干渉し、神聖なる地に触れようとする日に備えて、武器を手にとり、母国を守る用意をするように」と指示した。
野党陣営がこうした行動に踏み切った背景にはアメリカ・グアイド陣営の焦りがある。1月に暫定大統領への就任を宣言し、トランプ政府の後ろ盾を得て、日本を含む50カ国以上から支持を集めたが、ベネズエラ国内では大半の軍や政府高官はマドゥロ政府を支持する姿勢を崩していない。
マドゥロ政府は3月にグアイド側近を逮捕したほか、4月には制憲議会がグアイドの不逮捕特権を剥奪し、「グアイドの逮捕の準備を進めている」という情報が流れていたなかで、グアイドは軍の支持を得られるかどうかもわからないまま、一か八かの「蜂起」を呼びかけたが失敗した。
なお日本政府はトランプ政府に追随してグアイド支持を表明している。河野外相が2月19日「我が国としてグアイド暫定大統領を明確に支持する」と表明した。
これに対し駐日ベネズエラ大使は翌日の2月20日、遺憾の意を表明し「一番必要なのは政府側と野党側の対話だが、そのとりくみに水を差す動きだ。誤った認識に基づいており(グアイド氏就任宣言の)法的根拠は何もない」と非難した。
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