http://www.asyura2.com/19/kokusai26/msg/103.html
Tweet |
「変化」は唐突、トランプ現象やブレグジットを見よ
何も変わらないという停滞感、ダムが決壊したらあっという間
2019.4.3(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年3月30/31日付)
英下院、EU離脱代替案をすべて否決
英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をめぐる政府案の代わりとなり得る選択肢の採決を終えた英下院議員ら。英議会記録部(PRU)の動画より(2019年4月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / PRU〔AFPBB News〕
古代ギリシャ演劇の伝統的な手法にデウス・エクス・マキナというものがある。
劇中の人物が解決困難な問題に苦しんでいる場面で、クレーンのようなものを使って舞台の中央に神を登場させ、その神聖な命令によってすべてを丸く収めてしまうやり方だ。
今こそ、このデウス・エクス・マキナが少しでも使えればとてもありがたい気がする。
米国では、ロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑の報告書がその役目を担ってくれることを、多くの人が期待していた。
非常に批判的な内容になれば、ドナルド・トランプ大統領という解決困難な問題を一気に吹き飛ばしてしまうだろう、来年の大統領選挙で対立候補の支持者を探し集めるという過酷な作業も不要になる、というわけだ。
しかし、連邦議会の構成上、弾劾が成立する公算はなかった。
それどころか、モラー氏の報告書には(中を見られると想定するなら)誰かに影響を及ぼす情報が含まれているわけでもなさそうだ。
人は皆、今頃はもう、自分がトランプ氏のことをどう思っているか分かっているに違いない。
英国では欧州連合(EU)残留派の一部が、記録破りの請願によって神がかり的などんでん返しが生じることを期待している。
リスボン条約第50条の発動を撤回し、最終幕に入る前にブレグジット(英国のEU離脱)の悲劇から抜け出すよう英国に求める人の数が、ほぼ600万人に達しているのだ。
英国政府は3月26日にこれに反応したが、その答えは(筆者が言い換えるとするなら)「うせろ、どこの市民でもないくせに」というものだった。
では、翌27日の議会下院での「示唆的投票」で問題が解決するのではないか――。
確かに、投票は少なくとも何かを示唆していたが、それは議会の行き詰まりだった。
それでも、変化というものは起こりうる。それも、驚くべきスピードで進むことが時折ある。
つい数年前には、ブレグジットというプロジェクトは妄想に憑りつかれた少数の人々の夢想でしかなかった。
EU加盟の是非が最も重要な問題だと思っている英国民の割合は、1ケタの前半にすぎなかった。
ところが、今ではそのブレグジットが二大政党の(達成がいささか難しいことに気づいてはいるものの)正式な目標になっている。
同様に、トランプ氏が米国と世界の政治にぶちまけた変化は、数え切れないほど多い。確かに、そのほとんどは悪い変化だが、停滞は避けられないと主張するのは困難だ。
私たちはカオス的な変化と不毛な停滞に同時に対処しているというこの奇妙な感覚は、どうすれば説明できるのだろうか。
キャス・サンスティーン氏は近著「How Change Happens(変化はいかに起こるのか)」で、「パーティズム(党派心)」なるものが一つの説明になると論じている。
レイシズム(人種差別主義)やセクシズム(性差別主義)といった悪しきものと音が似ているのは、同氏の意図によるものだ。
サンスティーン教授はこの本で、自分とは異なる政治的主張を有する人々をまるごと切り捨ててしまう人が今日では多くなっている、と説得力豊かに論じている。
例えば、人種が異なる人との結婚に対する人々の態度は劇的に寛容になってきたが、最近はその一方で、支持政党が異なる人との結婚に拒否反応を示す人が少なくない。
サンスティーン教授の報告によれば、自分の子供が自分とは異なる政党の支持者と結婚することになったらどう思うかと2010年に尋ねたところ、不愉快だと答えた人の割合は共和党支持者で約49%、民主党支持者で33%に達したそうだ。
1960年にはどちらも約5%だったというから、かなり増えたことになる。同様なトレンドは英国でも生じている。
政治学者のシャント・イエンガー氏とシーン・ウェストウッド氏は、このパーティズムを調べるために「潜在連合テスト(IAT)」という、無意識的な偏見の測定に(物議を醸しつつも)一般的に使われている試験を行った。
その結果、政党の好き嫌いがもたらす潜在的な偏見の度合いは、人種がもたらすそれよりも強いことが分かったという。
パーティズム自体には悪いところなど一つもない、と主張する人がいるかもしれない。
ジェンダーや民族性に基づいて他人を不当に評価しているのではなく、当人がしてきた選択をもとに正当な評価を下しているのだ、というわけだ。
それでも、ある政党がその支持基盤から揺るぎない支持を得ると同時に、敵対する勢力からはトコトン嫌われるという環境は、合理的な議論につながりにくい。
ひょっとしたら、前述の停滞感はこれで説明できるのかもしれない。私たちは、誰も他人の話に耳を傾けないし妥協もしたがらない、と感じているのだ。
閉塞感があっても、劇的な変化は明らかに起こりうる。
既存の政党構成が敵対的な勢力に乗っ取られれば、パーティイズムは行動を抑制する力から抜本的な変化を促す力に変わる可能性がある。
EU離脱派がやり遂げたのはこれだ。
労働党のジェレミー・コービン党首も、そしてあのトランプ大統領も同じことを(それも相当派手に)やってきた。
変化を起こす主体は既成政党ばかりではない。選挙制度で変化が認められている国では、新しい政党が誕生して勢力を伸ばしている。
組織の確立した大政党が選挙で非常に優遇される制度になっている英国でさえ、離脱派と残留派は今や、伝統的な政党よりも強い政治的アイデンティティーの源になっている。
伝統的な政治以外の分野では、「#MeToo」運動がその一例に挙げられるだろう。
強い権力を持つ男性の行動を社会はどこまで許容するのかという問題を、遅まきながら劇的に見直す流れの契機になっている。
こうした変化が突然生じるのは、私たちが社会的な生き物だからだ。
私たちは、他の人々がどんな立場を取っているかを知って初めて、自分がどんな気持ちを抱いているかに気づくケースが多い。
今は何も変化がなく、永遠に何も変わらないように感じる。しかしそれは、状況がある重要な限界を超えてダムが決壊してしまうまでの話だ。
ひとたびダムが決壊すれば、無視されていた問題が脚光を浴びる。同じ問題に対する人々の反応が、「さあね」と肩をすくめるしぐさから街頭での行進への参加に変わる。
そうした変化は予測できないし、変化が起こった後も、私たちは、もともと避けられないことだったのだと自分を欺いてしまうことが多い。
つまり、長期の停滞、行動の突然の盛り上がり、そしてかなりの量の幸運に恵まれるという流れこそが、政治における変化がたどるプロセスなのだ。
この裏側には、長期に及ぶ説得、支持集め、苛立ちがある。栄えある長旅というよりは、果てしなく続くランニングマシンに似ている。
なるほど、これなら、ほとんどの人が神聖な介入の方を好むとしても不思議はないだろう。
By Tim Harford
© The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55983
文在寅大統領、もはや北朝鮮非核化の邪魔者に
2回の米朝会談失敗で完全に見限ったトランプ米大統領の次の手
2019.4.3(水) 高濱 賛
米韓首脳会談、4月11日に実施へ 文氏が訪米
米ニューヨークで握手を交わす韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(左)とドナルド・トランプ米大統領(2018年9月24日撮影、資料写真)。(c)Nicholas Kamm / AFP〔AFPBB News〕
韓国の文在寅大統領が4月10日ワシントン入りし、11日にドナルド・トランプ米大統領と会談する。
2月末のベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談が決裂してから初の米韓首脳会談だ。
トランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長との会談に応じたのは文大統領の仲介がきっかけだ。2回目会談も文大統領の口車に乗ってトランプ大統領はハノイまで出かけて行った。
ところが会談は決裂。理由は、トランプ大統領が「北朝鮮が保有する核兵器関連物資をすべて米側に手渡せ」と言い出しからだといった情報が支配的になってきている。
(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03/post-11905.php)
「すでに北朝鮮には何度も騙された」(ディビッド・スティルウェル米国務次官補=東アジア太平洋担当)と見る米政府部内の対北朝鮮強硬派の判断に、トランプ大統領は突き動かされたからだろう。
トランプ大統領の対北朝鮮アプローチは昨年3月8日に文在寅大統領の特使、鄭義溶国家安全保障室長を通じて伝えられた金正恩朝鮮労働党委員長からの米朝首脳会談開催の提案からだった。
歴代米大統領が実現できなかったことをやろうとするトランプ大統領は、これに食いついた。折からの「ロシアゲート疑惑」を払いのける絶好の政治スタンスでもあった。
第1回米朝首脳会談(シンガポール)、2回目のハノイ会談と、そのお膳立ては韓国の文大統領だった。
だが2回目会談直前になっても水面下で続けられてきた交渉でも非核化に向けた北朝鮮からの譲歩は見られなかった。
「韓国は北朝鮮の非核化に役立たず」
それでも文在寅大統領は「仲介役」として楽観論を流し続けた。そして金正恩委員長からの譲歩を引き出すためには対北朝鮮制裁の緩和を米側に助言し続けた。
米側の意向を無視して南北統一に向けた具体的な動き(開城での南北朝鮮連絡事務所設置、鉄道・道路網接続着手など)すら見せてきた。
米議会には「韓国は非核化交渉で米国への協力をするどころか、非核化には役立たない同盟国だ」(コリー・ガードナー上院外交委員会東アジア太平洋小委員会委員長=共和党、コロラド州選出)といった露骨な対韓不信感が噴出した。
非核化交渉の仲介役は中国にバトンタッチ
朝鮮半島情勢を定点観測している韓国外国語大学のマンソン・リッチィ准教授(ハワイ東西センター客員研究員)は、朝鮮問題専門サイト「38 North」でハノイ会談以後の米国と北朝鮮、韓国の関係についてこう見ている。
「ハノイでの米朝首脳会談はそれ自体が孤立して行われたものではない。従ってそれによって生じた波及効果は他の事案やこの地域における当事者にも影響を与えて始めている」
「米朝首脳会談が決裂したことにより、一番衝撃を受けたのは韓国だ。韓国は米朝首脳による(非核化)交渉が進むことで南北朝鮮の協力、朝鮮半島の平和、それによって恩恵を受ける経済的利益を期待してきたからだ。その大きな期待はほど遠いものとなった」
「文在寅大統領としては(米朝間の仲介役を自負してきた経緯もあり)義務感もあり、再び仲介役を演じようとするだろうが、その役目は韓国の手から離れている」
「韓国に代わって仲介役を演ずるのは中国だ。ハノイ会談は中国にこの地域での影響力を強める絶好のチャンスを与えたからだ」
「(古代ギリシャの歴史家)トゥキュディデス*1は『強きものはできうることを為し、弱きものは為すべきことができず苦しむ』と記している」
*1=前5世紀中葉のアテナイで寡頭派指導者として活躍した政治家。ペロポネソス戦争に従軍、戦争中に失脚し、亡命。ペロポネソス戦争を叙した「史書」は有名。
(https://www.38north.org/2019/03/mrichey032919/)
文在寅大統領は引き続き仲介役を懇願か
米韓関係に精通する米政府高官OBの一人はリッチィ准教授の見解に共鳴し、筆者にこう指摘している。
「文在寅大統領は、4月11日のトランプ大統領との会談で、米朝首脳間の交渉を何とか再開させるために自分に仲介役を引き続きやらせてほしい、と持ちかけるだろう」
「トランプ大統領の本心は、もうお前には頼みたくない。俺はビジネスマンだ。成果の上がらない取引には興味はないし、どちらの味方か分からないお前さんなんぞは、『You fire!』(お前は首だ!)と言いたいところだろう」
「もっとも米韓は同盟国同士。外交儀礼的にはトランプ大統領は『よろしく』とは言うかもしれないし、そう記者発表するかもしれない。文在寅大統領はそれを誇張して発表するのだろう」
「内憂外患の文在寅大統領にとっては米朝関係の仲介役を続けられるか否かは、政権運営には絶対不可欠だ。北朝鮮の非核化と南北朝鮮和解促進は文在寅大統領にとって『命綱』になっているからだ」
「だが現実的にみて韓国にはもはや『仲介役』はできない。米国の信用を完全に失ってしまっているからだ。北朝鮮にあまりにものめり込みすぎてしまった」
もはや韓国は米朝間の仲介役にはなれないのではないのか、といった見方は韓国側にも出ている。
『朝鮮日報』のアン・ジュンヨン政治部記者は2月28日、会談の先行きを楽観視してきた韓国大統領府はハノイ会談決裂の報を受け終日右往左往していた現実をとらえて、こう書いている。
「韓米両国は緊密に協力していると口では言うが、米国は韓国が対北朝鮮制裁の免除や緩和を呼びかけたり、北朝鮮の人権問題を放置していることについて批判している」
「真実を隠し、現実から顔を背けて、小細工ばかりしているようでは最終的には韓国は誰からも信頼されなくなり、その結果、米朝間の『仲裁者』『促進者』どころか、単なる『見物人』になりかねない状況に追い込まれている」
それでも韓国を無碍にできない米国のジレンマ
しかしながらトランプ大統領にとって、文在寅大統領をそれほど無碍にはできない存在だ。
そのへんの実情をケリー・マグサメン元国防次官補(アジア太平洋担当)は3月26日開かれた上院外交委員会聴聞会でこう証言している。
「米韓同盟関係はお互いが機敏さを必要とする新たな段階に入っている。米韓関係を引き裂くことを北朝鮮は外交上の最重要課題の一つと考えているからだ」
「米国は米韓同盟のメカニズムをより有効に生かすために政府高官たちを訪韓させる必要がある。特に重要なことは(ほぼ合意に達した)在韓米軍駐留経費交渉(SMA)*2などで米国が荒っぽい高圧的なアプローチをしないことだ」
*2=米韓事務レベルでは韓国が在韓米軍経費を従来からの年間8億6000万ドル(全経費の40%)から10億ドル(16%増)に引き上げることで合意している。
「対北朝鮮非核化交渉では米韓の緊密な同盟関係は不可欠だ。対北朝鮮との交渉は今後も長丁場になる。外交が暗礁に乗り上げた時には長期的な観点に立った抑止力強化、さらには北朝鮮包囲シナリオも必要になる」
「トランプ大統領は米韓合同演習の一時中止を一方的に発表したが、これは不幸な決定だ。率直に言って、軍事演習や訓練においては駐韓米軍よりも韓国軍の即応能力の方が重要だ」
(https://www.foreign.senate.gov/imo/media/doc/032619_Magsamen_Testimony.pdf)
「トランプ大統領は日韓関係改善に努力せよ」
もう一つ、今回の米韓首脳会談で避けて通れないのが日韓関係だ。前述のマグサメン氏は上院外交委員会での証言でこう述べている。
「同盟関係を論ずるときに米国が取り上げねばならないのが悪化の一途をたどっている日韓関係だ。1965年の日韓基本条約締結以来最悪の状態にある」
「北朝鮮は日米韓3国が協力できるか、否かに最大関心を示している。米国は大統領を含む最高レベルで日韓関係を改善させるための弛みない外交努力をすべきだ」
「日韓関係の改善が遅れれば遅れるほど東アジア地域の安全保障上の米国の国益に支障をきたすことになる」
これは米政府部内だけでなく、米議会における総意だ。だがトランプ大統領が文在寅大統領に面と向かって何と言うか。
かって駐韓米大使館に勤務したことのある米国務省OBはため息交じりに筆者にこう語る。
「慰安婦問題にしても徴用工問題にしても国際社会の常識としては日韓政府が締結した日韓基本条約を誠実に遵守すればいいだけのことだが、今の韓国は、EU離脱をめぐるトラウマに陥ってしまった英国と同じようにみえる」
「正論が正論として通らない。韓国人自身、自分でしか解決できない反日トラウマで身動きできずにいる」
「日本との関係を全面的に見直すことをマニフェストに掲げて登場した文在寅政権のスタンスが行政だけではなく、司法、立法にまで蔓延してしまった」
「これに米国が口を挟むわけにはいかない。外交音痴だが、商売上手なビジネスマンのトランプ氏だからこそ利害の絡む日韓同士の喧嘩に割って入るようなことはしないだろう」
「となると、トランプ大統領は文在寅大統領に苦言を呈す場面などは考えられない」
「日本人にしてみれば、安倍晋三首相との個人的な関係も深いトランプ大統領に、『そろそろ御託を並べるのをやめて安倍とうまくやってくれよ』と文在寅大統領をたしなめてもらいたいと考えるところだ」
現在主要シンクタンクに籍を置く別の国務省OBは、「それは甘い」とこう指摘する。
「今の米国は、外交の機微とか国際的倫理や常識などには疎い、頭の鈍い、思い通りにいかないとわめき散らすガキが大統領だということを忘れないことだよ」
「彼の関心はすべてカネ、儲かるか儲からないか、だけが判断の尺度だ」
文大統領がどうしても欲しい訪米みやげ
「トランプの一言」
この国務省OBの見立てはこうだ。
「トランプ大統領は、米議会が日韓関係を憂いていることを引き合いに出して、『日韓首脳同士、何とか収めてくださいよ。何か私でできることがあったら言ってね』というのが関の山だろう」
「それを文在寅大統領は『トランプ大統領は仲介役になってくれた』と国内向けに宣伝できるし、ありがたい土産になるはずだ」
「安倍首相にとっても対韓国で別に譲歩を迫られるわけでなし、問題はないはずだ。外交音痴のトランプ大統領がそこまで本音と建て前を使い分けることができる本来の米大統領外交ができるかどうか、だ」
「ワシントン政界筋には今、トランプ氏の頭の中には2020年大統領選での再選しかないのではないのか、といった見方が広がっている。「ロシアゲート疑惑」の暗雲がひとまず去ったからだ」
「決裂した米朝首脳会談の後、トランプ大統領には焦りのようなものは感じられない。トランプ氏の動物的勘のなさせる業なのか」
「大統領選の結果が出るまで北朝鮮の非核化交渉は動かない、日韓関係もどちらかの国で政権交代があり、トップが変わらない限り好転はしない」
トランプ流の根拠のない、あくまで動物的勘なのだろうが・・・。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55976
韓国で囁かれ始めた「クーデターが必要」の主張
3・1独立記念日で見えた「反日勢力」の実相
2019.4.3(水) 赤石 晋一郎
3・1独立運動記念日に反文在寅のデモも行われていた(筆者撮影)
(赤石晋一郎:ジャーナリスト)
韓国の3・1独立運動記念日から約1カ月、相変わらず日韓関係の緊張が続いている。本稿ではこれまでマスコミで報じられなかった、3・1独立運動記念日の裏側ついてレポートをしたい。
3月1日、記念式典に登壇した文大統領の顔色は冴えなかった。イベント会場で登壇し、長々と演説を続けたものの、声に力がなかったのだ。
「文大統領は演説では日韓の協力を呼びかけるなど、日韓の融和を滲ませる言葉が目立ちました。当初、確実視されていた元徴用工裁判の話や慰安婦問題などの懸案事項については言及しなかったのは意外でした」(ソウル特派員)
文在寅の頭の中の8割は北朝鮮!?
「3・1独立運動」とは日本植民地支配時代に起きた運動のことである。いわゆる、現在語られる「反日」活動の原点ともいえる運動であり、100年を記念した今回の式典では、文大統領がより過激な日本批判を口にするのではないかと、日本政府側からは警戒されていた。
タレントが総動員されたような華やかなステージからは、国家的な記念日であることを強く認識させられる。しかし肝心のメインゲストである文大統領は、ウダウダと演説を続けるだけで言葉が冴えず、唯一、言及したのが、植民地時代に日本が韓国人独立運動家を鎮圧した際に多数の死傷者が出たことを、「蛮行」や「虐殺」といった言葉で紹介したときだった。そして「親日残滓(ざんし)の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」と語ったのだ。
私はイベントが行われていた光化門近くで現場の様子を取材していた。数万人の聴衆が集まっていたが、会場に流れる空気の冷ややかさはどうにも否定できなかった。大統領の歯切れ悪い演説が、現場の空気をしらけさせているようにも思えた。
それには理由がある、と語るのは韓国人ジャーナリストだ。
「大統領の言葉に勢いがなかったのは、前日まで行われていた米朝会談が物別れに終わったことが大きかった。韓国政府は米朝会談が成功し、南北統一の機運が高まると期待していただけに、文大統領としては期待外れの結果に終わった。大統領の顔色が冴えなかったのもそのせいだ、という論調は韓国内でも多く見られました」
文大統領が大々的に反日宣言をしたかったであろうことは、容易に予想できた。イベントの列席者のうち、メインゲストとなる大統領夫妻のすぐ横に席を用意されていたのが元慰安婦・イ・ヨンス氏だったからだ。
「おそらく米朝会談が成功裏に終わっていれば、元慰安婦イ・ヨンス氏による反日的な演説が行われ、大統領も慰安婦問題に言及するはずだったであろうことはゲストの席順からも明らかでした。しかし、結果、目立った発言はなかった。それだけ米朝会談のショックが大きかったのだと思います」(前出・ソウル特派員)
朝鮮戦争の終戦宣言も、との観測もあった米朝交渉の「決裂」は、想像以上に文大統領の大きなダメージを与えていたのだ。ブルームバーグが文大統領を「金正恩の報道官」と評して韓国内で大騒動になったことは記憶に新しいが、実は韓国内でも、文在寅は「頭の中の8割が北朝鮮で占められている」(韓国紙記者)と評されるほど、親北朝鮮であることがよく知られている。
「文在寅大統領の周りは、『チュサパ(主思派)』で固められています。チュサパは北朝鮮よりも強い主体思想(金日成が提唱した独自の社会主義理念)を持つ人達のことで、文大統領が、北朝鮮が核放棄する前から38度線の武装解除を始めたのはその思想に基づいてのこと。さらに、文政権が反日姿勢を強めているのも主思派の影響と見られています。つまり『親北』=『反日』であり、北朝鮮と近づけば近づくほどに文政権は反日姿勢を強めていくはずです」(前出・韓国人ジャーナリスト)
そのような状況下にある韓国で、3・1独立運動記念日のさなか、同国の知られざる一面を、私は現地で見ることになる。つまり韓国国内はいま分裂の危機にあるのではないか――という光景だ。
露わになった民族の分断
「Moon Jaein OUT!」
3月1日、ソウル市内では大々的なデモ行進が行われていた。大音量で音楽を響かせ、参加者は熱いシュプレヒコールをあげる。「反日デモ」ではなく「反文在寅デモ」だ。
3・1独立運動記念日に「文在寅 アウト!」のプラカードを掲げてデモする人々(筆者撮影)
軍服に身を包んだ参加者はこう胸を張った。
「この集会には30万人の韓国人が集まっている(*現地報道では数万人)。われわれはアカの政権を打倒する!」
「太極旗部隊」と名乗るデモの行列がソウル市内を埋め尽くしていた様子は確かに壮観だった。人々を観察していると韓国軍OBや、中高年の男性や地方出身者が多い。いわゆる保守層、右派によるデモが太極旗部隊であるようだ。
〈ムンジェインは北朝鮮のスポークスマンだ!〉というプラカードを掲げた中年男性もいた。デモの所々で韓国国旗である太極旗と、米国国旗である星条旗がはためいていた。彼らを勢いづかせたのが、前日の米朝会談の決裂であることは明らかだった。
3月1日、ソウルで目立ったのは「反日デモ」ではなく「反文在寅デモ」だった(筆者撮影)
いま韓国で、右派と左派による分断が深く進行していることをうかがわせる光景だった。左派政権である文政権が反日姿勢を見せる背景には、北朝鮮の姿が色濃くあるのは先に述べた。
その様子は左派陣営でも確認できた。
3月1日の在韓日本大使館前。こちらで見られたのは、もちろん左派のデモ隊の姿だ。しかし、その数は50名ほどと、かなり少ない。参加者の多くが若者で、うち半数ほどは動員された学生のようだ。
リーダーの運動家は、マイクでこうシュプレヒコールを上げる。
「日本は謝罪しろ!」
聴衆も拳を振り上げてはいるが、その様子はシュプレヒコールに合わせたコンサート的なノリに見える。「怒りで拳を突き上げる」といった風情ではない。
3・1独立運動記念日の日本大使館前の様子。反文在寅デモに比べ明らかに人が少ない。(筆者撮影)
そしてリーダーはこう演説を始めた。
「アメリカのトランプ大統領は北朝鮮の金正恩を友達だという。それならなぜ、制裁をするのか! 制裁をやめるべきだ!」
いまも確実にある北朝鮮の核保有問題の存在を無視しためちゃくちゃな暴論なのだが、リーダーは大真面目にそう主張しているのだ。理屈もなにもあったものではないが、韓国左派がいかに親北であるかということだけは、この演説によく表れている。
そして、左派デモの人数の少なさが示唆するものは、韓国内における反日派は実は少数であるという事実だ。
過去に植民地支配された歴史があるので韓国内には公に「親日だ」とは言いづらい雰囲気があるが、熱く拳を振り上げているのは一部の左派政治家と市民運動家だけでしかない。
「親北朝鮮政権を倒すためクーデターを起こすべき」との声
問題は文政権がそうした国内情勢を知ってか知らずか、反日姿勢を維持するために強権的になっていることにある。
2月15日、文在寅は大統領府本館中武室で行われた「国家情報院・検察・警察改革戦略会議」に出席した。そこで次のような「宣言」を行った。
「今年は特別な年です。100年前、独立運動によって正義に満ちた大韓民国が建設された。日帝強占期(植民地支配時代)、警察と検察は独立運動家を弾圧する植民地支配を補完する機関だった。いまも残る暗い影を改革し、完全に脱ぎ捨てなげればならない。そのために大統領、青瓦台は常に監視、牽制する」
つまり政権は権力機関の掌握に力を注ごうというのだ。こうした姿勢に右派は反発を強めているという。
「いま『親北朝鮮、アカの政権を倒すためにクーデターを起こすべきだ』という意見までが右派や韓国軍関係者の中で囁かれるようになっているのです。韓国軍や国家情報院はこれまで北朝鮮を『敵国』とみなし、演習・情報収集をしてきたわけです。それだけに、無条件に北朝鮮に歩み寄る文政権を危険視しているのです」(韓国メディア記者)
文在寅大統領の任期はあと3年以上ある。このまま親北路線を突き進むのならば、深刻な左右激突は避けられないのかも知れない――。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55971
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。