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ロシア疑惑「シロ」で地団駄の反トランプメディア
歴史的フェイクニュースに終わった「トランプとロシアの共謀」
2019.4.3(水) 古森 義久
トランプ氏、ロシア疑惑捜査は「反逆行為」
米首都ワシントンで記者会見を行うドナルド・トランプ大統領(2019年3月24日撮影)。(c)Eric BARADAT / AFP〔AFPBB News〕
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国の2016年大統領選挙でトランプ陣営がロシア政府と共謀して得票を不正に操作したという「ロシア疑惑」は実際にはなかったことが、ロバート・モラー特別検察官の捜査によって示された。つまり、これまでの2年以上もの「ロシア疑惑」報道はフェイクニュースだったということになる。
この新展開によって、米国の国政の場での民主党とトランプ政権の攻守の構図は一気に逆転し、トランプ政権や共和党側はフェイクニュースを広めた犯人の糾弾を開始した。
トランプ大統領は就任当初からロシアとの“不正な関係”を疑われていた。司法長官が任命したモラー特別検察官による捜査が始まってからこの3月末で22カ月、実際にはその前の2016年夏ごろから連邦捜査局(FBI)による捜査が開始されていたから、実に2年半もの間、フェイクニュースが流されていたことになる。日本でも同様だったから他人事ではない。
「ロシア政府との共謀」は完全にシロと判定
モラー特別検察官事務所の捜査報告の骨子は3月24日、ウィリアム・バー司法長官により発表された。
モラー報告書には、捜査の最大対象だった「ロシア政府機関とトランプ陣営の共謀」という疑惑について、「2016年の米国大統領選挙にトランプ陣営のメンバーとロシア政府が共謀、あるいは協力して介入したことは裏づけられなかった」ことが明記された。「ロシア疑惑」についての捜査はこれで終了し、これ以上の起訴はないという。
モラー米特別検察官、ロシア疑惑の報告書を提出
2016年米大統領選挙でのドナルド・トランプ陣営とロシアの共謀疑惑をめぐる捜査を指揮するロバート・モラー特別検察官(左)とトランプ大統領(右、2018年1月8日撮影)。(c)SAUL LOEB and Brendan Smialowski / AFP〔AFPBB News〕
トランプ大統領がジェームズ・コミーFBI(連邦捜査局)長官を解任したことに対する司法妨害の容疑については、起訴とも赦免とも判断を下さないという灰色の記述だった。だが、この捜査の最終責任を持つウィリアム・バー司法長官は「起訴の対象にはならない」というシロの判断を打ち出した。
こうした結果、「疑惑」の主対象だった「トランプ陣営とロシア政府との共謀」は完全にシロと判定されたのである。このことは、捜査の標的だったトランプ大統領自身はもちろん、息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏や義理の息子のジャレッド・クシュナー氏なども特別検察官の刑事訴追はされず、無罪の判定が下されたことを意味する。
「反トランプ」メディアの論調の変化
では、この2年間にわたる連日連夜の米国主要メディアによる「ロシア疑惑」報道とは一体なんだったのか(おまけにその大部分は「疑惑」というよりも、トランプ大統領を「有罪」と決めつける「トランプ陣営とロシア政府の共謀」報道だった)。
共和、民主両党の衝突がこれで終結したわけではない。最終的な捜査報告書が公表されても、反トランプの主要メディアは簡単には自分たちの非は認めない。反トランプ陣営は、民主党支持層の厚いニューヨーク州の検事局や裁判所を巻き込んださらなる攻撃も検討している。
だが、モラー報告書の概要が発表されてから1週間ほどの4月2日の時点では、「ロシア疑惑」を大々的に報道してきたニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの紙面にも顕著な変化が現われてきた。
1つは当然ながら「ロシア疑惑」に関する記事ががっくりと減り、ほぼゼロになりつつあることだ。トランプ大統領への批判も医療保険改革や違法移民などの内政問題へとシフトしてきた。
2つ目は、たまに出る「ロシア疑惑」関連記事においてもゴールポストや焦点を変えて、「疑惑を流した犯人をトランプ大統領が追求するのは逆に民主党を利することになる」「ロシア側は、トランプ陣営との共謀などないことは最初から知っていた」などという趣旨の論評が見られるようになったことである。
しかしそうした論評は、トランプ陣営側の「『ロシア疑惑』は反トランプ勢力によるでっちあげである」とする主張の説得力を、結果的に一段と強める結果となっている。
民主党への反撃に出る共和党陣営
モラー氏が「ロシア疑惑」の特別検察官に任じられたのは2017年5月だった。ただしFBI(連邦捜査局)による同疑惑の捜査は前年の2016年から始まっていた。モラー検察官はこれまでの刑事訴追34人(うちロシア人が26人)のうち6人を有罪確定、あるいは有罪自認とした。
だがこれまでに起訴された人たちの罪状は、選挙期間中の「ロシア機関との共謀」とはまったく関係がなかった。みな脱税や横領という個人レベルでの罪状だったのである。
また選挙に不当に介入したとされるロシア側の工作員は、みなロシア独自の干渉とされ、トランプ陣営との共謀や共同の違法行為はなにも指摘されなかった。いずれにしろロシア人容疑者はみなロシア国内にいるため、今後追及することは現実的には困難である。
与党の共和党陣営も今回の展開に喜びを隠さない。それどころか「この報告書によって『ロシア疑惑』が民主党側の捏造、でっちあげだという事実が証明された」という激しい反撃を開始した。
トランプ大統領は、この2年余り一貫して叫んできた「ロシア疑惑は魔女狩りだ」という主張をさらに強め、中西部ミシガン州の大集会でも、1時間以上熱気をこめた演説で自らの無実と民主党側の陰謀を訴えた。
「疑惑」をでっちあげた面々とは
共和党側で「ロシア疑惑」はそもそも民主党側のでっちあげだと主張してきた下院情報委員会の筆頭メンバーのデビン・ヌーネス議員は、3月下旬に「この捜査終了によって『ロシア疑惑』は今世紀最大の政治スキャンダルであることが証明された」と述べ、この捏造事件の特別捜査の必要性を訴えた。
下院情報委員会は2018年11月の中間選挙で民主党が下院の多数派となり、委員長も民主党のアダム・シフ議員となった。シフ議員も、議会で「トランプ陣営とロシア政府の共謀」を再三主張してきた1人である。そのため同委員会の共和党議員は、全員でシフ議員の委員長解任を求めている。
一方、トランプ大統領の2020年の再選を目指す「トランプ再選委員会」はモラー報告書の骨子が発表された直後、主要テレビ局に書簡を送り、「以下の6人の議員、元政府高官はトランプ大統領に対して証拠のない不当な誹謗を再三、述べてきた。今後、テレビ番組で起用する際には、ジャーナリズムの正しい規範を適用して慎重にしてほしい」と要請した。この6人には前述のシフ議員のほか、オバマ政権でCIA(中央情報局)長官を務めたジョン・ブレナン氏らも含まれていた。
トランプ陣営ではブレナン氏のほか、オバマ政権の国家情報長官だったジェームズ・クラッパー氏、FBI長官だったジェームズ・コミー氏らに対しても「トランプ陣営とロシア政府との共謀」説を有形無形に広めたという疑いを深めており、その責任の追及を検討している。
日本でもこの2年ほど、主要メディアの多くが「トランプ陣営はロシアと共謀していた」という趣旨の報道をしてきた。その具体的な事例は数えきれない。今となれば、その種の報道はみなフェイクニュースだったということにもなろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55977
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