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トランプが最も恐れる大統領選候補、ベト・オルーク
左傾化する民主党から距離、共和党との和解を唱える47歳の中道派
2019.4.1(月) 高濱 賛
2020年の大統領選で共和党のドナルド・トランプ現大統領が最も恐れているとされる民主党のベト・オルーク氏。
保守王国テキサス州から現れた「民主党のホープ」
まず上の写真をご覧いただきたい。
とびきりハンサムというわけではないが、どことなく、ジョン・F・ケネディ第35代大統領(大統領就任時=43)を彷彿させるカリスマ性がある。
3月14日、2020年米大統領選の民主党予備選に正式に立候補したベト・オルーク(Beto O'Rourke)前下院議員(テキサス州第16区選出=46)だ。
ベトとは変わった名前だが、本命は「Robert」。出身地はメキシコ国境の町、エルパソ(都市圏人口は84万人)の人口の67%はラティーノ*1ということもあってスペイン語の影響が強い。
*1=ラティーノ(ヒスパニック)は国勢調査ではいわゆる「人種」とはみなされていない。したがって白人系ラティーノもいれば、黒人系ラティーノもいる。
スペイン語では名前が「bert」だと「Beto」とニックネームで呼ぶところからオルーク氏も幼い頃からそう呼ばれ、そのまま本名になってしまったという。
Beto O'Rourke An Unauthorized Biography of the 2020 Democratic Presidential Contender from Texas[Pamphlet} by Charlie Cooke
ベトが全米の注目を浴びたのは、先の中間選挙で下院から上院に鞍替えを試みようと上院選に出馬したとき。
2016年大統領選に立候補したことのある現職テッド・クルーズ上院議員(共和党=48)と最後の最後まで激しいつばぜり合いを演じた時からだ。
クルーズ氏も共和党内では若手ナンバーワン。議会では司法委員会や外交委員会で頭角を現している。
テキサス州は大統領選ではロナルド・レーガン氏(第40代大統領)が19980年に勝利して以来、2016年のトランプ氏まで36年間、常に共和党候補を選んできた「共和党王国」。
そこでロルーク氏は結局はクルーズ氏相手に20万票差で負けたとはいえ、得票数402万票(48.3%)を取った。これは画期的なことだった。
トランプ氏をうならせた
「ソーシャルメディアの申し子」
ドナルド・トランプ大統領(72)も「テキサスの戦い」を重要視し、クルーズ候補応援に駆けつけた。その際、驚かされたのがロルーク氏の集金力だった。
今年3月、大統領選への立候補を表明した際にも表明後の24時間以内に610万ドル(約6億8000万円)の献金を集めて並み居る民主党候補たちを愕然とさせている。
(ちなみに注目の女性候補、カマラ・ハリス上院議員は立候補表明24時間で集めた政治資金は150万ドルだった)
ロルーク氏は、10代の頃には悪名高いハッカー集団に属したり、パンクミュージックのバンドを結成したり、コロンビア大学在学中には下院議員の臨時秘書をやったり、様々なことに手を染めてきた。
ティーンエイジャーの頃には飲酒運転も含め警察に2回ご厄介になっており、選挙のたびにライバルからは批判されてきた。
しかし、「逮捕されたことで善良な市民としての責任を痛いほど学んだ。反省している」の一言でかわしてきている。
コロンビア大学では英語を専攻したが、アカデミックなことよりもビジネス志向。
卒業と同時にインターネット会社を立ち上げ、オンライン新聞を発行するなど、起業家精神旺盛だった。この頃からソーシャルメディアは彼にとって自分の庭のような存在だった。
ところが金儲けにはあまり執着せず。32歳の時に地元エルパソ市の市長選に打って出た。
この際、威力を発揮したのがソーシャルメディアを使った人脈作りや票の掘り起こしだった。
またラティーノ有権者を引きつける流暢なスペイン語は強力な武器だった。なんと地元ラティーノ商工会議所のメンバーにすらなっているのである。
集金力+ソーシャルメディア+スペイン語――2012年の連邦下院議員選の時も、2016年の上院選の時もこの「三種の神器」が武器となった。
さらにオルーク氏にはもって生まれた人懐っこさと実直さがあった。
選挙演説も用意したスピーチを棒読みなどしない。集まった人たちの顔を見ながらその場そば場で即興的に話をする。
同氏に一票を入れたエルパソ住民のラティーノ系の男性の一人はこう話している。
「ベトの言っていることには美辞麗句がない代わりに嘘がない。思っていることをそのまま話す。正直なんだ」
どうやらこのへんは日本の「自民党の星」、小泉進次郎衆議議員と相通ずるものがありそうだ。
トランプ氏が「壁」遊説でエルパソを選んだわけ
日本で言えば、『文藝春秋』にあたる『バニティ・フェア』のクリス・スミス記者は、オルーク氏を警戒するドナルド・トランプ大統領の胸の内をこう描いている。
「トランプ氏は来るべき大統領選で対決する民主党のライバルを論理的で長期的計算ではなく、動物的な本能で嗅ぎ取る」
「毎朝見るフォックスニュースでも、危機を感じたものには瞬間的に反応する。ただ、彼が一つのことに関心を持ち続ける期間は、株の取引業者の1日よりも短い」
「そのトランプ氏がベト・オルーク氏と大統領選で一騎打ちする可能性に執着しているのは、かれこれ1か月以上に及んでいる」
トランプ大統領は、議会民主党の反対を押し切って着工しているメキシコ国境沿いの「壁」の重要性を国民に訴えるため、2月11日、テキサス州を遊説した。その時選んだ場所はなんとエルパソだった。
エルパソの壁の前でトランプ大統領はこう演説した。
「民主党は、麻薬、犯罪、人身売買を持ち込む不法移民が連日のように我が国に入り込むのを手をこまぬいて見ている。愛国者たちは今、国境の最前線でその民主党と戦っている」
「壁」の重要性を説くなら不法移民による実害の出ている場所に行くべきだろう。エルパソは全米でも最も治安が安全な都市。凶悪犯罪は2009年に壁建設が着工される前から減っている。
それなのになぜエルパソを選んだのか。
国境沿いに「壁」を作ることに真っ向から反対してきたオルーク氏の地元に乗り込み、叩くのが目的だったことは明らかだった。
トランプ氏:昔の名前で出てくる連中は恐れるに足らず
2016年大統領選の時にトランプ選対本部の首席スポークスマンを務めた選挙戦略家のジェイソン・ミラー氏は、トランプ大統領の本心をこう明かす。
「トランプ氏にとっては、オルーク候補は民主党エスタブリッシュメントから昔の名前で出てくるような(One of the recycled Democratic establishment candidates)ジョー・バイデン前副大統領(76)やエリザベス・ウォーレン上院議員(69)、バニー・サンダース上院議員(77)といった古顔よりも手ごわい対抗馬になるだろう」
(https://www.vanityfair.com/news/2019/03/why-donald-trump-is-obsessed-with-orourke)
先の中間選挙で当選した下院の新人議員は概して過激派リベラルが多い。政策論争でも左傾化する傾向にある。
それが民主党大統領候補指名にどう響くか。党執行部の中には憂慮する向きが少なくない。
というのもあまりにも過激派リベラル候補を選ぶようなことになれば、一般選挙民の中にはこれを嫌うものも出てくる。特に無党派層の保守的な票はトランプ氏に流れる公算大だ。
そう見ると、保守的なテキサス州で保守票を集めてきたロルーク氏の中道主義、共和党との共存、連携主義は、大統領選で勝とうとする民主党にとっては不可欠な選択肢になってくる。
民主党の選挙専門家の一人は筆者にこう指摘している。
「世論調査でバイデン氏がリードしているのは、その中道リベラル路線のため。サンダース氏を支持するのはオールド・リベラル世代」
「バイデン、サンダース、この2人がいつまでもフロントランナーで走っているのを見て一番喜ぶのはトランプ氏だろう」
「今後オルーク氏が支持率を上げてくれば、バイデン氏は自分の票をそっくりオルーク氏に譲るに違いない」
大統領選に立候補した初の
同性愛主義者ブティジャッジ市長
Shortest Way Home: The Mayor's Challenge and a Model for America's Future by Pete Buttigieg Liveright, 2019
オルーク氏に米メディアが注目する中で、民主党からは同氏とは9歳も若いピート・ブティジャッジというインディア州サウスベンド市の市長が名乗りを上げている。
幼い頃から秀才の誉れ高く、地元高校を卒業するや、ハーバード大学に進学、その後ローズ奨学生としてオックスフォードに留学。
2009年には米海軍の情報将校として入隊し、アフガニスタンにも駐留している。除隊後にはマッキンゼーに入り、3年間コンサルタントとして勤務している。
政界入りに強い関心を示し、2010年には州財務官選挙に立候補(落選)。その後ウィリアム・コーエン元国防長官が経営するコンサルタント会社で働きながら2011年の市長選に臨む。
市長選では得票数の74%を獲得して当選する。29歳。全米10万人以上の都市の市長としては史上最年少だった。
市長としての最大の業績は麻薬撲滅対策だ。
2018年には民主党全国委員長選に立候補するが敗れている。ワシントン政界への進出の野望は大統領選に立候補することでいよいよ現実のものなってきた。
ハーバード、オックスフォード、軍歴、マッキンゼー、そして市長。同氏の立候補を注目して見ているワシントン政界オブザーバーの一人は筆者にこう述べている。
「地方都市の市長、しかもまだ30代、全米レベルでは全く無名。しかもLGBT(同性愛者などの性的少数者)だと公言している」
「メディアは面白半分に追いかけているが、高学歴だけでは政治家になれない」
「政治経験ゼロのトランプ氏が大統領になったお蔭で、今や猫も杓子も大統領になると言い出しているが、政治はそんなに甘いもんじゃない」
「オルークは一応、大リーグ(米中央政界)でプレーしているが、ブティジャッジの方はトリプルAだ。大統領選の予備選に出て副大統領指名を狙うか、名前を売っておいていずれ下院議員狙い、上院議員狙いということではないのか」
民主党大統領候補は目下のところ「女性上位」的傾向が目立っている。しかし初夏を迎える頃には女性候補同士の星のつぶし合いも予想される。
(参考:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55335)
予備選中盤戦頃からロルーク氏が本命に躍り出ることが出来るかどうか。いずれにしても「ベト」の愛称で呼ばれるロルーク氏の動向から目が離せない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55945
FRB理事候補のムーア氏:トランプ氏よりも貿易と移民を支持
Ryan Beene
2019年4月1日 8:37 JST
大統領の経済運営を高く評価するが、常に同意するわけではない
経済成長や米労働者に関しては私は独立した意見を持つだろう
トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)理事に指名する意向を示したスティーブン・ムーア氏は3月30日、理事就任の場合に独立した意見を述べる考えで、大統領に必ずしも同意するわけではなく、貿易や移民に関しては特にそうだと語った。
ムーア氏はCNNとのインタビューで「私は75%のケースでトランプ大統領に同意すると思う。大統領の経済運営をかなり高く評価している」とコメント。その上で、「大統領とは意見が異なる時も多い。私は貿易促進派であり、大統領よりも自由貿易を支持している。移民についても大統領よりも若干賛成派だ。だから経済成長や米国の労働者に関しては私は独立した意見を持つことになるだろう」と語った。
ムーア氏は2016年大統領選でトランプ陣営のアドバイザーを務め、18年にはトランプ大統領の経済政策に関する書籍を共同で執筆した。現在は保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のシニアフェローや経済コメンテーターを務めている。3月10日には、「誰も望まない関税」と題した米紙ワシントン・タイムズへの寄稿文で、「トランプ大統領提案の25%の自動車関税で奇妙な点は、国内自動車メーカーの大部分がそれを望んでいない点だ。国内メーカーは外国から輸入される競合製品への規制は遠慮すると大統領に伝えているようだ」と指摘していた。
Trump Says He'll Nominate Stephen Moore To Federal Reserve Board
スティーブン・ムーア氏撮影:Andrew Harrer / Bloomberg
原題:Fed Pick Moore Says He’s More Pro-Trade, Immigration Than Trump(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-31/PP93U76JTSEA01?srnd=cojp-v2
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