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トランプ氏、対中譲歩ならオバマ氏の二の舞いに 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 04 日 19:58:44: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

2019年3月4日 The Wall Street Journal
トランプ氏、対中譲歩ならオバマ氏の二の舞いに
バラク・オバマ氏
写真:ユニフォトプレス
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 2003年、ホワイトハウスの大統領執務室。当時、安全保障当局者だったダン・サリバン氏は、中国の副首相がジョージ・W・ブッシュ大統領に対し、知的財産の窃盗問題に対処すると表明した際、その場に同席していた。だが、中国は実行に移さなかった。

 サリバン氏は2015年にも、中国の習近平国家主席がバラク・オバマ大統領に対し、中国はサイバー攻撃を通じて企業秘密を盗む、または南シナ海で軍事拠点化を進めることはないと誓う場面を目にしていた。「中国は約束を果たしただろうか? ノーだ」。共和党の新人上院議員(アラスカ州)となったサリバン氏は今月、上院議場でこう断言していた。

 サリバン氏はインタビューで、ドナルド・トランプ大統領は、中国の法律や経済、慣行に関する構造改革を達成することで、ブッシュ、オバマ両氏がなしえなかったことを実現できるかもしれないと指摘した。「ここまでこられたのは、トランプ大統領のおかげだ」
 問題は、トランプ氏が自身の立場を堅持するかだ。ブッシュ、オバマ両氏が失敗した要因は、中国が約束を守るかどうかよりも、北朝鮮とイランの核開発をはじめ、世界的な金融危機や気候変動など、他の問題をより重視したことにある。両氏は、世界貿易機関(WTO)が認めたルール以外の方法で中国を罰することには消極的だった。

 対照的に、トランプ氏は、米国の貿易赤字を膨らませる不公正な慣行だと批判する中国の行為を阻止する決意で大統領に就任した。同盟国やWTOのことは、ほとんど意に介さなかった。当初は北朝鮮問題に関して中国の協力を取り付けることを優先したが、その後関税を発動。中国が3月1日までに米国の要求に応じなければ、関税をさらに引き上げると脅した。米司法省は中国企業の不正行為に関する調査を強化。とりわけ華為技術(ファーウェイ)がその標的となった。

 だがトランプ氏はここにきて、ブッシュ、オバマ両氏と同様に、中国側から構造改革への断固たる決意表明が得られなくても、決着したいと考えているようだ。ただ、その理由は米農家を満足させ、株価を押し上げることであり、歴代大統領とは異なる。中国はまだ、技術移転の強要や他の差別的慣行の停止など、米国側の主要な要求に応じていないと伝えられる。だが、トランプ氏は3月1日の交渉期限の延期に応じ、習氏との首脳会談の準備に着手した。

 オバマ政権で中国の通商問題を担当したブラッド・セッツァー氏は、このような首脳会談は「失敗が許されない」と話す。また、コーナーストーン・マクロのアンディー・ラペリエ氏は今週、顧客ノートで「トランプ氏がディールを望んでいるのは明らかで、トランプ氏の考える『グッドディール』の基準は下がり続けている」と述べている。


中国経済の減速はスマホから留学生数にいたるまで幅広く打撃を与えている(英語音声、英語字幕あり)Photo Composite: Crystal Tai
 これは、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表のレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を弱める。同氏のレバレッジは、交渉決裂や脅し通りの関税発動も辞さない姿勢に支えられている。 皮肉にも、ライトハイザー氏は、中国に改革を実現させることが出来なかった歴代大統領の失敗に関する権威だ。同氏は弁護士時代の2010年、議会証言で「米国は多岐にわたる地政学問題で、中国の協力を必要としていると言われてきた」と指摘。だがこれは単に、中国が不正行為を「永遠と継続する状況を許しただけで、米国が中国の支援を必要とするような危機的状況は常にある」とした。

 その上で、WTOは「その創設の基本前提にそぐわない法律・政治制度に対処するようには作られていない」として、米国はWTOを尊重して、一方的な通商法を放棄すべきではないと主張した。

 ところがライトハイザー氏は、WTOが定める手続きを踏まず、鉄鋼・アルミニウム関税を発動し、同盟諸国の怒りを招いた。今後、自動車関税の発動もあり得る。だが、批判的な向きでさえ、ライトハイザー氏は過去の政権にはなかったような方法で、中国の注意を引いた(そして市場の混乱を招いた)と認めている。中国経済はその結果、明らかに打撃を受けた。製造業の活動や輸出はここ数カ月で大幅に落ち込んでいる。

 中国は、米国から大豆や天然ガスの輸入を増やすとともに、知財保護を強化し、金融など一部業種で海外企業のアクセスを拡大することで合意したと報じられている。だが、中国は米国との交渉に関係なく、その多くを実施しただろう。

 真の合意には、何が盛り込まれるべきか。ビジネス・ラウンドテーブルや米商工会議所などの業界団体は、外資による投資制限の撤廃やデータの現地保管義務づけの解除など、長い要求事項を策定している。この他、現地提携相手なしでも海外企業にライセンスを認可する、戦略的セクターで中央・地方政府による国内サプライヤーの優遇を撤廃する、サイバー防衛当局はソースコードの開示を義務づけない、知財侵害訴訟には第三者の仲裁機関が関与するとともにWTOが上訴を受理する、中国はWTOのルールに従い国有企業への補助金をすべて公表するといった要求が挙がっている。

 習氏は、こうした措置が中国の国家主権を侵害し、経済的な野心を損なうと考えれば、決して同意しないだろう。米国は中国とビジネスを行いたくなくても、他国は行いたいだろうと考える可能性もある。実際、米国がファーウェイ排除を他国に働きかけているにもかかわらず、同社の世界市場シェアは拡大している(デローログループ調べ)。

 前出のサリバン氏は、米国はこうした不測の事態にも備えておくべきだと話す。「中国の構造改革や合意履行の検証制度を実現できない場合には、絶対にこの戦いを続ける方が良い。トランプ氏と大統領のチームが強硬姿勢を維持することについては、超党派で強い支持が集まるだろう」

 トランプ氏が仮に妥協すればどうだろうか? 戦略国際問題研究所(CSIS)の中国問題専門家、スコット・ケネディー氏は、何もしなかった方がましだっただろうと指摘。「過去2年に同盟諸国との関係を損なう、または市場の混乱を招くこともなかっただろう」

(The Wall Street Journal/Greg Ip)
https://diamond.jp/articles/-/195722  

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