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(回答先: 一帯一路で中国が狙う「物流覇権」再奪取の総仕上げ 習近平国家主席は「ダボスマン」に非ず、国際主義の庇護者を称するのは無理 投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 23 日 08:40:08)
フェイクニュースを一気に拡散する米国メディアの病
バズフィードの報道、当事者からフェイクと指摘される
2019.1.23(水) 古森 義久
トランプ氏、「今後も100%NATOと共に」 加盟国に負担増要求も
ドナルド・トランプ米大統領。トランプ関連報道には用心が必要だ。(c)Timothy A. CLARY / AFP〔AFPBB News〕
(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
「トランプ大統領が元顧問弁護士に議会での偽証を指示した」という衝撃的なニュースがワシントンの国政を揺るがせた。米国の各メディアがロシア疑惑の新展開として大々的に報じ、日本の主要メディアも「大統領の偽証命令」として報道した。ところが、すぐにこのニュースはフェイクニュース(偽ニュース)であることが判明した。
一体どういうことだったのか。
後を追った朝日、報道の根拠は?
1月19日付「朝日新聞」夕刊に以下の記事が載った。「トランプ氏、元顧問弁護士に偽証指示か」という見出しだった。袖(そで)見出し(主見出しの横の小さな見出し)は「ロシア疑惑 元顧問弁護士に」と書かれていた。
ワシントンの杉山正記者が発信したこの記事の冒頭には、以下の記述があった。
「モスクワでの『トランプタワー』建設事業計画を巡り、トランプ米大統領が元顧問弁護士マイケル・コーエン氏に議会で偽証をするように指示したと、米ニュースサイトのバズフィードが17日、複数の捜査関係者の話として伝えた。事実ならば、弾劾(だんがい)訴追の根拠になる偽証教唆や司法妨害の罪にあたる可能性があり、野党民主党は18日、調査に乗り出す方針を示した」
記事にもあるように、事実ならば重大事態である。大統領が腹心だった弁護士に議会での公式の証言でウソをつけと命じた、というのだ。まさに偽証教唆、司法妨害の罪となる。トランプ大統領がいよいよ弾劾の手続きにさらされ、窮地に追い込まれることは必至である。
朝日新聞のその記事は、この重大な新情報の根拠について次のように書いていた。
「同サイトによると、ロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官がこのトランプ氏の指示に関して、コーエン氏ら複数の関係者の証言のほか、メールなどの物証を得ているという」
この報道を大スクープとして最初に流したニュースサイト「バズフィード・ニュース(BuzFeed News)」は、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官の事務所から情報を得たと言明していた。ロシア疑惑に関する情報では、モラー特別検察官は最も信頼のできるソースの1つである。
ところが、である。このニュースがアメリカや日本、さらには世界各国に伝わった翌日、当のモラー特別検察官がこの情報を否定した。バズフィードの報道はフェイクニュースだったのだ。
フェイクニュースが生まれた背景
このフェイクニュースが生まれた背景を理解するには、コーエン氏の置かれていた立場を知っておく必要がある。
年来のトランプ氏の弁護士だったコーエン氏は、2017年からトランプ氏とロシア政府機関との「共謀」を捜査するモラー特別検察官の捜査対象となった。その過程でコーエン氏は同年8月に議会の上下両院の情報特別調査委員会に書簡を送り、トランプ氏の会社が進めていたモスクワに「トランプタワー」を建設する計画は、大統領選挙戦の本格化した2016年1月には終了していた、と証言した。
ところが、この計画は実は2016年6月まで続いていたことが判明した。そのため、コーエン氏は偽証罪に問われた。同氏は2018年11月に罪を認め、司法取引でモラー氏の捜査に協力することになった。偽証したのはトランプ氏とロシアとの関係を少なくみせるためだった、と認めたという。
一方、トランプ大統領はこの間、不正行為は一切なかったと主張している。コーエン氏の偽証も自分には無関係であるという立場を保ってきた。
そんな状況の中で、バズフィードが「コーエン氏の偽証はトランプ大統領の指示だった」というショッキングなニュースを伝えたのである。
その根拠は、モラー特別検察官事務所の複数の当事者たちからの情報だという。「トランプ氏からウソをつくように指示された」というコーエン氏の生々しい“証言”も引用されていた。
トランプ氏元弁護士に禁錮3年 大統領の「汚い行い」隠蔽認める
米ニューヨークの連邦裁判所に到着したマイケル・コーエン被告(2018年12月12日撮影)。(c)TIMOTHY A. CLARY / AFP〔AFPBB News〕
事実無根だったバズフィードの報道
ところがバズフィードのニュースが流れた翌日の1月18日、モラー検察官はこの報道の内容を完全に否定する声明を出した。その文面は以下の通りだった。
「マイケル・コーエンの議会証言に関して、特別検察官事務所への特定の発言、入手した証言や資料について伝えたバズフィードの記述は正しくない」
モラー検察官の声明に対して、バズフィードはまだ報道の訂正や撤回を公式にしていない。だが、ワシントン・ポストなど他の報道機関がモラー検察官事務所に直接取材して、同事務所がバズフィードの報道を事実無根として完全に否定し、フェイクニュース扱いしていることを詳しく伝えた。
トランプ批判で知られるCNNテレビでさえも、メディア関連の法律専門のジェフリー・トービン記者が「この種の間違った報道が続くと、米国民一般がメディア全体を『トランプ憎しに駆られた左翼のウソつきたち』とみて、信用を失うことになる」と評論し、バズフィードに非を認めることを促した。
米国メディアで飛び交った「弾劾」という言葉
バズフィードは政治的スタンスとして民主党リベラル支持を鮮明にしており、トランプ大統領非難の評論や報道を一貫して続けてきた。
ロシア疑惑の発端となる「スティール文書」を最初に伝えたのもバズフィードだった。そのニュースはトランプ大統領の就任時の2017年1月に伝えられた。トランプ氏がロシアの各方面の人物たちとスキャンダラスなつながりを保ってきたという内容だった。文書を作成したのは、民主党陣営から依頼を受けたイギリス政府の元スパイのクリストファー・スティール氏である。だが、英米両国の情報機関当事者たちは、その文書の内容は信頼性がなくバズフィードの報道はフェイクニュースだったとみている。
そうしたバズフィードの政治的立場からすれば、今回のフェイクニュースにも一貫性はあるということになる。
事実、このニュースは、わずか1日とはいえ、反トランプ陣営を勢いづけた。「反トランプ」で知られるMSNBCテレビのキャスターのケイティー・ター氏は、「トランプは大統領になって最も打撃的な報道にいま直面した。このニュースは彼の弾劾につながる可能性がある」と熱を込めて解説していた。
他のメディアでも、この日は「弾劾」という言葉が頻繁に語られた。保守派のニュースサイト「デイリー・コーラー」の調査によると、このフェイクニュースの流れた1月17日だけで、MSNBCでは97回、CNNでは82回もキャスターや記者が弾劾という言葉を口にしたという。
『偽ニュースとプロパガンダ全内幕』(産経新聞出版)
現在の米国のメディア界にはこうした政治的な偏向が存在する。特にトランプ関連報道にはくれぐれも用心が必要だということだ。
なお、私は長年のワシントン駐在の経験を基に、産経新聞の同僚だった黒田勝弘記者との共著『偽ニュースとプロパガンダ全内幕』(産経新聞出版)のなかで、この種の政治偏向報道の実態を詳しく報告した。ぜひお読みいただきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55282
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