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「イスラエルにとって悪い」と批判されるトランプ大統領への強い風当たり
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201901010003/
2019.01.02 櫻井ジャーナル
アメリカのドナルド・トランプ大統領はシリアから2000名のアメリカ軍地上部隊を撤退させる意向を示し、その意向に従ってジェームズ・マティス国防長官は部隊をシリアから撤退させる命令書に署名したと伝えられている。30日以内に撤退を完了させることになっていたようだが、ここにきて撤退のペースを遅らせると言われ始めた。撤退に反対する人々からの圧力がそれだけ強いということなのだろう。 撤退方針が明らかになってから民主党だけでなく共和党の議員も大統領の方針に反対、有力メディアも批判している。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ブレット・ステファンズもトランプの決定を批判しているひとり。昨年(2018年)12月26日付けの紙面で「トランプはイスラエルにとって悪い」というタイトルの意見を書いている。トランプ批判の本質に触れるタイトルだと言えそうだ。 ステファンズニによると、イスラエルにとっての脅威はヒズボラ。中東や北アフリカへの軍事侵攻を正当化するために使われたアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)ではない。 本ブログでも何度か指摘したが、イスラエルはアル・カイダ系武装集団やダーイッシュと友好的な関係にある。2013年9月には駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンがバシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだと語っている。オーレンはベンヤミン・ネタニヤフ首相の側近で、この発言は首相の意思でもあると考えられた。 2013年にバラク・オバマ政権はシリアへの直接的な軍事侵略を正当化させるため、「化学兵器話」を使った偽旗作戦を2013年に始めていた。その話が嘘だということを示す証拠、証言が出てくる中、9月3日に地中海からシリアへ向かって2発のミサイルが発射された。 そのミサイルは途中で海中へ落下、後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だったと主張したが、実際に攻撃を始めたと見られている。周辺国に対する事前の通告はなく、発射実験だとする主張に説得力がないからだ。ジャミングなどECM(電子対抗手段)が使われたと推測する人も少なくない。 イスラエル軍が不法占拠しているゴラン高原で同軍がダーイッシュを支援していることも知られている。2016年11月にゴラン高原でダーイッシュとイスラエル軍が交戦、ダーイッシュの戦闘員4名が死亡したというが、イスラエルの国防大臣だったモシェ・ヤーロンによると、交戦後にダーイッシュ側から謝罪があったという。 ダーイッシュが売り出されたのはオバマ政権の偽旗作戦が失敗した半年後の2014年初頭。1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧、その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになったのである。 このパレードの写真を見て奇異に感じた人は少なくない。アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずで、攻撃できたはずなのだが、そうしていないからだ。このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだと言われている。 2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAはオバマ政権が支援している武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団を主力とし、戦闘集団としてアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)の名前を挙げている。また、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。その警告がダーイッシュという形で現実なったのである。 2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将。ダーイッシュが売り出されるとオバマ政権内で対立が激しくなり、フリンは解任されてしまう。 そのフリンは2015年8月にアル・ジャジーラの番組へ出演したが、その際にダーイッシュの出現を見通していたにもかかわらず阻止しなかった責任を司会者から問われる。 それに対し、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、その情報に基づいて政策を決定するのはバラク・オバマ大統領の役目だとフリンは答えている。つまり、オバマ政権の「穏健派支援」がダーイッシュの勢力を拡大させたというわけだが、これは正しい。 アメリカやその同盟国とダーイッシュとの関係をフリンだけが指摘していたわけではない。 例えば、アメリカ空軍のトーマス・マッキナニー中将は2014年9月にアメリカがダーイッシュを作る手助けしたとテレビで語り、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で発言、10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると語っている。2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと述べた。 クラークによると、遅くとも1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅するプランが存在していたことを明らかにしている。国防次官だったネオコンのポール・ウォルフォウィッツがそう語っていたというのだ。(ココやココ) 1991年1月にアメリカ主導軍はイラクへ軍事侵攻した。ネオコンはサダム・フセインを排除(殺害)するつもりだったが、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領はフセイン体制を倒さずに停戦してしまう。フセインの体制を倒した場合、中東が混乱してアメリカの利権にとって良くない展開になる可能性があると考えたのだろう。 しかし、ネオコンはこの決定に激怒するのだが、ソ連軍が出てこなかったことを見てほくそ笑む。ソ連軍を気にせず軍事侵略しても大丈夫だと考えたのだ。ソ連が消滅した後、そうした考えは強まったはずだ。ソ連が消滅した直後に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンが好戦的な内容だった一因はそこにあるだろう。 クラークによると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから6週間ほど後、国防長官の周辺で攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたという。イランが最重要ターゲットだ。 しかし、2001年以降、ネオコンの世界制覇プランを揺るがす事態がロシアで進行していた。ウォルフォウィッツ・ドクトリンはソ連の消滅とロシアの属国化が前提になっているのだが、ロシアが再独立に成功したのだ。 それでもネオコンをはじめとする好戦派は予定通りにプランを進めようとしている。イラクとリビアを破壊したが、シリアでは送り込んだサラフィ主義者やムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵が敗走、それを受けて雇い入れたクルドもシリア政府と関係を修復しようとしている。そうした中、トランプ大統領はアメリカ軍の撤退を決定したのだ。 その決定に反対している人は政府内にもいるのだが、アメリカ軍の撤退に反対するということは、侵略に賛成していたことを意味する。いつアメリカ軍の地上部隊をシリアへ侵攻させることが認められたのだろうか? トランプ大統領が撤退を決めた当時、アメリカ軍、イギリス軍、フランス軍を併せるとシリア領内に20カ所の軍事基地が建設されていたとも言われている。そうしたことをアメリカなどはシリア政府の承諾を受けずに実行した。 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒された後、アメリカ政府は戦闘員や武器/兵器をシリアへ集中させた。そこで2012年に入るとシリアでの戦闘が激しくなり、シリア北部ホムスで住民が虐殺されるということも引き起こされた。この虐殺は政府軍が実行したの西側の政府や有力メディアは宣伝していたが、それを否定する情報は少なくなかった。 ホムスの虐殺を現地で調査した東方カトリックのフランス人司教も西側の政府や有力メディアが流す話を否定していた。虐殺を実行したのは政府軍と戦っているサラフィ主義者や外国人傭兵だというのだ。サラフィ主義者の大半はサウジアラビアなど外国から入ったのであり、事実上、シリアは外国から侵略されていたのである。 その報告はローマ教皇庁の通信社が伝えている。その司教によると、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」とその司教は書いている。その報告から7年。司教の発言は今でも生きている。 |
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