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いきなりステーキ、赤字転落で一斉大量閉店…価格乱高下で客が“得体の知れない不安”
https://biz-journal.jp/2019/11/post_129405.html
2019.11.28 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
いきなり!ステーキの店舗(撮影=編集部)
「いきなり!ステーキ」などを展開するペッパーフードサービスは11月14日、2019年12月期通期の連結業績予想の下方修正を発表した。本業のもうけを示す営業利益は、従来計画では20億円の黒字を見込んでいたが、7億3100万円の赤字(前期は38億円の黒字)に修正した。「いきなり!ステーキ」の不振が響いた。これを踏まえ、「いきなり!ステーキ」全店の1割弱にあたる44店を閉鎖する。
最終損益は従来計画では15億円の黒字を見込んでいたが、25億円の赤字(前期は1億2100万円の赤字)に修正した。閉鎖する44店や収益性が低下した店舗にかかわる減損損失を16億円計上する。売上高は従来計画から98億円少ない665億円(前期比5%増)に引き下げた。
期末配当の「無配」も発表。中間配当と合わせて年間配当は前期比15円減の15円となる。
「いきなり!ステーキ」の不振は深刻だ。10月の既存店売上高は前年同月比41.4%減と大幅減となった。ここ数カ月は特に深刻で、9月が33.6%減、8月が35.2%減と3カ月連続で3割超の大幅マイナスとなっている。前年割れは昨年4月から今年10月まで19カ月連続と長期にわたっている。しかも、さらに悪いことにマイナス幅は拡大傾向にある。
ペッパーフードサービスは不振の理由として「自社ブランド同士の競合」を挙げた。大量出店を進めた結果、10月末時点で全国に487店を展開するまでになったが、こうした急拡大のなかで自社の店舗同士で顧客の奪い合うケースが増えていった。
たとえば、今秋に閉店した「いきなりステーキ難波府立体育館前店」(大阪市)は、徒歩約10分のところに「いきなりステーキ法善寺店」(同)があり、今夏に閉店した「いきなりステーキ郡山新さくら通り店」(福島県郡山市)はクルマで約10分のところに「いきなりステーキ郡山栄町店」(同)がある。どちらのケースも自社の店舗同士で商圏が重なっており、顧客の奪い合いが起きていたと考えられる。閉店に追い込まれたのはこのことが大きかっただろう。
「いきなり!ステーキ」は、ブームを巻き起こして急拡大した。特に18年は店舗数(国内)が大きく増えており、1年間で200店も増え386店に拡大している。こうした大量出店のなかで出店基準が甘くなっていた感が否めない。そのことを示すかのように18年は自社店舗間が近接したかたちでの出店が多く見受けられた。前記の郡山新さくら通り店と郡山栄町店はともに18年の出店だ。
■値上げを繰り返して競争力低下
こうした自社競合が一因で業績が悪化したとしているが、自社競合は副次的な要因にすぎない。
これはコンビニエンスストアの出店のあり方を考えればわかる。コンビニは地域を絞って集中的に出店する「ドミナント出店」によって成長を果たしてきた。コンビニがドミナント出店をするのは、認知度が高まりやすいほか、配送効率が上がるといったメリットがあるためだ。一方で、もちろん自社競合が起きやすいというデメリットもある。ただ、十分な需要があれば、メリットのほうが大きい。そのため、コンビニは自社競合を厭わずにドミナント出店を行い、競争力を高めることに成功し、大きな成長を果たすことができたというわけだ。
これは「いきなり!ステーキ」にも、ある程度あてはまる。店に競争力があれば、自社競合はそれほど大きな問題にはならない。では何が大きな問題になっているのか。特に大きいのが、「価格設定」だろう。「いきなり!ステーキ」は価格設定において2つの問題を抱えており、それにより競争力が下がったと考えられる。では、その2つの問題とは何か。
ひとつは価格の高さだ。「いきなり!ステーキ」は頻繁に価格改定を実施し、価格帯を引き上げてきた。たとえば、看板商品の「リブロースステーキ」は、開業時は1グラム当たり 5円だったが、その後、段階的に値上げを実施して価格を大きく引き上げている。17年7月には6.5円から7.3円に値上げした。これで開業時から2.3円高くなったわけだが、オーソドックスな 300グラムであれば690円も高くなったことになる。300グラムで2190円となるわけだが、割高な印象が否めない。
もっとも、まれには値下げも行っている。たとえば17年10月には「リブロースステーキ」を1グラム当たり7.3円から6.9円に引き下げた。今年11月12日には「CABサーロイ ンステーキ」を同8.2円から7.5円に値下げしている。
このように値下げも実施しているが、全体的には値上げのインパクトのほうが大きい。こうして高くなった「いきなり!ステーキ」は敬遠されるようになった。
■価格改定繰り返し価格帯が不明瞭に
値上げと値下げを繰り返して価格帯が把握しづらくなっていることも問題となってい る。これが価格設定に関する2つ目の問題だ。
価格が頻繁に上下してしまうと、消費者は「いきなり!ステーキ」の価格帯を把握することが難しくなる。さらに、グラム単位での量り売りを採用していることも把握のしづらさに拍車をかけている。「リブロースステーキ」を300グラム注文していくらになるのかを瞬時に導きだせる人は極めてまれだろう。これは消費者に得体の知れない印象を与えるという意味で大きな問題といえる。
人は得体の知れないものに不安を感じ敬遠する。そのため、得体の知れない店だと消費者に認識されてしまうと、集客は難しくなる。スナックなどの飲み屋で「明朗会計」とうたう店舗があるのは、消費者に不安を与えずに集客したいためだ。100円ショップがこれだけ大きく成長できたのも、「どれも100円」というわかりやすい価格設定で消費者に不安を与えないことが大きい。消費者は安心して買い物ができるのだ。
リゾート運営大手の星野リゾートが展開する、主に若者をターゲットにしたホテル「BEB(ベブ)」が、35歳以下のみの宿泊であれば1部屋の料金が固定となる制度を採用しているのも、同様の理由だ。日によって料金を変えるホテルが少なくないが、BEBは固定料金制を採用することで、消費者の不安の解消に努めているのだ。同社の星野佳路代表は固定料金制を採用した理由について、19年4月16日付日経ビジネスのインタビューで「価格変動のわかりにくさが宿泊需要を落としているのではないかと考えた」と述べている。
価格が頻繁に上下すると、消費者に不安を与えてしまい敬遠されるリスクが生じてしまう。これは 「いきなり!ステーキ」でも起こり得る話で、実際にそれが起きてしまっている。それに加えて価格が高い印象が根付いてしまっており、こうしたことが客離れにつながり、競争力の低下につながったと考えられる。
「いきなり!ステーキ」の失速において、「自社競合」は副次的なものにすぎない。それよりも価格設定の問題を解決して消費者の不安を解消し、競争力を高めることが必要だろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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