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消費増税後も意外と堅調な個人消費、大きく落ち込むXデーはいつか
塚崎公義:久留米大学商学部教授
経済・政治 重要ニュース解説「今を読む」
2019.11.15 5:10
消費増税でも買い物
消費増税から1ヵ月半がたった今もまだ、個人消費には大きな落ち込みは見られていません Photo:PIXTA
消費増税は、駆け込み需要と反動減という好ましくない景気変動をもたらすが、今回はそれがコントロールされている模様である。その背景には、どういった要因があるのだろうか。そして、今後もこの状況は続いていくのだろうか。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
消費増税がもたらす2つの問題
「実質所得への効果」と「駆け込み需要」
前回、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年には、駆け込み需要も大きかったが、その反動減が人々の予想を上回る大きさとなった。そして、景気が腰折れするのではないかといった懸念まで広まった。
それと比べると、今回は穏やかなスタートが切られたようだ。その理由としては、実質的な増税幅の小ささ(そもそもインパクトが小)、駆け込み需要に対する抑制策(山低ければ谷浅し)、反動減の平準化(谷をならす政策等)などが考えられる。
消費増税は当たり前ながら増税であるから、給料が増えずに増税分だけ商品の「値上げ」になり、人々の実質所得を減らす。したがって、それが実質消費を減らし、景気にマイナスの効果が出るのは当然である。
この点について、今回の場合は増税幅が2%と前回(3%)より小さく、軽減税率を導入したり、幼児教育無償化やポイント還元制度などによる景気対策が講じられたりしている。こうした政策によって、実質所得のマイナス効果は大きくなかったため、景気の落ち込みが軽微だったと考えられる。
消費増税がもたらすもう1つの問題は、駆け込み需要と反動減という好ましくない需要の変動を生み出すことである。この点についても、駆け込み需要と反動減は前回ほど大きくないようだ。
増税幅が小さかったことにより、駆け込み消費をするインセンティブが小さかったことも挙げられるが、駆け込み需要と反動減を抑制する工夫も奏功したのであろう。
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車、住宅の駆け込み需要を減少させた施策も
例えば、乗用車(登録車)の自動車税は2019年10月以降に登録した新車から自動車税が減税されるので、この点でも駆け込み需要は大いに抑制されたと考えられる。
住宅に関しても、 消費税率10%で購入された一定の要件を満たした住宅については、住宅ローン控除の期間が延長されるなどの措置がとられており、これも駆け込み需要を大いに抑制したといえる。
キャッシュレスに対するポイント還元も、意外と影響が大きかったかもしれない。買う店にもよるが、例えばコンビニで日用品の買い物をキャッシュレスで行って消費税を10%払っても、2%(中小・小規模事業者では5%)のポイントが還元されるので痛税感がない。ましてや食料品を買えば、以前より実質減税になっているわけであるから、消費者マインドを冷やしにくい。
実際には、自動引き落としとなっている電気代などは増税されているわけで、生活が苦しくなっているとしても、日々の生活で意識されにくいとすれば、人々の消費マインドが増税の割に暗くならず、消費が落ち込んでいないとも考えられる。
こうした流れの中で、人々がクレジットカードを使う金額は以前よりも増えているかもしれない。そうだとすると、クレジットカードを利用した分は財布の中身にすぐは直結しないので、ついつい使いすぎる人もいるだろう。それが消費の落ち込みを和らげている面もありそうだ。
こうしたことが複合的に作用して、増税後の落ち込みが緩和されているのであろうが、今後に関しては安心してもいられない。
時間をかけて少しずつ影響が出てくる可能性
ポイント還元等は時限措置で、2020年6月末には終了する予定となっている。その時に消費が落ち込む可能性があるので、要注意である。
それ以外にも、時限性のある対策が複数あることから、少しずつ「実質増税」が行われていくことになるのだろう。
あるいは、クレジットカードの利用明細を見て、初めて使いすぎたことに気づいて消費を抑制する消費者が増えてくるかもしれない。
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米中貿易戦争も不透明さを増す要素に
折しも景気の先行きは不透明になりつつあり、米中貿易戦争(実際には冷戦と呼ぶべき状況)の影響も読みにくい。政府には、景気動向をよく観察して、時限性のある対策の期間を延長するなどの、万全の対策をお願いしたい。
今年は、大規模な災害が多数発生し、甚大な被害が発生した。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された方にお見舞い申し上げたい。その上で、あえて記しておきたい。
今後も災害が繰り返される可能性を人々が認識したことから、国土強靭化のための大規模な対策を政府が検討することとなろう。それが景気の底支えの役割をするとすれば、不幸中の幸いといえるのかもしれない。
「支出を減らしたか」という
アンケート調査の不思議
以下は余談であるが、言葉の使い方には気をつけたい、という筆者自身への戒めも込めて記しておきたい。
日本経済新聞が行った世論調査(10月28日付朝刊)によると、増税後「家計支出変わらず」と回答した人は76%、「減らした」が21%だったとのことである。これは「消費税増税分だけそっくり支出額を増やしたため、買い物の数量が変わらなかった人が76%」「消費税増税分ほどは支出額を増やさなかったため、買い物の数量が減った人が21%」という意味であろう。
金額の話なのか、数量の話なのか。聞いている人と回答している人々の認識が「数量の話である」ということで一致しているようなので、本件は問題ないのだろうが、回答者の中には「消費額を増やした」という意味で回答した人もいたかもしれない。
質問を作成する時も、記事を書く時も、気をつけたいものである。
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https://diamond.jp/articles/-/220619?page=3
世界経済、20年と21年のリセッション入りない−ムーディーズが予測
Vishal Persaud
2019年11月15日 7:42 JST
G20全体の成長率は20年に2.6%となり、21年は2.8%に上向くと予想
米は2%やや下回る潜在成長率近辺で安定し中国は着実に減速の公算
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、20カ国・地域(G20)全体の2020年の成長率が、年率2.6%と19年と同じペースになるとの見通しを明らかにした。
G20全体の成長率は21年には2.8%に上向くとみており、同年にかけて世界経済がリセッション(景気後退)入りすることはないと予想している。
ムーディーズは14日のリポートで、「20年にかけて2大経済大国である米中の減速が続く」と予測。「米国の実質GDP(国内総生産)伸び率は2%をやや下回る潜在成長率近辺で安定する可能性が高い」と分析する一方、「中国は長期的な構造要因の結果として着実な減速が想定される」とした。
原題:Moody’s Doesn’t See Global Economic Recession in 2020 or 2021(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-14/Q0ZAVTT0AFB601?srnd=cojp-v2
ヘッジファンドのアスペクト、為替リスク警戒強まる−顧客需要が示す
Andreea Papuc、Sybilla Gross
2019年11月15日 11:10 JST
• 為替エクスポージャーの管理・運用を手掛ける事業は世界的に拡大
• ドルが長期にわたり上昇、投資家は当局の動き警戒−トッドCEO
ロンドンを本拠とするクオンツヘッジファンドのアスペクト・キャピタルは、為替ヘッジ商品へのオーストラリアの年金基金からの需要が高まったと感じている。
データ分析アルゴリズムと数学的モデルを駆使し市場のトレンドを予想して投資する同社には、為替オーバーレイと外為リスクを扱う特別仕様のサービスを求める顧客が増えている。アンソニー・トッド最高経営責任者(CEO)によれば、為替エクスポージャーの管理・運用を手掛ける事業は豪州ばかりでなく世界的に拡大している。
同CEOは「投資家はポートフォリオに潜む想定外のリスクに強い注意を払っており、管理されていない為替リスクはそうしたリスクの1つだ」とした上で、「米ドルが長期にわたって上昇してきており、投資家は総じて、今後数カ月の金融当局の動きが外為市場にどう影響するかを警戒している」と話した。
原題:Quant Hedge Fund Aspect Sees More FX Risk on Investor Radars (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0YIB86JTSEB01?srnd=cojp-v2
円の対ドルレートが円高にも円安にも大きく振れない理由
ダイヤモンド編集部 竹田孝洋:編集委員
政策・マーケット DOL特別レポート
2019.11.15 5:35
為替レート
5月中旬以降、円の対ドルレートは1ドル=105円から109円の間で推移している。円安の材料が出ても110円を超えることはなく、円高の材料が出ても105円を割り込むこともない。それはなぜなのか。背景と理由を分析した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
米中摩擦激化によるリスクオフの円高を
日本の貿易収支悪化による円安が相殺
なぜ、これほど円の対ドルレートが動かない状態が続いているのか。
まず、米中貿易摩擦の激化などによるリスクオフや、日米金利差縮小で市場が円高に振れたときには、日本の貿易収支悪化と米国経済減速ペース緩和期待による円安圧力がその進行を抑制してきた。
5月5日にトランプ大統領が対中関税追加引き上げを表明して以降、市場は投資家がリスクを回避する方向に動くリスクオフの状態になった。リスクオフの状態になると、円は高くなるのがセオリーだ。
通常の状態であれば、円が他の通貨に比べて金利の低い通貨であるため、円で資金を借りて円以外の通貨の資産に投資するキャリー取引が行われている。
ここでは、投資家が為替リスクをとっている。リスクオフの状態になると、キャリー取引をしている投資家は、外貨の資産を売り、手にした外貨を円に転換し、借入金を返済してリスクを減らそうとする。それゆえ円が高くなる。
円の対ドルレートは、セオリー通り当初は110円を割ったが、108円台で円高の進行は止まった。
円高圧力を押し戻した大きな要因の1つが、日本の貿易収支の悪化である。2018年度上半期の貿易収支は1兆1245億円の黒字だったが、2019年度上半期は241億円の赤字となった。
米中貿易摩擦の激化による中国経済減速で対中輸出が減少していることが、貿易収支を悪化させている。
その悪化分だけ、円を外貨に換えて代金を支払うことになるから、実需ベースでの円安圧力が高まっている。それが、リスクオフでの円高圧力による円買いを吸収している。
海外からの配当や利息など、第一次所得収支の黒字で経常収支は黒字が続いているものの、外貨で受け取った配当や利息は必ずしも円に転換されるとは限らず、大きな円高圧力とはならない。
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円高要因と円安要因の両方の側面を持つ、FRBの利下げ
FRB(米連邦準備制度理事会)は7月、9月、10月の3度にわたって、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートを引き下げた。この間、日本銀行は追加緩和には動かず、日米の金利差は縮小した。これも円高要因となる。
ただ、FRBの利下げは一方で、米国経済の減速ペースを緩やかにする効果があり、それは市場にとってはリスクオンの円安要因となる。
すでに触れた貿易収支悪化による実需の円安要因も背景にあり、3度の利下げの前後で円の対ドルレートは大きく変動しなかった。
ここまでは、為替レートが円高に振れた場合に、その進行を抑制するメカニズムである。
投資家がリスクを積極的にとろうとするリスクオンの状態のときは、経路が正反対となる。低金利の円で資金を借りて海外に投資する動きが加速する。円をドルなどの外貨に換える動きが活発になるので円が売られて安くなるのが通常の動きである。
米中貿易摩擦に対する楽観的な見通しが浮上したり、米国経済の堅調さを示す経済指標が発表されたりすると、市場はリスクオンになり、円の対ドルレートはドル高円安方向に振れる。
5月から現在までの半年間、円の対ドルレートが108円から109円に下落したのはそういうときだ。
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リスクオンの円売りを、日本の輸出企業の円買いが吸収する
では、リスクオンで円安に振れた場合に、その進行を抑制する要因は何か。ここでは、日本の輸出企業のドル売り円買いが円安の進行を抑えている。
日本の輸出企業の多くは、社内レートを1ドル=108〜110円に置いている。そのため、円の対ドルレートが110円に近づくと、輸出代金を円転するためのドル売り円買いを入れる。そのため、ドルの上昇がそこで止まってしまう。
今後も、こうした円高にも円安にも大きく振れない均衡状態は続くのか。
リスクオン・オフを左右する米中貿易摩擦に対しては、部分合意が浮上しているものの、完全合意までは見通せない。
米国が問題視する中国の産業補助金は、国家資本主義の根幹に関わるものであり、中国が妥協することは考えにくいからだ。リスクオフの要因としてくすぶり続けるだろう。
貿易摩擦が緩和の方向に向かわなければ、日本の貿易収支の悪化傾向にも歯止めはかからない。
現在の均衡状態が大きく崩れるとすれば、可能性は低いが米中摩擦が一転、完全合意となり、リスクオンとなるか、米中両国経済の減速に拍車がかかり、世界経済も減速し、リスクオフとなるケースだろう。
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https://diamond.jp/articles/-/220561?page=3
中国の新築住宅価格、10月も上昇率鈍化ー18年3月以来の低い伸び 一級都市ほど成長が悪いように見えるがピークからの下落は3級が大きい
Bloomberg News
2019年11月15日 12:15 JST
• 主要70都市の価格は前月比0.5%上昇にとどまる
• 価格の軟調は、地方の経済拠点を中心とする2級都市で最も顕著
中国の新築住宅価格の上昇率は10月に5カ月連続で鈍化した。中国の経済成長が既に貿易摩擦や内需不振で打撃を受ける中、不動産セクターがさらに重しとなる可能性があることが示唆された。
• 国家統計局が15日発表したデータによると、主要70都市の新築住宅価格(政府支援住宅は除く)は前月比0.5%上昇と、2018年3月以来の低い伸びとなった
• 価格の軟調は、地方の経済拠点を中心とする2級都市で最も顕著で、約3分の1の都市で価格が下落した
原題:Home-Price Growth in China Is the Weakest Since March 2018 (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-15/Q0ZMBMT0G1KW01?srnd=cojp-v2
Chinese city tier system
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