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鹿児島県では4割増額も…火災保険料、消費税がかからないのに、なぜ上がっている?
https://biz-journal.jp/2019/11/post_126025.html
2019.11.05 文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー Business Journal
10月から消費税が10%に引き上げられました。2%ではありますが、食品以外は実質的な“値上げ”です。これに合わせたかのように、同じ10月に値上げした商品があります。火災保険です。多くの保険会社で火災保険が値上げされました。
保険には消費税がかかりません。生命保険や損害保険は消費税がかからない非課税商品とされています。火災保険も消費税がかからないわけで、「税込みの価格が上昇した」というわけではありません。
■保険料の基となる料率が引き上げられた
生命保険も損害保険も同じですが、保険料は「保険金に充当する部分」と「保険会社の経費や利益に充当する部分」でできています。保険は、多くの加入者から集めた保険料で、死亡した人の遺族や火災にあった人に保険金を支払います。死亡や火災などの発生する確率を調べて、保険金が賄える「適正な料率」を算出します。それに各保険会社が経費や利益を上乗せして保険料を決めています。
損害保険の場合、「適正な料率」は、損害保険料率算出機構という組織が計算しています。いわば、この組織が算出した数値が保険料の“基”になっているわけです。実際の保険料は保険会社によって異なりますが、それは上乗せしている経費や利益が異なるためです。
2018年5月に火災保険の「適正な料率」が引き上げられました。都道府県や住宅の構造によって異なりますが、平均5.5%の引上げです。それを受けて、各保険会社も保険料を値上げすることにしましたが、そのタイミングが消費税の引上げと同じ2019年10月となったわけです。
■値上げが続く火災保険
同機構が算出した料率の引上げは平均で5.5%でしたが、その内訳を見ると、地域や住宅構造によってかなり差があります。若干下がった地域もあれば、大きく上昇した地域もあります。鹿児島県の鉄筋コンクリート造りマンションは約40%も引き上げられました。鉄骨造りの耐火建築物や木造住宅では、熊本県が25%前後の引上げとなっています。実際の保険料となると、さらに大きな値上げとなっているケースもあります。
保険の料率と保険料が引上げとなった原因は、自然災害による保険金の支払いの増加です。2013年に関東甲信地方で雪による大規模な災害となり、2015年には台風で大きな被害が発生しました。災害による被害が拡大して保険金の支払いが増えると、それを賄うのに必要な保険料を引き上げざるを得ません。
昨年も西日本を中心に集中豪雨や台風による大きな被害が発生しました。今年の東日本各地の災害もかなりの規模になりそうです。地球温暖化の影響でしょうか、自然災害が増えているように思います。実は、昨年に機構が算出した料率の引上げ及び今年10月の保険料の値上げは、2015年までの実績に基づいた変更です。2018年、2019年の実績が保険料に反映されるのは4年後、5年後のことになります。最近の状況を考えますと、これからさらなる値上げが予想されます。
火災保険に上乗せで契約する地震保険も値上げが続きます。同機構が算出する料率が3回に分けて引き上げられました。それを受けて地震保険の保険料は値上げされています。地震保険は各社共通のため、一斉値上げです。2017年1月、2019年1月に続いて、2021年1月にも値上げが予想されます。値上げの幅は地域によって異なりますが、3回分を合わせると15%程度の上昇になる見込みです。
■火災保険は、火事に備えるためではない
今までご覧になっておわかりのように、火災保険は「火事に備えるため」だけのものではありません。洪水や土砂崩れなどの水害、台風による風災、降雪による雪災による被害を補償するのも火災保険の役目です。実際に、保険金の支払い実績でも、火災によるものはそれほど多くなく、自然災害による被害や破損などによる損害での支払いが多くなっています。火災保険は、火事よりも自然災害に備えるため、といったほうがよいでしょう。
ただし、火災保険の補償の範囲は、保険会社や商品によってまちまちです。火災を対象にしているのは当然ですが、水害は対象になっていないものも少なくありません。風災や雪災は対象に含まれていることが多いのですが、一概にはいえませんので、加入の際には確認が必要です。当然のことながら、保険料にも反映されますので、ご自宅のリスクを考慮しながらの選択が大切です。いずれにしても、今後の保険料の値上げを考えると、火災保険は長期契約がお得になりそうです。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)
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