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老後資金に1000万円単位の差がつく!?「取り崩し運用」のすごい効果
上地明徳:信州大学経営大学院特任教授
ライフ・社会 ニュース3面鏡
2019.10.23 4:55
今年ニュースで話題となった「老後2000万円問題」。実際、老後資金がいくらあれば安心できるのか不安になった人も多いのではないでしょうか。これを機に、老後資産を用意する方法として「投資」への関心も高まっているといいます。そこで前回に続き、新刊『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社)から、そんな投資にまつわる誤ったイメージや疑問について解説していきます。
複数のファンドに分散することでリスクはコントロールできる
前回は、「長期・分散・積立」投資がいかに老後資金作りに向いているか、そして、リーマンショック級の暴落が来ても心配いらないか、を解説しました。今回は、実際に老後資金を作るにあたって、「長期・分散・積立」投資をより効果的に活用する方法をご紹介しましょう。
──ぜひ、お願いします。
前回は、外国株式インデックス1本で説明してきました。でも、投資信託には多くの種類があります。基本的なものを挙げるだけでも、「日本株式インデックス」「日本債券インデックス」「外国債券インデックス」「新興国株式インデックス」「J-REITインデックス」などがあります。それぞれをどういう割合で保有するかをポートフォリオと言います。
──ポートフォリオに分散する意味って何でしょうか?
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金融資産の組み合わせ方、株式と債券を半々で持つといい
金融資産の組み合わせ方しだいで、リスクやリターンをコントロールできるからです。債券は株式よりもリターンが低い代わりにリスクも低いので、株式と債券を半々で持つといいと言われています。教科書的には。
──教科書的には……というと?
私は、個人的には債券を組み入れる必要ないと考えています。債券を入れないぶん、「新興国株式インデックス・ファンド」を組み入れたほうがといいというのが、私の考えです。
──新興国株式インデックス・ファンドですか?
そうです。新興国株式インデックスは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、フィリピン、インドネシア、タイ、韓国、台湾、その他中南米、東ヨーロッパなど、今伸び盛りの23ヵ国の株式を組み込んでいます。
──今後さらに経済発展していくことが期待できる国々ということですね。
はい。しかし同時に、まだまだ経済的に不安定な要素も大きい国々なので、下落幅も大きくなりやすいというデメリットがあります。外国株式インデックス、新興国株式インデックスそれぞれ1本の場合と、2つを半々で運用した場合の違いを見てみましょう。(図1)をご覧ください。
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新興国株式を外せない理由
──投資リターンだけで見ると、新興国株式の成績のほうが圧倒的に優れていますね!
そうなんです。長期的なパフォーマンスは新興国株式のほうがはるかにいいです。一方で、価格の変動も新興国のほうが圧倒的に大きいことが見て取れるはずです。半々のポートフォリオでは、その中間くらい。チャートの中で大きく落ち込んでいるのがリーマンショックの暴落ですが、半々のケースでは、かなりリスクを軽減できていることがわかると思います。これが分散・積立の効果なんです。
──なるほど。
もう一つ、新興国株式を外せない理由をお話ししましょう。(図2)は、国連関連機関の世界のGDP推移の予測です。これを見ると、現在は「先進国:新興国=6:4」なのが、2050年になると「3:7」と大逆転が起こります。
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──中国、インド、その他のアジア諸国の躍進がめざましいですね。それに比べて日本は……
日本人は投資というと、日本株や日本債券を中心に据えたがりますが、現実的に考えると、将来的な日本経済の潜在力はそんなに高くないんです。あまり喜ばしい話ではないですが……。でも、だからこそ、新興国株式をポートフォリオに組み入れたほうがいいんです。
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新しい資産運用のカタチ=「取り崩し運用」のすごい効果
新しい資産運用のカタチ=「取り崩し運用」のすごい効果
では、実際にどう積み立てて、どう老後資金に活用するといいかの実践的な話をしましょう。(図3)では、外国株式インデックスより平均リターンが少し落ちる、日本株式を含む「世界株式インデックス・ファンド」(日本株式の占める比率は約8%)でシミュレーションしています。それでも、過去50年間の年率平均リターンは円ベースで7.0%です。外国株式インデックスだと7.6%なのでそれより少し落ちますが、シミュレーションでは控えめな数字で計算するほうが手堅い見通しを立てられるからです。もちろん、基本的な運用の考え方は外国株式インデックス1本でも、外国株式インデックス+新興国株式インデックスの半々の場合でも同じです。
──いまどき7%でも十分に高い利率ですからね。
はい。(図3)をご覧ください。1979年に50歳になった人が、世界株式インデックスで毎月2万7000円を20年間積み立てると、1998年、70歳になったときに実際に2000万円になりました。
その2000万円を、70歳から20年間、90歳まで生活費として少しずつ取り崩していったらどうなったのかを見ていきたいと思います。年末残高の5%を取り崩す、「定率」取り崩しと言われる方法で、シミュレーションします。
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1998年の年末の残高が2016万円、その5%が約100万円ですから、それを取り崩して、生活費に回します。このように、毎年末の残高の5%を20年間取り崩していくと、20年間での取崩額の合計が、1587万円になりました。その結果、20年後にはいくら残っていたと思いますか?
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高齢化・長寿化社会を迎える日本では最もニーズの高い運用方法
──普通に考えたら500万円……と言ってしまいそうですが、残ったお金は変わらず運用し続けるんですよね。ということは、500万円より多いんですよね?
そうです。残高は、1583万円です。取り崩した金額と、残った金額を合計すると、3170万円になりました。
図3の山の形の直線が示すのは、毎月同額の2万7000円をタンス預金していた場合です。コツコツ20年間積み立てた総額は、648万円。その後、20年間にわたり、毎月2万7000円を取り崩せば、当たり前ですが20年間で底をつきます。
しかし、分散・積立投資で、「取り崩し運用」を続けていたら、1500万円以上生活費に回せて、しかも90歳時点の残高は1500万円。これは圧倒的な差です。
この取り崩し運用は、これから高齢化・長寿化社会を迎える日本では最もニーズの高い運用方法になっていくことが予想されます。そのためにも、まずは「長期・分散・積立」投資をいますぐ始めておくことをお勧めします。
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銀行・証券を不適切営業に走らせる、顧客の「無理な注文」4パターン
山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
経済・政治 山崎元のマルチスコープ
2019.10.23 5:10
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写真はイメージです Photo:PIXTA
金融機関側にモラルを求めたくなるが
「顧客のニーズ」に問題があるケースも
金融機関で投資信託や生命保険などの不適切な販売があった場合、金融機関側は「お客さまにニーズがあったので、販売したまでです」と言い張る場合が多い。大規模な不祥事を起こした金融機関でも、経営者は当初こう言って違法な販売の存在を認めなかったから、ご記憶の読者もおられよう。
複雑で、投資家がおそらく理解もできない運用商品や、高齢者が必要としているとは思えない生命保険のようなものを販売した場合、「顧客側にニーズがもともとあったのではなく、営業担当者が顧客を誘導したのだろう。それ以外にあり得るとは思えない」と言いたくなる。ところが、顧客の署名・捺印のある念書など、後で「顧客側のニーズ」の証明になるものを売り手の側で用意している周到な場合もある。個別のもめ事にあっては、事後的には顧客側が勝てないケースがほとんどだろう。
もちろん、金融機関の側にはより高度なモラルを求めたくもなるのだが、そもそも「顧客のニーズ」そのものに問題がある場合も少なくないように思われる。
そこで今回は、問題や不都合、そして端的に言って損につながる可能性のある「顧客のニーズ」について、パターン分けしてご紹介する。もともと顧客側が不適切なニーズを持たなければトラブルに巻き込まれることもなく、ひいては金融機関側も不適切な営業行為に及ばずに済むのだ。
顧客側の不適切なニーズは、主に4つのパターンに分類できる。
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パターン1:実現不可能な希望を持つ
【パターン1】
実現不可能な希望を持つ
「最近の低金利では、ほとんどお金が増えません。あまり欲張る気は無いのですが、安全に2%くらいの利回りで運用できる方法はないでしょうか?」
これは、ある書籍の編集者が、このような方法を本にしたいと言って企画を持ち込んだときに最初に発した質問だ。
彼が質問した相手が、金融機関の営業マンではなくて本当に良かったと思う。筆者のそのときの答えは、「あなたくらいの小さな欲を持っている人が、金融マンにとっては一番だましやすい。2%の利回りが安全に得られるなんて、思わないほうがいい」というようなものであった。
現在、個人が安全に運用できる利回りはほぼ0%なのだから、「2%を安全に」というのは、相当な欲張りなのだと思う必要がある。この編集者はまだ若い人だったから、「2%」くらいが「自分で小欲だと思う利回り」だったが、年代によってはこれが「3%」や「4%」になることもある(高金利時代を知っている高齢者の方が「小欲な利回り」は高い傾向がある)。
金融マンなら、こういう人に外貨建ての保険や投信、仕組み債などを「元本保証ではないが、ほぼ損をしない商品」という印象を与えながら、「リスクの説明もした」という証拠を残しつつ売るのは、そう難しいことではあるまい。実は、2%はそこそこに大欲なのに(投信なら株式40%以上の組み入れ率でないと目指せない)、小欲だと思っているところに隙ができる。リスクもあれば手数料もたっぷり払う、といった商品を買うことになる公算が大きい。
誤って何を「実現不可能な希望」として持つかは人それぞれだが、いずれも危険だ。希望を実現可能なものだと思い込みたい心理が、墓穴を掘ることにつながる。大雑把でスケールの大きな希望としては、「老後の安心が得られるように不労所得を作る」といった希望を持つサラリーマンが、勝算の小さい不動産投資に引っ掛かるようなケースが思い浮かぶ。
希望の実現可能性に対しては慎重であるべきだし、何よりも、解決策を金融機関や不動産業者のような「あなたに商品を売るともうかる人」に相談してはいけない。
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パターン2:本当は得にならない状態を望む
金融マンの側としては、例えば「安全に2%の利回り」がひどく難しい条件であることを親身になって教えて、今の状況で本当に安全な運用を望むなら「個人向け国債変動金利型10年満期」でも買っておくことを勧める(詳しくは、「マイナス金利下の優れもの!機関投資家がうらやむ個人の『鉄板運用術』」参照)。これくらいが、真に「顧客本位」なのだろうが、現在の金融機関の収益事情を考えると、これを彼らに求めるのは、ハイエナから餌を分けてもらうくらい大変なことだろう。
【パターン2】
本当は得にならない状態を望む
例えば、毎月定期的に一定の現金が入ってくるような状態を望む高齢者は少なくないだろう。だが、そのための手段として、頻繁に分配金が支払われる投信などを使うのは、顧客本人の経済的な利益にとっては「損」であり「不適切」だ。
仮に、現在リタイアしている70歳の人が、毎月分配金が出る投信を2000万円購入しようと金融機関の窓口に出向いた場合を考えてみよう。すると、信託報酬だけで1.5%(税抜き)程度のものを勧められる可能性が大きいが、この手数料だけで毎年約30万円の手数料を支払うことになる。
約2000万円の元本に対して、毎月数万円単位の分配金が支払われる投信を見つけ出すことは容易であるし、金融機関の支店向けの雑誌には「お客さまのニーズに応じた利回りの投信を見つける手順」(自社取扱商品の分配金利回りのランキングやスクリーニングを行えばいい)などが書いてある。そのため、条件を満たす商品はあっという間に見つかるだろう。
ところが、金融機関に勧められるままに前述のような投信を購入すると、不安定な元本を抱えつつ、毎月数万円の分配金を受け取るために信託報酬だけで毎月2万5000円も支払うことになるわけだ。それはつまり、「手数料2万5000円のATM(現金自動預け払い機)で、自分の小遣いを下ろしている」という状況に近い愚挙だ。
周囲に親切な人がいれば、「低コストで本人に合った大きさのリスクの運用方法」を教えてあげるのと共に、例えば毎年1回、投信等を計画的に部分解約して、これを生活費の一部に充てる方法を教えてやればいい。同じ資産に対する年間の支払い手数料は、例えばインデックスファンドが半分と個人向け国債が半分で運用した場合、インデックスファンドに掛かるせいぜい年率0.2%で済むので、年間約2万円だ。
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パターン3:?真の解決にならない商品・サービスを望む
年間で30万円と2万円の差が付くことを丁寧に説明するなら、高齢者でも大半が問題無く得な方法を理解してくれるだろう。
問題は、「不適切なニーズを持っている人」を周囲がどう扱うかだ。
ここでも「高齢者には、分配金に対して一定のニーズがある」と言い張って手数料が高い商品を売ることをいとわない人もいるだろうし、「そのニーズは、損です。別のもっとうまいやり方があります」と教えようとする親切な人もいることだろう。人間性で差が出る場面だ。
後者の方が人間としてまともな行いだと思うが、金融庁等が前者を法的に禁止することも難しかろう。この場合、金融庁の立場でできる「良い行い」は、国民に広く、正しい方法を分かりやすく啓蒙することだと筆者は考えている。
顧客の側が誤ったニーズを持たなくなれば、金融機関は一時的にもうけにくくなるだろうが、金融機関の営業担当者は悪質な商売に手を染めずに済むようになるのだ。金融業界全体にとっては、その方がずっと幸せだろう。
【パターン3】
真の問題解決にならない商品・サービスを望む
本来、効率的ではない商品を顧客が直接欲しがる(通常はセールスされて、であろうが)以外に、一見役に立つようでいて、実は顧客が抱えている問題の解決に役立たないサービスに対するニーズがある。
例を挙げると、資産運用を金融機関側に一任する「ファンドラップ」を含むラップ運用や、ロボアドバイザー(ロボアド)のようなサービスだ。
資金の運用方針の判断について、専門家を自称する運用担当者やプログラム(厚かましくも「AI(人工知能)」と称しているかもしれないが)に任せたとしても、二つの難点が残る。一つは、自分の資産運用がブラックボックス化すること。さらに何よりも、全財産を預ける人はまれだろうから、最終的な運用の全体像を自分で考える必要があり、結局問題の解決にならないという点だ。「専門家」や「プログラム」に対して、中途半端な期待や依頼心を持ったことで、運用を複雑化させたり、余計な手数料を払ったりするだけに終わるのだ。
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パターン4:金融の問題ではないニーズの解決を望む
例えばロボアドは、幾つかの質問に答えることで顧客のアセット・アロケーション(投資先の資産配分)を決めるが、これは顧客の資産の一部について運用方針を決めたに過ぎない。顧客がどれだけリスクを取るかについては、あくまでも運用の全体像に基づいて決めなければならないから、ロボアドでは問題解決にならない。
それでも、「運用が何も分からないお客さんには、運用を始めるきっかけになるし、一定のニーズに応えている」と言い張る向きがある。しかし、「運用が何も分からないお客さん」のような、自分よりも愚かな人を設定して自己正当化を図るのは止めた方がいい。
ロボアドでいうなら、せめて顧客のファイナンシャル・プランニング全体をサポートするツールを提供すべきだろう。
しかし、そのツールが真に役に立つ実用的なものであれば、そもそもロボアドを使う必要がなくなる。顧客が適正なリスクを取る良い商品に直接投資すればいいからだ。
一方、対面営業の金融機関が提供するラップ運用の手数料の高さや中身の不適切さ(ファンドラップではしばしば手数料の高い商品が選ばれる)は言うまでもない。
顧客の側では、「専門家」や「プログラム」を少々利用することが、本当の問題解決になるのか否かをよく考えるべきだ。
【パターン4】
金融の問題ではないニーズを金融で解決しようとする
最後のパターンは、実は、最もケースが多いのかもしれない。
一番分かりやすいのは、話し相手が欲しい人が(高齢者が多いかもしれない)、話の相手をしてくれる人を求めて金融機関のセールスマンと話し込む関係になり、時々セールスに付き合って金融商品を購入するようなケースだ。こうした場合には、金融商品の検討自体をセールスマンに委ねるようなことが起こりやすく、そうなると必然的に手数料の高い不適切な商品を購入したり、頻繁に売買して多額の手数料を支払ったりしやすくなる。
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本人や家族が問題に気付きやすくする方法
本人なり、問題に気付いた家族なりが、取引金融機関にどれだけ手数料を支払っているのか記録を取ると問題に気付きやすくなるはずだが、手数料の高い商品はたいてい市場変動のリスクが大きいので、市場変動に紛れて手数料には関心が向きにくい。
ここでも「顧客のニーズに応えているまでだ」という言い分はあり得る。また、金融マンからは、「例えば、バーやクラブのような飲食店では、店員(バーテンダーやホステス)に構ってほしくて、原価の何倍ものお金を払う客がいるではないか」という声が出るかもしれない。
確かに現実はその通りだ。ただ、他業界にも同じような例があれば、顧客が金融商品で気付かぬ無駄を重ねることを正当化できるわけではないというのも、一方の事実だろう。
金融取引で動くお金は概して一晩の飲食よりも大きいし、取引も繰り返されることが多く、「人間関係」を目的に金融取引を行うことはお勧めしにくい。お金を人間関係そのものに直接使う方法を考える方が賢かろう。
もちろん、金融マンの側で手加減してくれることは期待しない方がいい。
顧客の側で、自分が「実は金融の問題ではないニーズの解決を金融取引に求めているのではないか」と自省してみることが、ときには必要だろう。
(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
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山崎 元
リーマン級の暴落でも大丈夫!?世界では常識の「老後資金作り」投資術
上地明徳
https://diamond.jp/articles/-/218153?page=6
トップ営業マンがやっている「お客様のタイプ別接客法」に挑戦すべき理由
菊原智明:営業サポート・コンサルティング代表取締役
キャリア・スキル News&Analysis
2019.10.23 5:05
お客様の性格を分類して接客方法を変えてみる
多くの営業マンは「行きあたりばったりの接客」を行っているのはないだろうか。これを、わずか2種類でもいいから、お客様をタイプ別に分類して接客方法を工夫するだけで、成約率は格段に向上するはずだ。その方法とは。(営業サポート・コンサルティング代表取締役、営業コンサルタント 菊原智明)
「3つの質問」の答えを聞くだけで
契約数が倍になる?
ある営業支援ソフトの販売をしている方とお会いした時のこと。その方の話によると「お客様に3つ質問をするだけで契約数が倍になる」という。
さすがに「その話は怪し過ぎる」と思った。たった3つの質問だけで契約が倍になるのだったら営業マンは苦労しない。なので、話半分で聞いていた。
ところが、よくよく話を聞くと、これはITを活用した営業手法ということが分かった。
1つの例だが、ショールーム型店舗にお客様が来店した際、受付を兼ねて「3つの質問」が出てくる。その回答によって「接客のスタイル」を変えていくというものだ。
当然ながら、お客様が「望んでいるスタイル」で接客すれば、うまく行く確率は高くなる。実際のデータを見せていただいたが、このシステムを導入した店舗の契約数は本当に2倍以上になっていた。
これからは「こういった効率的な接客方法が主になっていくのだな」と実感した。
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住宅のすごい営業マンの手法
とはいえ、あなたの会社がこのシステムをすぐに取り入れられるとは限らない。まだまだ高額だし、こういったITツールの活用をあまり信じていない上層部も少なくない。ましてや、中小企業ではまだまだ先の話であろう。
だからといって指をくわえて見ているだけではせつな過ぎる。何かできることはないのだろうか?
実は「タイプ別接客法」は、なにも高額なシステムがなくてもできるのだ。今回はその方法について紹介させてほしい。
初回の接客でほぼ決めてしまう
住宅営業マンのすごい手法
以前、知人から「すごい営業マンがいるから会ってみないか」と声をかけられたことがあった。
もちろん、断る理由はない。
コンサルタントとしても、非常に興味ある存在だ。後日お会いすると、大手ハウスメーカーのトップ営業マンだった。
この営業マンの方は毎月のように契約を取り、常にトップクラス。契約数もすごいのだが、私が驚いたのは「初回接客で、ほぼ決めてしまう」ということだ。
言っておくが、この方は家を売っている。
つまり、2000万円、3000万円という高額な家を即決させてしまうのだ。
これがどれだけ難しいかは、詳しく説明しなくても理解できるだろう。私は11年間住宅営業マンをしてきたが、1度としてそんな経験はない。
今までたくさんの優秀なトップ営業マンと会ってきた。しかし、ここまでの人はなかなかいない。
いろいろな話を聞いたが、その中で一番驚いたのは「お客様を6つのタイプに分けて接客している」といったことだった。
この方は、もともとはエニアグラムを学んで実行していたのだ。
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お客様を9つの性格に分けて接客するお客様を
9つの性格に分けて接客する
エニアグラムとは人の性格を9つに分けるやり方だか、それを元に下記の6つに分類したという。その6つのタイプはこういったもの。
1 親分肌でお山の大将タイプ
2 神経質で気難しいタイプ
3 おせっかいタイプ
4 頭が良く冷静なタイプ
5 とにかく明るいタイプ
6 平均的タイプ
まずお客様が来店したら、「今日は車ですか?電車ですか?」もしくは「今日はどちらからお越しですか?」などと話しかけ、軽い雑談をする。
その雑談の中で「このお客様は『神経質で気難しいタイプ』だな」と判断する。その場合は「このお客様は『タイプ4のトーク』をする」とお客様のタイプにマッチしたトークを展開するという。
ということは6つの接客パターンを持っているということ。
ここまで細かく分類できれば、初回でお客様の心をつかめるのも納得できる。本当にすごい人だと感心した。
「お客様を6つのタイプに分類し、それに合わせて接客を変える」
なかなか頭脳的だ。
タイプ別にトークを展開すれば、うまくいく確率は格段に上がる。それは理解できるが、まねするにはなかなか難度が高い。あなたもそう感じたのではないだろうか?
難しければ
お客様を2つのタイプに分別する
私自身もその話を聞いた時は「確かにすごいけど、とても他の人ができるスキルではないなぁ」と思っていた。
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まずは2パターンのトーク
そのことを正直に伝えると、その営業マンの方は「はじめは『説明を聞く方が好きな人か?』それとも『自分の話をするのか好きな人か?』なのかの2パターンだけでした」と教えてくれた。
「超一流の営業マンが見えないところで続けている50の習慣」(青春出版社刊)、菊原智明著、224ページ
お客様を2つのタイプに分別する。
(1)話を積極的にしないタイプ→「こちらからリードするスタイル」で対応する
(2)話好きのタイプ→「聞き役に徹するスタイル」で対応する
というものだ。
どんな初心者の営業マンだったとしても、『説明を聞く方が好きか?』それとも『自分の話をするのか好きか?』といったことは判断できそうだ。
単純な分類法だが、これだけでもずいぶんとうまくいくようになるだろう。
私の知っている多くの営業マンたちは、行き当たりばったりの接客をしている。つまり準備することなくアドリブで対応しているのだ。これでも、たまたま気の合うお客様が現れて、うまくいくこともある。
しかし、その確率は非常に低い。
今後、購買層のお客様は減少傾向になる。一昔前は「数打ちゃ当たる」の営業でもよかったが、今はその「数」が少ないのだ。
まずは2パターンのトークを考えてみてほしい。それだけでもチャンスはずいぶんと広がるはずだ。そして、もし、余裕ができたら6つまで増やしてみてはいかがだろうか?
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菊原智明
https://diamond.jp/articles/-/218152
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