http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/439.html
Tweet |
安倍政権、ゲノム編集食品の非表示を容認へ…安全性不明なまま、消費者団体の反対を無視
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123111.html
2019.10.21 文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 Business Journal
「Getty Images」より
9月19日、消費者庁は「ゲノム編集」技術で開発した食品について、食品表示を義務化しないことを決定し、通達を行いました。ゲノム編集食品を取り扱う各社のホームページなどで任意の情報を開示することは求めるものの、あくまでも消費者庁からの要望であり、情報提供を行わない場合でも、罰則などはありません。ゲノム編集食品に対する消費者庁としての見解は、「安全面では従来の品種改良と同程度のリスクであり、科学的にも見分けられない」というもので、諸外国の見解とは大きく食い違うところもあります。
ここで起こる疑問のひとつは、ゲノム編集食品が従来の品種改良と同程度のリスクなのか、遺伝子を切り取って箇所を移動しても大したリスクではないと誰がどうやって判断したのか、そのことにリスクがないということを判断するためには、ゲノム編集食品を何年か食べ続けてその経緯を見なければわからないはずではないのか、というものです。
もうひとつ、今の科学で見分けられないからリスクが低い、というのは正しい判断なのだろうか、今の科学はそこまで発達したと思っているのだろうか、そうだとしたらそれは科学者の思い上がりではないのか、我々の科学は未熟なものではないのか、という疑問もあります。
ゲノム編集食品について、消費者団体などは食品表示を強く求めていますが、その声を無視するかのように、早ければ年内にもゲノム編集食品は市場に流通する見込みです。
ゲノム編集というのは、遺伝子の狙った部分を操作し、効率よく品種改良した食品のことです。たとえばトマトに含まれている特定の栄養素の量を増やしたり、収穫量の多いイネをつくったり、真鯛などをゲノム編集して肉付きの良い魚を育てたりというような開発が、実際に進んでいます。
筆者は、どうにも気味が悪いと思ってしまいます。なぜなら、ゲノム編集食品の安全は確認されているとは言いがたいからです。しかし、このことに無関心な消費者は、何も考えることもなくゲノム編集食品を手にすることでしょう。まさか国が、国民の健康を害するようなものを販売することを許可することなどないはずだ、と盲目的に思い込んでいるかもしれません。実際には、そのようなことはなく、国は国民の健康には無関心です。それは「水俣病」の一件でも明らかです。
水俣病は、1956年に公式発見されましたが、それから60年以上たっても収束には至っていません。国は水俣病が公害病であるということを長らく否定し続けていました。そのことが、解決をも長引かせるひとつの要因となっています。原発事故の問題も、国が自らの責任を認めるかどうかが、解決の道を歩みだすのか、はたまたいつまでも解決せず、被害を受けた人たちがつらい思いをし続けるのかの分かれ道になります。
ほかにも、古くは「足尾銅山事件」なども、国策を最優先とし、国民の健康は二の次、三の次とする国の姿勢がはっきりと見えます。ですから、私たちは、国は国民の健康などに関心を持っていない、という前提に立って物ごとを考えていかなくてはなりません。
■日本の食料廃棄率は世界一
私たちはそのような食品を、なぜ食べなければならないのでしょうか。それを考えてみましょう。
ゲノム編集食品であれ、遺伝子組み換え食品であれ、どうしてそれらを生産するのか、というところが第一の疑問ですが、それはモノを大量に生産し、大量に流通させ、大量に販売して、多大な利益を得ようという思惑があるためです。利益を上げようとする企業側の、いわば欲望に根差しています。
そこに、人々を不健康に陥れ、そのために発生する医療費で多大な利益を得たいと考えている、これまた陰湿な欲望が絡んできます。
遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品を生産しなければならないほど、食料が足りない状況であるなら、先に食品廃棄のことを考え、是正すべきでしょう。何しろ今現在、世界規模で考えると、全食料生産量のうちの30%以上を廃棄しているのです。こんなバカげたことをしながら、片方で食料生産量を上げるために、リスクを負ってゲノム編集食品を生産するというのが、果たして賢明な策なのでしょうか。
日本のことだけを考えても、先進国のなかでもっとも食料自給率が低い(カロリーベースで39%)にもかかわらず、食料廃棄率は世界一高いといわれ、その数値は国民一人当たりで、年間152キログラムにも及んでいるのです。
消費者庁がなぜ、この問題に真剣に取り組まないのかがわかりません。これが解決できたなら、多くの人たちがいろいろな意味で助かることは間違いないのにもかかわらず。
そしてこれは農林水産省の管轄になると思われますが、日本だけの年間の食料廃棄物の量は2800万トンに及びます。また、日本の農業生産量は米などの穀類、豆類、野菜、果物などすべて含めても2650万トンにすぎません。つまり日本は、自国での農業生産量より食料廃棄量のほうが勝っているという、まれにみる不思議な国なのです。ここを変えなければならないはずなのに、どうして農水省は言及しないのか、筆者にはわかりません。
消費者庁も農水省も、ゲノム編集食品を流通させることありきで、さまざまな施策を行っているようにしか見えないのです。それは、彼ら自らの意志には思えません。
どこかからの、何か特別な、逆らうことができないような圧力があっての行動なのではないかとさえ思えてしまいます。
■消費者庁の矛盾する説明
これは環境省の問題になるのかもしれませんが、日本にあるゴミ焼却炉の数は1243基で、これは文句なしの世界第1位。2位のアメリカ(351基)を大きく引き離しています。ちなみに、3位はフランスで188基です。そこで燃やされているゴミの大半は廃棄される食料です。環境省はどうして、食料廃棄の問題を環境問題として捉えられないのでしょうか。わけがわかりません。
2018年に実施したゲノム編集食品に関する、消費者の意識調査(東京大学・内山正登研究員等)によれば、4〜5割の消費者は「ゲノム編集食品を食べたくない」と回答しています。正直な気持ちでしょう。ほとんどの人は、安全かどうかもさることながら、わけのわからないものを食べたいとは思わないものです。
消費者庁は、消費者の側に立って物事を考えたり、施策を行ったりする集団ではないのだから、その呼び名を変えたほうが良いと筆者は思いますが、その消費者庁がゲノム編集食品の表示をしなくてよいと判断したことのひとつの要因として、ゲノム編集食品を規制していないアメリカからの輸入食品を原材料として事業者などが加工食品を製造した場合に、表示義務を課したとしても対応できないだろうから、と説明しています。
しかし、もしゲノム編集食品を認めないという立場であるなら、我が国はゲノム編集食品かどうか不明確な食品を輸入はできないと言えばいいだけです。ゲノム編集食品ではない食品は山ほどあります。それで、量的には十分なはずです。消費者庁が言っていることは、論として破綻しています。
さて、読者の皆さま、ゲノム編集食品に対する筆者の意見にご賛同をいただけましたでしょうか。ご賛同くださった方は、個人のレベルで、ゲノム編集を疑われる食品は購入しないという行動をとり、あらゆる機会にゲノム編集食品は食べたくないし、不必要であるという意思表明をし続けていただきたいと願う次第です。今を生きる私たち自身のためにも、そして未来の子供たちのためにも。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民133掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民133掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。