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100歳以上が38万人…2045年の日本が直面する「危機的現実」 急増する高齢者を誰が支えるのか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67847
2019.10.21 前田 正子 甲南大学マネジメント創造学部教授 現代ビジネス
想定以上で進む「超少子化」の衝撃
2019年に生まれる子どもの人数は90万人を下回ると予想されている。実は国立社会保障・人口問題研究所が2017年に出した日本の将来人口推計では出生児童数が90万人を割り込むのは2021年のはずだった。それより2年早く、90万人を割り込むことになり、想定以上のスピードで少子化が進んでいるのだ。
2004年に111万人が生まれたのを最後に、2005年に出生児童数が110万人を割り込んで106万人となった。次に2015年は100万人の子どもが生まれた最後の年となり、2016年には98万人だった。2017年には95万人、2018年には92万人と減り続け、ついに2019年には90万人を切るというわけだ。
2004年の111万人が約10万人減って2015年に100万人になるまでは11年かかっていた。だが2015年からわずか4年後に、10万人(つまり2015年度比で1割減)も出生児童数が減ることになる。出生児童人数の減少が加速化しているのだ。
2019年には最も出産可能年齢の女性が多かった1971〜74年生まれの団塊ジュニアの女性全員が45歳以上になってしまった。今後は毎年のように出産可能年齢の女性が減っていく。このまま放置すれば、少子化がとどめることなく進むことになる。
団塊ジュニアを不安定雇用に押し込み、若い世代を社会の犠牲にして自分たちの未来を壊した日本が、このまま仕方がないこととほっておいてよいはずがない。取り返しのつかない事態になりかねないのだ。
だが、望めば若い人たちが安定した仕事に就いたり、パートナーを見つけて家庭を持ち、子どもを持ちたいという選択を支援する、強力な政策は打ち出されないままだ。
幼児教育の無償化や給付型奨学金なども始まっているが、政策が五月雨式に一つずつ出され、日本の子育てを支援政策の全体像が見えないため、子育ての安心感の保障にはつながりにくい。
現役世代1.4人で高齢者1人を支える
「少子化など問題はない」「AIの活用や生産性の向上で乗り越えられる」という議論もあるが本当にそうだろうか。高齢者と現役世代のバランスが崩れ、高齢者が3割を超える社会をどうすれば維持していくことができるだろうか。
団塊の世代(1947〜49年生まれ)が後期高齢者になる2025年、団塊ジュニア(1971〜74年生まれ)が高齢者になる2040年の日本はどんな姿だろう。
2025年には高齢化率30%、2040年には高齢化率は35%になる。20〜64歳を現役人口だとすると、2020年には現役1.8人で高齢者一人、2040年には現役1.4人で高齢者一人を支えることになる。
現役世代たった1.4人で高齢者一人の医療費や年金、介護を支えないといけないのだ。しかも想定より早く少子化が進んでいるので、現役の人数はもっと少なくなる可能性がある。
今後の人口と高齢化率及び1人の高齢者を支える現役人口の人数
2000年にスタートした介護保険は、当時、要介護要支援認定者256万人で始まったが、2017年には641万人となっている。
給付費も当初は約3兆円だったが、2017年には10兆円近くにまで迫っている。それに介護福祉士不足も重なり、このままでは介護保険制度が維持できないと、厚生労働省は在宅介護を奨励しようとしている。だがそれは、現役世代が親の介護で働けなくなる可能性を高めてしまう。
一方で少ない現役世代には一人でも多く働いてもらって、労働者として人手不足の社会を支えてもらうだけでなく、税や社会保険料を納めてもらわないと社会保障制度が成り立たない。
職場の若い世代が減って人手不足になるだけでなく、家庭内でも人手不足なのだ。しかも地域でも地方から水が引くように若い人が消えだしている。地域のどこにも若い人がいない、という状況になりえる。
2045年、100歳以上が38万人に
一方で高齢者の状況を見てみよう。
結婚していてもいずれは配偶者に先立たれる。今では子どもと一緒に住んでいる高齢者も少ない。さらに現在では生涯未婚率も上がっており、兄弟数も少ない。今後は頼る親戚もおらず全く一人、という高齢者も増えていくだろう。
2017年時点で見ると、全世帯の半分近くは65歳以上のいる世帯である。さらに65歳以上の高齢者のいる世帯の6割近くは単身世帯か、高齢夫婦のみの世帯である。2040年には65歳以上の男性の20%、女性の25%(併せて896万人)が一人暮らしになると予測されている。
さらに高齢者の超高齢化もさらに進んでいく。2045年には90歳以上は529万人、100歳以上は38万人いる時代になる。この人たちの暮らしは誰が支えるのだろうか。
将来人口推計に見る高齢者人口とその割合の推移
自然災害が起きても動けない…
しかも日本は南海トラフなどの巨大地震がいずれ来る、と予想されているだけでなく、2019年は台風15号や19号といった大型台風が相次いで来た。今後も台風の大型化が予想されている。
人手がなく採算も取れないため山の手入れもできず、インフラの老朽化もすすんでいる。土砂崩れも起こり、台風による川の増水で橋が壊れたり、堤防が決壊したり被害も大きくなる。
台風のニュースには家に残っている高齢者が「なぜ避難所に行かないのか?」という問いかけに、「体が悪くて動けない」と答える姿も映っていた。
高齢者を助けに行く消防団の人たちもかなりの年配の人のように見えた。被災地に派遣された自衛隊員も人手不足だ。定年を延長して隊員を確保している状態である。
さらに被害を受けた家にブルーシートを張ることも高齢者だけではできない。だが助ける若い人も地域には少ないし(若い人も被災者だ)、職人も人手不足で家の修理もなかなかできない。高齢者だけの世帯だと、新しい家を建て直す気力も財力も乏しいだろう。そうやって被害を受けた家がさらに傷んで放置され、地域で空き家が増えていく。
急速に高齢者が増える中で、何かがあった時に支える側になる若い世代が今も地域に少ないだけでなく、今後はもっと減っていくのだ。
専門職を雇うといっても、災害後の復興で、木を伐採する人やショベルカーで土砂をかきだしたり、ブルドーザーで道を作ったり、クレーンで倒れた鉄塔を吊り上げたりする人たちも減っている。
力仕事のできる現役世代が減り続けているのだ。そうやって災害を受けた地域は、早い復興はかなわず、じりじりとその土台を弱めつつある。
阪神大震災で被害を受けた地域に住んでいる人に聞くと、「震災の時はみんなまだ若かったから頑張れたけど、今度同じことが起こっても、みんな年を取ってしまって動けない」と言う。
今や近隣は道路を挟んだ迎え合わせで20軒近い家がある中で、子どもがいる世帯は4軒しかなく、多くが高齢夫婦か、高齢者の単身世帯になってしまったらしい。
筆者の実家の母が住む地域も同じようなもので、女性のほうが寿命が長いので、近所は夫に先立たれた未亡人ばかり。そしてそのおばあちゃんが亡くなると、空き家がそのまま残されている。この中で台風や地震が来たらどうやって地域を守れるのだろうか。
筆者もラグビーのワールドカップには感激した。東京は今も地方から人を吸収し続けて混雑し、2020年の東京オリンピック前の熱気に満ちている。次から次に繰り広げられる目の前のイベントの夢中になる私たちは、地方からひたひたと日本に訪れている静かな危機に気づいていない。
このまま何もせず、しかたがないことと危機を直視しないまま、日本は世界の誰も経験したことのない、超高齢化社会の道を加速しながら進み続けることになる。
日本の未来は霧の中で見えないままである。
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