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ローソン、ウーバーイーツ導入実験…弁当・惣菜や日用品も宅配、普及に意外な障壁?
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123810.html
2019.10.21 文=沼澤典史/清談社 Business Journal
ウーバーイーツの自転車便(「Wikipedia」より/Atlasowa)
コンビニエンスストア大手のローソンが、一部の店舗で「ウーバーイーツ」を使った商品配達サービスの実証実験を始めている。国内のコンビニとしては初の試みだが、「コンビニの宅配」自体は各社が導入しており、あまり活用されていない実態がある。
なぜ今、ローソンがウーバーイーツを導入したのか。また、成否のカギは何か。流通アナリストの渡辺広明氏に聞いた。
■ローソンがウーバーイーツと手を組んだ理由
24時間営業の是非や出店数の頭打ちなど、さまざまな問題を抱えているコンビニ業界。起死回生の一手として、ローソンがウーバーイーツとタッグを組み、宅配サービスに乗り出した。ただし、「コンビニが宅配を行うこと自体は目新しい取り組みではない」と渡辺氏は話す。
「セブン-イレブンは西濃運輸と提携して、御用聞き・お届けサービスを展開中です。また、これと連動してスマホアプリから商品を注文できる『セブン-イレブンネットコンビニ』を北海道や広島の一部地域で実施していますが、まだまだ浸透はしていません」(渡辺氏)
これまでもコンビニによる宅配は行われてきたが、認知度や店舗での圧倒的な人手不足もあり、なかなか広がらなかった。一方で、現在のコンビニ業界において、宅配事業は新たなフロンティアと見られているという。
「そもそもコンビニは人口減少や出店数の飽和もあり、既存店1店舗当たりのお客さんが減っています。今までのように、ただ『待つ』だけの経営では成り立たないため、各社が宅配に進出しようとしています」(同)
今回、ローソンがウーバーイーツと提携した理由について、渡辺氏はこう話す。
「今までコンビニの宅配がうまくいかなかったのは、人手不足によるところが大きいです。しかし、ウーバーイーツは配達員が外部の人間なので、コンビニ側の従業員は店舗で商品をピッキングするだけでいい。そのため、ローソン側は人員を増やす必要がなく、これまでの課題を解決できる連携になっています」(同)
現在、ネット通販ではアマゾンが圧倒的に強い。また、飲食の宅配サービスは各社がしのぎを削っている状況だ。そんななか、コンビニに勝機はあるのだろうか。
「品揃えはアマゾンには到底かないません。しかし、『中食』と呼ばれる弁当類は現状のネット通販ではうまくいっていません。コンビニはそこを突き、アマゾンが手がけていない弁当や惣菜などのネット宅配事業に勝機を見いだしているのです」(同)
今回の提携では、食品以外に日用品も対象となる。そのため、ウーバーイーツ側にもメリットがあるという。
「現在、コンビニには1店舗当たり3000種の商品が並んでいるといわれており、そのなかには日用品も多く含まれます。今までのウーバーイーツは食品のみの配送でしたが、ローソンと手を組むことによって、日用品という新たな商材を手に入れることができるわけです。お客さん側も、弁当を頼むついでに日用品も宅配してもらうというふうに選択肢が増えます。そのため、配送費の面でも効率化が図られるでしょう」(同)
どうやら、ローソン、ウーバーイーツ、消費者の三者にとってメリットがある試みのようだ。
■ウーバーイーツ導入の成功のカギ
東京都内の直営4店舗から13店舗に拡大されている実証実験は11月末まで行われる予定だが、渡辺氏は「対応商品を増やせるかどうかが成功のカギ」と言う。
「現在、対応している商品数はわずか100品で、日用品はウェットティッシュとボックスティッシュの2品だけ。3000品もあるのに、なぜこれだけかというと、ピッキングに時間がかかるからです。特に、外国人従業員などは商品の配置がわからない人も多く、レジ対応と並行して作業するのもなかなか難しいようです。
その点が改善され、宅配可能な商品数が増えれば成功の可能性はあるでしょう。また、お客さん側が多くの商品を注文しやすくなるようなインターフェイスの開発も重要です。いずれにしろ、今までのコンビニは全国一律で同じサービスを展開するという方針でしたが、それが変わっていく流れは止まらないでしょう」(同)
ローソンのウーバーイーツ導入によって、コンビニ業界にどのような変化が出るのだろうか。
(文=沼澤典史/清談社)
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