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消費税率アップで日本経済は悪化するのか?
2019年10月18日(金)18時45分
野口旭(専修大学経済学部教授)
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あの手この手の対策のせいか増税前の駆け込み買いはそれほど見られなかった TORU HANAI-BLOOMBERG/GETTY IMAGES
<電子マネー還元や教育無償化で増税分を帳消しに――優遇措置で不況の本格化は避けられる?>
政府が行う経済政策の中で、税金ほどわれわれの生活に直結するものはない。税金の必要性は、社会全体の観点からは明らかである。
経済には、公的インフラや公共サービスのように、民間企業では適切に供給できないものが存在する。また、社会の安定化のためには社会保障も必要である。現代社会では、それらは政府が担うことが当然と考えられている。
しかしそれには資金が必要になる。政府はその資金を取りあえず国債の発行で賄うこともできるが、それには限度がある。その政府債務の限度がどのくらいかは実際にはよく分からないが、それが行き過ぎると、財政破綻や悪性インフレが生じると信じられている。そうならないために必要と考えられてきたのが、増税を通じた「財政再建」である。
他方で、われわれ個人の観点からは、税金は単に「政府による所得の収奪」だ。所得税は文字どおり政府への直接の所得移転である。消費税はそれを、物品売買ごとに間接的に行う。従って、増税すなわち税率の引き上げが行われれば、われわれの可処分所得は確実に減少する。そのため、われわれは支出の切り詰めを余儀なくされる。
つまり増税は、仮にそれが財政再建に必要であったとしても、ほぼ常に経済全体の需要を減らすように作用する。それは場合によっては、深刻な景気悪化につながる。
実際、1997年4月に行われた消費税率の3%から5%への引き上げは、厳しい景気悪化をもたらし、その後に続く長期デフレ不況の引き金となった。また、第2次安倍晋三政権によるアベノミクスの発動によって進展していたデフレ脱却を頓挫させたのは、2014年4月に行われた消費税率の5%から8%への引き上げであった。
財政に振り回された経済
消費増税の場合には、単なる可処分所得減少による支出減少のみではなく、「増税前の駆け込み需要の反動減」が加わるために、増税実行後の経済の落ち込みは、より一層大きくなるのである。
消費増税問題は、バブル経済が崩壊した1990年代以来、日本の経済政策の一大争点であり続けてきた。その長年にわたる論争と合意、そして延期の結果、2019年10月に因縁付きの増税が実行されるに至ったのである。
消費増税が政策課題としてクローズアップされた発端は、バブル崩壊後の税収減と財政支出によって急拡大した財政赤字を背景に、1994年に提起された「国民福祉税」構想だ。この構想は頓挫したが、増税方針自体は生き残り、1997年4月に消費税増税が実行された。
次のページ財政再建VS景気回復
この増税により、日本経済は戦後最悪の経済危機に陥った。それは、1996年頃までの緩やかな景気回復の中でそれなりに消化されているようにもみえた金融機関の不良債権が、景気の悪化によって一気に表面化したからである。その結果、1997年末から98年にかけて、日本を代表する金融機関が次々と破綻した。そのようにして生じた金融危機は、その後の日本経済に、デフレという厄介な病を定着させる契機となったのである。
日本経済は、この消費増税を契機とした経済危機の後、一時的な景気回復は見られたものの、経済停滞と財政悪化が同時進行する長期デフレ不況に陥った。そこで生じたのが、「増税による財政再建」論と「デフレ脱却と経済成長を通じた財政再建」論との路線対立だ。
これは要するに、財政再建を優先するか、景気回復を優先するかの対立である。財政再建派は、増税が一時的には景気悪化をもたらすことは認めるが、それは財政破綻を防ぐために甘受すべきとする。
それに対して景気優先派は、財政再建のためにもまずは増税ではなく景気回復によるデフレ脱却が必要だとする。それは、デフレとは物価や所得が継続的に下落することであるから、その物価や所得に依存する税収はデフレが続く限り減少して当然だからである。
こうした財政緊縮論と、反緊縮論すなわち景気優先論の対立は、景気悪化が続けば、日本に限らずどの国でも必ず生じている。2008年9月に米投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻し(いわゆるリーマン・ショック)、それを契機に「100年に1度」と言われる世界的不況が生じたとき、各国は一斉に景気回復のための拡張的財政政策、すなわち財政支出や減税を行った。
しかし、多くの国の財政状況は、厳しい景気悪化に伴う税収の減少と、この財政支出拡大の相乗効果によって、急激に悪化した。その結果生じたのが、2010年春のギリシャ危機を発端として欧州各国へと拡大した、欧州債務危機である。世界各国はこれを契機に、今度は逆に財政再建のための緊縮財政へと舵を切った。
そうした財政政策の右往左往を象徴する国の1つは、イギリスである。イギリスは、リーマン・ショック直後の2008年12月に、景気回復のため、付加価値税(日本でいう消費税)の17.5%から15%への引き下げを、各国に先駆けて実行した。
しかし、財政悪化懸念の高まりを背景として、2010年1月には税率を15%から17.5%に戻し、その1年後の2011年1月にはそれをさらに20%にまで引き上げた。つまりイギリスは、わずか2年の間に5%もの増税を行ったのである。
次のページ軽減税率が楽観論の根拠
今回の日本の消費増税の根拠となっている、旧民主党政権下の2012年6月に民主党・自民党・公明党によって取り決められた「社会保障と税の一体改革に関する合意」、いわゆる消費増税の3党合意も、ギリシャ危機以降の世界的な財政懸念を受けて成立したものである。そこでは、財政再建のために、5%であった消費税率を2014年4月から8%へ、さらに2015年10月から10%とすることが定められた。
しかしながら、その増税の完遂は結局、当初の予定から4年遅れることになった。それは、3党合意成立直後の2012年12月の総選挙によって、自民党・公明党が政権に復帰し、アベノミクスすなわち「金融政策、財政政策、成長戦略という3本の矢を用いたデフレ脱却」を掲げる第2次安倍政権が成立したからである。
安倍政権は、2014年4月の消費増税は予定どおり実行したものの、2015年10月に予定されていた2回目の増税は、難航するデフレ脱却をさらに困難にするという判断により、2度にわたり延期した。従って、今回の増税実施は3度目の正直ということになる。
駆け込みの反動減を警戒
今回の消費増税の影響については、専門家の間でも悲観論と楽観論が交錯している。悲観論の最大の根拠は、これまでの前2回の増税がいずれも事前の想定以上の負の影響をもたらした事実にある。間が悪いことに、好調を維持していた世界経済も今年に入って明らかに減速している。最も懸念されるのは、デフレ脱却がいまだ不十分であり、人手不足が喧伝されつつも、十分な賃金上昇までには至っていない点にある。
消費増税によって人々の実質所得がいったん減少したとしても、賃金が上昇し続けている限り、その負の影響は時間とともに打ち消される。諸外国では消費増税の下押し効果が一時的でしかないのは、そのためである。
竹下登政権下の1989年4月に導入された3%という最初の消費税が、ほぼ何の影響ももたらさなかったのも、当時の日本経済では毎年5%弱程度の賃金上昇が実現されていたからである。
それに対して、デフレによって賃金が十分に上昇しないなかでは、消費増税による実質所得の減少は、打ち消されることなくそのまま永続する。
他方で、消費増税の下押し効果は、今回はそれほど大きくないという楽観論もある。その最大の根拠は、これまでとは異なり、経済の落ち込みを回避するために、軽減税率をはじめとした数多くの対策があらかじめ準備されている点にある。軽減税率は納税を極めて煩雑化させるため、制度それ自体に対する関係者の評価は高くはない。しかしそれが、少なくとも納税者の負担を軽減することは明らかだ。
次のページ優遇措置で「駆け込み買い」回避
この軽減税率が人々の実質所得減少を恒久的に抑制するためのものとすれば、期限付きで行われるキャッシュレス決済のポイント還元やプレミアム付商品券は、駆け込み需要の反動減を抑制するためのものである。
高額なために税率引き上げの影響がとりわけ大きい自動車や住宅にも、さまざまな優遇措置が準備されている。これらの対策の結果、場合によっては増税以降に購入したほうが安くなるケースさえ生じている。今回は増税まで1カ月を切っても「駆け込み買い」が前回ほど見られなかったのは、おそらくそのためだろう。
損をしない消費のために
今回の増税のもう1つの特徴は、消費増税によって大きな負担を受ける子育て世代に対して、さまざまな還元措置が準備された点にある。1人につき最大2万5000円分の商品を2万円で購入できるプレミアム付商品券は、住民税非課税者と子育て世帯のみが購入可能だ。
さらに大きいのは、増税と同時に開始される保育料無償化(幼児教育無償化)だ。これによって、幼児1人当たり年間数十万円の負担が軽減される。世帯所得による差は出るものの、高等教育の無償化も実現される。それに対して、単身勤労者世帯や年金世帯が得られる恩恵は多くない。
今回の消費増税は、これまでとは大きく異なり、実質所得の減少や駆け込みの反動減による支出の急激な落ち込みを抑制するため、政府によりさまざまな対策が準備されている。個人の立場からは、煩雑ではあっても、それらをよく調べた上で、何をどこでどのタイミングで購入するのが最善かを、それぞれの商品ごとに検討する必要がある。
キャッシュレス決済のポイント還元は期限付きなので、購買はその期限内に行う必要がある。また、中小店舗へのシステム変更負担の軽減のため、5%の還元率が適用されるのは登録された中小店舗のみであり、コンビニ、外食などのフランチャイズチェーン、ガソリンスタンドでは還元率2%、大手スーパーや百貨店、現金支払いの店舗などでは還元なしとなっている。
つまり、損をしないためには「どこで買うのか」にも十分に注意する必要がある。
手厚い対策が講じられてはいても、増税後の消費の落ち込みは避けられないであろう。問題は、それが本格的な不況に転じはしないのかである。その点に関しては、基本的には政府の政策対応に頼る以外にはない。
そもそも第2次安倍政権は、デフレ脱却を最優先の政策目標に掲げてきた。政権の残りの期間中にデフレ脱却が宣言できるか否かは、政権の歴史的評価に関わる。もはや3党合意の縛りは存在しない以上、仮に今回の増税によってその実現が危うくなった場合、安倍政権はおそらく財政政策をフルに活用しようとするだろう。
<本誌2019年10月8日号:特集「消費増税からマネーを守る 経済超入門」から転載>
【参考記事】低成長、消費増税、少子化......それでも日本人は楽観していい
【参考記事】消費増税が痛い今こそ見直したい、不合理で結局は損な消費行動
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13216_4.php
世界経済は「大停滞」局面入り、30年代連想させる−ダリオ氏
Jeff Kearns、Piotr Skolimowski
2019年10月18日 14:56 JST
典型的なサイクル終了時の崩壊に向かっているわけではない
政治の二極化が1930年代に似る、来年の米大統領選は重要な意味持つ
ヘッジファンド運用で世界最大手の米ブリッジウォーター・アソシエイツを創業したレイ・ダリオ氏は17日、世界経済は政治が二極化し1930年代を連想させる「大停滞(great sag)」局面に入っているが、典型的なサイクル終了時の崩壊に向かっているわけではないと述べた。
国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会に合わせてワシントンで開かれたCNBC主催のパネル討論会に参加したダリオ氏は、世界の債務水準や来年の米大統領選挙などの議論に加わり、マネーがあふれる世界経済に「大きく特異なことが起きつつある」と語った。
Key Speakers At The 2019 Milken Conference
レイ・ダリオ氏(5月)
利下げや減税などの刺激効果は衰えつつあると指摘。その上で「サイクル終了時に古典的クラッシュを引き起こすような状況にはない」との認識を示した。
長期の債務償還規模は大きく膨らみ、年金やヘルスケア関連などで「多くの支払い義務が生じ、負担になる」と主張。これらを背景に「現サイクルは消えつつあり、私に言わせれば大停滞とも呼ぶべき世界にわれわれは入った」と論じた。
ダリオ氏は政治の二極化が来年の米大統領選を市場と米経済にとって極めて重要なものにしているとし、「資本主義か社会主義かという問い掛けになる可能性が高く」、法人税に大きな影響を及ぼすだろうと予想。「米国と世界中で見られるのは、左派ポピュリズムと右派ポピュリズムの高まりに伴う対立拡大で、30年代にとてもよく似ている」と述べた。
原題:
Dalio Says Global Economy Is in a ‘Great Sag’ and Evokes 1930s(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-18/PZJPW9T1UM0Z01?srnd=cojp-v2
クラリダFRB副議長、米経済は良好な状況−顕著なリスクも指摘
Craig Torres
2019年10月19日 3:22 JST
FOMCは「成長持続に向け適切に行動する」
クラリダ氏、世界的なディスインフレ圧力のリスクを挙げる
米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は米成長見通しは好ましいが、リスクがある中で景気拡大を支えるため米金融当局は「適切に行動する」と述べ、3会合連続利下げへの可能性を残した。
クラリダ副議長は18日、ボストンで講演。講演原稿によると、「米経済は良好な状況にあり、ベースライン見通しは好ましい」と発言。ただし、民間設備投資は「著しく」減速しており、「世界的な成長見通しの引き下げが続いている」と話した。
Fed Vice Chair Richard Clarida Speaks At Peterson Institute for International Economics
クラリダFRB副議長Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
さらに、「世界的なディスインフレ圧力が米国のインフレ見通しを曇らせている」と指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)は「景気見通し、および見通しへのリスクを会合ごとに検証し、成長持続に向け適切に行動する」と付け加えた。
原題:
Fed’s Clarida Says Economy in Good Place With ‘Evident’ Risks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-18/PZKWKA6K50XS01?srnd=cojp-v2
米鉱工業生産指数:製造業が5カ月ぶり大幅低下−GMストが影響
Katia Dmitrieva
2019年10月17日 22:20 JST 更新日時 2019年10月18日 4:37 JST
9月の米鉱工業生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値)のうち、製造業生産は5カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。ゼネラル・モーターズ(GM)の労働者ストライキや世界的な需要低迷、貿易戦争が押し下げ要因となった。
キーポイント
製造業の生産は前月比0.5%低下
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.3%低下
前月は0.6%上昇(速報値0.5%上昇)に修正
自動車・同部品を除くベースの製造業生産は0.2%低下
前月0.7%上昇
全体の鉱工業生産は前月比0.4%低下
前月は0.8%上昇(速報値0.6%上昇)に上方修正
Output at U.S. factories slumped in September on GM work stoppage
インサイト
複数の要因が重なり、製造業生産の減速につながっていることが浮き彫りになった。GMの全米自動車労組(UAW)によるストの影響は工場だけにとどまらず、サプライチェーンにも拡大。製造業者は中国との関税合戦や世界的な需要低迷、国内投資の抑制といった課題にも直面している
GMとUAWがスト終結に向け暫定合意に達したことに伴い、製造業生産は今月か来月には持ち直す可能性も
自動車・同部品の生産は4.2%低下−1月以来の大幅マイナス
一次金属や機械、プラスチックの生産も低下
詳細
鉱業の生産は1.3%低下−過去3カ月で2度目のマイナス
石油・ガス田の掘削が5.5%低下−第3四半期(7−9月)では年率27.1%低下
公益事業は1.4%上昇−3カ月連続でプラス
鉱工業設備稼働率は77.5%に低下−前月は77.9%
製造業の設備稼働率は2年ぶり低水準の75.3%−GMのストを反映
統計の詳細は表をご覧下さい
原題:
U.S. Factory Output Falls Most in Five Months on GM Strike (1)(抜粋)
(統計の詳細を追加し、更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-17/PZISTHT0G1KX01?srnd=cojp-v2
フィラデルフィア連銀製造業景況指数:10月は5.6に低下−予想7.6
Dominic Carey
2019年10月17日 21:38 JST
エコノミスト40人の予想レンジは0.0−13.4だった。前月は12.0。
統計表
原題:
U.S. Oct. Philadelphia Fed Index Falls to 5.6, Est. 7.6(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-17/PZIQW8DWLU6E01?srnd=cojp-v2
中国経済、7−9月は6%成長と予想超える減速−世界経済に試練
Bloomberg News
2019年10月18日 11:16 JST 更新日時 2019年10月18日 14:55 JST
• 9月の工業生産は上振れも世界経済を後押しするには力不足
• 最高指導部が近日開く会議は刺激策の在り方を検討する機会となるか
中国経済は7−9月(第3四半期)に一段と減速した。9月の工業生産が予想を上回り、小売売上高も着実な増加を示したが、投資の伸び悩みが響き、世界経済を後押しするには力不足だった。
18日発表された7−9月の国内総生産(GDP)は前年同期比6%増と、1990年代前半以降で最も小さな伸びにとどまり、エコノミスト予想の6.1%を下回った。4−6月(第2四半期)は6.2%増だった。
9月の工業生産は前年同月比5.8%増。市場予想は同4.9%増加だった。小売売上高は前年同月比7.8%増と予想と一致。1−9月の固定資産投資は前年同期比5.4%増。予想(5.5%増)には届かなかった。
7−9月の成長率は鈍化したが、1−9月で見ると6.2%成長となっており、中国政府は2019年の成長率目標(6−6.5%)を達成できるとなお示唆している。中国当局は既に高水準にある債務の拡大を警戒し、預金準備率の引き下げや与信支援など限定的かつ対象を絞った措置をこれまで講じてきた。
共産党最高指導部が近く開く会議は刺激策の在り方を検討する機会となるかもしれない。
HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は「中国経済は国内外の逆風に見舞われている」と指摘。「不安定な世界の需要と米国による関税強化で輸出はここにきて減少に転じている。9月の小売売上高と工業生産は幾分安定していたが、全般的な需要は減速が続いており、比較的タイトな信用状況が続いていることを反映している」とコメントした。
1−9月のインフラ投資の伸びは4.5%に加速。9月の失業率は調査ベースで5.2%と横ばいだった。
ブルームバーグ・エコノミクスの舒暢、曲天石両氏は「7−9月のGDP成長率は6%割れを回避したとはいえ、コンセンサス予想が楽観的なようだとのわれわれの見方と一致した。9月の工業生産は予想外に力強く伸びたが、投資の一段の減速はインフラ投資を使った景気下支えという難題を浮き彫りにした」とコメントした。
原題:China’s Economy Slows on Weak Investment, Testing Global Growth(抜粋)
(詳細を追加し更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-18/PZJSB7T0AFB501?srnd=cojp-v2
コラム2019年10月18日 / 16:59 / 6時間前更新
中国経済は「懸念水域」に、減速ペースが予想上回る
Christopher Beddor
2 分で読む
[香港 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国経済の減速は懸念すべき段階に達した。第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げている。一部の歴史に照らせば、中国の発展段階にとってあまりに低い伸びであることが示唆されている。
李克強首相は先月、中国のGDP(国内総生産)伸び率が少なくとも6%を維持するのは「非常に困難」になるだろうと発言。さえない結果を見込んだシグナルとして容易に解釈できる。一部のエコノミストは年内に6%を割り込むと予想し始めている。
一定程度のいわゆる構造的な減速は自然な現象だ。全ての途上国は米国の所得水準に近付くにつれてコピーできる裕福な国のアイデアを使い果たす。オックスフォード・エコノミクスによると、中国の成長率は2030年までに4%に低下し、その後は40年までに2.8%に低下する見通しだ。
しかし、中国は予想されているよりも速いペースで減速している。国際通貨基金(IMF)のデータに基づくと、購買力で調整した中国人1人当たりのGDPは米国人の約30%に過ぎず、依然として比較的貧しいままだ。ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ氏によると、日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。韓国は同じ期間に平均7.7%の伸びを達成。台湾とシンガポールはそれぞれ伸び率が8.4%と8.7%だった。
最近ですらエコノミストはより大きな伸びを予想していた。IMFは約10年前に始めた5年見通しで、中国の成長率は15─18年に平均で9%になるとみていた。実際は7%未満だった。
中国の経済規模は14兆ドルで、言うまでもなく既にアジアの他国を上回った。米国との貿易戦争や世界的な景気停滞も要因となっている。ただ、刺激策を巡る日々の激しいやり取りの中、政策立案者らは自らのまずい決断で潜在成長率が早く低下していることが見えなくなっている可能性がある。
カーネギー国際平和財団のユーコン・フアン氏によると、成長率が4─5%に低下すれば、予想されていた米国人の所得水準との「コンバージェンス(収束)」は事実上行き詰まるかもしれない。注意が必要なのは中国政府が経済開放という厳しい選択肢を取るのではなく、「新常態(ニューノーマル)」を受け入れることだろう。
●背景となるニュース
*中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、少なくとも27年半ぶりの低い伸びとなった。米中貿易戦争の影響で製造業の生産が不調となり、内需外需ともに低迷した。[nL3N2730MC]
*中国政府のウェブサイトで9月16日に公表されたロシアメディアとのインタビュー内容によると、李克強首相は中国経済が6%以上の成長を達成するのは「非常に困難」だと述べた。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/china-economy-breakingviews-idJPKBN1WX0I9
コラム2019年10月19日 / 07:55 / 6時間前更新
ファーウェイ、足元好調でも厳しい局面が間近
Robyn Mak
2 分で読む
[香港 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)にとって追い風の時代が間もなく終わりを迎える恐れがある。国内のスマートフォン販売が堅調だったため、1─9月売上高は前年比で24%も増加した。たが来月には米政府による制裁が復活し、その全面的な影響をこれから受けることになる。国内需要も当てにならないと判明するかもしれない。
ファーウェイは今年5月、特別な許可がないと米企業と取引できなくなる米政府の輸出禁止対象に追加された。それでも今月16日に発表された最新の業績を見ると、事業は順調だ。1─9月売上高は6110億元(862億ドル)に達した。同社は限定的な財務データしか開示していないが、ロイターが計算したところでは第3・四半期の売上高も前年同期比27%増の1650億元と悪くない。
ありがたいことに、ファーウェイ創業者の任正非氏は中国国内に同社製品をずっと使ってくれる消費者を抱えている。世界全体のスマホ市場が縮小しているにもかかわらず、市場調査会社カナリスによると、中国におけるファーウェイの第2・四半期のスマホ出荷台数は3700万台と、前年同期比で31%増と実に目覚ましい伸びを示した。その犠牲になったのがアップル(AAPL.O)や、OPPO(オッポ、広東欧珀移動通信)、小米科技(シャオミ)(1810.HK)などで、いずれも第2・四半期にシェアが低下した。ファーウェイは、中国のスマホ市場で現在38%のシェアを50%に引き上げることを目指している。
こうした動きはファーウェイのライバルたちにとって悪いニュースだが、ファーウェイはかつてないほど足場が脆弱な様相だ。足元の増収は恐らく、米国の制裁発動前に登場したスマホにけん引されたのだろう。
またファーウェイは目下、米政府から制裁を猶予されているところで、11月には猶予期限を迎える。再延長がない限り、同社は通信機器とスマホの双方にとって重要な部品やソフトウエアのツールを利用できなくなる。ファーウェイが規制当局に提出した今年上半期の報告に基づいてジェフリーズのアナリスト、エディソン・リー氏が試算したところでは、在庫は3カ月分をやや超える程度だ。
同時に中国の景気が減速する中で消費は鈍っているだけに、ファーウェイが掲げる国内市場での野心的な戦略も達成は危うく見える。同社にとって、冬の訪れは予想より早いかもしれない。
●背景となるニュース
*ファーウェイが16日発表した1─9月売上高は6100億元(862億ドル)で、前年同期比24.4%増加した。この間の純利益率は8.7%だった。
*米政府は5月、ファーウェイを輸出禁止対象に加えた。米国の安全保障や国益に反する行為に関与したとの理由だ。その結果、特別な許可を得ない限り、米企業との取引は禁止される。ファーウェイ側は、自社製品が米国の安全保障の脅威になっていないと繰り返し主張している。
*ただファーウェイは8月、米政府から制裁発動の猶予が認められ、既存の通信ネットワーク維持や自社スマホのソフトウエア更新が可能になった。猶予期限は11月18日。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
https://jp.reuters.com/article/china-huawei-breakingviews-idJPKBN1WX03S
ワールド2019年10月19日 / 07:00 / 8時間前更新
IMF、増資決定を23年に先送り 中国の影響拡大に米が懸念
Reuters Staff
1 分で読む
[ワシントン 18日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は18日、加盟189国がIMFの総融資能力を1兆ドルで維持し、資本増強に向けた決定を2023年12月まで先送りすることで合意したと発表した。
増資に向けた加盟各国の出資比率見直しに伴い中国の影響力が拡大することを警戒する米国が反対し、折り合いが付かなったもよう。
ゲオルギエワIMF専務理事は融資能力を巡る決定を受け、景気減速に対処する加盟国にIMFが十分な支援を実施できるという信頼感を与えると述べた。
https://jp.reuters.com/article/imf-world-bank-funding-idJPKBN1WX2NG
ビジネス2019年10月19日 / 07:05 / 8時間前更新
G20財務相、デジタル通貨の厳格規制で合意 深刻なリスク懸念
Reuters Staff
1 分で読む
[ワシントン 18日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁は18日、米ワシントンで開いた会議で、フェイスブック(FB.O)が導入を計画している暗号資産(仮想通貨)「リブラ」などを含むステーブルコイン(法定通貨を裏付けとしたデジタル通貨)に対する厳格な規制を導入することで合意した。
ステーブルコインについては、主要7カ国(G7)の作業部会が、広範な規模で発行された場合に世界の金融システムと金融安定が脅かされる可能性があると警告していた。
G20財務相・中央銀行総裁は、ステーブルコインで恩恵がもたらされる可能性はあるとしながらも、公的政策と規制の面で「深刻な」リスクをはらむ恐れもあると指摘。声明で「こうしたプロジェクトが開始される前に、特に資金洗浄、違法資金、消費者と投資家の保護などに関連したリスクについて検証を行い、適切に対応する必要がある」とした。
日銀の黒田東彦総裁は、金融安定理事会(FSB)や金融活動作業部会(FATF)などの金融規制を担う機関の提案に基づき、ステーブルコインをどのように規制していくかG20として討議を開始すると表明。G20議長国として日本が設定した記者会見で、「ステーブルコインが持つ様々なリスクについて政策当局者から懸念が示された。こうした懸念が対応されるまで、ステーブルコインは発行されてはならない。こうしたことがG20で合意された」と述べた。
FSBとFATFは来年、G20に対しステーブルコインに関する報告を取りまとめるとみられている。
またG20は国際通貨基金(IMF)に対し、通貨主権の問題を含むステーブルコインの経済的な影響について調査するよう要請。黒田総裁は「新興国の間で、大規模な顧客ベースに裏打ちされたステーブルコインが国際的に広く利用されるようになった場合、何が起こるか懸念が出ている」と指摘。「こうした問題は新興国に限られたものではない。金融政策、および金融システムの安定に対し広範な影響が及ぶ可能性がある」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/g20-libra-idJPKBN1WX2NQ
ビジネス2019年10月19日 / 06:40 / 3時間前更新
政策余地ある、必要なら追加緩和検討=黒田日銀総裁
Reuters Staff
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[ワシントン 18日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は18日、日本の金融緩和余地はまだあるとして、2%の物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れがある時は、当然、金融緩和を検討すると従来の方針を繰り返した。
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はこの日、2日間の討議を経て閉幕した。
黒田総裁は会議後の記者会見で「現時点で日本の金融政策の余地が非常に限られているということはない」と説明。「経済・物価動向をみて、2%の物価目標に向けたモメンタムが失われる恐れがある時は、当然金融緩和を検討する」と語った。
日本経済については「緩やかな拡大を続けており、このような状況が続けば消費者物価指数(CPI)も2%の目標に向け徐々に上昇率が高まる」との見通しを示したが、「それにはなお時間がかかる」とも指摘。「かなり強力な緩和を粘り強く続ける必要がある」と強調した。
その上で「経済・物価情勢を慎重に点検して、必要かどうかを決定する。緩和余地がないということはない」と繰り返した。
会議では参加者から「今後さらに緩和する余地は少なくなっている」との発言もあったという。これについて黒田総裁は「それぞれの国の財政や金融、経済の状況をみないと(判断できず)、一般論として金融政策の余地が少なくなってきたと割り切ることはできない」と述べた。
大規模な金融緩和を続ければバブルが発生するリスクと金融仲介機能が損なわれるリスクがあるが、黒田総裁はバブルについて「日本にそういうリスクは見当たらない」と指摘。金融仲介機能が損なわれるリスクについても「日本の金融機関は毎年2─3%融資残高を増加させている」として、「金融仲介機能が低下しているリスクも今のところ見当たらない」と語った。
*内容を追加しました。
木原麗花 志田義寧 編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/kuroda-boj-idJPKBN1WX2MA
欧州中央銀行の政策をゆがませる、インフレ目標2%の呪縛
THE EUROZONE’S 2% FIXATION
2019年10月19日(土)13時40分
ダニエル・グロー(欧州政策研究センター研究部長)
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ECBが大盤振る舞いの旗を振れば、ユーロ圏の公的債務は拡大する D-KEINE/ISTOCKPHOTO
<経済見通しの悪化を理由に金融緩和を再開、ユーロ各国に財政支出の拡大も促す危うさ>
欧州の経済政策をめぐる議論でこれまでよく引き合いに出される数字は3だった。GDP比の3%という財政赤字の上限だ。マーストリヒト条約が定める財政ルールはそう単純ではないが、政策論議では3%という数字が独り歩きしていた。
それが今や2という数字が幅を利かしている。ECB(欧州中央銀行)のインフレ目標2%だ。マーストリヒト条約に定められたECBの最優先課題は、「ユーロ圏の物価の安定」だが、ECBは何年か前に中期的にインフレ率を「2%未満だが、2%近く」にすると決定した。
ECBはこの目標を神聖視してきたが、長らく達成できなかった。ECBだけではない。この10年近く、多くの先進国では中央銀行がどう頑張ってもインフレ率は2%に届かない。
とはいえ、物価が思うように上がらないことが経済に悪影響を及ぼしているかと言うと、そうは見えない。ユーロ圏の雇用は着実に拡大し、失業率は記録的レベルまで下がっている。それでもなおECBは2%の旗を降ろそうとはしない。
そればかりか、今やECBはユーロ圏の景気が陰りを見せ、緩やかな景気後退もあり得るとして、マイナス金利の深掘りなどあらゆる手を使って金融緩和を推し進めようとしている。
経済見通しが悪化したから、金融緩和を推進する――この主張には何の問題もなさそうだが、よく考えてほしい。ECBの役割は中期的に物価の安定を維持することであり、好不況の波に対処することではない。景気に陰りが見えたからといって再び金融緩和に舵を切る理由にはならない。景気循環がもはや物価に影響を与えないような現下の経済状況ではなおさらだ。
金融危機は時間の問題
インフレ率が「2%近く」に達する見込みがないため、ECBはユーロ圏各国に財政支出を拡大するよう盛んにハッパを掛けてきた。これにはあきれる。マーストリヒト条約は、物価の安定を財政政策ではなく、金融政策で実現するよう定めているからだ。
ユーロ圏の雇用状況は引き続き良好なのに、「財政赤字を増やせ」と言うに等しい呼び掛けはいかがなものか。「財政赤字はGDP比3%以内」というユーロ圏の鉄則すら無視していいと言わんばかりだ。
次のページ低インフレは経済停滞の兆候?
何が何でもインフレ目標を達成すべきだという主張の論拠は単純だ。低インフレは(潜在的な)経済停滞の兆候だ、というのである。経済が成長し、失業率が下がっていても、政府と中央銀行はこの理屈で財政出動と金融緩和を正当化しようとする。
だが残念ながら、この理屈は通らない。近年では、ほぼどの国でも経済の停滞と物価上昇率の相関関係は見えにくくなっているからだ。インフレ率が2%に届かないからといって大盤振る舞いをする理由にはならない。
にもかかわらず、今や拡張主義的な見解が大きな影響力を持っている。特にこの何年か金科玉条のように「財政規律」が叫ばれた欧州では、各国政府はようやく支出拡大の理由を見いだし、世論もそれを歓迎している。
ECBもそれを後押ししている。公然とは言わないまでも、より積極的な財政政策を呼び掛けることで、金融政策のみではインフレ目標を達成できないことを暗に認めているのだ。
ECBの政策的なブレのせいで公的債務は拡大する。超低金利のおかげで当面は破綻を免れても、金融危機を招くのは時間の問題だろう。今度ばかりは違うって? さて、どうなるかは見てのお楽しみだ。
©Project Syndicate
<本誌2019年10月22日号掲載>
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/2-155.php
イタリア中銀総裁、ECBマイナス金利の一層の深掘りに消極姿勢
Piotr Skolimowski
2019年10月18日 6:48 JST
ビスコ総裁:最近の金融刺激策で全ての要素を支持したわけではない
マイナス金利の副次的影響にECBは非常に注意すべきだ
イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は、欧州中央銀行(ECB)の最近の金融刺激策について、自身は全ての要素を支持したわけではないと述べ、追加利下げの支持に消極的な考えを示唆した。
ECB政策委員会メンバーのビスコ氏は17日にワシントンで、経済を後押しする上では量的緩和が依然としてマイナス金利よりも効果的だと指摘。マイナス金利の副次的影響にECBは非常に注意すべきだと警告した。
ビスコ氏の見解は、成長率とインフレ率を再び押し上げるためのECBの最新の取り組みを巡る政策当局者の意見の隔たりを映す新たな側面だ。資産購入の再開は当局者の論争の主要部分で、9月の会合での反対は3分の1程度だったが、意見の溝はさらに深まりつつあると見受けられる。
これまでのところマイナス金利は銀行に大きな打撃を与えておらず、実施された他の措置とともに悪影響を埋め合わせていると同総裁は指摘。「しかし、最終的に銀行収益にマイナスの影響を与え、銀行がローンの供給を縮小しかねないため、マイナス金利の意図しない結果を避けるために金利階層化のシステムを導入した」と説明した。その上で「われわれは懸念する一方で、この方向にさらに進むことに極めて慎重なのはこれが理由だ」と付け加えた。
原題:
Italy’s Visco Draws Line on Cutting ECB Rates Deeper Below Zero(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-17/PZJBSMDWRGG001?srnd=cojp-v2
ワールド2019年10月18日 / 14:14 / 7時間前更新
焦点:英経済に「相当厳しい」新ブレグジット協定案
Reuters Staff
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[ロンドン 17日 ロイター] - ジョンソン英首相が17日に欧州連合(EU)と合意した英EU離脱(ブレグジット)協定が発効すれば、メイ前首相の案に比べてEUとの経済障壁は高まり、国は貧しくなりそうだ。
合意した協定案を実行に移すには19日の英議会採決で承認を得る必要がある。ジャナス・ヘンダーソンを運用するポール・オコナー氏は「ジョンソン首相が(議会承認を得て)合意を最終締結することができたとしても、相当厳しいブレグジットになるという認識が広がり、投資家の歓迎ムードはすぐに冷え込むかもしれない」と言う。
英財務省と大半の外部エコノミストの試算によると、EUとの貿易障壁が高まれば、EUに残留した場合に比べて英経済の成長率は低くなり、障壁が高ければ高いほど悪影響は大きくなる見通しだ。
先週示されたジョンソン氏の案に基づき調査会社「変わる欧州の中のUK」が試算したところ、EU残留の場合に比べ英国民1人当たりの所得は中期的に6%、年間2000ポンド(2570ドル)相当減少する。
メイ前首相案の場合には所得減少率は5%未満にとどまり、「合意なき離脱」になると8%超減少する。
これに対しジャビド英財務相は17日、ジョンソン氏とEUの合意によって企業の設備投資を阻んでいた不透明感が晴れるのは「自明の理だ」と反論した。
<金融市場>
金融市場は、「合意なき離脱」のリスクが低下したとして17日の合意を歓迎した。
しかしUBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は、これで英国の成長率は一時的に押し上げられるかもしれないが、長期的な通商環境が不透明過ぎて設備投資の回復には結びつかないとみる。「まだ祝う気にはなれない。経済活動は少し持ち直しそうだが、英経済が低成長トレンドから抜け出せるほど有意な回復ではないだろう」
シンクタンク、欧州改革センターの推計では、2016年の国民投票でEU残留を選んでいた場合に比べ、英国経済の規模は既に約3%小さくなっている。
ジョンソン氏が合意した協定案はメイ氏がEUと合意した案と概ね同じだが、付随する「政治宣言」の内容が薄まったとアナリストは指摘する。
メイ氏の案では今後EUと結ぶ貿易協定について「可能な限り密接な」貿易関係を目指すとしているが、修正案では「野心的な」の一言に置き換えられた。
シンクタンク、インスティテュート・フォー・ガバメントのアレックス・ストジャノビッチ氏は「メイ氏の案であれば、単なる自由貿易協定(FTA)よりも柔らかい協定になっていただろう。現政権が望んでいるのはFTAだとみられ、様相はかなり異なる。英国とEUの間で、特にモノの貿易における規制障壁が残るということだ」と話す。
ホーガン・ラベルズの金融サービス分野専門弁護士、ラケル・ケント氏によると、当初の政治宣言案でも、英国はEU市場にアクセスするためにはEUの規制に縛られるはずだったが、修正案ではその点がよりあからさまになった。英規制当局は、EU離脱後は「ルールを受け入れる」のではなく「作る」立場に立ちたいとしているため、英国とEUの金融市場が分断される可能性が高まるという。
ストジャノビッチ氏は、英国は世界中の国々と二国間貿易協定を結ぶ自由を得るが、ブレグジットによって失われる経済活動を穴埋めすることはできないとみる。「英国がすべての国と協定を結ぶとしても、15年後に英国の国内総生産(GDP)を0.2%押し上げる程度だろう。大半のFTAはGDPにさほど寄与していない」
(David Milliken記者、Mark John記者)
*カテゴリーを追加して再送します。
https://jp.reuters.com/article/uk-brexit-idJPKBN1WX0B4
ビジネス
2019年10月18日 / 13:29 / 1日前
焦点:斜陽のドル/円、取引減止まらず 値動き乏しく魅力低下
基太村真司
4 分で読む
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[東京 18日 ロイター] - 為替市場でドル/円の存在感が低下している。取引高は依然としてユーロ/ドルに次ぐ第2位だが、最近の調査では主要通貨間で唯一、減少傾向に歯止めがかかっていないことがわかった。主因と考えられているのは、値動きの悪さ。今年も年間値幅が過去最低を更新する見通しであるなど動きが乏しく、投資対象としての魅力が低下。投資の減少が値動きを抑制するという循環に陥っている。
<取引高は3%減、ユーロ/ドルは3割増>
国際決済銀行(BIS)が3年に1度実施している為替取引高調査によると、2019年4月のドル/円の取引高は1日平均で8710億ドルと、前回16年調査から3%減少した。主要通貨間で16年に続いて、取引が減少したのはドル/円のみ。新興国通貨を含めても、連続減はユーロ/トルコリラなど数えるほどしかない。
前々回調査の13年、為替取引は円のみならず世界的に増加した。16年はその反動で多くの通貨が減少したが、それも一巡し今年は軒並み復調。取引高トップのユーロ/ドルは13年に34%増、16年には5%減少したが、19年は30%増だった。
ドル/円取引減少の要因は、端的に言えば儲からないためだ。「相場が動かないので儲からない。投資が少なくなれば値動きも鈍るという循環になっている」(バークレイズ証券のチーフ為替ストラテジスト、門田真一郎氏)という。
<「フラッシュクラッシュ」含めても値幅は8円>
今年のドル/円の高値は4月につけた112.40円。安値は1月3日に日本勢不在の中で瞬間的につけた104.10円だ。値幅は8.30円。変動相場制移行後に初めて年間値幅が10円を割り込んだ昨年を、現時点ではさらに下回っている。
1月3日や8月26日など、ドルが安値を更新した際でさえ、自動売買システムが介在していたことが多く、実際の取引高は少なかった。特に正月休みだった1月3日は、短時間で5円近い値動きとなったものの、市場筋によると、下落・反発局面で成立した取引高は10億ドルにも満たなかったという。
取引がほとんど成立せず、気配値だけが大きく振れた日を含めても値幅が8円強。「実質的には105─110円プラス誤差、の上下5円ぐらい」(都銀)というのが市場参加者の実感だ。
<アベノミクスへの失望>
ドル/円が動かなくなった一因は、海外投資家の「アベノミクス」に対する期待感の後退にあるとみられている。
2013年、日銀の大規模緩和と巨額財政出動、海外投資の活発化といったアベノミクス効果で、ドル/円は年始の安値86円から年末高値の105円まで20円弱急騰。取引量も10年対比で72%増とほぼ倍増した。対ドル以外も含む円の取引シェアは23%まで拡大。10年調査ではシェア39%と20%ポイントあった2位ユーロとの差を、一気に10%ポイントまで詰めた。
しかし、景気回復は他国に比べ遅く、物価も2%の目標に到達していない状況が続く。当初は日本の大変革に期待した海外勢の期待も薄れ、ドル/円は16年6月に一時100円を割り込んだ。その後は、年を追うごとにレンジは小さくなっている。
「期待した成長戦略は一向に進まず、失望をあらわにする海外投資家も少なくない」(外資系証券)という。アベノミクス以降の海外勢の日本株累計買い越し額(現物と先物の合計)もぼぼ消滅。円売りと日本株買いを組み合わせた「ダブル・デッカー(二階建て)取引」はすっかり鳴りを潜めている。
ドル側の要因もある。金利の低下したドルがキャリー取引の調達通貨として使われる機会が増え、円と同じ特性をドルが持ち始めたことだ。これによって、ドルと円は市場心理の明暗に応じて同じ方向へ動くことが増え始めた。
4月の通貨オプション市場では、ドル/円の1年物予想変動率(インプライド・ボラティリティー)が過去最低を更新した。
<光明はクロス円>
斜陽の円相場にも光明はある。ユーロ/円や豪ドル/円といった、クロス円の取引は増加していることだ。主要クロスだけでなく、対新興国通貨も増加している。BISによると「高金利通貨の対円取引は日本の個人投資家に魅力があり、世界平均より取引高の増加ペースが早い」という。
BISの集計では、トルコリラ/円と南アフリカランド/円、ブラジルレアル/円を合計すると、今年4月の1日平均取引高は120億ドル。ドル/円の取引規模にはまだ遠く及ばないが、16年の70億ドルからほぼ倍増した。取引通貨の広がりを受けて、クロス円取引に占めるユーロ/円の割合は、04年の8割超から19年に5割を割り込んだ。
しかし、その理由も日本経済の「低温度」にある。国内の低金利環境が長引く中、運用難に悩む国内大手機関投資家が、リスクは高くても金利収入が見込めそうな国や発行体をやむなく対象とし始めるなど、投資先を広げているためだ。
通貨の安定は、企業にとっては収益の安定につながるため、必ずしも悪いことではない。むしろ安定を望む声の方が多いだろう。しかし、通貨の動かない理由が日本経済への失望では、明るい未来は描けない。
(編集:青山敦子)
https://jp.reuters.com/article/dollar-yen-trade-idJPKBN1WX0D4
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