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かんぽの影で「ゆうちょ」も大問題、反省なき日本郵政の奇妙な言い訳 ウソの記録を捏造していたのに…
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67729
2019.10.15 藤田 知也 現代ビジネス
かんぽ生命保険の不正販売で大揺れの日本郵政グループ。郵便局の信用を逆手にとって高齢者に不利益な契約を押しつけていたという一連の問題で、グループ内で収益の要を担うゆうちょ銀行の影はまだ薄い。
しかし、かんぽ問題と同様に、ゆうちょ銀行でも経営層が過大な営業目標やノルマを現場に押しつけ、不適切販売が行われていた疑いが浮かびつつある。朝日新聞経済部の藤田知也記者がリポートする。
架空の電話実績を捏造
ゆうちょ銀行が「疑惑」の記者会見を開いたのは、9月13日のことだ。
「(原因は)営業実績とかノルマみたいなものではない」
「(不適切販売で)なんとかして実績を稼ぐ、ということではない」
記者会見のひな壇にいたゆうちょ銀行の投資信託事業部長はそう繰り返し、同行で横行していた投資信託の不適切販売と営業目標やノルマとの関係を、きっぱりと否定してみせた。その場には同行の常務も同席していた。
その日、同行による投信の不適切販売についての調査結果が公表された。
ゆうちょ銀行の社内規定では、高齢者に投信などを売り込むときには、まずは健康状態や金融商品への理解、投資の意向などを確認する。「勧誘して問題のない客かどうか」を管理職がチェックしてからでないと、実際の商品勧誘には移れない。日本証券行協会の指針にもとづいて策定された規定だが、実際には事前の確認手続きを省いて投信が売られまくっていた。
調査結果によれば、規定違反は2万件近くも見つかった。ゆうちょ銀行の直営店で213店(全店の91%)と広範囲におよび、割合では委託先の郵便局(同12%)よりはるかに大きい。ゆうちょ銀行での過去1年の高齢者向け取引では、4割超で規定違反があり、少なくとも約600人の行員が関与していた。
驚かされるのは、多くの管理職がウソの記録を捏造していたことだ。事前確認は顧客本人に電話などで行うものだが、そうした電話をかけた事実がないのに、架空の日時とともに電話などの実績をチェックシートに書き込んでいた、というのだ。
顧客への意向確認のチェックシート自体が「ウソ」というのは、深刻な事態だろう。
不適切販売の事例が浮上したあと、同行が事前確認の有無を確認しようにも、その記録が当てにならないため、調査は確認手続きを省いた行員らの「自白」が頼り。同行が過去1年分の取引しか調べなかったのは、それ以上さかのぼって調べるのは難しいと考えたからだという。
矛盾した「社員向け説明資料」
冒頭の記者会見に話を戻そう。
ウソの記録を捏造してまで、必要な手続きを省く規定違反がなぜ横行したのか。
その「発生原因」について、ゆうちょ銀行が公表した調査結果には「ルール趣旨の認識不足」や「不十分なチェック態勢」などと記され、会見でも同様の説明がなされた。
かんぽ問題が炎上しているさなかだけに、記者からは「過大な営業目標やノルマが影響したのでは?」との質問が相次いだが、前出の部長はそのたびに否定。「影響はまったくないんですか?」と聞かれても、部長は「営業に対して『大変だ』との声はなくはないが、通常の営業活動の話。この(不適切)事案がそういうものではない」と重ねて否定してみせた。
記者会見はもやもやとした空気を漂わせながら終幕した。
ところが、その後の朝日新聞の報道で、記者会見と同じ日、一連の問題についてまとめた資料が社員向けに配られていたことが明らかになった。そこには約40の店舗での聞き取りなどを踏まえ、5つの「発生原因」がこう記されていたという。
(1)社内ルール (2)意識 (3)チェック態勢 (4)組織風土 (5)営業目標・評価 |
ご覧のとおり、(1)〜(3)はゆうちょ銀行の公表資料や記者会見の内容と符号する。しかし、(4)には触れられず、(5)の「営業目標・評価」にいたっては、記者会見で何度も否定されたものであり、明らかに矛盾している。
直営店の現場では「目標数字に追われている」「手続きを省いて一気に契約まで進めないと数はこなせない」といった声もある。だが、ゆうちょ銀行は記者会見で、必要な手続きを省いたからといって営業実績にすぐ結びつくわけではないから、営業目標が原因とは考えられないのだ、とも主張した。
朝日新聞は9月18日付朝刊で、記者発表とは矛盾する社内資料が存在することを報じているが、その後もゆうちょ銀行は、「営業目標やノルマは不適切販売とまったく関係がない」とした説明について訂正していない。
本当に「ただの認識不足」なのか?
ある日本郵政グループ幹部は、ゆうちょ銀行の対応にこう頭を抱える。
「社内資料を見れば、『営業目標』を問題の一因に位置づけていたのは明らか。よもや社内への説明のほうが間違っているというわけではないだろう。素直に『それも一因と考えられる』などと認めればいいものを、なんの影響もないとまで断定的に否定したのはいかにもマズかった。意図的に隠したと思われてもしかたない」
不適切販売が、過大な営業目標やノルマにも起因している可能性があるとすれば、問題はただの「二枚舌」にとどまらない。原因分析が的外れなら、不適切な営業実態をなくすための再発防止策も見当違いとなり、不正の温床が温存されるおそれがあるからだ。
そもそも、ゆうちょ銀行が問題の主因とした「ルールの趣旨の認識不足」は、行員が「ルールを知らなかった」という意味ではなく、「ルールは知っていたにもかかわらず、きちんと守るほど大事とは思わなかった」という意味なのだという。
疑問が浮かばないだろうか。
顧客への投資勧誘といえば、金融機関の個人営業にとっては「要」の業務のはずだ。「大事とは思わなかった」という軽いノリで、勧誘ルールを破れるものだろうか。
しかも、単に手続きを怠るだけではなく、管理職らが記録を捏造してまでルールを破っていたのだ。そこには不正を働いているという「自覚」と、それを隠蔽しようとする「意思」がうかがえる。
ウソの記録までつくる動機が、「大事とは思わなかった」という子どもじみたセリフで済まされるのは、普通の会社ではなかなか理解できない。現場の管理職がいっしょになって記録を捏造しまくるわけだから、これは「チェック態勢」以前の問題だろう。
研修だけで「万全な対策」?
このように、ゆうちょ銀行の「公式」の説明には、居心地の悪さを覚える。記者会見で「営業目標の影響」をかたくなに否定する態度も不自然だ。
不適切販売の背景に、営業目標やノルマの影響があることを本当は否定できないのに、そうした可能性をあえて強く否定し、押し隠そうとしたのではないか。そんな疑念が拭えない。
ゆうちょ銀行の2018年度の投信販売額は8910億円で、前年度より2割増えた。同行の業績を牽引する数少ない成長分野であり、ここ数年はその目標販売額を大幅に引き上げてきた。
過大な営業目標が「不適切販売の一因」と公式に認めれば、今期以降の営業目標の見直しは必至となる。収益を無理に追い求めた結果、ルール破りが横行していたとしたら、それは悪質な不正営業が大量に発覚しているかんぽ問題にも通じる話だ。
日本郵政グループ全体で、ガバナンスの機能不全やコンプライアンス意識の欠如が深刻になっている疑いが深まり、積極的な勧誘の自粛や外部専門家による原因究明まで求められかねない。
だが、公式に「営業目標やノルマは不適切販売とまったく関係ない」と説明している限り、営業目標を見直す必然性はない。仮に今後、営業目標を変えることがあるとしても、それは「不適切販売の問題とはまったく無関係」と言うつもりなのだろう。
ゆうちょ銀行は「本社の指導不足があった」として、行員たちへの研修を再発防止策の肝に据える。高齢者への事前確認などのルールを「大事だ」とたたき込むのだという。
それで対策は万全とばかりに、ゆうちょ銀行直営店では投信の勧誘が今日も続けられている。今のところ、営業目標が変わるという話も聞こえてこない。
これで膿を出し切れるのか。不安を覚えるのは私だけではないだろう。
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