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「地球にやさしい」労働時間は、週9時間!?
2019年10月4日(金)18時15分
松丸さとみ
https://www.youtube.com/watch?v=fjuuxrpLGmA
9月、スペイン南東部は過去100年で最大の豪雨に見舞われた...... Susana Vera-REUTERS
<英国の独立系シンクタンクは、気候変動を抑えるためには、1週間あたりの労働時間は週9時間程度にまで削減する必要があるとする報告書をまとめた......>
気温上昇を2度に抑えるために
9月に米ニューヨークで開催された国際連合(UN)気候行動サミットが話題になったこともあり、地球温暖化について、これまでよりも考えるようになった人も多いのではないだろうか。個人の力でできることは、肉食を減らす、車ではなくなるべく自転車で移動する、など複数あるが、「労働時間を減らす」ことも効果があるようだ。
「働くこと」に特化した英国の独立系シンクタンク「オートノミー」はこのほど、気候変動を抑えるためには、1週間あたりの労働時間は週9時間程度にまで削減する必要があるとする報告書をまとめた。
オートノミーは、現在の経済活動で排出される温室効果ガスを考慮したとき、気温の上昇が2度で済む程度にまで排出量を削減するためには、週当たりの労働時間をどこまで短縮する必要があるのかについて調べた。
報告書は、労働時間と温室効果ガス排出量の関係性についてこれまで行われてきた、複数の調査を分析。その上で、経済協力開発機構(OECD)のデータに基づき、OECD全体、英国、スウェーデン、ドイツについて、地球環境が持続可能となる労働時間を算出したも。
余暇時間は贅沢ではなく必須
報告書は、スウェーデンのようにすでに炭素効率性の高い国であっても、労働時間は週12時間以下に抑える必要があるとしている。英国は週9時間、ドイツ週6時間、OECD平均では週に約6時間に短縮する必要がある。スウェーデン、英国、ドイツの平均だと週9時間となる。ドイツの数値が高い理由は、現在の時間当たりの生産水準が高いために、より大きな削減が必要となるためだ。
オートノミーが分析で使用したデータは、産業革命以前と比べたときの気温上昇を2度に抑える前提で行われた研究だ。パリ協定では、さらに厳しい1.5度を「努力目標」としている。
オートノミーは、労働時間の短縮のみでは目標を達成することは不可能であり、製造業や化石燃料抽出などのセクターから、森林管理などより「グリーン」なセクターや、サービス業などに経済活動をシフトする必要があるとしている。また、もはや「余暇時間は贅沢というより、緊急に必要なこと」とも述べている。
とはいえ、定時で仕事を終えても週40時間ほどになる日本を含むほとんどの国では、週9時間にまで減らすなどとてもムリな話だ。オートノミーは、本報告書が非現実的であることを理解していると示唆した上で、「悲惨な状態になるのを避けるには、今のまま続けることの方がもっと非現実的」だとしている。
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労働時間1%減でもCO2排出削減効果が
ただ報告書には、こんなデータも掲載されている。2015年に発表された研究では、労働時間を1%減らすことで、温室効果ガスの排出量が0.8%削減できると示唆されたという。また、2012年に発表された研究では、労働時間の1%短縮が、カーボンフットプリントの1.46%削減、二酸化炭素の排出量0.42%削減につながるとしている。
週9時間に減らすことが無理でも、1%減らすことならなんとかできそうな気がしてくるのではないだろうか。
環境問題対策だけが原因ではないが、労働時間の短縮は世界的なトレンドになりつつある。英BBCによるとドイツでは2018年、100万人近い鉄鋼業従事者が1週間当たりの労働時間を、それまでの35時間から28時間に短縮する権利を勝ち取った。また英国では野党労働党が、全国的に週4日勤務を実施する考えを検討している最中だ。
英ガーディアン紙は2015年、スウェーデンにある介護施設の試みを紹介していた。看護師の1日の就業時間を6時間に短縮したことで、効率が上がった上、離職者を減らすことができたという。
気候変動問題の解決に向けて、技術イノベーションの重要性が増しているが、「働き方」をめぐっても、さまざまな議論が生まれている。オートノミーは今回の報告書の中で、地球の生態系が取返しが付かないほどに変わってしまうようになるまでに残された時間は少ないと述べており、この報告書が、議論のための刺激になれば幸いだと結んでいる。
次のページ動画:労働時間を少なくすることは地球を救う
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/9-30_3.php
「温室効果ガスゼロ」は豊かな国のエゴイズムだ 地球温暖化に適応するインフラを整備せよ
2019.10.4(金)
池田 信夫
環境 時事・社会
ニューヨークで開催された「第74回国連総会 気候行動サミット」の様子(2019年9月23日撮影、写真:TT News Agency/アフロ)
(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
国連の気候行動サミットで話題を呼んだのは、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリの演説だった。彼女は去年(2018年)から学校を休んで世界各国でデモに参加し、これまでにもイギリス議会、フランス議会、EU議会、アメリカ議会、COP(国連気候変動枠組条約会議)などで演説してきた。
16歳の高校生が、世界各国の議会や国際機関で演説するのは異例だ。この背景には、グレタを「人類の未来の代表者」として利用する世界の環境NGOの動きがあるが、彼らの運動で世界の環境はよくなるのだろうか。
豊かさが命を救う
グレタの演説は絶叫調で、その内容は単純である。
人々は苦しんでいます。人々は死にかけています。生態系全体が崩壊しています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。それなのにあなたがたが話すのは、お金と永遠の経済成長のおとぎ話ばかり。よくそんなことがいえますね!
地球温暖化で人類を含む生物が「大量絶滅」するというのは誤りである。人類は絶滅どころか、人口が激増している。地球上の種が減るという意味の大量絶滅は起こっているが、その原因は温暖化ではなく、人類が環境を破壊してきたことだ。1970年から今までに行われた環境破壊は、4℃の気温上昇に匹敵する。
人類以外の多くの動物にとって地球環境は悪化しているが、人類の生活環境は大きく改善された。産業革命前には人類の94%が1日の所得が2ドル未満の最貧層だったが、今は最貧層は10%以下になった。乳幼児死亡率は43%から4.5%に下がった。
生活環境が改善した最大の原因は、豊かになったことだ。日本の最近の災害で被害が最大だったのは、昨年の西日本豪雨の死者227人だが、1959年の伊勢湾台風の死者は5238人だった。昔の台風の被害が大きかったのは台風が大きかったからではなく、堤防などのインフラが整備されていなかったからだ。
温暖化は熱帯の防災問題
グレタは「30年以上にわたり、科学が示す事実はきわめて明確でした」というが、残念ながら事実はそれほど明確ではない。1981年から2010年にかけて地球の平均気温は0.3℃上昇したが、ここ数年で0.1℃下がった。今後も上昇すると予想されているが、不確実性が大きい。
温暖化の1つの原因が人間の排出する温室効果ガスであることは確かだが、その影響も不確実だ。9月25日に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の海洋・雪氷圏特別報告書(SROCC)では、第5次評価報告書の気温上昇予測にもとづいて、今後の海面上昇を予測している(下のグラフ)。
2300年までの平均海面上昇の予測(m)(出所:SROCC)
https://www.ipcc.ch/srocc/home/
https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/57829?img=img_45daf2b369a18f0e035b989adb31db8955048.jpg
今世紀末までに地球の平均気温が今より4.8℃上昇する最悪のシナリオ(RCP8.5)では、北極や南極の氷が溶け、2100年に世界の海面は60〜110cm上昇する。地球温暖化に関するパリ協定の2℃目標が実現した場合(RCP2.6)には、30〜60cm上昇する。
パリ協定が実現される見通しはないので、RCP2.6は除外してよいが、何もしないで化石燃料をどんどん燃やすRCP8.5も過大評価だろう。大方の専門家の見方は、2100年までに2〜4℃上昇というものだ。それ以降の予測は参考値で、厳密な計算ではない。
最悪の場合、2100年までに何が起こるだろうか。SROCCの予測では最大84cm海面が上昇し、熱帯では洪水が増える。太平洋の小島が水没し、サイクロンや豪雨が増える。海洋熱波は20倍から50倍に増え、熱帯では漁獲が減るが、南極海では増える。
被害は熱帯に集中しており、先進国で考えられるのは(最悪でも)毎年1cmぐらいの海面上昇である。これは長期間かかって起こるので、インフラ整備で対応できる。地球温暖化は先進国では緊急の問題ではなく、熱帯の防災問題なのだ。
世界にはまだ成長が必要だ
温暖化サミットでは「2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ」という目標が掲げられ、それに77カ国が賛成したが、この中には日本もアメリカも中国もインドも含まれていない。国連が語らないのは、温暖化を止める具体策である。
パリ協定で日本は「2030年までに温室効果ガスを2013年の水準から26%削減する」と約束したが、そのためには電力に占める再生可能エネルギーの比率を22〜24%、原子力を20〜22%にしなければならない。
これは不可能である。再エネ比率は(水力を含めて)16%でピークアウトし、原子力は3%で再稼働の見通しが立たない。それより最大の問題は、電力は最終エネルギー消費の26%を占めるに過ぎないことだ。
1次エネルギー供給の87%は(石油化学や自動車を含む)化石燃料であり、その消費をゼロにすることはできない。CO2ゼロという目標は、物理的に不可能なのだ。世界全体をみると、経済成長はまだ足りない。
堤防などのインフラ整備のコストは、CO2を削減するコストよりはるかに安い。ビル・ゲイツや潘基文などは、地球温暖化に適応する投資を促進する世界適応委員会という財団を設立した。
地球規模で最大の問題は、温暖化ではない。今も地球上では毎日1万人以上が、感染症で死亡している。大気汚染でも同じぐらい死亡している。その原因は貧しさである。まともな水が飲めず、家の中で木を燃やして暖を取るしかない人々が、世界にはまだ何億人もいるのだ。
グレタのようにヨットをチャーターして大西洋を渡れる金持ちの白人には、お金も経済成長もいらないだろうが、 地球上の温室効果ガスの半分以上を出す途上国(中国やインドを含む)にとっては、地球の平均気温より生きることが大事だ。
日本が地球環境に貢献できるのは、無理やりCO2を減らすことではなく、熱帯のインフラ整備に投資することだ。世界にはまだ経済成長が必要である。
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「サウジアラビアが配備しているアメリカ製防空システム、それもアメリカ防衛産業が誇る高額な防空システムが全く役に立たなかった」という事実が国際社会に明らかになってしまった。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57829
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