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「ドル破滅」シナリオに備えはあるか?
長期投資のパラダイムが変わる可能性、超低金利も永遠ではない
2019.10.3(木)
Financial Times
世界情勢 アメリカ 経済 マネー (英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年9月30日付)
世界の貯蓄者、特に老後に備える米国の貯蓄者は、もう何十年も前から、お金の大半をS&P連動ファンド――最大級の米国企業の動きを追跡する指数連動ファンド――に預け、定年が近づいてくるまで忘れておくべきだと教えられてきた。
1980年代半ば以降、これはおおむね良い助言だった。
何しろ、米国の多国籍企業への投資はグローバル化を買う一番の方法であり、グローバル化は多くの大企業の株価にとって非常に良いことだった。
しかし最近、筆者は考え始めた。もし長期投資のパラダイム全体が変わるのだとしたら、それは何を意味するのだろうか――。
我々の知るグローバル化は保留されている。それだけは分かっている。
だが、非常に長い「金融抑圧」の期間、つまり金利の低下がもう一つの根本的な真実を覆い隠した時代の終わりも近づいてきているのだとしたら、どうか。
世界における米国の地位は変わり、米国企業の潜在的な成長力も変わった。もしこれが事実だとすれば、我々は米国の多国籍企業の株価だけでなく、ドル自体の調整も迎えようとしているのかもしれない。
であれば、米国の個人貯蓄者から欧州とアジアの巨大年金基金まで、世界中の投資家に甚大な影響を及ぼす。
これは為替調査会社AGビセット・アソシエ…
これは為替調査会社AGビセット・アソシエーツが「Doomsday Dollar(破滅を迎えるドルの意)」と名づけたシナリオだ。
一見する限り、米国株とドルが同時に下落するという考えは疑わしく思える。
一つには、米国株とドルは反対方向に動くことが多い。近年そうだったように、ドルが安くなると、多くの米国企業の輸出品が世界市場で競争力を増すからだ。
もっと言えば、中国やロシアのような一部の国が政治的、経済的な理由でドル建て資産から離れ始めているにもかかわらず、ドルは依然、世界の準備通貨だ。
米ブルッキングス研究所が先日公表した調査が指摘しているように、世界の外貨準備高に占めるドルの割合は2007年以降、2ポイントしか低下していないのに対し、ユーロの割合は6ポイント低下している。
そして、周知の通り、米国の政治家も多くの米国企業もその間、栄光を誇ったわけではない。
だが、世界の外貨準備制度における変化は、起きるのに長い時間がかかる。
為替の動きはもっと素早い。実際、AGビセットのウルフ・リンダール最高経営責任者(CEO)が指摘するように、世界の主要通貨は15年周期で上下する傾向がある。
1970年代初頭以降からの為替動向を追跡…
1970年代初頭以降からの為替動向を追跡したリンダール氏の計算によれば、我々は2017年1月に新たなサイクルに入っており、2018年4月以降のドル高にもかかわらず、このサイクルはまだ崩れていない。
もしこの理論が正しければ、ドルは向こう数年間でユーロと円に対して下げ、下落率が最大で50〜60%にのぼるという。
そのような変化には、どんな影響があるのか。
まず、欧州と日本の年金基金のような米国外の投資家や、裕福な個人の資産を管理するファミリーオフィス、大手の金融機関がドル資産の下落によって大打撃を被る。
もしこうした投資家が投資ポートフォリオを見直し、ドル資産から転換し始めたら、米国株の下落基調を悪化させる可能性がある。
米国株が過去150年で2番目に高い時期を迎えていることから、これは多くのアナリストが、いずれにせよ訪れると考えている展開だ。
そうなると、今度は老後の備えの大半をこうしたS&P連動ファンドに預けている米国の貯蓄者が打撃を受ける。
一部の抜け目のない投資家はすでにこの兆候を見て取り、金にシフトしている。ほかのコモディティー(商品)も相場が上昇すると筆者は見ている。
もし「破滅の日」シナリオが実際に展開すれ…
もし「破滅の日」シナリオが実際に展開すれば、投資家はユーロと円にも殺到するかもしれず、そうなると米国の債券利回りが上昇せざるを得なくなる。
これはほとんど誰も予期していない出来事だ。世界は永遠に低金利環境から抜け出せないというのが一般的な見方になっている。
だが、もし債券利回りが上昇すれば、株式よりも債券を保有している貯蓄者の助けになるかもしれない。ただし、債務に苦しむ企業を罰することにもなる。
また、すでに国際決済銀行(BIS)が警鐘を鳴らしたように、金利が上昇した場合に債務を返済して事業を継続するのに苦労する「ゾンビ企業」が世の中にたくさん存在する。
過去数十年間で、我々は米国株の強気市場だけでなく、巧妙な財務戦略もふんだんに見てきた。企業は税制から自社株買いまであらゆる手段を使い、経済の重力に抗うためにできることをやってきた。
そして中央銀行が金融緩和政策でこうした企業を手助けしてきた。
筆者の意見では、これこそが、政治経済における幾多のリスク要因と企業にとっての難題にもかかわらず、米国株とドル建て資産の価格がこれほどの高値を維持してきた理由だ。
究極的には、もし米国企業がもはや世界一の競争力を持たないと見なされるようになれば、株価が下落し、ドルも下げるだろう。
我々はその段階を迎えたのだろうか。それは…
我々はその段階を迎えたのだろうか。それはまだだ。
だが、米国の技術基盤の衰えや老朽化するインフラ、研究投資の不足を考えると、もうすぐその段階に到達するのではないかと思える。
企業自身がその考えを行動で示しているように見える。
コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)の最近のリポートは、「フォーチュン・グローバル500」に入っている米国企業の数が2000年の179社から121社に減少する一方、中国に本社を置く企業の数が10社から119社に増えたことを示している。
これは、企業が将来の成長を見込む場所に変化が起きていることを表すシグナルだ。
つまり、アジアということだ。もしそうだとすれば、多くの人には、新しい世界のための新しい投資戦略が必要になる。
By Rana Foroohar
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「現代金融の柱」壊すマイナス金利−ブラック・ショールズ機能せず
Brandon Kochkodin
2019年10月3日 12:20 JST
• 数学モデルが機能しなければ金融商品のリスク評価が問題になる
• 「どのような影響が出るか。数学モデルはどうなるか」と問い合わせ
マイナス金利は「現代金融の柱」の一つをまさに文字通り壊したようだ。
マイナス金利の利点と欠点、そのグローバルな影響について、エコノミストやセントラルバンカーが比較検討する中で、トレーダーはより日常的だが、根本的な問題への取り組みを迫られている。マイナス金利によって複雑な数学モデルが機能しなくなる事態に直面し、金利スワップのような数兆ドル相当の金融商品のリスクをどのように評価するかという問題だ。
過去40年のデリバティブ(金融派生商品)の発展を支え、対数正規分布が重要な役割を果たすブラック・ショールズ・モデルの一部のバリエーションが使えなければ、代用となるのは、19世紀にさかのぼるものさえ含む近似法の寄せ集めだ。
現状は深刻な問題というよりむしろ厄介であり、これまで日本と欧州におおむね限定されてきたことも確かだ。だが、マイナス金利が長期にわたる経済的特徴となり、マイナス利回りの債券が15兆ドル(約1606兆円)相当に達しようとする状況で、米国を中心にますます多くのトレーダーが問題の理解に努めるようになった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの金利ストラテジスト、スピア・サリム氏(ロンドン在勤)は「『マイナス金利でどのような影響が出るか。数学モデルはどうなるか』知りたいと考える米国の顧客から問い合わせを受けるようになり、かなり驚いた」と語った。
マイナス金利について論じるダドリー前NY連銀総裁
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iENMCascbfZw/v2/pidjEfPlU1QWZop3vfGKsrX.ke8XuWirGYh1PKgEw44kE/576x-1.png
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iSakOZycVpZE/v1/576x-1.png
Black Scholes Calculator - Good Calculators
https://goodcalculators.com/black-scholes-calculator/
原題:How Negative Rates Broke Black-Scholes, Pillar of Modern Finance(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-03/PYORMH6JTSE901?srnd=cojp-v2
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