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「新卒第一主義」は変わらない? 中途入社組と出戻り社員たちの本音
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190728-00000004-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 7/28(日) 16:00配信
大企業の「新卒第一主義」がなくならない理由とは
今や転職も当たり前の世の中になったとはいえ、まだまだ新卒プロパー主義が根強い日本企業。中途採用に力を入れ始める企業も多くなっているが、大手企業を中心に、依然として新卒採用がメインである企業は少なくない。
エン・ジャパンの「中途入社者の定着」実態調査によると、「中途入社者の定着率が低い」と感じている企業は4割に上っている。一方で、新卒入社した社員でも、3年で3割が辞めているという実態もある。それだけに、近年増えているのが “出戻り社員”だ。
実際、上述の2018年の調査でも、一度退職した社員を“出戻り”で再雇用した企業は全体の72%に上る。2016年の調査から5ポイント増加している。結局、新卒で一度採用した元社員が、再び戦力として見込まれている実態がわかる。中途入社組や出戻り社員たちから、転職にまつわる苦労や本音を聞いた。
30代男性会社員・Aさんは、大手IT企業から大手広告代理店に転職するも、出戻りした社員だ。Aさんが語る。
「新卒で入った企業で、立ち上げから関わったサービスで大きな成果を出すことができました。そして入社3年後、学生時代から憧れていた代理店に第2新卒枠で受かり、2年ほど働きましたが、肌が合わずに退職してしまいました」(Aさん)
出戻りをした理由として、最も大きかったのは「カルチャーの違い」と「中途入社組のプレッシャーの大きさ」だったと話す。
「事業会社と代理店の違いというのもありましたが、一番は転職先のカルチャーが体育会すぎたのと、コネ入社の社員ばかりが贔屓される社風に嫌気がさしたことです。鬱っぽくなっていたところ、当時の役員から『戻ってその経験を生かさないか』と打診され、キャリア採用という形で戻ることができました。
新卒で入った会社は、同じ目標や、価値観を持った人が多くて仕事がしやすかった。その点、大手企業の中途入社は、自分にいくらスキルがあったとしても、生え抜き社員の方が社内人脈などで圧倒的にアドバンテージがあるので、それ以上の成果を常に出し続けなければならないプレッシャーがすごい。新卒至上主義は“悪”だと思っていましたが、大手企業では円滑に仕事を進めるには、ある意味で合理的なシステムだと感じました」(Aさん)
横のつながりがない中途入社組の苦労
別の30代男性会社員・Bさんは、新卒時はリーマン・ショックの煽りを受けて就活も苦戦。いったん中小企業に入社するも、20代後半で東証一部上場の大手企業の転職に成功。磨いてきた高いスキルと高偏差値の私大卒という学歴もあってリベンジ転職となったが、中途入社した当初は居心地が悪かったと明かす。
「中途採用がほとんどない部署だったこともあり、自力で成果を出して、会社のカルチャーを理解する必要があり、苦労しました。特に多くの職種の人たちと連携が必要な職種だったため、ゼロから社内人脈を構築していくのは本当にきつかったです。社内の承認を得るのに暗黙のルールやしがらみも存在するのも厄介でした。同年齢の生え抜きの同僚を見ていると、本当に羨ましかったですね。やはりずっと同じ会社にいるというだけで、違う部署にいても共通の話題ができる。各部署で可愛がられている印象でした」(Bさん)
出世にも生え抜きか中途入社かは大きく関わってくるという。Bさんは「ハズレを引いた」と苦笑いを浮かべる。
「大手企業は生え抜きじゃないと出世しにくいという噂は聞いていましたが、いざ自分がその立場になったときに、思い知らされました。うちの会社の場合、部長以上のほとんどが生え抜きで、これは先がないな、と。
確かに会社への忠誠度が高い生え抜き社員の方が、社内評価も高くて出世しやすいのは納得できる部分もあります。終身雇用を続けてきた伝統的な大企業の団結力や強さみたいなものを見た気がしました」(Bさん)
新卒入社で大手企業に10年以上勤め、その後ベンチャー企業に転職した経歴を持つ40代女性会社員・Cさんは、「色々な会社があるから、一概には言えませんが…」とことわったうえで、中途入社組が苦労する理由をこう分析する。
「生え抜きだと、いろんな部署に知り合いがいたり、だんだん同期が偉くなっていったりして、ちょっとした相談があったり、情報がほしいときに気軽に話ができる。中途入社組は横のつながりがなく、社内の人間関係を意識して広げないといけないので、その過程で社内の風土に合わず、辞めていく人を何人も見てきました」(Cさん)
また、Cさんは、働く側として、新卒と中途での企業選びの違いに注目する。
「最近は新卒でも条件面を重視するといいますが、昔は条件はそこそこで、どちらかというと“自分のやりたいこと”を重視したり、リクルーターの人柄や会社の社風に惹かれて入社する人も多かった印象があります。
一方で、中途入社の人は給与や福利厚生などといった条件やスキルマッチで企業を選びがちだし、選ばれている。条件がいいところがみつかれば、すぐにまた転職してしまいそうな危うさがあります。そういった意識の差を、生え抜き社員も感じるのでしょう。なかなか溝が埋まらない所以です。ただ、これはあくまでも相当の大企業の話。中途社員も多い中小企業では、どんな経歴であれ、フラットに付き合っている印象があります」(Cさん)
売り手市場の昨今、“新卒カード”の切り方に、より慎重さが求められそうだ。
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