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中国やアフリカ諸国の後塵を拝する日本「プラごみ対策」の無残
https://diamond.jp/articles/-/207091
2019.6.28 5:45 姫田小夏:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
シカのプラごみ誤飲による死亡が相次ぐ奈良公園だが、奈良市も公園事務所も本腰を入れて対策しているとは言い難い。そもそも、日本のプラごみ対策自体が、国際的に見れば大きく遅れている Photo by Konatsu Himeda
6月、民放のニュース番組で、白いレジ袋をモグモグと呑み込む奈良公園のシカが映し出された。奈良公園のシカは食欲旺盛で、数枚のシカせんべいをあっという間に平らげてしまう。「もっとちょうだい」と迫ってくるシカに、手持ちのレジ袋までも奪われそうになる――そんな経験を、筆者も含む多くのツーリストがしているだろう。
2018年度における奈良公園のシカの生息頭数は1360頭(毎年7月時点調査)で、1年間の死亡数は347頭(奈良県奈良公園室)を数えたというが、誤飲と無関係ではない。テレビのニュースはそのシカの怪死について、「お腹から出てきたのは、レジ袋などの大量のプラスチックごみだった」と伝えた。
シカの誤飲問題は以前から顕在化しており、奈良市はホームページに「レジ袋の削減に関する取り組みについて」というページを設け、2018年5月23日付で以下のように伝えている。
「国の天然記念物である奈良の鹿についても、散乱したレジ袋を誤飲し病死するという被害が見受けられます。レジ袋無料配布中止による消費量の減少を通して、レジ袋散乱の更なる減少、ひいては鹿の誤飲被害の減少に繋がると考えています」(下線は筆者)
足元の奈良公園内に立地する小売店でのレジ袋無料配布の中止はどれだけ進んでいるのか、その取り組みの進捗を取材するため、同市の環境部環境政策課に電話をした。しかし、その回答は耳を疑うようなものだった。
「(奈良公園内の)商業施設でレジ袋を配布しているかどうかわかりません。市として実態調査を行っておりません。レジ袋の有料化は以前から取り組みはありましたが、奈良公園ではまだ手を付けていません」
一方で、同課は怪死の原因となるレジ袋について「ツーリストによる持ち込み」と認識しており、「観光ガイド掲載やPRなど、広報活動に力を入れる」という。
近年、奈良公園には日本人以上に外国人が多く訪れており、「外国人ツーリストが故意にレジ袋を食べさせているのではないか」という指摘すら上がっていた。しかし、「ポイ捨て対策」や「外国人客への呼びかけ」も大切だが、それだけでは十分ではないはずだ。
なぜツーリストがレジ袋を公園に持ち込むのか。それは、奈良駅から春日大社、東大寺にアプローチする途中の商業施設や周辺の小売店で物を買ってしまうからだ。だとすると、せめてこうした小売店で「レジ袋ストップ」を徹底しない限り、この問題はなかなか解決しないだろう。シカを保護しようと思うのなら、本気になって原因を断ち切るしかない。
市も公園事務所も
レジ袋削減には無関心!?
心ある店主たちは、すでにレジ袋削減に取り組んでいるのかもしれない。その事情についてもっと知りたいと思い、奈良市に取材をしたわけなのだが、上述のように市は実態を把握すらしていなかった。
しかも、誤飲問題は今に始まった問題ではないにもかかわらず、「市としては対策を打ってこなかった」(同課)と明かす。挙句には「あそこは、奈良県の奈良公園事務所が管轄していますから」という。互いに責任転嫁しあって現在に至る、ということなのだろうか。
今度は奈良公園事務所のホームページを開いてみた。「シカについて」というタブをクリックすると、『財団法人 奈良の鹿愛護会』の紹介があった。そこに連絡をして、「周辺の商業施設でレジ袋配布中止の取り組みはあるのか」と尋ねると、やはりここでも「実態は把握していない、調査していない」という回答だった。
ちなみに、奈良県と隣接する京都府亀岡市では、今夏からほぼ全ての店舗でレジ袋を有料化する予定だ。全国初のプラスチック製レジ袋禁止条例制定に向けて積極的な活動を展開する同市環境市民部は、「ポイ捨て対策以上に、ゴミの絶対量を減らす取り組みが肝要」だと語っている。
6月3日、原田義昭環境相は記者会見で、小売店などで配られるレジ袋の有料義務化(無料配布の廃止)について「東京五輪に遅れないように、今年か来年ぐらいにはやらなければ」と環境省の方針を示した。すると6月15日には、世耕弘成経済産業相が「2020年4月1日の実施を目指す」と、政府として初めて、その時期を明言した。
内部事情に詳しい環境専門家によれば、「これまでレジ袋有料化に反対だったコンビニ業界や経団連も、G20でプラスチック問題が議題になることから、有料化受け入れに踏み切ったいきさつがある」という。
6月28、29日は、G20大阪サミットが開催され、海洋プラスチックゴミも議題となるが、G20のメンバー国をはじめ海外の多くの国は、すでにレジ袋を規制している。欧州はイタリア、フランス(議会承認)が禁止、18ヵ国が課税・有料化とし、アジアでは中国、インド、バングラデシュ、ブータンなど7ヵ国が禁止、台湾、ベトナムを含む4ヵ国・1地域で課税・有料化している。奈良公園を訪れる多くのツーリストたちの母国では、すでにレジ袋対策は進んでいるのだ。
もはや環境意識が高いとは
言えない日本のお粗末な現状
ちなみに、アフリカでは55ヵ国のうち、すでに34ヵ国がレジ袋の使用を禁止している。タンザニアでは今年6月に、レジ袋の輸出入、製造、販売、使用ができなくなるという“レジ袋禁止令”が出された。また、ルワンダはすでに2008年から使用を禁止しており、現在では世界的な“レジ袋汚染防止国家”として模範的な地位を築いている。漁業従事者が多いアフリカでは、海洋プラスチックごみが早くから問題になっていた。
翻って、日本はようやく重い腰を上げたばかりだ。国際的な注目が高まる東京五輪までに、せめて「有料義務化」だけでも法令が整えば、「日本の環境意識の高さを訴えることになる」(日本経済新聞)という打算がある。しかし、今の日本を「環境意識が高い」とはとてもいえない。十数年前によく耳にした「環境立国」という言葉も、今ではほとんど聞かれなくなった。
日本で、レジ袋有料義務化の導入が遅れた背景の1つは、構造問題だ。端的に、“環境省と経済産業省のせめぎあい”だともいえる。環境問題は両省が共管で当たっているにもかかわらず、「予算やマンパワーで大差がある上に、産業界とその献金に浴する政治家を後ろ楯にした経産省に潰されてばかり」(環境省管理職)という一面が存在した。
一方、中国といえば「汚染大国」という認識がいまだ存在する。だが、そこへの取り組みがまったくなかったわけではない。
急激な経済成長と大量消費時代に突入した中国では、2000年以降、捨てられたレジ袋が街に散乱する「白色汚染」が社会問題化していた。そこで、中国政府はレジ袋(厚さ0.025ミリ以下を対象)の生産、販売、使用を制限し、有料化することを中国全土に義務付けた。今から11年も前の2008年6月のことである。
これを境に、上海市民も小売店での買い物にエコバッグが必携となった。2010年には上海万博が開催され、住みよい社会をテーマに、上海市民はエコロジーへの認識をいっそう高めた。「環境のために」は市民共通の合言葉にもなった。環境配慮型社会に向けて、若い世代を中心に着実なステップを刻む一面もあった。
けれども、「一歩進んで二歩下がる」とはこのことで、ここにきてアプリを使った新興ビジネスが流れを変えてしまう。フードデリバリーの普及で家庭ゴミが大量に増えてしまったのである。1回オーダーすれば、食品容器や割り箸、ストロー、レジ袋でテーブルの上はたちまちゴミの山となる。2019年には利用者は4億人を超えるという。4億人が注文すれば、「4億本の割り箸」と「4億個の容器」と「4億枚のレジ袋」が同時に消費されることになる。
だが、これを座視してはいない。上海市政府は、『上海市生活ゴミ管理条例』を7月1日から施行するが、この条例は、ゴミの分別を規定すると同時に「使い捨ての減少」にも言及している。党や政府機関に対しても、環境に配慮した設備や商品を使うよう促し、使い捨ての事務用品の使用を減らし、公共の場所での使い捨て容器は「使用してはならない」と規定した。飲食業、ホテル業に対しても、「使い捨ての箸や食器をすすんで提供してはならない」と要求している。
中国流の“強制執行”
上海で超厳格なゴミ分別がスタート
また同条例により、市民は生活ゴミを「リサイクル可能なゴミ」「有害ゴミ」「濡れたゴミ(残飯、青果物の種や皮など)」「乾いたゴミ」に4分別することが義務化された。違反者には50元以上200元以下の罰金(約770〜3100円)が課される。
しかし、条例が定める「分別の基準」には不可解さがあり、市民は混乱している。一例を挙げれば、「なぜ、マンゴーの種は『濡れたゴミ』で、ドリアンの皮は『乾いたゴミ』に分別しなければならないのか」など、市民にとっては大きな謎であり、ネット上でも議論が白熱している。
こうした混乱を回避しようと、上海市は事前にイラスト入りの「分別指南」を配布し、マンションの共用部分に通知を張り出し、ボランティアを現場に立たせ、各世帯が持ち込むゴミを厳しくチェックする体制を整えた。監視カメラが張り巡らされている上海だが、カメラはゴミの中身までをも監視する。
市民の戸惑いや不満も生まれており、「こんな分別は続かないだろう」という冷めた意見もある。過去20年の歴史を振り返れば、分別ゴミには挫折もあった。だがひょっとしたら、厳しい監視と罰金、そして最新のテクノロジーを駆使して、上海市民はこの困難を乗り越えてしまうかもしれない。
上海市宝山区では、QRコードのスキャンとともに“ゴミ捨てマイレージ”が導入され、嬉々としてゴミ捨てに行く市民の姿もある。ゆくゆくは自分の「信用スコア」とリンクするともいわれ、分別を無視して生活をすることが難しくなる。中国流の“強制執行”は賛否両論あるが、結果として市民の意識を大きく変え、成功モデルさえ生むかもしれない。
前出の環境省管理職は、「規制により対策が生まれ、それが新たな市場を生む」と語ったが、これを機に上海でも、さまざまなイノベーションが起こるはずだ。消費者の環境意識が高まる中国では、すでにフードデリバリーのプラットフォーマーが「食べられる箸」を開発している。
逆に、レジ袋の有料化でゴタつく日本が恥ずかしい。日本は、チャレンジする中国をもはや笑えない。世界で吹き荒れるプラスチックごみ削減ムーブメントだが、日本の及び腰が続けば、アジアやアフリカの国々からも白い眼で見られることにもなりかねない。
(ジャーナリスト 姫田小夏)
【プラごみ対策後進国日本】『6月3日、原田義昭環境相・小売店などで配られるレジ袋の有料義務化について・東京五輪に遅れないように、今年か来年ぐらいにはと環境省の方針を示した・15日には、世耕弘成経済産業相が2020年4月1日の実施を目指すと、初めて明言した』。https://t.co/nRrHmcjbEb
— 岩畑政行 (@iwahata_m) 2019年6月28日
とりあえず、奈良公園内はレジ袋の持ち込みをしないで!と啓発活動から始めてみるのはどうだろう。
— リ・サイクルのうえさん (@ueharacoltd) 2019年6月27日
中国やアフリカ諸国の後塵を拝する日本「プラごみ対策」の無残 https://t.co/VlXvHS9AON
中国やアフリカ諸国の後塵を拝する日本「プラごみ対策」の無残 | China Report 中国は今 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/ggLLoQeiUH
— 石田周二 (@iammrpostman) 2019年6月28日
→『レジ袋有料化』を義務付ける、そんな簡単な法律が制定できない政府は口先で綺麗事を繰り返すばかりで、日本を文化後進国にしている。
中国やアフリカ諸国の後塵を拝する日本「プラごみ対策」の無残 | China Report 中国は今 | https://t.co/57dW3k9sCn情けない記事。日本のゴミ対策はしっかり取り組めば最も先進的。なぜこれ程までに自信喪失。日本以外の、ゴミの埋立処理こそ諸悪の根源、日本は3Rを自信を持って向上すべし。
— 安倍進一郎 (@nagataichirou) 2019年6月28日
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