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安倍首相から軽く見られてしまった2%の物価安定目標
https://diamond.jp/articles/-/206344
2019.6.22 鈴木明彦:三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部研究主幹 ダイヤモンド・オンライン
参院決算委員会で答弁する安倍首相 Photo:JIJI
2%の物価目標は一応の目的
「本当の目的」ではない?
安倍晋三首相は6月10日、参院決算委員会で国民民主党の大塚耕平氏の質問に答え、「日本銀行の2%の物価安定目標は、一応の目的だが、本当の目的は、たとえば雇用に働きかけ、完全雇用を目指していくこと。その意味で金融政策も含め、目標については達成している」という趣旨の発言をした。
「デフレ脱却」は安倍政権のスローガンであり、そのデフレ脱却とは2%の物価目標を達成することではなかったのか、と思う人もいるかもしれない。しかし、安倍首相のこの発言は、政府のこれまでの考え方と矛盾するものではない。2013年1月に出された「政府・日本銀行の共同声明」(いわゆるアコード)で確認してみよう。
まず共同声明では、政府と日銀が「デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、……政策連携を強化し、一体となって取り組む」と謳われている。そして、具体的な政策連携の内容として、日銀には物価の安定を実現することが求められた。その上で、日銀は「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」ことを約束した。つまり、2%の物価目標は、日銀がその責任において決定したものであり、政府の目標ではない。
消費増税で政府はアコード卒業
金融政策の出口はまだ先
一方、政府が日銀との政策連携において約束した目標は、「財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」ことだ。この目標がしっかり達成されているとは思えないが、政府としては遅ればせながら消費税率を10%に引き上げることで、約束を果たしたというスタンスなのだろう。
冒頭の安倍首相の発言から読み取れるメッセージは、以下のようなものだ。
@2%の物価目標はなかなか達成できないが、これは日銀が掲げた目標であり、政府の政策を縛るものではない A物価が下がっておらず、完全雇用を達成しているのであれば、デフレ脱却だ。予定通り消費税率を10%に上げる |
ところで、安倍首相が言うように、金融政策も含め本当の目的が達成されているのであれば、日銀はもう共同声明に縛られることなく、金融政策の正常化に向けて動き出してよいことになる。しかし、そうではない。安倍首相は、冒頭の発言に続いて「それ以上の出口戦略云々については、日本銀行にお任せしたい」と言っている。その心は、「日銀自らが掲げた目標を達成できていないのに、出口に向かうことはあり得ない」ということではないだろうか。
これは正論だ。しかし、政府や官邸からの有無を言わさぬ圧力があったから、日銀は不本意ながら2%の物価目標を掲げたわけだ。政府の圧力に屈した日銀が悪いと言ってしまえばそれまでだが、中央銀行の独立性を尊重する意識などおおよそ持ち合わせていない政治家に対して抵抗するのは、容易ではない。
はしごを外された日銀
金融政策はまた「しんがり」に?
いずれにしても日銀は、2%の物価目標が金融政策決定会合の決議に基づいて決められたものである以上、達成できないから止める、というわけにはいかない。日銀の黒田東彦総裁は、2%の物価目標はグローバルスタンダードだとまで言っており、今さら目標水準を下げるのも難しそうだ。物価安定目標を達成するまで量的・質的金融緩和政策を続けないといけないから、金融政策正常化に向けての出口など議論のしようもない。
2%の物価安定目標を掲げ、異次元の金融緩和を続けてきた日銀、特に安倍政権の下で任命されたリフレ派の審議委員にしてみれば、2%の物価安定の目標は一応の目的だが、本当の目的ではないかのように首相に言われると、はしごを外されたような気持になるかもしれない。
しかし、選挙によって選ばれる政治家が消費者物価を2%に上げることを本当に重要だと思っているのだろうか。そもそも物価が上がることを喜ぶ国民はいない。「インフレ実現」とは言わず、「デフレ脱却」と言い換えるのはそのためだ。選挙に勝つためには、インフレよりも完全雇用の達成の方がはるかに重要なはずだ。
実際、安倍政権が推進した政策の中には2%の物価目標達成の邪魔をしそうなものもある。たとえば、携帯電話料金の引き下げや幼児教育の無償化は、物価を下げる効果を持つ。だからと言って、これらの政策を採用しないという結論にはならないのは当然だ。
うがった見方をすれば、2%の物価目標はなまじ達成されるよりも達成されない方が好都合だ。政治家にとって完全雇用と同様に、あるいはそれ以上に重要なことは円安・株高、特に株高の実現だ。そのために有効な手段が異次元の金融緩和だ。デフレとの戦いは、勝つことよりも続けることに意義がある。実現不可能とも思えるこの目標を日銀に掲げさせておけば、ずっと金融緩和を続けさせることができる。
いよいよ消費税率を10%に上げるとなると、ますます金融緩和の必要性は高まる。消費増税を無事実現するためにも、円高・株安を引き起こす可能性がある出口対応など許されない。またしても日銀は「しんがり」(軍隊が退却するときに最後尾で敵の追撃を防ぐ役)の役割を引き受けさせられたということだ。
「またしても」というのは、89年4月に消費税を導入した時も、日銀はプラザ合意後の円高に対応するため87年2月から続けていた2.5%という公定歩合を、消費増税後となる89年5月まで続けさせられることになったからだ。
下手に動けばスケープゴートの日銀
デフレ脱却宣言が最後のチャンス
しかし、当時としては超低金利であった2.5%という公定歩合を長く続けたことがバブルを引き起こした。また、消費者物価が安定を続ける中でもバブルが発生していた。これらの教訓から学ばなければいけない。
消費者物価が上がらなくても、異次元の金融緩和を続けることによって、バブルのエネルギーは溜まってくる。日銀がひたすら購入している国債はもちろんのこと、ひょっとすると株価も実力以上に高まっているかもしれない。また、低金利が続く中でリスクを適切に評価できていない貸し出しが増えているかもしれない。
金融政策正常化に向けてのハードルは高い。いくら対策を打ったからといって、消費増税による景気下押し効果がゼロになることはない。また、世界経済そして日本経済が下を向いてきていることもやっかいだ。たとえ金融政策の変更が原因でなくても、景気の変調はすべて日銀のせいにされるだろう。また、米国が利下げモードに入ろうかというときに、円高・株安を回避しながら金融政策を正常化することはますます難しい課題となってきた。
それでも、バブルの時の教訓に学ぶならば、金融政策の正常化は喫緊の課題となろう。一縷の望みは、安倍政権が続いていればどこかでデフレ脱却宣言が出てくるということだ。消費者物価が2%の物価目標を達成していなくても、安倍政権の経済運営がうまくいっていることを世の中に示すためにも、デフレ脱却宣言が必要だ。
それこそリーマンショックのようなことが起こらない限り、この宣言は出てくる。そのときに向けて日銀は、周到に準備しておかなければならない。おそらく、これが2%の物価目標の見直しを含めて、金融政策正常化の「最初で最後のチャンス」となるだろう。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部研究主幹 鈴木明彦)
安倍首相から軽く見られてしまった2%の物価安定目標 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/9Z33VCC06E
— 石田周二 (@iammrpostman) 2019年6月22日
→安倍首相はキャッチコピーライターの優秀な人を雇っている事は想像できるが、実質何も良くなっていない事に気付く人が何故か少ない。
安倍首相から軽く見られてしまった2%の物価安定目標(ダイヤモンド・オンライン) https://t.co/4DwHMBgYZA
— minehira (@minehira1979) 2019年6月22日
既に破たんしているとか?
安倍首相から軽く見られてしまった2%の物価安定目標 ダイヤモンド・オンライン
— 日本銀行 (@nihonginkounich) 2019年6月21日
安倍首相は6月10日、2%の物価目標は達成していないが、本当の目的はたとえば完全雇用を目指すことであり、その意味で目標は達成している、と述べた。この発言は、 ...https://t.co/QOWF2tYv4D
これはかなり大きい失態のような。2%の達成を後にしても消費増税=景気対策は二の次と国内外に受け取られ、日銀も金融政策は後回しに。労働参加率を見れば、真の完全雇用とは言えないし。経済が政治の元ということを忘れたのか?憲法改正も飛んだな#アベノミクス#安倍晋三https://t.co/oCw9wGv23M
— kazglo (@kazglo77) 2019年6月22日
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