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セブンイレブンは加盟店への“ひどい仕打ち”をやめるべき…近隣地域への多店舗出店も問題
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28322.html
2019.06.16 文=大ア孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer Business Journal
セブンイレブンの店舗(撮影=編集部)
現在、大きな社会問題となっているコンビニエンスストアの24時間営業。みなさんは賛成もしくは反対、どちらの立場だろうか。
日本経済新聞社が調査会社マクロミルに委託した調査結果によると、7割を超える人が24時間営業の見直しに賛成している。賛成理由としては、「人手不足なら仕方がない」「苦しむ加盟店オーナーへの同情」「環境への負荷削減」などが上がっている。また、営業時間に関しては、開店6時、閉店24時と回答する割合がもっとも多い。
デモグラフィック(人口統計学的)属性に注目すると、都市部において賛成する傾向が高く、また若い世代ほど賛成の割合が下がっている。
今回のコンビニ24時間営業問題は、東大阪市にあるセブン-イレブンのフランチャイズ加盟店が、人手不足により、やむなく営業時間を短縮したことに対して、セブン本部が契約違反だとして契約解除と違約金の計1700万円を求めたことが発端となった。
その後、問題の拡大を受け、セブン本部は訴えを取り下げ、これまで頑なに主張してきた24時間営業に関しても、営業時間短縮に関する実証実験を行うなど、柔軟な姿勢を見せている。
しかしながら、今回の問題により、セブン本部がイメージダウンなど、大きな損害を被ったことは間違いない。
■イメージダウンは回避可能だった
もちろん、世の中には回避することが難しい問題も数多くあるが、セブンの問題は十分に避けることができたはずだ。
今回、問題となった加盟店の場合、店の手伝いをしていたオーナーの奥さんが昨年亡くなり、オーナー自身は連日16時間超えの勤務を続けるといった状況に陥り、本部に救援を要請したがそれが叶わず、やむなく19時間営業(午前1時〜6時の間は閉店)に変更していた。
セブン本部がこうした事態を深刻に受け止めていれば、救済する方法はいくらでもあったであろう。この件にかかわったセブン本部のスタッフは、本当に人として寄り添い、助けようとしたのだろうか。大きな組織の一員として、単にルールを守るように指示しただけではなかったのか。
百歩譲って、助けることができなかったとしても、「契約解除と違約金の計1700万円を求める」のは、あまりにひどい仕打ちではないだろうか。
セブン本部が当たり前の常識を持ち、この問題に対処できていれば、容易に避けることができたはずだ。
もっとも、この問題には過去に明確な伏線があった。ずいぶん昔の話になるが、加盟店が消費期限の迫った弁当などの商品を値下げして販売し、これをセブン本部が妨害したことに対して公正取引委員会が、独占禁止法で禁じられている「優越的地位の濫用」にあたるとして排除措置命令を出したことがあった。
もちろん、見切り販売には消費者の買い控えやブランドイメージの低下といった、本部・加盟店を含めたセブン全体に対する負の側面もある。しかしながら、“コンビニ会計”と呼ばれる特殊な会計の仕組みでは、見切り販売により加盟店は支出を減らすことができるが、逆にコンビニ本部では収益を悪化させる側面がある。こうした事態を避ける目的もあり、セブン本部は見切り販売を妨害したものと考えられる。
つまり、これは廃棄に限定された問題ではなく、セブン本部と加盟店のパワーや関係性に関わる問題であったわけだ。
セブン本部が単に廃棄の問題と済ませず、加盟店との間でゆがみが生じてきていると捉え、真摯に改善に向けた取組を行っていたならば、今回の24時間営業問題も生じなかったことだろう。
■今後、問題化する可能性がある火種
コンビニ本部と加盟店のパワーの不均衡に関して、この先問題になりそうなこととして、「ドミナント戦略」が挙げられる。ドミナント戦略は集中出店戦略ともいわれ、特定の地域に集中して出店する戦略である。こうした戦略は物流をはじめ、コンビニ本部に多くのメリットをもたらす。しかしながら、同一商圏に同じチェーンの加盟店が出店すると客の取り合いとなる。順調に経営していたものの、近くに同じチェーンの店ができてしまい、売り上げが大きく低下したといった話をみなさんも耳にしたことがあるだろう。このような出店に関して、加盟店はなんら異議を唱えることができないのが現状だが、こうした事態もこの先、大きな問題へと発展する可能性がある。
社会から叩かれる以前に、コンビニ本部自らが出店に関して、なんらかの規制や補償の制度を整備することを期待したい。
こうした一連のコンビニ本部と加盟店の問題に関して、安定して高い利益を確保できているリーダー企業のセブンが積極的に取り組まないことについて、もちろん正しいとは思わないが、企業の行動として理解できる部分もある。しかしながら、セブンに大きな差をつけられているコンビニ業界2、3位のファミリーマートやローソンなどは本来、積極的に取り組むべき課題ではなかったのか。“加盟店に対して優しいコンビニ本部”となることによって、新規加盟店の募集を円滑に行う。また、加盟店の満足度を高めて充実したサービスを提供するといったことは、セブンに対する貴重な競争戦略になり得た可能性がある。
一世を風靡したテレビ番組『プロジェクトX 挑戦者たち』(NHK総合)のシリーズのなかに、セブンの日本における立ち上げを題材とした「日米逆転! コンビニを作った素人たち」がある。学問的に流通を考える材料として価値あるものであり、またセブン本部と加盟店が力を合わせ、立ちはだかる多くの難題を乗り越えていく様は、人間ドラマとしても素晴らしく、筆者の講義を受講する学生たちによく見せていた。
こうした創業時における加盟店との良好な関係を再び築き上げるには、どうすればよいのか。巨大な企業へと変貌を遂げたセブン本部のスタッフ一人ひとりが真剣に検討すべき課題であろう。
(文=大ア孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)
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