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一部の養殖サーモンに要注意?ダイオキシン検出量が11倍の例も、エサに豚肉や植物油脂
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28056.html
2019.06.02 文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 Business Journal
「Getty Images」より
日本人が自分の健康のために投じているお金は、年間総額5兆7351億円にも上るそうです。このなかから、スポーツジムの費用、エステなどの美容関係、健康器具、医療雑貨、そして市販の医薬品等にかける金額を除いた、いわゆる健康食品や健康飲料、サプリメントなどに支払っているお金だけで2兆6735億円に達するといわれています。良いか悪いかは別として、巨大な市場を形成していることだけは確かなようです。
この数字から見て取れるのは、通常の食事では必要な栄養を摂取できないから、食事以外でその不足を補おうとしている人たちが相当数いる、ということです。
その食事にかけるお金に関して、正確な数字を出すことは難しいと思いますが、ひとつの指標として「エンゲル係数」というものがあります。これは家計に占める食費の割合ですが、日本のエンゲル係数はずっと下がり続けていました。2005年には22.9%まで落ちましたが、その後、上昇して16年には25.8%まで回復しています。これは1980年代後半と同様の数字です。この数字だけを見て、「日本人は自分たちが食べるものが大事だということに気づき、それにお金を使うようになってきたか」と思ったら、大間違いです。実態は、かなり悲惨な状況です。
エンゲル係数はパーセンテージで算出するものなので、いくら使ったかという金額の実数とは別なのです。ここ数年、日本のエンゲル係数が上がった理由は、消費者物価が上がったこと、特に食品の価格が高騰していることと、収入が下がったことで消費全体が低迷していることによるのです。消費全体が下がるなかで、どうしてもかかってしまう食費は、そのパーセンテージが上がっているという、悲惨な実態を表したのがエンゲル係数の上昇ととらえなければなりません。
実際に、食品全体の価格はここ数年で約1.7%上昇し、特に生鮮野菜は約5%上昇しています。これは天候不順など、やむを得ない事情もありますが、筆者は国の食料政策が間違っているためだと思っています。
■魚を食べるメリットとデメリット
そんななか、食肉の消費量は相変わらず増えています。独立行政法人・農畜産業振興機構の調べによると、日本人1人当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)年間消費量は、1960年に3.5kgだったのが、2013年にはその約10倍近くの30 kgにまで増えているそうです。一方で、日本人の主食であったはずの米は115kgから 57 kgに減少。同時に魚介類の消費量も減少しているそうです。
そもそも、動物性たんぱく質をそれほどたくさん摂る必要はなく(食事全体の10%でよい)、また現代の食肉生産はさまざまな問題を孕んでいるということは、本連載で繰り返し述べてきたので、ここでは触れませんが、同じ動物性たんぱく質を摂るなら、獣肉よりも魚肉のほうがいいとは、よくいわれることです。特に妊娠中の女性には積極的に食べていただきたい食品のひとつが魚です。それは、お魚に含まれるオメガ3脂肪酸系列のEPAやDHAなどの脂肪酸が胎児の脳の発達に良い影響を与えるからです。スペインの環境疫学研究センターの調査で、妊娠中に魚を多く食べた女性が産んだ子供は、認知機能テストで高得点を記録し、発達障害の発生も少ないことがわかっています。
ほかにも、魚を食べることのメリットはたくさんありますが、逆にデメリットはといえば、魚に毒性のある重金属類が含まれていることです。近海で獲れる魚より、遠洋で獲れる魚のほうが、より危険度が高いとされています。
養殖魚は、すべてとはいいませんが、危険なものが多いと思います。特に養殖のサーモンは要注意です。エサとしてトウモロコシ、大豆などの安価な穀物が使われ、加えて豚肉や鶏肉を加工したものや、大豆油やキャノーラ油などの植物油脂も使われています。もともと鮭がそのようなものを好んで食べていたとは到底考えられないので、鮭に合わないものを無理やり食べさせているわけで、当然、病気にもなります。それを未然に防ぐために、エサには感染症などを防ぐための抗生物質や合成ビタミン、もともと白身魚であるサーモンの身を鮮やかなピンク色にするために加えられる合成の着色料(アスタキサンチン)なども添加されています。
そして、さらに憂慮すべきは、養殖のサーモンには、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの環境汚染物質も大量に含まれていることです。天然の鮭と比べて、ダイオキシンは11倍、PCBは16倍も多く検出されたという報告もあります。エサとして使われた穀物が含む農薬成分も魚の中に取り込まれてしまいます。
このような養殖のサーモンは、本来、魚を食べる場合のメリットのひとつである、オメガ3脂肪酸は極端に減少し、オメガ6脂肪酸が増大する傾向にあります。それが、食べた人の体内での脂肪酸バランスを狂わせ、不健康な状態をもたらすということに、早く、多くの方に気づいていただきたいものです。
■食生活の改善が不可欠
しかし、養殖魚の生産に携わっている方々のなかには、本当に素晴らしい技術をもって、安全性を第一に考えて一生懸命努力されている方もいらっしゃるので、そういう方々が生産したものと、劣悪な養殖魚をきちんと区別する、いわば「目利き」みたいなことが、これからは必要になってくるのかもしれません。
天然の魚も、遠洋のものには水銀などの有害重金属類が含まれています。これは、ご存じのように、胎児の脳の発達に悪影響を与えます。胎児のみならず、子供も大人も食べた人すべてに悪影響を与えることもわかっています。なぜ、遠洋のもののほうが危険度が高いかというと、食物連鎖の果てに体内濃縮が起こり、大型のものであればあるほど、その汚染度が濃縮されていくからなのです。それを食べるということは、食物連鎖の頂点に立つことを意味しますが、そこに問題の根幹があるのです。
これは一人ひとりが考えるべきことですが、人類全体として考えていかなければならない問題も含まれています。それは、私たちが将来に向けて、どのような食料生産体制を組むかという壮大な問題なのです。
今が良ければそれで良い、ということにはなりません。未来の私たちの子孫の生命・健康に重大な影響を及ぼす問題です。
その鍵は、実は私たちの毎日の食事、食生活、食習慣にあります。そのことを考えようという趣旨で、この連載を続けてまいりました。それが、今回でなんと100回目を迎えることができました。この間、ビジネスジャーナルの関係者の皆さま、とりわけ編集担当の方には一方ならぬお世話になり、また、読者の方からのさまざまなご指摘にも真摯にご対応くださったことに、この場をお借りして深く感謝申し上げます。
この連載100回を記念して、今までの分をまとめ、さらに新たに書き下ろし原稿を加えた本が出版されることになりました。出版時期などはまだ決定しておりませんが、なるべく早く本を世に出して、多くの方々に食生活のありようを問いたいと思っています。
出版の暁にはぜひ、お買い求めいただき、ご支援を賜りたく存じます。そして、これからもこの連載をお読みくださいますよう、お願い申し上げます。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
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