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トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる
https://diamond.jp/articles/-/202493
2019.5.16 窪田順生:ノンフィクションライター ダイヤモンド・オンライン
「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた豊田章男・トヨタ自動車社長。しかし、労働者はこれにがっかりする必要はない。むしろ歓迎すべき話である Photo:JIJI
トヨタ社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言をしたことが、ネット上で大騒動になっている。若い世代ほど「終身雇用」への憧れを持っているのだ。しかし、実際には企業が終身雇用を放棄した方が、日本人の賃金は上がる。(ノンフィクションライター 窪田順生)
若い世代が憧れる「終身雇用」を
無残にも全否定したトヨタ社長
日本企業ではじめて売上高が30兆円を超えたトヨタ自動車が、ネット民からボロカスに叩かれている。
豊田章男・トヨタ自動車社長が、日本自動車工業会の会長という肩書きで臨んだ記者会見で、「終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきた」「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」と述べたことに対して、以下のような批判の声が一部から寄せられているのだ。
「役員報酬を1人平均2億も払えるのなら社員を大事にしろ」
「トヨタがそんなことを言い出したら、もう誰も働きたくなくなる」
「こんなことを軽々しく言う会社には、もう優秀な新卒がこないだろ」
このご時世、「安定」を求めてトヨタを目指す若者を「優秀」と呼んでいいのかは甚だ疑問ではあるが、怒れる方たちの気持ちはわからんでもない。
オッサン世代は人数が多いだけで、死ぬまで会社にぶら下がって退職金もガッポリともらえているのに、なんでそんな「老害」の尻拭いを下の世代がやらなくてはいけないのだ、という「世代間格差」が露骨にあらわれるテーマであることに加えて、「終身雇用」というのは、多くの人々、特に若い世代にとっては「憧れ」なのだ。
独立行政法人労働政策研究所の「第7回勤労生活に関する調査」(平成28年)によれば、「終身雇用」「年功賃金」を支持する者の割合は、調査を開始した1999年以降、過去最高の87.9%となっている。
と、聞くと、会社に忠誠を誓う中高年リーマンたちの顔を思い浮かべるかもしれないが、この動きを牽引しているのは、意外にも若者だ。20〜30代で「終身雇用」「年功賃金」を支持する割合が2007年頃から急激に伸びているという。
どんな会社でもいいから定年退職の日まで雇われたい――。なんて感じで若者たちが抱いた大志を、日本を代表する大企業トップが無情にも握りつぶしてしまったのだ。
他の先進国の賃金が上昇する中
日本だけが減少した
ただ、気休めを言うわけではないが、若い世代の方たちは、そこまで悲観的になる必要はない。むしろ、トヨタ自動車のように日本社会に大きな影響を与える大企業が「終身雇用」をサッサとギブアップしてくれた方が、日本のためになる。
皆さんの「賃金」が上がっていくからだ。
ご存じのように、日本の労働者はこの20年、仕事は早くてうまくて、賃金はギリギリまで安くという「牛丼スタイル」でコキ使われてきた。
経済協力開発機構(OECD)が試算した働き手1人の1時間あたりの賃金は、この20年でイギリスは87%アップ、アメリカ76%、フランス66%、ドイツ55%と先進国は順調に増えている中で、日本はマイナス9%となっている。
「見たか!これがメイド・イン・ジャパンの底力だ!」と日本製の電化製品を海外に自慢している間に、外国人がドン引きするほどの「労働者軽視国家」になっていたというわけだ。
では、なぜこうなってしまうのか。要因は様々だが、そこには終身雇用システムの根幹をなす「年功賃金」の影響も大きい。
新卒の給料は安く、中堅はまあまあ、ベテランは高給取りという年功序列型給与の企業というのは、基本的に会社に長いこと勤め上げることを前提とした賃金設定となっている。つまり、日本の労働者は、定年まで雇ってくれるという「保障」と引き換えに、若いうちは低賃金でもガマンすることを強いられているのだ。
この傾向は昨日今日に始まったことではなく、戦後の大企業のサラリーマンはずっと「安定」というニンジンをブラ下げられながら、「賃金先送り」で働いてきた。
低賃金でもニコニコできたのは
終身雇用を前提とした社会だから
わかりやすいのは1974年、不況が長引く中で、一部製造業で「中間管理職に減給旋風」(読売新聞1974年11月14日)が起きた時だ。
普通の国の労働者なら「なぜ俺らだけ」「経営者のクビをとれ」と大騒ぎになるのだが、当時、大企業の中間管理職の多くはこれを素直に受け入れた。それどころか、自主的に給料の10%を返上する“サラリーマンの鑑“も現れたという。この背景に、定年まで雇ってもらえるという「保障」があるのは明らかだ。
「終身雇用を建前にして、会社自身が“社会福祉団体”である日本では、なかなか荒療治がやりにくい。そこで失業者を出さないかわりに、ある程度の賃金カットは耐え忍んでもらいたいということになるわけで、帰属意識の強い管理職には、どの会社にも多かれ少なかれ、こうしたことを受け入れる下地があるようだ」(同上)
では、日本人を低賃金でもニコニコさせてきた、この「保障」がなくなったらどうなるか?将来が不安だから、もっと給料を上げろという怒りの声が持ち上がるのは当然だ。優秀な人はどんどん条件のいい会社へ移ってしまうので、企業側も賃上げせざるを得なくなるのだ。
もしトヨタが、終身雇用をギブアップすれば当然、トヨタで働く人たちの賃金は上がっていく。横並びが基本の日本では、他の製造業も同じような動きが出る。大企業がそうなれば、優秀な人材の流出を食い止めるためにも、中小企業も賃上げをしなくてはいけない。そうなると、賃上げのできない経営能力の乏しい経営者や、ブラック企業は自然に淘汰されていくので、労働者の環境も改善されていくというわけだ。
という話をすると、「そんなにうまくいくわけがないだろ!終身雇用がなくなったら街に50〜60代の失業者が溢れかえるし、将来を安心して働くことができないので日本企業の競争力も落ちるぞ!」と、まるでこの世の終わりのように大騒ぎをする人がいるが、そういうことには断じてならない。
実は日本の「終身雇用」というのは、実態とかけ離れて過大評価されている部分が多々あるからだ。
実は終身雇用は
単なるスローガン
内閣府の「日本経済2017−2018」で、学校卒業後に就職して会社に定年まで勤める、いわゆる「一企業キャリア」を歩む人がどれほどいるかを以下のように紹介している。
《就業経験のある男性の79%は初職が正規であるが、そのうち一度も退職することなく「終身雇用」パスを歩んでいる男性(退職回数0回)は、30代で48%、40代で38%、50代で34%である》
《正規で入職した女性のうち、「終身雇用」パスを歩んでいるのは50代で7%程度でしかなく、労働市場から退出した割合も高い》
50代まで1つの会社に勤め上げる日本人は大企業などのほんの一握りで、大多数は他の先進国の労働者と同様に、「定年まで雇ってくれる会社」という理想郷を追い求めながら、自助努力で転職を重ねているのが現実なのだ。つまり、9割近い日本人がもてはやす「終身雇用」だが、実は大多数の人は享受することはない制度であって、スローガンのようなものなのだ。
この傾向はバブル期もそんなに変わっていないし、それ以前も然りである。松下幸之助だ、大家族主義だという一部大企業の特徴的な雇用制度が、マスコミで喧伝されるうちに1人歩きして、何やら日本社会全体の代名詞のようにミスリードされてしまっただけの話なのだ。
もっと言ってしまうと、これは日本人の発明ではない。
終身雇用のルーツは大正あたりだといわれているが、今のような完成形に近づいたのは、1938年に制定された「国家総動員法」である。その前後の「会社利益配当及資金融通令」や「会社経理統制令」で株主や役員の力が剥奪され、とにかく生産力を上げるために企業という共同体に国民を縛り付けておくひとつの手段として、終身雇用も始まった。
では、これは日本オリジナルの発想かというと、そうではない。ソ連の計画経済をドイツ経由でまんまパクったものだ。国が経済発展を計画的に進める中、国民は国が規制をする企業に身を投じて一生涯、同じ仕事をする、というソ連モデルを、時の日本の権力者たちが採用した。それが、集団主義が大好きな日本人にピタッとハマったのである。
要するに、「終身雇用」は日本式経営でもなんでもなく、単に戦時体制時に導入した社会主義的システムをいまだにズルズルとひきずっているだけなのだ。そして、実際には形骸化している終身雇用に安心感を持ち、低賃金も喜んで受け入れてきた、というのが日本人の正しい姿なのである。
よく最近の日本は右傾化しているという指摘があるが、先ほど紹介したように、最近の若者は死ぬまで雇われたいという思いが年々強くなっている。愛国だ、日本は世界一と叫びながら、経済に対する考え方はどんどん左傾化しているのだ。
「最も成功した社会主義」なんて揶揄される日本が、果たして終身雇用という、実態から乖離したイデオロギーから脱却できるのか。注目したい。
ハゲタカ新自由主義に侵された経団連企業は労働者の賃金を下げたいと思うこそあれ 上げるなととは思っちゃいない‼️
— じじい (@jiji1957) 2019年5月15日
トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる(ダイヤモンド・オンライン) https://t.co/MSiHjcSlHo
トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる(ダイヤモンド・オンライン)
— Fumihiro Sakunada (@Fsakinada) 2019年5月15日
強欲な世襲経営者をやめて、きちんと労働者に利益を配分する経営者に変えた方がいいですね。https://t.co/4USX0lq9uP
トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる 「働き手1人の1時間あたりの賃金は、この20年でイギリスは87%アップ、アメリカ76%、フランス66%、ドイツ55%と先進国は順調に増えている中で、日本はマイナス9%となっている」 https://t.co/E321MOMBA3
— 粥川準二 (@kayukawajunji) 2019年5月15日
もはや保証はできね〜とトヨタが言ってくれたことによって「優秀な人が逃げちゃう前に賃上げしなきゃ」という意識が根付いたらいいなという希望は確かにある。
— 市根井 (@1nei) 2019年5月15日
トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる | 情報戦の裏側 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/jEqardBpas
内閣府「日本経済2017−2018」「一企業キャリア」を歩む人
— 赤と黒@☁️梅雨入りの😂沖縄やんばる滞在中 (@lerougeetleno1r) 2019年5月16日
《就業経験のある男性の79%は初職が正規であるが、そのうち一度も退職することなく「終身雇用」パスを歩んでいる男性(退職回数0回)は、30代で48%、40代で38%、50代で34%である》
世間知らずの若者の幻想願望https://t.co/CP5Wrq4P7F
記事が言うような形で、ほんとうに賃金が上がるかどうかは分からないが、そもそも中堅中小企業に勤める多くの人にとっては、大企業がやっている終身雇用制度を望んでもなかなか現実には難しいことも・・・
— 岩崎日出俊 (@toshi_iwasaki) 2019年5月15日
https://t.co/yjNxpzDebP
高給は望めなくても、せめて非正規でも300万の所得は確保できるようにしないと野垂れ死ぬ。
— RYST (@st_ry10) 2019年5月16日
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— 貯金チャンネル (@chokin_channel) 2019年5月15日
日本一の企業トヨタでもここまで言うのか。 これからは個人の時代。いかに自分で稼げるようになっていくか・・
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