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孤独死には誰にでも起こりうる。26歳「特殊清掃人」が目撃した共通点
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190503-00152581-bizspa-bus_all
bizSPA!フレッシュ 5/3(金) 15:46配信
ブルークリーン株式会社 取締役 兼 現場責任者の鈴木亮太さん(26)
隣人の顔すら知らないというような現代では、いつ誰の身に降りかかるかもわからない孤独死。その最前線で、人の“死後”にふれるのが特殊清掃という仕事です。
東京・大田区にあるブルークリーン株式会社は、特殊清掃や遺品整理を手がけています。26歳にして同社の取締役兼現場責任者を務める鈴木亮太さんに、仕事の実態を伺いました。
孤独死やセルフ・ネグレクトに陥る人たちの傾向
――昨今、特殊清掃という言葉も広く聞かれるようになった印象もありますが、どのようにお考えですか?
鈴木亮太(以下、鈴木):僕が仕事へ従事し始めたのは2017年の夏頃だったのですが、当時もまだ専門業者が数えるほどしかいなかったです。最近はメディアでも「セルフ・ネグレクト(自己放任)」や「孤独死」がよく取り上げられるようにもなり、少しずつ認知されてきた実感はあります。
――実際の現場から、孤独死される方の傾向はあるのでしょうか?
鈴木:ほとんどの方は一人暮らしですね。やはり周囲に助けてくれる方がいないことから孤独死されるケースが多いので、一軒家ではなく賃貸物件に住んでいた方が9割ほどを占めています。また、年齢層は高齢者のほうが多いですが、40〜50代も目立ちます。
――室内に共通する傾向はありますか?
鈴木:セルフ・ネグレクトに陥る方は、自分の身の回りに気を配らなくなります。そのために室内はゴミの山になっているケースが多いですね。なかでも顕著なのは風呂場やトイレ、キッチンなどの水回りが機能していないという共通点で、足をふみ入れると物置きになってしまっていて、のちに話を聞くと、お風呂は週に一度銭湯へ行くだけ、トイレは近くのコンビニで済ませるという生活パターンになっていたケースもありました。
また、寝床の周りに生活に必要なモノが揃っているケースも多いですね。リモコンや携帯電話、ゲームのコントローラーなどが動かずに済む範囲に置かれていて、ペットボトルに尿が溜まっているといった部屋も少なくありません。
孤独死現場のニオイ・残留物の状況
――実際の現場では、どういった作業を行うのでしょうか?
鈴木:僕らがまず優先するべきなのは遺体から流れ出た体液により室内に充満したニオイを取るという仕事で、そのために薬液の入った噴霧器で消毒や消臭をします。それから弊社ではオゾン脱臭機を導入しているのですが、室内にただよっている細菌などをすべて死滅させるほどに強力なので、取り扱う上では慎重に、感染症を防ぐためにも防護服や防毒マスクを身につけて作業を進めます。
――体液とはどういったものなのでしょうか?
鈴木:遺体から流れ出た血液や人間の皮膚にある脂のタンパク質が凝固することで、黒く固まったものですね。たいていの場合、僕らが現場へ入るのは遺体がすでに回収されたあとですが、しばらく放置されたままだと最後に潰(つい)えた場所に残るんです。
ときには床下にまで浸透しているときもありますが、亡くなった方が最後にどういった状況だったのか分かるほど、くっきりと残ります。たいていは、玄関など出口に向かって頭が向いているケースが多く、憶測の域は出ないものの、やはり最後に誰かへ救いを求めていたと思うことも少なくありません。
――特殊清掃を手がける一方、亡くなられた方の遺品整理はどのように進めていくのでしょうか?
鈴木:ご遺族がいらっしゃる場合にはあらかじめ遺すべきものを伺います。まずは現金や通帳、個人情報の分かるものなどの貴重品を捜索して仕分けしていきます。それから、特別に依頼されたものを探していくという流れですね。
不要なものは一時的に保管して、心苦しく思う部分もあるのですが、現状では破棄しています。ただ、ご遺族から「遺しておくと前に進めないから処分してください」とお願いされるケースもあります。
遺品整理ではその人の半生が透けて見えてくる
――室内にあるモノには故人の意思も反映されているかと思いますが、それについて何か思うところはありますか?
鈴木:やはり人それぞれの半生が透けて見えてくるんですよね。例えば、他人からすれば何でもないように見えるモノでも、大切に箱の中へしまわれていたり、サイドボードにコレクションされていたりするので、仕事のため気持ちを抑えなければとは思いながらも、感情移入してしまうときもあります。
――今のお仕事に従事されて2年ほど経過しているそうですが、そういった気持ちの面はやっていくうちに慣れたのでしょうか?
鈴木:もともとがゼロから事業を始めるところから任されて、実際に費用をいただいて作業をするようになってから徐々にという感じでした。ご遺族の意向に沿うのはもちろんなのですが、私たちの仕事はご依頼主が物件の大家さんであるケースが多く、現状回復も役割のひとつなので、割り切っている部分もあります。
特殊清掃に必要な“薬品と住宅”の知識
――特殊清掃の仕事へ就く上で、必須の資格はあるのでしょうか?
鈴木:必ず取らなければいけない資格はありません。ただ、深く理解しておかなければいけない知識はあります。1つは、消臭や消毒をするために必要な薬品の知識ですね。もうひとつが、室内の清掃だけではなくリフォームまで手がけるケースもあるので、住宅に関する知識も必要となります。
――ゼロから特殊清掃の業界へ飛び込んだそうですが、どのように勉強されたのですか?
鈴木:もともと、僕をこの仕事に引き込んでくれた現在の代表者が建築関係の出身者だったので、リフォームなどは手ほどきを受けました。薬品については発注時にどういった効能があるのかを調べるなどして、少しずつ知識を蓄えていきましたね。
また、新しく導入するものについては現場で使う前に研修を受けて、取り扱い方を学んでいます。事務所にあるキッチンの水回りを掃除するときに試したり、自分がケガをしたときに血液を室内で放置してみて、どのように使えばよいのかを自主的に研究したときもあります。
――鈴木さんの経験からして、特殊清掃の業界に向いている人と向いていない人はいますか?
鈴木:向いている人というのは難しいのですが、室内にあるモノであったり、故人の意思が渦巻いている空間での作業を求められるので、感情移入をしやすかったり自分の中で悪い“気”を吸い取るという自覚がある人は、あまり向いていないのかもしれません。
特殊清掃という仕事自体が「なくなる」のが理想
――今のお仕事ならではのやりがいはどういった部分でしょうか?
鈴木:作業中は過酷な環境下にいるので感じづらいのですが、終わったあとに「鈴木さんのところに頼んでよかった」と言われると、ご遺族やご依頼主の負担を減らせたのかなと思えるのでやはり嬉しいですね。
また僕自身、実は今の仕事へ就くまではいろいろな仕事を転々としていたのですが、2年も続いている仕事というのが生涯で初めてなんですよ。現場によって毎回違うことをする上での発見もあるし、故人の周囲にいる方々の「心のお片付け」を少しでも手助けできるという達成感は何ものにも代えがたいです。
――最後に、今後はどのようにお仕事を発展させていきたいですか?
鈴木:僕の理想としては、特殊清掃という仕事自体が「なくなること」が世の中のためだと感じているんです。ただ、現実的には難しいですよね。そのために孤独死とは何かを問いかけようとYouTubeでも“お片付け請負人・すーさん”の動画をアップするようになりました。まずはもっとたくさんの人にその現状を伝えていきたいですね。
また、今は大田区を拠点に千葉、東京、神奈川、埼玉を中心に関東一円の現場に出張しているのですが、細かくみれば特殊清掃の業者が近くで見つからない地域もあるはずなので、将来的には拡大させていきたいと思います。
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自身のYouTubeチャンネルでは、現場での経験をふまえて孤独死やセルフ・ネグレクトについての啓発にも積極的に取り組んでいる鈴木さん。
人の“死”に関わる仕事というのは、世間的にみてそう多くはない印象もあります。しかし、ときには過酷な環境下で作業することもあるという仕事を通して鈴木さんは、故人や周囲を取り巻く人びとの意思と真摯に向き合い続けています。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>
bizSPA!フレッシュ 編集部
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