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農産品 関税撤廃を 早期妥結へ強い意欲 首脳会談でトランプ氏
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190428-00010000-agrinews-bus_all
4/28(日) 7:01配信 日本農業新聞
【ワシントン岡信吾】安倍晋三首相は26日(日本時間27日)、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談した。トランプ氏は対日貿易交渉を巡り「日本が米国産農産品にかけている関税を取り除きたい」と撤廃を要求。5月合意の可能性に言及し、早期妥結に強い意欲を示した。日本側は、農産品で「過去の経済連携協定の内容が最大限」とした日米共同声明に沿った交渉の必要性を改めて強調した上で、合意時期を巡る具体的な議論はなかったとした。唐突に無理筋な主張を繰り出すトランプ氏の姿勢が改めて浮き彫りになり、今後の交渉で激しい攻防が予想される。
首相と大統領は、通訳だけを交えた一対一で会談を開始。貿易問題は、茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らを加えて議論した。
トランプ氏は会談の冒頭、「農業を熱心に話し合いたい。日本は米国の農産品に重い関税を課しているからだ」と述べ、市場開放への意欲を強調した。「米国は自動車に関税をかけていない」と発言し、安倍首相が事実誤認を指摘する場面もあった。日本からの輸入車には関税があり、環太平洋連携協定(TPP)では長期間で段階的に撤廃することになっていた。
安倍首相は、日本の自動車産業をはじめとした企業が多額の投資をして米国の雇用を生んできたことを主張。貿易交渉への姿勢では「双方に利益となるよう交渉を進めたい」と述べるにとどめた。
トランプ氏は、15日に始まった貿易協定交渉について「非常に順調に進んでいる」と評価。5月25日からの訪日にからめて、合意の見通しを記者団に問われると「かなり早く進められると思う。訪日するまでか、訪日の際に日本で署名するかもしれない」と発言した。
この発言に茂木担当相は、首脳会談後の会見で「交渉が順調に進んでいることから、できるだけ迅速にという期待感を述べたと理解している」との認識を示した。
農産品関税を巡り、茂木担当相は、ライトハイザー氏と「日米共同声明に沿って今後の交渉を進めていくことを再確認した」と述べ、日米間で認識が一致していると強調した。首脳会談で「トランプ大統領から、具体的にTPPを上回るような話は全く出ていない」とも述べ、TPPを超える市場開放の可能性を強く否定した。
[解説] 強硬姿勢に毅然と
トランプ大統領から農産品を巡り無理筋な要求が飛び出したことは、初会合を終えてなお、日米貿易協定交渉の先行きが不透明であることをあらわにした。早期合意を目指す姿勢を強く示したが、農産品の大幅な市場開放など論外。日本政府には、米国側のペースには決して乗らない強い姿勢が求められる。
米国が決着を急ぐ理由の一つが農業団体の突き上げだ。TPPの発効で、対日輸出環境は悪化。事態の早急な改善を望む農業界の声を背に、早期妥結を迫ってきた。
もう一つは通商政策の行き詰まりだ。中国との貿易協議、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の末に署名した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の議会承認は、ともに暗礁に乗り上げている。
今回のトランプ氏の無理筋な発言は、来年の大統領選再選への焦りとも見て取れる。それだけでなく今後、閣僚級で認識が一致しても、首脳段階でひっくり返る可能性があることも示している。
首脳会談は今回も含め異例の3カ月連続で開かれる見通し。大統領選が近付くにつれて米国側の主張も激しくなり、自動車の追加関税や数量規制というカードを振りかざしてくる事態も想定されるが、日本側が安易に譲歩する理由はない。国内農業の再生産を確保するためにも、強硬な主張は毅然(きぜん)とはねつけるべきだ。(ワシントン岡信吾)
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