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沖縄、経済活況…全県で地価急騰、異常な長期景気拡大のワケ
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27522.html
2019.04.18 文=山田 稔/ジャーナリスト Business Journal
沖縄の上昇が際立っている(写真は那覇市内で撮影)
土地取引の価格の指標となる平成31年の全国の地価公示価格(1月1日時点)が発表された。全国平均は、住宅地が0.6%増で2年連続、商業地は2.8%アップで4年連続の上昇となった。東京、大阪、名古屋の三大都市圏では全用途、住宅地、商業地いずれも上昇基調を強めている。
今年の特徴は、三大都市圏を除く地方圏の全用途平均が前年の横ばいからプラス0.4%となり、27年ぶりに上昇に転じたことだろう。地方圏は住宅地もプラス0.2%で27年ぶりの上昇。商業地はプラス1.0%で2年連続上昇となった。
とはいえ、地方すべてが上昇基調にあるわけではない。住宅地でみると47都道府県のうち上昇は18都道府県。変動なしの長崎県を除く28県は下落となった。上昇率が高いのは沖縄県(8.5%増)、宮城県(3.5%増)、東京都(2.9%増)、福岡県(2.6%増)、愛知県(1.2%増)の順。一方、1.0%以上の下落となったのは7県あり、秋田県と和歌山県がマイナス1.3%でもっとも下落幅が大きい。
商業地は22都道府県がプラス。1.0%以上の下落は新潟(−1.4%)、島根(−1.3%)、秋田(−1.3%)、岩手(−1.2%)など8県となった。
平成20年を100として算出した地価指数(住宅地)を見ると、上位は沖縄県(112.5)、宮城県(106.9)、愛知県(99.2)、東京都(95.4)、福岡県(93.8)となっている。平成20年の地価水準を上回っているのは沖縄県と宮城県だけなのである。デフレの長期化で地価も全国的に下落が続いてきたということだ。地価指数の低いのは、秋田県(64.3)、高知県(65.6)、徳島県(66.5)など。人口の減少が続く地方では、地価の下落が止まらない。二極化が鮮明となっている。
■沖縄県が住宅地、商業地ともに上昇率トップに立った理由
住宅地、商業地の上昇率トップの地点はいずれも、世界的なリゾート地となったニセコがある北海道倶知安町。住宅地は50.0%、商業地は58.8%もの上昇で、この数年来続く“リゾートバブル”の様相が色濃い。
都道府県別に見た上昇率では、沖縄県が住宅地8.5%増、商業地10.3%増で、ともに日本一となった。県内の評価地点で見ると、住宅地では121地点で上昇、下落はゼロ、横ばいは6地点だった。商業地は58地点中、下落が1地点のみ。住宅地、商業地ともに大半のエリアで上昇傾向にあるということだ。
なぜ、沖縄なのか。最大の理由は、沖縄経済の好調と、数少ない人口増加県としてのポテンシャルの高さだ。地元の「おきぎん経済研究所」が発表する「県内景況指数」は、平成26年2月から60カ月連続で「拡大」が続いている。好調の牽引役は観光。1月の入域観光客数は75万3500人で、4カ月連続して前年同月を上回り、外国人客もクルーズ船の寄港増加などで22万9800人と2カ月ぶりに前年同月実績を上回った。観光施設入場者数は前年同月比3.3%の増加。ホテル稼働率はシティホテル78.2%、リゾートホテル69.6%、ビジネスホテル68.2%で、リゾートホテル以外は前年同月比で上昇している。
経済の活況と人口増によるポテンシャルの高さ、さらには大都市圏に比べた土地の割安感がある。こうした状況を背景に、沖縄県内の土地は国内の投資家や開発業者だけでなく、海外の投資家からも人気が高まっている。そのため、国内外から資金が流れ込んできているという。
■過疎化に悩む地域は地価も下がり続ける
北海道倶知安町や沖縄県のように地価が急上昇している地域がある一方で、人口減で地価の下落が続く地域があるのも厳然たる事実だ。北海道を例にとると、住宅地は0.7%、商業地は3.2%と上昇率は全国平均を上回っている。住宅地は札幌圏と帯広圏が牽引。特に札幌市は300地点のうち249地点で地価が上昇した。商業地は札幌市が8.8%増と高い上昇率を示し、小樽市や函館市も上昇している。
その一方で、旧炭鉱地帯や地場の基幹産業が振るわない地域では下落に歯止めがかからない。住宅地では水産加工業が低迷する積丹(しゃこたん)半島東部の古平(ふるびら)町大字御崎町が7.8%の下落で下落率全国9位。美唄市東6条南2丁目が同全国10位となっている。商業地では全国のワースト10のうち7地点を北海道が占めた。ワースト2位は夕張市本町2丁目で下落率9.3%、同3位は古平町大字浜町で同8.2%となっている。
炭鉱の閉山や地場産業の不振などで人口が減り、地価が下がり続けている地域が依然としてあるのだ。
全国各地で、こうした二極化現象が起きている。インバウンド特需や東京五輪で潤うのは一部の地域だけ。取り残された地域の活性化をどうはかっていくのか。豊かな自然に加え、急増する空き家の活用や地価下落を逆手に取るなどの地方独自の活性化策を考えていく必要がありそうだ。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)
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