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有給休暇を取得すれば「破綻する」職場、責任は無能な経営者にあり
https://wezz-y.com/archives/64995
2019.04.15 wezzy
「Getty Images」より
4月に働き方改革関連法の運用が一部スタートしたが、皆さんの職場では変化が見られただろうか。
そもそも政府が「働き方改革」を打ち出したのは、国連やILO(国際労働機関)、経済協力開発機構(OECD)などからの外圧がきっかけだった。とはいえ、日本は人口減少による深刻な人手不足に直面しており、どのみち企業もワークライフバランスをまじめに考えなければならないというタイミングでもあった。
この「働き方改革」の一環として、労働基準法の改正により4月から「年次有給休暇の時季指定義務」が課せられることになった。
これはわかりやすい。企業はその規模を問わず、社員に一定の有給休暇を取得させる「義務」があるというものだ。しかも今回は罰則もある。
果たして日本人は有給休暇を取るようになるのだろうか。なにしろ、日本人は世界的にも有給休暇を取りたがらない奇妙な国民なのだ。
なぜ日本人は有給休暇を取りたがらないのか?
世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパンが2018年9月19日〜28日に19カ国を対象に調査した結果を見ると、日本人は本当に強制でもしなければ有給休暇を取得しない国民であることが見えてくる。
まず、日本人の有給休暇の取得率は50%で、19カ国中3年連続で最下位だった。ワースト2位のオーストラリアでさえ70%だから、断トツで低いのだ。
ワースト順の上記5位を上げると、日本50%、オーストラリア70%、アメリカ71%、マレーシアとインドとニュージーランドが75%となっている。
この取得率の低さの原因と思われるのが、他人の目だ。同調査では、有給休暇の取得に罪悪感があるかどうかの質問に対して、最も有給休暇を取得していない日本人が、最も高い割合でYESと示したのだ。
罪悪感を持っている順に上位5位を挙げると、日本58%、韓国55%、シンガポール42%、アメリカ39%、香港38%となっている。
この罪悪感が、労働を人生において価値あるものと考えた上での罪悪感であればまだ救われるのだが、どうやらそうでもなさそうだ。
人目を気にして休めない日本人?
同調査では、「自分はより多くの有給休暇をもらう権利がある」と思っているかどうか尋ねているが、これもまた日本は最下位だった。どの国よりも休まずに働いているにもかかわらずだ。
権利があると思っている上位5位は、香港86%、インド82%、韓国78%、シンガポール77%、メキシコ77%。
最下位からの5位は、日本54%、フランス58%、オーストラリア61%、アメリカ67%、スペイン69%となる。フランスやスペインが低いのは、有給休暇の消化率が共に100%だからだ。日本とはまったく事情が異なる。
何が評価されているのか分かっているから休めない日本人
同調査では、「休み不足」と感じているかどうかも調べている。日本は最下位ではなかったが、やはり低い。「休み不足」だと感じている順で上位5位は、インド75%、韓国72%、香港69%、フランス64%、シンガポール63%。不足と感じていない順には、スペイン47%、ブラジル50%、メキシコ52%、日本53%、オーストラリア54%となる。スペインもブラジルも取得率100%だから頷ける。しかし日本はなぜか?
「上司が有給休暇の取得に協力的」かどうかで、日本は堂々の最下位になった。
下から順に5位まで挙げると、日本43%、韓国50%、香港50%、イタリア53%、シンガポール55%だ。つまり、日本の上司は、社員が当然の権利を主張しても、嫌な顔をしたり評価を下げたりしている可能性がある。あるいは、そのように反応されるだろうと部下のほうで忖度している可能性がある。であれば、上司が部下の有給休暇を取りにくくしている原因であることは間違いない。
そして、そんな日本人に有給休暇を取得しない理由を尋ねたところ、1位が「人手不足」で2位が「緊急時のためにとっておく」、3位が「仕事をする気がないと思われたくない」だった。
2位の「緊急時のために取っておく」は別として、1位の「人手不足」と3位の「仕事をする気がないと思われたくない」は、実は同じことではないだろうか。
つまり、1位の「人手不足」とは、休みたいと申し出たら上司や同僚から「誰が君の分も働くことになると思っているのか?」と迷惑がられるのではないかと心配しているという意味だと思われる。3位の「仕事をする気がないと思われたくない」も、やはり上司や同僚の目を気にしているからこその理由だ。
つまり、確たる信念があって休まずに働いているのではなく、周りの目を気にして休めないだけではないだろうか。
有給休暇を取得させることが会社の義務になる
そんな日本人が有給休暇を取得するためには、情けないことだがやはり強制力のあるルールがなければ難しいだろう。
そこで4月からは改正された労働基準法が実施されて、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が企業側に義務づけられることになった。
これはすべての企業(業種や規模に関係ない)が、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、1年以内に5日(少ないが)の有給休暇を、使用者が時期を指定して取得させる義務があるということだ。
もう少し条件について詳しく示すと、「雇入れの日から6ヶ月継続して雇われている」「全労働日の8割以上出勤している」の2点を満たす労働者は10日の年次有給休暇が付与されており、このうち年に5日以上取得させなければ、企業が罰せられるのだ。
この「罰せられる」ところがキモである。というのも、これまでは罰則がなく強制力がなかったからだ。今後は企業がこの義務をまっとうしなかった場合、労働基準法違反となる。具体的には、就業規則に記載しなかった場合は労働者一人につき30万円以下の罰金、有給休暇を与えなかった場合は6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となる。これは正規社員に限らず、派遣社員やパートタイム労働者も、年10日以上の有給休暇が付与されている人に対し、使用者は5日以上の有給休暇を取得させる義務が生じる。
有給休暇を取らない正社員は毎年13万5000円を失っている?
有給休暇を取得せずに頑張っている社員には知っておいてほしい試算結果がある。
第一生命経済研究所の試算によると、2017年の正社員の有給休暇未消化分を給与額に換算すると、なんと日本全体で4兆円相当になったという。
この4兆円はどこに消えたのか? よく考えてみる必要がある。この金額は正社員一人当たりに換算すると、13万5000円程度損したことになるのだ。これは大きな金額だ。
この意味からも、これからは積極的に有給休暇を取得したほうがいいだろう。また、有給休暇取得の義務化を、企業側にとっては不利益だと受け取っている経営者や管理職がいれば、注意が必要だ。
有給休暇取得義務化は、企業の労働環境や業務の効率の悪さを改善する機会だと捉えられるようでなければならない。
従業員が正当な休暇を取っても仕事に支障が出ないような組織作りや業務の効率化ができていないのであれば、その経営者や管理職に責任がある。
「人手が足りないのだ」と言うのも、魅力ある職場作りを怠ってきた言い訳に過ぎない。あるいは従業員に対する正当で公正な利益分配をしてこなかった(つまり安くこき使ってきた)ということではないだろうか?
ここで経営者や管理職に勘違いしてほしくないのは、「それでは5日取得させれば罰則から逃れられるのか」ということだ。
そのような了見では相変わらず社員の権利を認めていないことになる。有給休暇を100%取得できる環境を整備すべきなのだ。
このような機会に、雇用者も被雇用者も、日本の時間当たり労働生産性がOECD加盟国35カ国中20位(2016年)である理由を考えてみるべきであろう。
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