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トップニュース2019年4月11日 / 11:45 / 28分前更新
焦点:
揺らぐスウェーデンの平等社会、富裕層減税で格差拡大へ
Simon Johnson
3 分で読む
[ストックホルム 10日 ロイター] - 平等な社会だと世界的に定評のあるスウェーデンだが、社会民主労働党率いる政府が導入する高所得者層向けの減税策により、富裕層と貧困層の格差が拡大することになる。
概要が10日発表された今回の減税策は、昨年9月の総選挙によってどの政党も過半数を握れない「ハングパーラメント(宙吊り議会)」に陥った中道左派と中道右派が政党間で合意した妥協策の一環だ。反移民を掲げる極右スウェーデン民主党を政権から排除する狙いがある。
これは、ドイツやデンマークといった欧州諸国の政治家が直面しているジレンマを映す鏡とも言える。こうした国々の主要政党は、左派と右派の対立を隠すか、あるいはポピュリスト(大衆主義)政党に権力の一端を担わせるかの選択を迫られている。
だが、多くのスウェーデン国民は治安や教育、高齢者介護などの公共サービスに不満を募らせており、富裕層への減税により、格差の拡大に根ざしているとみられる外国人嫌いや大衆主義的な感情がさらに悪化する恐れがある、とアナリストは警鐘を鳴らしている。
今回の減税策では、70万スウェーデンクローナ(約840万円)を超える年間所得者に上乗せされていた5%の税金が廃止される。この追加課税は1990年代初頭の経済危機時に財政支援のため導入されたものだ。
スウェーデンの高所得層に対する課税率は約60%と依然、他の多くの国と比べて群を抜いて高いとはいえ、来年実施される減税措置により、同国社会における「持てる者」と「持てざる者」の格差が拡大する可能性が高い。同国は近年、富裕税廃止を含めた高所得者層を利する一連の政策を打ち出してきた。
世界的に最も平等な社会を擁するスウェーデンだが、経済協力開発機構(OECD)によれば、他の先進諸国よりも速いペースで貧富の格差が拡大している。社会全体に所得がいかに平等に分配されているかを計測するため、OECDは「ジニ係数」を使用している。
2019年予算で導入された富裕層への減税や他の広範囲な所得減税による200億クローナの減収は、高齢者介護や海外援助向け予算の削減、環境税の引き上げによって一部相殺されることになる。
こうした措置について、福祉大国スウェーデンを築き上げ、平等と公平さの基準とみなされている社会をつくった党の価値観に対する裏切りだと、中道左派の政権与党・社会民主労働党の一部議員は反発している。
「それは民主主義を守ることであり、われわれの党にとっては、1人も見捨てられることのない福祉国家を守ることだ」と、同党のマーカス・カリファテイデス議員は言う。「スウェーデンはもはや、そのような社会ではない」
だが他の多くの人にとって、反移民のスウェーデン民主党を排除することはその代償を払うに値する。
「高所得層への減税が、格差を和らげるわけではない」とマグダレナ・アンダーソン財務相は3月29日、ロイターに語った。「社会民主労働党の優先事項でないことは確かだが、議会で過半数を得る必要があり、妥協せざるを得ない」
昨年9月の総選挙では、社会民主労働党は過去1世紀以上で最悪の大敗を喫する一方、亡命希望者に門戸を閉ざす政策を掲げる、欧州連合(EU)懐疑派のナショナリスト政党、スウェーデン民主党は議席数を伸ばし第3党に躍進した。
こうした事態を打開するため、社会民主労働党と緑の党は、協力と引き換えに所得減税や、賃貸住宅・労働市場の自由化を求める中道・右派の各政党と、4年間にわたる73項目から成るプログラムで合意した。
<それほど平等なのか>
こうした措置は福祉大国スウェーデンの立役者には耐えられないかもしれないが、何年も続いている変化の一端にすぎない。
世界の富裕層に関するクレディ・スイスの調査によると、スウェーデンの最富裕層1%が自国に占める富の割合は、米国のそれよりも大きい。
「経済的な貴族社会が復興しているようなものだ」と、スウェーデン労働組合連合のチーフエコノミスト、オラ・ペターソン氏は言う。
スウェーデンでは一部の国で見られるような社会的混乱はないものの、多くのスウェーデン人は、2013年に首都ストックホルムで発生した暴動や、犯罪組織による暴力事件の急増は、欧州でポピュリストの躍進をもたらしているような社会的分断の表れだと感じている。
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1970年代まで続いた歴代の社会民主労働党政権は、富裕層に対し、高額な所得税や富裕税、相続税や贈与税、固定資産税を課してきた。
スウェーデンの家具小売り大手イケア創業者イングバル・カンプラード氏ら多くの富裕層は、自身の資産を海外で保有した。
こうした海外流出に直面したスウェーデンは、市場志向の改革に着手し、小規模ビジネスや起業家を優遇した。
長年かけて引き下げられ、緩和された富裕税は2007年に廃止された。高額な固定資産税は上限7812クローナの手数料に取って代わった。
相続税も廃止された。一方、英国では、相続を受ける者は32万5000ポンド(約4700万円)を超えた場合には40%の税金を支払わなければならない。
同時に、超低金利政策が取られた10年間で、不動産と株式の価値が急上昇し、所得の大半を月給ではなくキャピタルゲイン(株式などの譲渡益)で稼ぐ人々が増加した。
中道右派政権は2006─14年、所得減税に着手した。上乗せ分を除く最高税率は1970年代後半の約90%から60%程度に引き下げられた。福祉給付もカットされた。
「スウェーデンは世界最高の国だ。富裕層にとってはね」と、社会民主労働党の元議員で現在は医療分野のビジネスマンに転向したヤン・エマヌエル・ヨハンソン氏はユーチューブ動画で皮肉に語っている。
スウェーデンで人気のリアリティー番組シリーズ「ロビンソン」で優勝した有名人で富豪のヨハンソン氏は、格差拡大は、街で暴動が起きるなど社会全体にとって代償を伴うと警告する。
「自分は特権階級の1人で、自宅周辺に高い壁を築くことができるとも言える。もしくは、地下鉄に乗る人たちに降りかかる災いは、いずれロールスロイスを運転する人たちにも災いとなることを認識する必要がある、とも言えるだろう」
(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/sweden-rich-tax-idJPKCN1RM0XK
コラム2019年4月11日 / 08:04 / 20分前更新
IMFの政策提言、「カサンドラの悲劇」になるか
Swaha Pattanaik
2 分で読む
[ロンドン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ギリシャ神話に登場するトロイの王女カサンドラを襲った悲劇が示す通り、せっかく適切な助言をしてもだれも従わなければ全く役に立たない。
国際通貨基金(IMF)にとってもそれが問題かもしれない。IMFが最新の世界経済見通しに盛り込んだ景気浮揚の処方箋は理に適っているが、いずれも実行が困難か無視されるのがほぼ確実だからだ。
IMFは9日公表の世界経済見通しで2019年の成長率予測を1月時点の見通しの3.5%から3.3%に引き下げた。昨年実績は3.6%だった。成長鈍化の3分の2余りを先進国が占め、特にドイツとイタリアが足を引っ張った。そしてこれは万事が順調にいった場合の数字になる。
IMFの予測は、中国がかじ取りの難しい景気刺激策をうまく進め、金融市場のセンチメントが維持され、ユーロ圏の成長を下押ししている最近の悪材料の一部が消えて、アルゼンチンやトルコなど一部新興国で経済が安定するとの想定に基づいている。これらの条件が全てそろっても、米中貿易摩擦が再燃するかもしれない。あるいは英国が合意なく欧州連合(EU)を離脱したり、イタリアで債券利回りが長期間急騰して国内銀行への圧力が高まるなど、欧州で問題が噴出する恐れもある。
だからIMFの主任エコノミストのギータ・ゴピナート氏が政策ミスを避けることが不可欠だ、と訴えたのは不思議ではない。報告書には優れた提言も十分にちりばめられている。IMFは中国に対して、ブレーキを強く踏みすぎずに借り入れによる投資の抑制を一段と進めるよう求め、成長が急激に鈍れば財政による景気刺激が必要かもしれないと付け加えた。
米国については、利上げに対して忍耐強いアプローチを採っているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を称賛する一方、公的債務が過去最高水準に積み上がったことを受けてトランプ政権に歳入の対GDP比引き上げに注力するよう注文を付けた。また内需を刺激する余地のある国の1つとしてドイツを名指しした。
中国の例が分かりやすいが、こうしたアドバイスのいくつかは遂行するのが厄介だ。また、他の提言も、ドイツや米国などのように政府の優先課題と相いれないため、恐らく目を向けてもらえそうにない。トランプ大統領は来年の選挙を控え、米経済が好調を保つことを望むだろう。ドイツのメルケル政権は財政規律を非常に重視しており、財政出動に動く公算は乏しい。
政治的な思惑は常に、経済的な合理性や成長にとって最良の方策に優先される、ということは英国のEU離脱を巡る交渉で証明済みだ。カサンドラと同じく、IMFはアドバイスが受け入れられなくても自分が正しいということだけで満足するしかないだろう。
●背景となるニュース
*国際通貨基金(IMF)は9日発表した世界経済見通しで、2019年の成長率見通しを3.3%とし、1月時点の見通しの3.5%から0.2%ポイント引き下げた。昨年10月時点では3.7%と予想していた。[nL3N21R3EG]
*IMFの主任エコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は9日のブログに「世界経済は妥当なペースで成長を続けており、景気後退は基本シナリオではないが、下振れリスクは多い。こうしたリスクを勘案すると、代償の大きい政策ミスを避けることが不可欠だ」と書き込んだ。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
ビジネス2019年4月11日 / 12:00 / 16分前更新
前場の日経平均は続落、円高基調が重し
Reuters Staff
1 分で読む
[東京 11日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比59円70銭安の2万1627円87銭となり、続落した。前日の米国株はハイテク株がけん引して小幅高となったものの、為替が前日に比べて円高基調で推移したことが、輸出株や景気敏感株の下押し圧力となった。
前日は、米債券市場で国債利回りが低下した。3月の米消費者物価指数(CPI)でコアCPIが小幅な上昇にとどまり、米連邦準備理事会(FRB)が金利を据え置くとの見方を強めた。ドルは一時110円後半まで下落し、4月1日以来のドル安/円高水準となった。
円高基調に加え、米欧で貿易摩擦懸念が浮上してきたことや、日本で主力企業の決算発表や10連休を控えていることも投資家の様子見を誘った。「欧米の貿易摩擦に対する関心は薄れていたが、トランプ米大統領が寝た子を起こした。日米の新たな貿易協定交渉についてもトランプ氏の発言が株価に響くのでやりにくい」(国内証券)との声が出ていた。
TOPIXは0.44%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は9923億円だった。東証33業種では、石油・石炭、空運、繊維、食料品以外の29業種が値下がり。不動産、銀行、証券、鉄鋼、金属製品などが値下がり率上位に入った。市場からは「このところ景気敏感株とディフェンシブ株が日替わりで物色されている印象。銀行は金利低下を嫌気している」(みずほ証券の投資情報部部長、倉持靖彦氏)との声が出ていた。
東証1部の騰落数は、値上がり645銘柄に対し、値下がりが1407銘柄、変わらずが86銘柄だった。
https://jp.reuters.com/article/imf-policy-breakingviews-idJPKCN1RM0YW?il=0
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