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高まる米の反中感情、ただし米中覇権戦争は起きない 富の格差が米国社会の「存在脅かす」−ブリッジウォーターのダリオ氏  
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投稿者 うまき 日時 2019 年 4 月 05 日 19:40:20: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

高まる米の反中感情、ただし米中覇権戦争は起きない

瀬口 清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
2019年4月5日

全3727文字

中国の李克強首相。政治活動報告において「中国製造2025」に触れなかった(写真:AP/アフロ)
 2月下旬から3月半ばまで約3週間、欧米各国を回り、有識者と懇談してきた。今回はそこで得た感触を報告する。

高まる米政権の反中感情、中国の譲歩受け入れず
 まず米国について。俯瞰(ふかん)すると、米国における対中感情は非常に悪化している。トランプ政権はもちろん、議会も対中強硬姿勢を強めている。この点において民主党、共和党に差はない。いずれの議員も選挙民の意向を気にしている。すでに2020年の選挙が視野に入ってきている。メディアも同様だ。彼らは政権や議会のメンバーから話を聞く。当然、その影響を受ける。比較的、親中だった産業界も政府や議会ほど反中ではないが、ある程度態度を変えつつある。

 対中強硬派の人々は、中国がどれほど譲歩しようと、一切受け入れる気がないといった様相だ。中国で3月に開催された全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)の政治活動報告において、李克強首相は「中国製造2025」に触れなかった。米国との関係に配慮しての重い決断であったが、トランプ政権はこれを評価しなかった。「どんな譲歩をしても無駄」の感がある。

 中でも最強硬派は、政権内で力を持つライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とナバロ国家通商会議委員長だ。中国は3月15日、2020年1月に外商投資法を施行すると決議した。@外資系企業に対する技術移転の強制を禁止する他、Aネガティブリストの項目以外は内外企業を差別しない、B外資系企業に影響が及ぶ法制度を新設する場合は事前の意見聴取を義務付けるなど、米国の意向をくんだ新法だ。それでも、最強硬派は「十分でない」として、さらなる譲歩を求めている。

まだら模様の反中感情
 ただし、少し寄って見てみると、米国は反中一色とは言えない部分もある。政権内でもすべてのメンバーが最強硬派と同じポジションを取っているわけではない。ムニューシン財務長官やクドロー国家経済会議(NEC)委員長らは外商投資法の施行をある程度評価している。トランプ大統領は強硬派と穏健派の中間だ。

 地域別に見ると、ワシントンとその他の都市では趣が異なる。ニューヨークは中国そのものにあまり興味がないふうだ。学問の街であるボストンは、各人の立場によって傾向が異なる。安全保障の専門家の見方はワシントンの政治家たちに近い強硬路線だが、国際政治学者はワシントンに共感していない。

 西海岸に目を移すと、サンフランシスコやシリコンバレーでは中国よりもGAFA*によるプライバシー侵害に対する目が厳しい。民主党の牙城であるカリフォルニア州の政治家たちの間ではトランプ大統領への不信感が強く、中国問題の解決は同氏が政権を去ってから、とあきらめ顔だ。
*:米国のIT大手。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を取った
次ページ 画期となった2018年の国家防衛戦略


 先ほど触れたように、産業界の間でも反中の見方がやや強まっている。ただし、これまで中国ビジネスを積極的に展開してきたGMやウォルマート、エクソンモービルといった大企業は冷静だ。中国市場から離れたり、中国企業をサプライチェーンから外したりしようと考える向きはない。

 ただし、繰り返しになるが、総体的には、中国に反発する感情が高まっている。

 欧州でも、米国ほどではないが、米国と同じ向きのシフトが起こっている。欧州はもともと、親中的だったが、最近懐疑的になってきている。欧米と反対の向きに動いているのが日本だ。2012年の尖閣問題発生以降、日中関係は非常に悪かったが、ここにきて改善してきている。

画期となった、2017年の国家安全保障戦略と2018年の国家防衛戦略
 米国において反中感情が高まっている背景には、米国が期待するほどに中国経済の自由化が進まないことがある。米国は、中国がWTO(世界貿易機関)に加盟するのを2001年に認めた。既存の秩序に入り、自由貿易の恩恵を自覚すれば、中国も市場や貿易の自由化を進めることになるだろうとの期待があった。しかし、米国から見ると、その歩みは遅々として進んでいない。例えば、国有企業が依然として力を持っている。

 反中感情が高まる画期となったのは、2017年12月にマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が発表した国家安全保障戦略、および、2018年1月にマティス国防長官(当時)が発表した国家防衛戦略だろう。中国を「修正主義者(revisionist)」「戦略的競争相手(Strategic competitor)」と断じた。米国の政策において「戦略的競争相手」は「封じ込め(containment)」の対象となることを意味する。米国は1972年にニクソン大統領(当時)が中国を訪問して以来、継続してきた「関与(engagement)」*政策から大きくかじを切ったわけだ。歴史的大転換と言っても過言ではないだろう。米国のこの新たな姿勢は、今後、政権が代わろうとも、少なくとも10〜20年は継続するとみられる。

*:中国を「国際社会」に取り込み、それをテコに、同国の政治・経済体制の中長期的な変化を促そうとする政策
 米国がこうした転換に踏み切った原因は、軍事力における優位性に暗雲が生じたことにある。現時点における中国の軍事力は米国に対抗し得るものではない。中国にも、米国と戦争する気はない。しかし、その経済成長は著しい。足元では勢いが失速しているとはいえ、2030年ごろには米国のGDP(国内総生産)を超える可能性が十分あるとみられている。そうなれば、米国の軍事的優位もおぼつかなくなる。

 米中の間で経済的な疑似的MAD(相互確証破壊)*が成立しているのも、米国は歯がゆく思っているだろう。中国からの輸入品に米国が25%の制裁関税を課せば、輸入品の価格が上がり、米国企業の倒産、ひいては金融危機を起こしかねない。

*:MADはそもそも核戦略を対象にした用語。「確証破壊」は、相手国から先制攻撃を受けた後も、残った戦力で相手国に致命傷を与える力を維持できていれば、相手国は先制攻撃を仕掛けられない、という状態をいう。この確証破壊が2つの国の間で相互に成立しているのが相互確証破壊で、これが核抑止力を説明する根拠である。
「トゥキュディデスの罠」は起こらない
 ただし筆者は、ちまたで話題になっている、「トゥキュディデスの罠(わな)」が起こるとは思っていない。これは、新興勢力が台頭すると、既存の勢力が不安を募らせ戦争につながる、というものだ。米国の政治学者グレアム・アリソン氏が2017年に発行した著書『米中戦争前夜 新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』で取り上げて話題になった。

次ページ中国は日本のように“お人よし”の対応は取らない


 先行き中国のGDPが米国を上回っても、これまでの米国のような一極覇権国の立場に就くことはないだろう。世界のGDPにおける中国のシェアは、米国と肩を並べるものの、その後両国ともに下がっていくからだ。現在、米中がそれぞれ占める比率は24%、18%。2030年前後には20%強で拮抗する可能性が高い。しかし、その後、ともに比率を下げる。代わって、比率を高めていくのはインドやアフリカの新興国だ。世界は多極化の方向に進むだろう。

 中国の成長率が低下してGDPシェアが下降する要因は大きく3つある。第1は都市化がスローダウンすること。第2はインフラの整備が進み、経済誘発効果の高い大規模インフラ建設の拡大が見込めなくなること。これらは中国に限らず、高度成長を経験したすべての国に当てはまる要因だ。2021年から25年までの間に、この2つのブレーキが徐々に利き始める。そして第3は2025年以降に深刻化する少子高齢化による労働力の減少加速だ。一人っ子政策のつけがここで巡ってくる。

中国は日本のように“お人よし”の対応は取らない
 第2次世界大戦後の世界を振り返ると、新たに台頭する国を米国がたたいた事例が2つある。1つは、軍事面で力を持ったソ連。もう1つは、経済面で力を持った80年代の日本だ。米国は、このいずれもねじ伏せた。日本を例に取れば、1985年のプラザ合意によって日本の貿易競争力をそいだ。円/ドルレートは1ドル=240円から150円に跳ね上がった。1981年からは自動車輸出の台数を制限する「自主規制」を強いた。

 果たして、中国も同様の道をたどるのだろうか。私の答えは「ノー」だ。中国が日本のように“お人よし”の対応を取ることはない。のらりくらりとかわす戦術を取るだろう。

 それができるのは、中国が政治的にも経済的にも軍事的にも、米国から自立している世界で唯一の国だからだ。14億の人口を擁する巨大市場も米国に対する対抗力の源泉となる。先ほどお話しした経済面での疑似的MADが利いている。防衛を米国に頼っていた日本とはこの点で大きく異なる。米国の核の傘の下にある日本は、これが負い目となり、米国からの要求を強くはねつけることはできなかった。

 加えて、米国からの理不尽な要求を受け入れて経済が悪化すれば、共産党政権に対する国民の不満が高じ、政権維持が難しくなる。これは同政権にとって、最も避けたいシナリオだ。(まとめ 森 永輔)

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/040300031/


 

富の格差が米国社会の「存在脅かす」−ブリッジウォーターのダリオ氏
Erik Schatzker
2019年4月5日 16:16 JST
米国では高所得者と低所得者との格差が拡大している
最も収入の少ない層の米国人男性は、最も多い層より10年短命
世界最大のヘッジファンド会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は、米国の資本主義の欠陥が教育、社会の流動性、資産、所得に破壊的で自己強化的な格差を引き起こしたとの見解を明らかにした。

  同氏は新しいエッセイ で、統計によると米国で所得が少ない方から60%の人と上位40%の人の格差が拡大していると指摘。

Dalio Says Fed Pivot Means He's Less Worried About Recession
レイ・ダリオ氏Photographer: Jason Alden/Bloomberg
  一例として、上位40%の人の資産は下位60%の平均10倍で、1980年の6倍から差が開いていることを挙げた。さらに、最も収入の少ない層の米国人男性は高い確率で、最も多い層より10年早く死亡するとも指摘した。

  ダリオ氏はかねてから不平等に焦点を当て、ポピュリズムの危険性について警告していたが、今回の論文で、それらが米国社会の「存在を脅かす」とより詳細に論じた。経済の弱体化、他国に対する競争力の低下、「ひどい紛争が起こる高いリスク」を格差の弊害として挙げている。

原題:Dalio Sounds New Alarm on Capitalist Flaws, Warns of Revolution(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-05/PPH4RI6TTDS401?srnd=cojp-v2
 

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コメント
1. 2019年4月06日 19:00:53 : O8HL2KZeN6 : R3B5aGZLdXlFWW8=[89] 報告
トランプが 不平不満を 抑え込み
2. 2019年4月07日 22:46:23 : W54pX3ivJg : cEhpSlRCR25vWUE=[1] 報告
中国は日本のように“お人よし”の対応は取らない??


小ざかしい 言い方をして!

小心、従順な中国

こう売り込んでおいたほうがーーー工作集団にはーーー都合がよい。

中国を眠らしておけ!


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