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郵便貯金、払い戻し受けられなくなる「権利消滅」に要注意…銀行の「休眠預金」への誤解
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27271.html
2019.03.29 文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー Business Journal
郵便貯金のロゴタイプ(「Wikipedia」より/Katamakura)
通称「休眠預金等活用法」、正式名称「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が今年1月から施行されています。施行により、2019年1月1日から「休眠預金等」が発生することになりました。「休眠預金等」とは、10年以上、入出金等の取引がない預金等を指しています。
「異動」と呼ばれる入出金等の取引は、預金者などが今後も預貯金などを利用する意思表示として認められるような取引を指しています。全金融機関共通の異動事由と、各金融機関が行政庁から認可を受けて異動事由となるものがあります。
【全金融機関共通の異動事由】
・入出金(金融機関による利子の支払いを除く)
・手形又は小切手の提示等による第三者からの支払請求(金融機関が把握できる場合に限られる)
・公告された預金等に対する情報提供の求め
【金融機関が行政庁の認可を受けて異動事由となるもの】
・預金者等による通帳や証書の発行、記帳、繰越
・預金者等による残高照会
・預金者等の申出による契約内容・顧客情報の変更
・預金者等による口座を借入金返済に利用する旨の申出
・預金者等による預金等に係る情報の受領
・総合口座等に含まれる他の預金等の異動
たとえば通帳の記帳や残高照会は、預け入れをしている金融機関が異動事由として認可を受けている場合は、異動に該当することになり、認可を受けていない場合は異動事由に該当しません。各銀行のHP等に「異動事由」となるものが記載されています。
休眠預金等になり得る預金等と、ならない預金等の種類は図の通りです。
対象となる預貯金等が「休眠預金等」に該当した場合、預金保険機構に移管され、最終的に「民間公益活動」の促進に活用されます。なお、対象となる預貯金等については、各金融機関が事前にHP上に公告としてお知らせするほか、残高が1万円以上ある場合には公告前に通知書が発送されることになります。通知書を受け取った場合、発送日を基準として10年間は休眠預金となることはありません。
注意したいのが、預け入れている預貯金等が「休眠預金等」に該当し、預金保険機構に移管された後でも、引き続き取引のあった金融機関で引き出すことは可能だということです。つまり、没収されることはありません。取引のあった金融機関に、通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持っていけば引き出すことができます。
■詐欺に注意
休眠預金等活用法があまり知られていないことから、「今年1月1日以降に休眠預金となったら引き出すことができない」「休眠預金になったら没収される」などと語る特殊詐欺の電話が今後増えるかもしれません。特に高齢の親がいらっしゃる方は、親に「休眠預金等になっても引き出すことはできる」「預貯金が没収されることはない」としっかりとお伝えするようにしてください。
また、残高が1万円以上あれば「通知書」が発送されますが、金融機関に届けてある住所が旧住所(住所変更してない)の場合、通知書が届かないことがあり得ます。今一度、金融機関に届け出ている住所、使っていない口座がないのかも確認しましょう。仮に少額の残高があり使用していない場合、この機会に思い切って口座の解約を考えてもよいと思われます。
なお、郵便貯金、正確には日本郵便が民営化された07年10月1日より前に預け入れされた定額貯金等は、満期後20年2カ月がたつと、払い戻しが受けられなくなることには注意が必要です。預入期間満了日の翌日を迎えてから20年間払戻し等の扱いがない場合、「権利消滅のご案内(催告書)」が郵送されます。その催告書の送付日から2カ月以内に払い戻しを行わない場合、該当の郵便貯金は権利が消滅することになるため、早めの手続き(払い戻し)を行いましょう。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)
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