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豊かになることを放棄した日本 低い失業率を低賃金で「演出」する愚
(城繁幸)
2019/3/26 07:00
日本経済新聞が「過去20年、主要各国の中で唯一日本だけが賃金が下がっている」と報じて、大きな波紋を呼んでいる。
【参考リンク】「賃金水準、世界に劣後 脱せるか『貧者のサイクル』」日本経済新聞(2019年3月19日付)
人事担当者の間では常識になっているので、今さら感のあるニュースではあるが、「財界の陰謀」だの「アベノミクスの副作用だ」だのと言いだしている、おかしな連中もいるので、将来のある若者向けに基本をおさらいしておこう。
賃金が上がらない、そのワケは……
賃金が下がったのは終身雇用だから
20年前と比べて賃金が下がった理由は、高給の中高年正社員が定年退職して非正規雇用として就労したことなどいくつかあるが、やはり労使が終身雇用の維持を最優先したことが大きい。
長期間の雇用を維持するには、将来的な景気動向などのリスクを織り込んで賃金水準を抑制する必要があるためだ。
「はっきりいって賃上げの余裕はあるが、今後数十年にわたって雇用を維持できる水準に抑えておこう」
と、労使で話し合っている企業を筆者自身いくつも知っている。
だから、賃金では日本は負け組だが、失業率では世界一の優等生の座を維持し続けている。
「給料が下がっても失業率が低ければいい」(世界各国の失業率の推移)
https://www.j-cast.com/kaisha/images/2019/03/kaisha_20190325144935.jpg
そういうわけで、前回の可処分所得の件と合わせて、リベラルの皆さんは「20年間で賃金が下がったのは、我々が何が何でも雇用を守らせた副作用だ。そのくらい我慢しろ」と胸を張るといいだろう。
【参考リンク】「『アベノミクス』効果あった? それでも庶民生活が苦しいワケはこれだ!」J-CAST会社ウォッチ(2018年12月31日付)
ちなみに、この話が人事担当者の間では常識だと言ったのは、中途採用で外国人や外資系企業の出身者を採用する際に、
「え? なんで御社はグローバル企業なのにこんなに安月給なんですか!?」
「いえ、その代わりに不祥事でも起こさない限り寝てても65歳まで雇ってあげられますよ」
という会話を、誰でも一度はしているからだ。
その結果、マトモな人材には逃げられるが。
グローバル経済の中で、現状維持は後退
ひょっとすると読者の中には、ここまで読んで「ちょっとくらい賃金が下がったって失業率が低いのならそれでもいいだろう」と思った人もいるかもしれない。
もし、世界に日本しかない状態だったら、それでもよかったかもしれない。でも、世界には日本以外にも多くの国があり、より豊かになろうと日々しのぎを削っている。
そんな中で、成長より「今雇っている人を雇い続けること」を最優先にする国は、現状維持にすら失敗するに違いない。
皆が歩き続けているなか、一人だけ歩みを止めるようなものだからだ。
失われた30年と言われつつ、奇妙なほどに安定した社会を日本は維持してきたものの、やはり失われたものは大きかったというのが筆者の見方だ。(城繁幸)
えーとね
11時間前
1) 窓際のオジサンは居なくなったけど、低賃金のオジサンになっただけで、やる気も無ければ再教育もない。2) 組合はなくなったけど、出来ないオジサン(多数派)の横の連携は凄くて、自分は動かず、周りの足をこっそりと引っ張ってワークシェアリング(サボり)。3) オジサンを企業という単語に置き換えても同じ構図が成立し、マトリョーシカになっていて、変えようがない。そこから抜け出そうとしてもチャンスが全くない。4) 定年を延長すればするほど、企業が福祉になっていって、老人ホームや老人病院と似たような人間関係になってしまう。老人がメンドクサそうに働く会社が勝てるわけがない。
城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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「正社員」という働き方を考える 東洋大・竹中教授は若者の将来を奪った「希代のワル」?(城繁幸)
2019/1/31 07:00
東洋大学の学生が、構内に「竹中平蔵教授の授業に反対する立て看板」(参考:「竹中平蔵教授を批判 東洋大4年生『退学』騒動の本人を直撃」日刊ゲンダイDIGITAL 2019年1月25日付)を設置し、大学側が撤去したことが波紋を呼んでいる。
大学側の処置は正しかったのか、そもそも学生の言うように「竹中氏は若者の将来を奪った希代のワル」なのか、いい機会なのでまとめておこう。
東洋大学の竹中平蔵教授は「若者の将来を奪ったのか」!?(2018年6月28日撮影)
東洋大学の竹中平蔵教授は「若者の将来を奪ったのか」!?(2018年6月28日撮影)
「規制強化で正社員増」は机上の空論だった
結論からいえば、グローバル化が進んだ以上、先進国の賃金水準が下がるのはやむを得ないことであり、雇用を国内に引きとめるために規制緩和を行うこと自体は正しい処方箋だ。
といっても、感覚的に理解できないという人のために、日本人を使った「人体実験」も紹介しておこう。
やはり「小泉改革が格差を拡大した」と批判して政権を取った民主党政権が(30日以内の短期派遣の禁止、専門26業務適正化といった)一連の派遣業に対する規制を強化した結果、何が起こったか――。
5年前の数字と比較すると、派遣労働者を42万人減らすことに成功したものの、正規雇用も120万人減少。増えたのはパートなどの非正規雇用と失業者だった(総務省 2012年就業構造基本調査結果より)。
要するに、「派遣は悪だから規制して正社員にさせよう」とやってみたら、より不安定なパートと無職が増えただけだったというオチだ。
この結果は、実際に厚生労働省の労働政策審議会の一員として派遣法改正に携わった人のひとりが「(規制強化で正規雇用増は)机上の空論だった」と、認めるほどの惨澹たるものだった。
その後、厚労省は自ら「近年、パートや契約社員を中心に非正規雇用労働者は増加を続けており、それにも関わらず派遣労働者のみを常用代替防止の対象とし続けることには十分な整合性はないと考えられる」という報告書まで出して、完全に白旗をあげている(今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 報告書より)。
というわけで、「規制緩和で格差拡大」も「規制強化でみんな正社員に」も、完全に間違いであり、その事実には厚労省もお墨付きを出しているということになる。
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/01/31349021.html
「同一労働同一賃金」の本質はコレだ! ツギハギだらけの賃金制度はもう止めよう(城繁幸)
2019/1/23 07:00
政府が公務員の定年を65歳に延長する法案を年内にも成立させる予定との報道があった。
同時に60歳以降は、給料は7割に削減するとのこと。これについて、「その給与水準は高いのか低いのか」といった質問をよくいただくので、筆者のスタンスをまとめておきたい。
給料はどうなる!?
給料はどうなる!?
65歳の公務員給料は破格!
一般の日本企業は65歳までの定年延長ではなく、定年退職後に嘱託として再雇用し、賃金制度をまったく別のものに切り替えたうえで賃金は5割前後にカットするのが主流だ。そういう意味では定年延長で賃金は7割、おそらく手当なども持ち越す公務員は破格の好待遇と言っていい。
このような話をすると、「公務員がお手本を示せば民間企業もならうはずだ」という、楽観的なことを言う人もいるが、確かにそういう企業もあるだろう。
公務員が(税金を投入してお手盛りで)手本を示してやれば、交渉力のある大手企業の一部は、下請けや若手、非正規雇用を絞ることで中高年の人件費を増やすかもしれない。でも、それに何か意味があるのだろうか。単なる弊害だろう。
とはいえ、筆者は「国も民間にならって定年延長ではなく嘱託にして賃金は5割くらいに抑えろ」と言うつもりもない。そもそも一律で〇割下げるという行為自体がおかしいと考えるからだ。
戦後、日本企業は年功序列制度のもと、初任給から毎年少しずつ昇給させ、50代の定年の直前でピークに到達させることで帳尻を合わせてきた。
それが国の年金財政の事情によって、実質的な定年が60歳、65歳と引き上げ、それにあわせて賃金水準を一律で引き下げることで、なんとかやりくりしてきたという経緯がある。
役職定年制度や再雇用時の嘱託制度というのは、企業がやむを得ずひねり出した「つぎはぎ」みたいなものだ。一言でいうなら、経営者も人事部も「その人の仕事にいくらの市場価値があるか」という点を、誰も考えてこなかったということになる。
そんなツギハギだらけのポンコツ賃金制度を、「公務員も真似しろ!」とは、筆者はとても言う気にはなれない。
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/01/23347984.html
「アベノミクス」効果あった? それでも庶民生活が苦しいワケはこれだ!(城繁幸)
2018/12/31 12:00
テレビ朝日系の報道番組「報道ステーション」で、日本人の可処分所得が大きく減少している問題が取り上げられ、SNS上でちょっとした話題となっている。
それでもって「アベノミクスは失敗だ!」と大喜びしている野党関係者も散見される。庶民が実際に使えるお金は大幅減。アベノミクスを6年もやった「成果」がこれか。
本当にアベノミクスのせいで庶民の生活は苦しくなったのだろうか。いい機会なのでまとめておこう。
社会保険料は増え続けている……
社会保険料は増え続けている……
勤労世帯の生活が苦しくなったのは社会保険料のせい
結論から言うと、庶民の生活に余裕がなくなったのは、賃金が微増にとどまるなか、過去20年以上ほぼ一貫して社会保険料の天引きが増え続けてきたためだ。
事業主負担分も含めたサラリーマンの社会保険料負担は、すでに45%に達する。
サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由 (Joe's Labo 2014年4月17日付)
「労使折半だから半分は会社が払ってくれてるんじゃないの?」と、思う人もいるかもしれないが、会社から見ればすべて含めて人件費である。
たとえば、あなたがお掃除代行サービスを1万円で頼んでいて、突然1万円の「お掃除代行税」が発生したとして「しようがないなあ、ポケットマネーからもう1万円出すか」とはならないだろう。お掃除代行サービスに2万円分の働きを求めるはずだ。
そうそう、参院選前に政府は財界に「教育無償化のためのコスト」として3000億円の負担も要求した。あれも恐らく今年(2018年)の昇給を削って捻出されているはずだ。
まとめると、高齢者やニートも含めた社会全体で負担できる消費税を上げる代わりに、保険料という形でサラリーマンだけが負担を押し付けられていることになる。
ちなみに、筆者自身はアベノミクスをまったく評価していないし、むしろ大失敗だったとみている。本当の評価は、近い将来下されることになるはずだ。
とはいえ、世の中の悪いことすべてを政府の政策に押し付けようとする向きには同調する気はない。
https://www.j-cast.com/kaisha/2018/12/31347110.html
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