http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/636.html
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(回答先: 来週の外為はFOMCショックから立ち直れるか、株価が鍵 FRB議長「点描画」 欧州「日本化」懸念再び、成長とインフレ鈍化 投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 22 日 22:48:21)
ソニー、増える利益と下がる株価
証券部 菊池貴之 2019/3/22 5:30日本経済新聞 電子版
2019年3月期に、前期比70%増の8350億円と過去最高の連結純利益(米国会計基準)を見込むソニー。最高益は18年3月期に続き2年連続だ。吉田憲一郎社長のもと、ゲームや音楽など景気の影響を受けにくい事業が着実に利益を稼ぐしくみを構築し、テレビなどエレクトロニクス事業の苦戦で収益が低迷していたかつての姿とは完全に決別した。だが、同じ最高益でも、株価を見る限り前期と今期とでは市場の受け止め方が異なるらしい。18年3月期の期中は株価がずっと上がり続けていたのに、昨年9月下旬を境に右肩下がりに転じてしまっている。
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「3年間合計の営業キャッシュフロー(CF)が3兆円に達しても不思議はない」。ある国内証券のアナリストは21年3月期までのソニーについて、こんな見方を示す。ソニー自身が示している営業CFの見込みより1兆円多い額だ。確実にキャッシュを生んでいるゲームや音楽といったエンタテインメント事業に加え、世界シェアで5割超を誇る画像センサーがある。スマートフォン(スマホ)の販売が頭打ちでも、画像センサーには複眼化、多眼化という追い風がある。ソニーの現金創出力に対する期待は高い。
ところが、株価はさえない。20日の終値は4951円と、約1カ月ぶりに5000円を割り込んだ。昨年9月28日に付けた昨年来高値(6973円)より3割安の水準だ。昨年来高値を付けたころには17倍台だったPER(株価収益率)は今や7倍台。東証1部平均(14倍台)の半分程度でしかない。
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2期連続の最高益を見込み、業績は好調だが……(ソニー本社)
利益や営業CFが増える一方で、下がり続ける株価。この差をどう理解したらいいのか。
まず指摘できるのは「次の利益成長のネタがみえてこない」(米系証券のアナリスト)ことだろう。19年3月期の予想営業利益が3100億円と連結業績全体をけん引するゲーム事業は「プレイステーション(PS)4」がゲーム機としてのモデル末期にさしかかっている。定額でオンライン対戦や一定のソフトを遊べる「プレイステーションプラス」の会員、3630万人(18年12月末時点)が一気にいなくなることはないにしても、成長のドライバーとしては力不足と言わざるを得ない。
とはいえ、次世代機はいずれ出てこよう。実際、吉田社長は18年10月、英フィナンシャル・タイムズに対し「次世代機は必要だ」と話しており、20年3月期に新型ゲーム機が投入されると予想する証券アナリストもいる。
画像センサーでも手を緩めない。ソニーは画像センサーを含む半導体事業に、21年3月期までの3年間で6000億円を投じる計画を掲げる。18年3月期までの3年間と比べ約3割増しの水準で、生産能力は2〜3割高まる見込みだ。スマホだけでなく車載用でも需要が増えていることに対応する。
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とすれば、株価が低迷する理由はほかにもある。それは皮肉にもCFが想定以上に増えていることかもしれない。前出のアナリストが指摘するように今後3年間で稼ぎ出す営業CFが1兆円も上振れするなら、相応の利益増を伴わなければ資金効率は悪化する。18年3月期に18%まで高まった自己資本利益率(ROE)も低下が避けられない。2月8日には1000億円の自社株買いを発表したが、1兆円に比べれば文字通り、ケタが違う。
ソニーは03年、業績悪化をきっかけに日本株全体を急落させた「ソニー・ショック」の引き金を引いた。逆に、17年秋に発表した業績上方修正は、日経平均株価が約26年ぶりの高値を回復する原動力になった。ソニーは良くも悪くも日本企業の象徴だ。好業績が素直に評価される段階が過ぎ、好業績で積み上がったキャッシュをどう活用するのかが問われている今の姿も、多くの日本企業が抱える課題と重なる。市場が求めるレベルが1段階上がったとの認識をソニーの経営陣が強めれば、どうにも上値が重い日本株も活気づくかもしれない。
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東証後場寄り 引き続き小安い 日銀買いの思惑乏しく、ソニー安値
2019/3/22 13:01
22日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は引き続き小安い。前営業日比40円程度安い、2万1570円近辺で推移している。円相場が1ドル=110円台後半と引き続き高止まりしており、散発的な売りに押されている。ソニーが昨年来安値を更新したほか、キヤノンなども売られており、主力電機株の下落が相場全体の重荷になっている。
東証株価指数(TOPIX)は前営業日の終値を0.11%下回って午前を終えた。日銀は前場終了時の下落率がより大きい19日(0.3%)に上場投資信託(ETF)買い入れを実施しておらず、「きょうも実施しないとの観測が買い控えにつながった」(国内証券の株式トレーダー)との声があった。
JPX日経インデックス400とTOPIXは引き続き小安い。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約284億円成立した。12時45分現在の東証1部の売買代金は概算で1兆4330億円、売買高は7億3637万株だった。
エーザイは引き続き売り気配。小野薬や塩野義、武田が下落している。セブン&アイや花王、JTも下げている。一方でSMCや住友鉱、味の素が上昇。ソフトバンクGやスズキも高い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42733940Q9A320C1000000/?n_cid=TPRN0026
2019年3月22日 竹内一正 :経営コンサルタント
アップルがジョブズを失っても史上初の1兆ドル企業になれた理由
アップル
「アップルはこれから駄目になる」と言われながら、なぜ1兆ドル企業に成長できたのでしょうか?Photo:iStock/gettyimages
2011年にジョブズが死去した時、多くの専門家は「アップルはこれから駄目になる」と予測した。ところが、ジョブズの後を継いだCEOティム・クックはアップルの売り上げを伸ばし続け、2018年夏にはビジネス史上初の時価総額1兆ドルを突破。iPhoneの累計販売台数は15億台を超えた。
ジョブズ亡き後のアップルでは一体何が起こっていたのか。そして、2019年1月に起きた「アップルショック」はアップルの終焉のはじまりなのか。『アップル さらなる成長と死角』の著者であり、アップルでの勤務経験を持つ竹内一正氏がその舞台裏を3回にわたって解き明かしていく。
30兆円のキャッシュを
どうやって積み上げたのか?
2689億ドル――約30兆円。
これは2017年度までにアップルが積み上げたキャッシュであり、スウェーデンの国家予算を上回る金額だ。アップルの財務体質は盤石だと世間は思っている。
そして、このキャッシュはiPodやiPhoneといった画期的な新製品がもたらしたものだと誰もが考えているが、それはA面の話に過ぎない。
B面では、ティム・クック率いるオペレーション部門が八面六臂の活躍をして、財務体質の改善を劇的に成し遂げていた。オペレーションとは、物流や在庫管理、サプライヤー管理を行う“裏方”の部署で、華やかさとはまったく縁がなく、地道で泥くさい仕事である。
そもそも、世界を驚かせる新製品を生み出すアップルでは、開発部門やデザイン、マーケティング部門が花形だ。一方、オペレーション部門は縁の下の力持ちで、アップルのヒエラルキーでは“最下層”と言っていい。ティム・クックは大学を出てからIBMやコンパックなどでこのオペレーションの仕事に携わってきた。
アップルに入ったティム・クックはジョブズの下、オペレーションの責任者としてアップルの工場を次々と閉鎖して、鴻海などサプライヤーに生産委託し、在庫回転率を上げ、赤字から黒字へ財務体質を劇的に改善したのだ。
技術開発はうまいが、
在庫管理は下手だった
ティム・クックが来るまで、アップル社では新製品を市場投入するたびに旧製品の膨大な在庫に悩まされていた。このことに世間もマスコミも気を留めていなかった。
しかし、実際には数百万ドルもの損失となって、アップルを苦しめていて、いかにして不要な在庫を最小化するかは、アップルの経営にとって大きな問題のはずだった。それにもかかわらず、世界を驚かせる製品を生み出すことに全力を挙げるアップルにとって、創業以来、在庫管理という仕事のプライオリティーは極めて低かった。
1995年頃、つまり、クック以前では、「アップル製品には3つの価格サイクルがある」と言われていた。
詳しく説明しよう。まず、製品発売時の価格がエントリープライス(初期価格)だ。たとえば、35万円の初期価格で販売開始したマッキントッシュは、時間経過とともにどうしても販売は減速していってしまう。
そこである日、ミッドターム・プライス(中間期価格)の25万円に一気に価格ダウンする。すると、販売は一旦、息を吹き返すものの、そう長くは続かない。しかたなく次の新製品が登場するタイミングに合わせて、EOLプライスを付ける。EOLとはエンド・オブ・ライフの意味で、いわば「たたき売り価格」だ。新製品が登場すれば旧製品に価値はなくなる。もし、EOLプライスが15万円だとすると、結局35万円で売り出したマッキントッシュは、最後には15万円でたたき売りしていたことになる。
当時のアップルは、エントリープライスで利益を稼ぎ、ミッドターム・プライスは利益スレスレで、EOLプライスだと赤字になっていた。3つの価格全体を総じて利益が出ればいいという極めて大雑把な考え方をしていた。それはアップルの社内常識であり、創業者のジョブズの思考回路を反映したものとも言えた。新製品を生み出すことに情熱を傾けるアップルだが、在庫管理や生産管理は下手くそで、手を抜いていた。
マイクロソフトに援助を求めるほど、
カネのなかったアップル
ジョブズが暫定CEOとなった1997年度のアップルの業績は約10億5000万ドル(当時のレートで約1260億円)の赤字で、売上利益率はマイナス15%と散々で危機的状況に陥っていた。2018年夏には時価総額1兆ドルを突破したアップル株だが、その頃は一株3ドル程度の“ジャンクボンド”に過ぎず、売却したくても手数料の方が高くつくありさまだった。
世間ではアップル社の身売り話が大きく取りざたされ、隆盛を誇っていたエクセレントカンパニーIBMが買収に乗り出すとか、アラブの王様がアップルを欲しがっているといった記事がシリコンバレーのサンノゼマーキュリー紙を度々飾った。
そこで、アップルへ奇跡の復帰を遂げ、暫定CEOとなったジョブズが最初に断行した事のひとつが、宿敵のマイクロソフトから資金援助を得ることだった。
1997年8月のイベント、マックワールドのステージ上でジョブズが「マイクロソフトと提携をする」と発表した時、観客たちは凍り付き、絶句した。ウィンドウズがMacをまねてつくられたことは業界関係者の間では常識中の常識だった。そして、PC業界を牛耳るマイクロソフト社とビル・ゲイツは独裁者ビッグブラザーであり、アップルファンにとっても親の敵同然だったからだ。
そんな感情論を振り払うように、ジョブズがビル・ゲイツと結んだ条件は、「マイクロソフトがウィンドウズを開発した際に、Macの重要な部分を盗用した」とアップルが起こしていた訴訟は取り下げること。そして、訴訟を取り下げる代わりに、マイクロソフトは1億5000万ドルで議決権なしのアップル株を購入し、少なくとも3年間は売却しない。そして、Mac用のアプリ、ワードとエクセルを開発することだった。
親の敵のようなマイクロソフトから1億5000万ドルのカネを恵んでもらわなければいけないほどアップル社は資金難に直面していた。それはティム・クックがアップルに入社する1年前のことだった。
「在庫は、乳製品と同じだ」
『アップル さらなる成長と死角』
竹内一正さんの新刊『アップル さらなる成長と死角』
1998年にコンパックから来たティム・クックは、在庫管理というジョブズにとって一番苦手であり、価値さえ感じていなかった本質的かつ重要な問題を、長年培ってきた高度なオペレーションのマジックで革命的に改善していった。
ジョブズと同様にティム・クックは、細部にまで口を出す経営者だ。ただし、クックの場合は製品に対してではなく、在庫管理の表計算スプレッドシートを相手にして、だった。
倹約家で、シゴト人間のティム・クックの会議は4〜5時間と長時間に及ぶことがざらである。在庫を1点ずつ細かく追いかけるには時間がかかる。長時間のマラソン会議になる覚悟で部下たちは準備をし、万全の態勢で会議に臨まなくてはならなかった。
そして、ティム・クックは在庫に関し、部下たちに常々こう諭していた。
「乳製品と同じように考えて管理すべきなんだ。もし、賞味期限を過ぎたら問題だ」
この言葉はアップル社員たちにとって目からうろこだった。在庫は時間の経過とともに腐っていく。古株のアップル社員たちはあっけに取られたが、クックの指摘は見事に本質を突いていた。
クックが財務体質を強化したからこそ、ジョブズは資金繰りの心配をせずイノベーションに精力を注ぐことができたのだ。
ジョブズが亡くなった時にアップルは、約816億ドル(約9兆円)のキャッシュをたくわえていた。そして、ティム・クックは、CEOを引き継いでからの6年間でアップルのキャッシュを約3倍強の約2689億ドルにしてみせた。もし、ティム・クックのオペレーション力がなかったら、アップルはiPhoneを生み出す前に資金切れを起こしていたかもしれない。
(経営コンサルタント 竹内一正)
https://diamond.jp/articles/-/197559
2019年3月22日 鈴木貴博 :百年コンサルティング代表
サイゼリヤの客離れが「全席禁煙化のせい」という説はどこまで本当か
サイゼリヤの客離れが「全席禁煙化のせい」はどこまで本当か
既存店売上高が11ヵ月連続で対前年比マイナスとなった原因が、「全席禁煙」ではないかと言われている。それは本当だろうか?Photo:DOL
サイゼリヤで報じられる苦境
「11ヵ月連続マイナス」の原因とは
外食産業の成長株だと思われていたサイゼリヤが、苦境にあります。既存店売上高が11ヵ月連続で対前年比マイナスになったというのです。そしてその一因が、ひょっとすると昨年7月に打ち出した「全席禁煙」ではないかという報道がされています。
一方で、ほぼ同時期、昨年6月に全席禁煙に踏み切った串カツ田中では、逆に禁煙化によって「成果が出た」と報道され、全席禁煙は外食産業にとってプラスになるというイメージが広められました。
一体全体、全席禁煙は外食産業にとってプラスに働くのか、それともマイナスに働くのか、どちらなのでしょう。2020年の東京オリンピックに向けて、これから外食産業における禁煙の動きはより活発になると思われます。それも踏まえて、禁煙化と売り上げの関係について考えてみたいと思います。
まずは、足もとで不調が取り沙汰されているサイゼリヤの状況を見てみましょう。サイゼリヤの既存店の売上減に関しては、実は面白いほど一貫した特徴があります。売上高は客数と客単価に分解できますが、売り上げが減少した11ヵ月の間、客数は一貫してマイナスとなり、その一方で客単価は一貫して微増を維持しているのです。
そしてその数字は、それほど大きな振れ幅ではないというのがもう1つの特徴です。客数は11ヵ月平均で2.4%のマイナス、客単価は同じく11ヵ月平均で0.4%のプラス。平たく言えば「お客さんの数は100人から97〜8人に減ったけど、お客さんが使うお金はほとんど変わっていない」という表現に近い状況が、11ヵ月続いているのです。
とはいえ、客数が一貫して減っているのは事実なので、「やはり一定数のお客さんが禁煙化で客離れになったのではないか」という疑問は出てくるでしょう。
この全席禁煙の影響ですが、要素を分解すると、禁煙になったのでお店を使わなくなった(離れた)顧客の数と、逆にタバコを吸う顧客がいなくなったのでお店を使うようになった(増えた)顧客の数の差し引き、ということになります。
日本人の成人(男女合計)の喫煙率は18%ですから、単純に考えると、サイゼリヤでは離れた客の数も増えた客の数も、実際の増減のマイナス2.4%よりも多いであろうことが推測されます。
全席禁煙を打ち出す前も
客数は一貫して減少していた
さらに、もう1つ気をつけなければいけないことが、この2.4%減は禁煙の影響だけではないということです。11ヵ月連続ということで言えば、全席禁煙を打ち出す前の時期でも、サイゼリヤの客数は一貫して減少していたことになります。
サイゼリヤの場合、2018年7月下旬に全国約1000店舗のうちの約300店舗で全席禁煙が始まり、今年9月までに全店での全席禁煙化を完了する予定になっています。禁煙化が始まった2018年8月から直近(2019年2月)までの7ヵ月に限っていうと、客数の減少率は2.0%。そしてその1年前となる、禁煙化と関係がない2017年8月から2018年2月までの客数の減少率は1.1%です。
そう考えると、禁煙化の悪影響はせいぜいその差の1%未満(単純計算で0.9%)。となり、禁煙の影響が既存店売上高の大きなマイナス要因とまではいいにくい気がします。
では、禁煙がプラス効果になったという串カツ田中のデータを見てみましょう。こちらは2018年6月に全面禁煙を行ったところ、むしろ客数が大幅に増えたという報道がありました。2018年5月における客数は対前年比で4.5%マイナスだったのが、6月には2.2%のプラスと大きく(6.7ポイント)改善したので、そう報道されたようです。
そこで、先ほどと同じような考え方で、全席禁煙になった2018年6月から直近の2019年2月までの既存店における客数増のデータを見てみると、4.5%どころではなく、平均で7.2%ものプラスになります。この数字を見ると、結構スゴイように思えますが、実はそうとも言えません。
まだ喫煙可だった1年前の同時期、2017年6月から2018年2月の客数は6.1%の高水準にあるからです。つまり、串カツ田中はそもそも成長を続けている会社なのです。
そして、前述の2つの時期の差を単純に計算すると、増えたのは1.1%なので、禁煙がプラスに働いた分はサイゼリヤ同様、やはり微妙な数字だったと言えそうです。
外食の浮沈の激しさは
こんなものではない
そもそも外食産業の興亡は、もっと数字的に激しいものです。直近2月の全店での対前年売上比を各社について拾ってみると、好調のコメダ珈琲が8.5%、スシロー8.8%、マクドナルドが3.6%。それに対して苦戦しているチェーンでは、天丼てんやがマイナス4.6%、吉野家がマイナス4.7%、モスバーガーはマイナス5.0%という振れ幅です。サイゼリヤが直近でマイナス0.7%の売上減だということは、業界全体で見れば異変というほどの出来事ではないわけです。
ただし、です。前述のように、日本の成人男性の18%が喫煙者だという事実を考えると、これから先、オリンピックに向けたグローバル規制により、外食各社で一斉に禁煙化が進むマイナス影響は、少なくないと考えるべきでしょう。
タイミング的には、他社を横目で見ながらいつ踏み切るかが、マーケティング政策的にいえば、「喫煙者がいないプラスをアピールすることによる顧客増」と「これまで来店してきた喫煙客の離脱によるマイナス」について、前者をなるべく増やし、後者のダメージをどう減らすかが、考えどころになってきます。
特に喫煙者をブレークダウンすると、男性が28%、女性が9%なので、その偏りを考慮することも重要です。女性顧客がメインのお店ではプラス効果が大きいし、男性顧客がメインの居酒屋のようなお店ではマイナス効果の方が大きいわけです。
各社が進める地道な取り組み
喫煙者を繋ぎ止める秘策とは
サイゼリヤの場合、ワイン1本が1000円、デカンタが200円、グラスワインが100円とアルコールの価格がとても安いため、これまでも「ちょい飲み」で来店する顧客が多いことが知られていました。よってサイゼリヤにとっては、全席禁煙は居酒屋と同じ打撃があったかもしれません。
その点で、サイゼリヤは面白い対策を考えています。全席禁煙になったお店に、今後は新幹線と同じように喫煙ルームを設けるというのです。これは東京都の禁煙条例で許されている施策ですが、全席禁煙のマイナスが大きい業態にとっては重要な対応策です。
そして、今は全面禁煙への移行期なので、お店ごとに顧客が増えた、減ったと一喜一憂がありますが、最終的にすべてのチェーンが同じ法律に従うことになる2020年には、少なくとも東京都に関してはプラス効果もマイナス効果も消えてしまうはずです。
そう考えると、この問題は最終的には「喫煙者に支持されているお店は喫煙ルームを設置するべきだ」という、当たり前の考え方へと収斂していくように思われます。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
https://diamond.jp/articles/-/197558
来たる景気後退に備え、営業はどうあるべきか
マーク・コバック,ジェイミー・クレグホーン:ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで多数の顧客戦略やマーケティングを中心としたプロジェクトに携わっている、ベインのB2Bコマーシャル・エクセレンス・グループのリーダー。
2019年3月22日
景気後退期に勢力を拡大するためには、大がかりな変革を景気後退前に行っておくのがベストである。新たなデジタルツールを活用しつつ、営業キャパシティとビジネス機会を整合させ、営業のオペレーションを締め直し、本社サポート組織がきちんと回るようにするなど、基本の徹底がカギとなる。
現在われわれが謳歌している景気拡大期は、歴史的観点では相当長い部類に入ろうとしており、日を追うごとに景気後退のリスクは上がっている。景気後退は多くの企業にとっては不意打ちのように起こる一方で、結果はだいたい想像がつく。
2001年の景気後退では、S&P500企業の総売上高は、景気後退前のピークから、景気が底を打った18カ月後――正式な景気後退の終了宣言から1年近くも後――までの間に9%減少した。しかし、適切に準備をした企業にとっては、この期間は混乱に乗じてシェアを伸ばす機会にもなる。
景気後退期に勢力を拡大する企業になるための大がかりな変革は、景気後退が来る前に行うのがベストである。過去の景気後退期における世界各国の約3500社の動向を調査したところ、最終的に勝者になった企業も敗者になった企業も、景気後退の前は2桁の成長率を記録していた。しかし、いざ景気後退に見舞われると、業績の差が顕著に広がり始めた。勝者が成長を続ける一方で、敗者は失速したのである。
業績の差はその後の景気回復期にさらに広がった(図1参照)。勝者が実行し、敗者が実行しなかったことは何だろうか。勝者は、景気後退が来る前に、景気の悪化から自社を防御するための様々な手立てを打っていた。例えば小口顧客にサービスを提供するために低コストのチャネルを追加したり、商品構成をシンプルにしたりといった、営業部門の内外での施策である。
http://www.dhbr.net/mwimgs/a/9/-/img_a995a4039b8b7641b41fe0e655525079162435.jpg
本稿では、新たなデジタルツールの登場を視野に入れながら、営業組織が次の景気後退に向けて今やるべきことに焦点を当てて解説する。まず着手すべきは、営業キャパシティとビジネス機会を整合させ(営業キャパシティは展開したその時から過不足が生じ始めるのが常である)、営業のオペレーションを締め直し(値引きのコントロールなど)、本社サポート組織がきちんと回るようにする(機敏な営業支援組織が不可欠)といった基本を徹底することである。
ここ数年で大いに発展したデジタルツールや分析テクニックは、こうした基本を確実にクリアすることに役立つ。我々が最近、B2B企業約900社を対象に実施した調査では、これらのツールの重要性が際立った。勝者(ここでは過去2年間で純収入を大幅に伸ばし、業界内で市場シェアを拡大した企業と定義する)の間で営業ケイパビリティにデジタルツールを導入している企業の割合は、敗者の約4倍だった。デジタルツールはまた、新たな市場へのアプローチの可能性も広げることができる。
ゼロベースの営業キャパシティ
時代遅れの手法で顧客や担当地区の割り当てをしている営業組織があまりにも多い。彼らは過去の営業データや大雑把なレポートに頼って、全体の市場規模を算出したり、必要な営業担当者の人数と配置を見積もったりしている。デジタルツールを活用することで、より正確なマッチングが可能だ。
たとえばデータセンターや通信ネットワーク企業向けにデジタルインフラを提供するバーティブは、いくつかの特徴的なデータ(例えば、ある施設に設置可能なサーバーラックの数)を活用したビジネス機会算出プログラムを確立した。このプログラムは、顧客上位100社のそれぞれについてバーティブの主要3製品に支出可能な金額の合計を算出したり、各地区の小口顧客の市場規模を推定したりすることができる。
同社がこの新たなプロセスを用いて主要5顧客の潜在的市場を再評価したところ、従来の推計値を50%上回る(18億ドル対12億ドル)ことが分かった。そして同社は、この最新の推計値に基づいて新たに見積もったビジネス機会を捉えるために、営業の顧客カバー体制を修正したのである。
手を引くタイミングを知る
多くの営業組織は、どの顧客に一番時間をかけていて、実際に顧客との対面時間をどのように使っているかについて追跡していない。さらに悪いことに、ほとんどのチームは顧客、製品ライン、取引ごとの収益性を定量的に把握していない。
この問題に対処するために、あるクラウドサービス・プロバイダーは、個々の取引レベルの収益性を定量化するためのデータ分析を実行した。そして、データをどこから見ても2000ドル未満の契約では利益が出ないという結論を得た。この分析結果は経営幹部が小規模契約を禁止する根拠となり、営業組織がより大規模な契約の締結に集中するようになって、同社は数四半期も達成できなかった営業目標を翌四半期に達成した。
低コストの営業チャネルを拡大する
状況によっては、小口の収入源を諦める代わりに、利益が上がる形で小規模な契約を締結できるチャネルを編み出す企業もある。何かを売り込む際に、外回りの営業担当者が必ず顧客と接する必要があるというのは神話である。場合によっては内勤営業グループの方が、コスト効率の良い営業活動を実行できる。
自動車ディーラーを顧客とする、あるオンライン広告・ソフトウェア会社の例を考えてみよう。幾度かの企業買収を経て、同社の営業部隊の成績は低迷していた。特に小規模ディーラーに対する営業とサービス提供のコストがかさみ、これらの顧客の利益率が縮小あるいは赤字化していた。また、営業担当者の時間も過度に奪われていた。同社は小規模ディーラーの担当を内勤の営業センターに切り替えた。このことによりコストが減少しただけでなく、従来サービスが手薄になりがちだった顧客層への気配りが強化されて、ディーラー側の顧客体験も改善した。一方、営業担当者は束縛がなくなり、より大規模なプロジェクトの営業活動に時間をつぎ込めるようになった。その結果、この会社では新規顧客獲得数が前年比3倍に増え、顧客減少数は大幅に減った。
内勤営業への切り替えには、通常は高度なデジタルマーケティングのケイパビリティが必要である。新たなデータソースや予測分析ソフトウェアは、内勤営業組織がターゲット顧客を特定したり、マーケティングや営業のリソースをリアルタイムで配置したりすることを支援する。例えばあるITサービス会社は、ディスカバーオーグと呼ばれるツールを使って、顧客が購入する可能性を示唆する人事・組織関連のデータ(ネットワーク担当管理職の求人など)マイニングを行っている。そうしたデジタルツールの導入後、同社の営業チームが見込み客と初回打ち合わせを設定できる確率は倍増した。
効果的な行動を見極め強化する
成績トップの営業担当者とそれ以外を分ける要因を理解したい企業は、オンラインカレンダーや電子メールのやり取りをマイニングする分析エンジンの活用を進めて、優秀な成績と相関関係のある行動の特定につなげようとしている。このような効果的な行動を研修に組み込んだり、現場のマネジャーが推進したりすることも可能である。
あるB2Bのテクノロジー企業は、マイクロソフトのワークプレイス・アナリティクスなどのデジタルツールを、営業担当者の行動の追跡に活用した。そのデータによると、成績トップの担当者はその他と比べて、社内の複数グループとやり取りをする割合が3倍、同僚の営業担当者と協力する割合が2倍、直属のマネジャーと毎週見込み顧客のレビューを行う割合が1.5倍も高いことが分かった。こうした行動を教育し、マネジャーによって継続的に推進することによって、成績下位の担当者の生産性を押し上げることができる。
顧客管理を自動化する
優秀な営業担当者は、各顧客について、ビジネス機会、顧客内シェア、意思決定者とインフルエンサー、重要なアクションの最新状況を常に把握している。レベジーやオルティファイといったソフトウェアアプリケーションは、こうしたプロセスを自動化し、企業の顧客管理プラットフォームに組み込むことによって、戦術的なビジネス機会追跡ツールを強力な戦略計画ツールに変える。
こうした分析は顧客の維持やクロスセルもサポートする。ある産業機器販売会社は、顧客にクロスセルをするべき製品を特定するために、ラティスエンジンズの人工知能を使っている。同社がこれを試験的に活用したところ、人工知能の提案を利用した営業担当者は、利用しなかった者と比べて売上が3〜4%高かった。そして本稼働後は営業担当者全体で売上高の増加が見られた。
バックオフィスを合理化し、デジタル化する
営業支援組織は、景気後退時に真っ先にコスト削減のターゲットになる傾向がある。業務の大部分のデジタル化と自動化を進め、スタッフが報告書を取り出して手作業で数字を照合する必要性を省くことにより、コスト圧力の先手を打つことは無駄ではない。最も優れた営業支援組織では、スタッフは価値のある知見を生み出す分析作業(クロスセルの機会を見つけるための既存顧客のマイニングなど)に従事している。
その他にデジタル化の機会がある業務として、CPQ(製品構成・価格設定・見積)プロセスが挙げられる。例えばある電気通信会社は、iPadのアプリケーションを使って幹部の契約レビューを支援している。小規模な契約についてはこのアプリがリスク水準、商業的実現性、戦略的機会、さらに利益率や落札できる確率等、必要な情報をまとめて容易に確認できるようにしてくれる。
価格設定の精度を磨く
B2B企業はほぼ例外なく、価格設定の改善余地がある。ベイン・アンド・カンパニーが1700社以上の営業・マーケティング担当の役職者を対象に実施した調査によると、85%の企業が、自社の価格設定の判断に改善の余地があると考えていた。しかし、そのための適切なツールやダッシュボードが自社にあると答えた企業はわずか15%に留まった。価格設定能力がすでに優れている企業も、以下のようなデジタルアプローチによって、さらに価値を引き出す機会を見出している。
・動的契約スコアリング:過去の取引、現在の顧客セグメントや嗜好データ、勝率、競合価格データについてマイニングを行うことにより、各契約に適した形で統計に基づいた価格設定指針を出す。
・アルゴリズムを用いた価格設定:外部市場、顧客、現在の需給に関するマクロデータ、競合他社の価格設定や変遷の情報を用いて、最適な価格を瞬時に決定する。
・反復機械学習:人工知能がサポートするA/Bテストを短いサイクルで繰り返すことにより、利益および数量目標を達成するための最適な価格をSKUレベルで決定する。
小さく始めて早めに失敗する
デジタル営業ツールの数はあまりにも多く、途方に暮れてしまうかもしれない。営業部門を統括するリーダーとしてはどこから始めるべきだろうか。
我々は、営業組織が小さなチームを作り、試しながら学習することによってこの問題にうまく対処する様子を見てきた。多くの組織がアジャイル開発の原則を取り入れており、プロセスを改善するだけでなく、短期集中型のトライアルを実施して成果を上げていた。成功を測る唯一の基準は、売上高と利益幅の増加である。こうしたチームで小さく始めることにより、プロセスの中で素早く欠点を解消できるし、たとえ失敗しても小さな傷で済むため、成功しないかもしれない方法も試すことができる。そして成功すれば、それを素早く拡大できる。
景気後退の到来を正確に予測しようとしても、たいていは当たらないため、あまり意味はない。しかし勝者になる企業は、景気後退が始まるずっと前からその最中にかけて、営業組織や市場開拓戦術など、自力でコントロールできる部分に取り組むことに力を入れる。そして営業に関するデジタルテクノロジーにいっそう精通することにより、デジタルの導入が遅い競合他社よりも優位に立つことができる。適切なデジタルツールを装備した営業チームにとっては、来たる景気後退は恐怖ではなく、むしろ待望されるものとも言えるのである。
HBR.ORG原文:What Sales Teams Should Do to Prepare for the Next Recession, November 23, 2018.
マーク・コバック(Mark Kovac)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで多数の顧客戦略やマーケティングを中心としたプロジェクトに携わっている、ベインのB2Bコマーシャル・エクセレンス・グループのリーダー。
ジェイミー・クレグホーン(Jamie Cleghorn)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナーで顧客戦略やマーケティングを中心に、多岐にわたる分野のプロジェクトを手掛けている。
http://www.dhbr.net/articles/-/5774
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