http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/590.html
Tweet |
“中国発”金融恐慌、世界中が警戒ムード…過剰債務膨張、大量解雇と倒産ラッシュ
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27045.html
2019.03.19 文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト Business Journal
中国の習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)
ひとまず延長戦に入った米中貿易戦争。ドナルド・トランプ米大統領は中国に時限を切った「締め切り」を心理作戦上からか、突如延長した。下交渉はワシントンと北京で数回繰り返され、実は土壇場で基本合意はできていたのに、具体的リストの提示を中国が渋った。このため交渉は決裂し、内容が漏洩されて中国の知識人の間では劉I副首相は「(日清戦争で下関条約を飲まされた)李鴻章以下」のレッテルが貼られたという。
トランプ政権は特に、知的財産権保護、技術移転の強制、通貨問題を含む中国の構造問題を追及しており、2月22日には劉副首相をホワイトハウスに招き入れて異例の面談をこなしたため、西側メディアには楽観論が噴出した。日本は気分に乗りやすく、株式市場が湧いた。
実際に、米中貿易戦争の収束に向けた次官級の通商協議にかなりの進展が見られる。ところが、中国ではこうした動きが報道されておらず、もし米国の要求通りに中国が譲歩したら、習近平国家主席は「李鴻章のようだ」と騒がれ、批判されることになるだろう。
ともかく、米中貿易交渉は当面2カ月程度の延長が決まり、メディアは中国の全国人民代表大会(全人代)の動きに焦点を移した。そして、この前後に大きな出来事が重なった。
まず、米朝首脳会談(ベトナム・ハノイ)の物別れ。次いで、中国が中央委員会第四回全体会議(四中全会)を開催せずに全人代に突入し、2019年の国内総生産(GDP)の成長率目標を18年の6.5%前後から6〜6.5%に下げたことだ。また、中国に進出する外国企業への技術強制移転をやめると宣言した。一方で、トランプ大統領は「中国は穀物への関税を撤廃せよ」と要求していることもわかった。
同時並行で、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟被告の不正送金およびスパイ行為容疑の身柄引き渡し審理がカナダで開始された。米国への身柄引き渡しを断固阻止するために、中国はカナダと米国を訴える時間稼ぎの法廷戦に移行した。このファーウェイ問題が貿易戦争のゆくえに大きなファクターとしてのしかかる。おそらく米中間のもっとも深刻な問題は、このファーウェイ排斥である。
しかしながら、米中は最終合意に向け、3月27日にフロリダでトランプ大統領と習主席による首脳会談を開き、決着を図るというタイムテーブルが見えてきた。大局的に見ると、米中貿易戦争はしょせん関税をかけ合うレベルでしかなく、これからは次世代通信規格「5G」が象徴するハイテクの覇権戦争に移行する。
■春節中に工場閉鎖…失業者&企業倒産が大量発生
また、中国発「金融恐慌」への対応が西側で広く議論されるようになった。習主席が1月21日の党中央学校における講演で「黒の白鳥にも、灰色のサイにも気をつけろ」と発言したことが、事態の深刻さを象徴している。「灰色のサイ」とは、日頃はおとなしく風景になじんでいるサイが突然凶暴化する譬喩で、要するに中国が抱える過剰債務問題の危険性を習主席自ら示唆しているのである。
かねてから、筆者はウォール街の債権専門家などの数字を基に「中国の債務は3700兆円前後だろう」と見積もってきた。18年8月の国際決済銀行(BIS)の統計では、中国の過剰債務は220兆元(邦貨換算で3740兆円)。奇しくも同じ数字をBISが用いていることがわかった。
全人代ではGDP成長率6〜6.5%が掲げられたが、達成は絶望的でほぼ無理である。春節(旧正月)中は鉄道、飛行機、長距離バス、そしてハイウェイが未曾有の人混みで大混乱に陥った。だが、その実態はといえば、例年より早い休暇入りが要因だ。そして、会社からは「ゆっくり休養を取れ。連絡するまで上京しなくてもよい」と言われ、給与は不払い、当座の旅費だけ支給される。春節が明けて職場に戻ると、工場は閉鎖されていた。中国ではよくある手口だ(日本に観光に来ている中国人はよほど恵まれた階層である)。昨年の企業倒産は、上半期だけで504万社と報じられている。
ビルの建設現場では労働者に3カ月給与不払いというケースが多く、現場の作業はストップしている。工期はベタ遅れ、クレーンは止まり、作業場では残った労働者の座り込み抗議集会やデモが続く。トラックの運転手はウーバーの中国事業を買収した配車サービス「滴滴出行」に職を脅かされ、当該本社前をトラックがグルグル回っての抗議活動が行われている。配送の下請けは賃金を受け取るまで「配達はしない」と抗議の声を上げた。
製造工場では生産ラインが次々と止まり、座り込み抗議集会が全土に拡大した。大躍進を遂げてシャープを買収した鴻海精密工業も騎虎の勢いを失い、とりあえず10万人をレイオフした。
こうした風景が中国全土のあちらこちらで見られるのだ。大量失業の実態を目撃すれば、どうやって6%台のGDP成長が可能と思えるだろうか。
■中国経済は黄金の時代から弔鐘の音色へ
あまつさえ、「金の卵」といわれ重宝されていた「海亀派」の異変もある。欧米日に留学し帰国した若者は、産卵のために古巣へ帰ってくるという意味で「海亀」と呼ばれ、経済発展を支える役回りを担っていた。その彼らにも、就職難という悪影響が出ているのだ。
中国国泰証券の主任エコノミスト・李迅雷によれば、「過去40年で実に313万の中国人留学生が海を渡り、このうちの84.6%が帰国した」という。そして、ある統計によれば、彼らの平均年収は2万5000ドルだったという。外資系企業が彼らを雇用し、その年収に比例して中国国有企業や下請けの賃金体系を外資系が領導した。しかし、そうした黄金の時代は終わった。
天津を例に取ってみよう。外国企業の天津への投資は未曾有の速度で激減している。17年に106億ドルだったが、18年には48億ドルとなって、どの工場も企業もレイオフを発表した。就職情報はなく、求人フェアに応募する企業がない。代表例となったのが、韓国・サムスン電子の半導体工場の閉鎖である。
「グレイ・エコノミー」と呼ばれるわけのわからない商売が、これまでは失業者を吸収してきた。出前の代理配達、通信販売、バイク便、自転車シェア、つまりウーバー・ビジネスだが、これも最近は完全な飽和状態となった。その上、当局はグレイ・エコノミー分野にも新しい規制をかけようと動き出した。
予測をはるかに超える加速度をつけて、中国経済の成長が終わりを告げている。その弔鐘の音色が寂寥感をともなわず、騒々しいのが中国的特徴である。
(文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト)
“中国発”金融恐慌、世界中が警戒ムード…過剰債務膨張、大量解雇と倒産ラッシュ https://t.co/eYcKKsQIRz pic.twitter.com/0Zhkpwb1eZ
— biz-journal (@biz_journal) 2019年3月18日
中国が抱える過剰債務問題の危険性。給与不払いや大量失業が広がっている。宮崎正弘さんのコラム。https://t.co/M10QvQEzhL 中国の債務は3700兆円前後。
— 石川一敏 (@ik108) 2019年3月19日
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。