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銀行員よりワンルーム営業マンがエリートになる「下剋上」社会
2019年03月19日 06:00
内藤 忍
内藤 忍
昨日の日本経済新聞の報道によれば、メガバンク3行が2020年4月入社の新卒採用数を前年比で2割以上減らすようです(図表も同紙電子版から)。
かつては、エリートと見なされた大手銀行員ですが、マイナス金利によって銀行の利ザヤが縮小し、収益が悪化。今や、銀行員は高コストで付加価値を生み出せない人たちに変わりつつあります。
私もかつては銀行員でしたが、銀行員が提供してきたサービスの多くは、創造力が要求されるというより、定型的な業務を如何に正確にこなすかという性質のものでした。今では、AI(人工知能)などの技術で代替して自動化できてしまいます。
例えば、銀行員のエリートが配属されていた融資審査の仕事は、AIに任せれば、熟練した銀行員より短時間でより正確に意思決定できます。
実は、銀行員の仕事の多くは、このように機械で簡単に置き換える程度のものなのです(もちろん中には付加価値の高い仕事をしている人もいます)。
銀行は、これから支店などの拠点を減らし、リストラによって人件費削減に乗り出すはずです。もはや、銀行員はエリートサラリーマンというより、これから無くなっていく斜陽族という立ち位置になっているのです。
対照的なのが、例えばワンルームマンションの営業マンです。不動産業界は金融に比べてワンランク下の業界と考えられていました。その中でも、ワンルームマンションの販売というのは、大手不動産会社やマンションデベロッパーに比べ、下位に位置付けられていたのです。
銀行や証券会社はおろか、マンションデベロッパーにさえ門前払いを食らって、入社試験すら受けられなかった、面々が今やワンルームマンション業界で頭角を現しています。抜群の営業成績を上げて、年収数千万円を稼ぐようになっている人も珍しくありません。中には独立して、有名芸能人との交際を派手にスクープされている人もいます。
銀行員からすれば、相手にすらしてなかったワンルームマンションの営業マンが、今や自分の年収の数倍を軽々と稼いでいる。しかも、お客様に喜ばれ、さらに紹介で顧客層を広げている。
そんなサラリーマンの世界での下剋上が知らないうちに起こっている。学歴に関係なく、如何に付加価値を提供するかによって新しいヒエラルキーが生まれているのです。これは何とも痛快な出来事です。
日本の社会は戦国時代のような大きな転換期です。これからもこのような下剋上が、様々な業界で次々と起こっていくことでしょう。
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世界は「フラット化」するのに、なぜ日本では経済格差が広がるのか?
2019年01月16日 11:30
内藤 忍
新興国に旅行に行くと、日本との富の格差が急激に縮小していることを感じます。特に、経済発展が続く新興国の首都の中心部に行くと、今や日本の地方都市よりも豊かではないかと思ってしまうほどです。
その背景にあるのは「フラット化」と呼ばれる現象です。インターネットによって、世界が均一化していく流れの中で、先進国・新興国という区分けが曖昧になっていくのです。
その一方で、日本国内では経済的な格差が一段と大きくなっている気がします。
銀座や六本木の繁華街にいくと、シャンパンを大きなグラスに1本入れて飲んでるような景気の良い人たちがいる。そうかと思えば、経済的に追い込まれ、日々節約に勤しみ、これからの未来に不安を抱えている人もいます。
経済的に豊かな人とそうではない人の違いは、どこから生まれるのでしょうか?
「リスクを取っているかどうか」だと私は思います。
今の日本は、リスクに対するリターンが非常に大きくなっています。つまりリスクを取った方が有利なのです。
例えば、私が大学生の頃、起業と言えば、全人生を賭けてやる大勝負でした。生命保険に入り、失敗したら自分の命で返済する。それぐらいの覚悟が必要でした。ハードルが高い割に成功の確率は低く、リスクを取ることが割に合わなかったのです。
しかし、今では資本が無くても、学生でもアイディアさえあればカジュアルに起業でき、成功すれば莫大な利益。失敗しても、失うものはほとんどありません。
「リスクを取ったもん勝ち」なのです。
多くの日本人は、未だに大企業に入って安定した仕事を続けるのが、経済的に最もメリットが大きいと思っています。しかし、これは昭和な価値観です。
私も社会人になってから、従業員数千人の大手信託銀行、社員4人のネットベンチャー、そして一人で起業とリスクを取りまくってきましたが、それに伴い大きなリターンを得られるようになりました。
大手企業で懸命に働いても、これからは豊かな老後は実現できません。なぜなら、大企業であっても環境変化による経営悪化のリスクが高まっています。安泰とは必ずしも言えないからです。
また、平均寿命の伸びによって、ライフスタイルが大きく変わりました。リタイア後の期間が長くなり、より大きな経済的基盤が必要になっています。これは、定年まで会社に勤めているだけでは得られません。
このような世の中の構造的変化に気がつき、いち早く対応していくことが、これからますます重要になっていくのです。
国内の経済格差はこれからさらに拡大すると予想します。手遅れにならないうちに、リスクをとって行動することが、後から後悔しないために必要なことです。
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Shingo Fujimoto
中段以降に書かれているリスクテイクも、新興富裕層がボリュームを増し都市部の活況を担っている一因として理解できます。
革命や内戦を経験した国にいたことがあるので、個人やファミリーの浮き沈みが単に政治に巻き込まれた結果や運によるものではなく、才覚や縁をフルに使って自ら掴みに行く人がそれなりの結果を得ていると実感しています。
「フラット化」という意味が格差解消であるなら、彼の国内での格差は更に極端になっていますが、先進国と途上国の富裕層を比べるなら同じような生活レベル、情報の共有、先進技術の利活用が出来ていると思います。
援助関係だったので、日本とは比べ物にならない貧困や治安問題の解消=国内格差の問題のほうが気になりますので、そういう都市部が強欲なままだと結局国情が不安定になるのではないかと危惧しています。。
内藤 忍
資産デザイン研究所社長
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米国の子供たちの63%以上が資産貧困
22.02.2019
Credit: CC0 Public Domain
オレゴン州立大学の研究チームの調査研究で、米国の子供たちの63%以上とアメリカ人の55%が資産貧困に悩んでいる事実が明らかになった。過半数の米国人は、失業、医療危機、連邦政府閉鎖など、経済的緊急事態に頼るべき資産をほとんど有しない現実が明らかになった。(Rothwell et al., Children and Youth Service Review 96, 409, 2019)。
資産貧困とは
車、住宅、普通預金口座、投資などの資産を欠く資産貧困の家族は、金融危機を乗り切るのが難しい。資産貧困はこれまで考察されてこなかった経済的安定の因子だが、今回初となる資産貧困の調査によって、アメリカの家族、特に子供の世代の経済的不安要素が浮き彫りになった。
幼児期の貧困経験が生涯に影響を与える可能性が高いとされる。過去の研究では、貧困で育った子どもたちは教育課程で厳しい環境に置かれ、仕事に就いても一生を通じて収入が少なくなり、家族の不安定を経験する可能性が高い。最近の研究では、両親の資産レベルが学業成績、教育的機会および大学入学および卒業の可能性影響力を持つことが明らかになっている。資産があれば収入が打撃を受けたときの財政的ストレスや負担が軽減できるからだ。
注目すべき事実は、資産貧困の比率が、家族の収入貧困よりも高いことである。カナダの家族を対象とした2018年の調査で、資産貧困が所得貧困の2〜3倍であることがわかった。資産貧困の家庭は不況、自然災害、政府の閉鎖などの経済ショックをもろに受ける。 資産は予期せぬ経済変動に対する保険となり、危機的状況を乗り越えることにつながる。
研究チームはアメリカ、オーストラリア、イギリス、フィンランド、イタリア、ノルウェーの25万以上の世帯からの収入と資産データを分析した。
子供の資産貧困率トップの米国
その結果、米国とオーストラリアがそれぞれ62.9%と最も高い子供の資産貧困率で、次に52.2%のイギリス、48.9%のイタリアと47.6%のフィンランドが続いた。最も低い資産貧困率は34.4%のノルウェーであった。この6カ国のうち3カ国で、子どもの半数以上(特にシングルマザーの子供たち)が資産貧困に苦しんでいる。
国によって比率に差があるが、子供たちの間で資産貧困が非常に高い、すなわち「子供たちは弱い立場にある」ことが明らかになった。特に米国の子供たちは他の国よりも資産貧困にある比率が高い。他の国々では、米国より健康保険制度、失業、住宅、その他の社会的支援を受けやすいため、米国の社会的セーフティネットが脆弱なためと考えられる。資産貧困の蔓延は、短期的な不安を相殺し、長期的な発展を促進するための革新的な政策は米国の重要課題となっている。
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