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(回答先: 迷走する日本の「働き方改革」への処方箋 競争社会がやってくる、「弱肉強食」の正体とは? 投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 18 日 14:14:49)
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
米国がAI分野で中国との競争に躍起になる理由
2019/03/18
岡崎研究所
2月11日、トランプ大統領はAI(人工知能)の研究開発を強化することを指示する大統領令に署名、「米AIイニシアティヴ」を発表した。トランプ大統領は2月5日の一般教書演説でも、AIにおいて米国のリーダーシップが継続することが米国の経済および国家安全保障を維持する上で最高に重要だ、と強調していたが、それを肉付けしていく動きと言える。
(Matrosovv/michaeljung/Pakpoom Makpan/iStock)
米AIイニシアティヴは、次の5つの骨子を含む。(1)AIの研究開発への投資の強化、(2)AIに関するリソースの解放:連邦政府が持つAIに関するデータや技術を米国のAI研究開発者に利用可能にさせる、(3)AIに関するガバナンス基準の設定、(4)AI研究開発者を増やす、(5)AIの研究開発を後押しする国際的環境を促進;米国のAI産業に対し市場を開放させていく;米国のAI技術の戦略的競争相手に対する優位を守る施策を講じる。
トランプは大統領指令の中で「米国のAI技術を、戦略的競争相手や敵対的国家がこれを取得しようとする企てから守る」と述べている。 2月11日のホワイトハウスの発表は、「米国はAIの分野で先駆者となりリーダーとなることで莫大な利益を得てきたが、世界中でのAIイノベーションのペースが高まる中、我々は手をこまねいているわけにはいかない。我々は、アメリカ人の創意工夫がAIを前進させ続け、米国の価値を反映し、アメリカ人の利益のためになるようにしなければならない」としている。いずれも、名指しはしていないが、当然、中国を強く念頭に置いていることは明白である。AI技術等の輸出強化を進める方針である。
トランプ政権がAIの分野で中国との競争に躍起になるのには、もっともな理由がある。第一に、言うまでもないことであるが、AI技術は今後の軍事技術にとり、死活的に重要な役割を果たすことは確実だからである。第二に、それにも拘わらず、米国のAI技術への投資は、中国と比較すると圧倒的に不足している。米ブルッキングスの2月12日付けブログ記事‘Assessing Trump’s artificial intelligence executive order’は、中国は今後10年で1500億ドルをAI技術の開発に投じる一方、米国は公開されている分は年に11億ドルに過ぎない、と指摘する。第三に、2月18日付けのワシントン・ポスト紙の社説‘The Trump administration sounds an alarm bell as China forges ahead on AI’なども問題提起しているが、米国のAI技術開発は民生に偏り、軍事利用については閑却しているきらいがある。これは、ペンタゴン(2月12に日AIに関する独自の報告書を発表している)を除く官庁にも、民間企業にも当てはまる。上記ワシントン・ポスト社説によれば「米国のAI開発者は、米軍を助けることよりも、自動運転技術の開発に照準を合わせている」。
AIをはじめとする米中の技術競争は、今や両国の「生存競争」となりつつあるといって過言ではない。しかし、AIをめぐる米中競争は、米国、ひいては西側にとり必ずしも楽観できないと思われる。
米国は、今後、中国へのAI技術等の輸出規制に加え、同盟国やパートナー国に対しても戦略的競争相手や敵対国家にAI技術を渡さないよう、強く働きかけてくるであろう。昨年成立した「国防権限法2019」に含まれる、輸出管理改革法(ECRA)は、「米国の国家安全保障にとって重要な新基本技術(AIはこれに含まれると考えられる)」を、「外国への新基本技術の拡散の制限に関して課せられる輸出規制の有効性」を勘案しつつ、米国からの輸出と米国への再輸出を規制し得ると定めている。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15609
米サブプライム危機、今度は自動車ローンか?
好景気の米国で不可解な統計、若い借り手の間でデフォルト急増
2019.3.18(月) Financial Times
自動車輸入は「安全保障上の脅威」 米商務省の報告書、関税発動に道筋か
米アラバマ州バンスの工場で製造される独自動車メーカー、メルセデス・ベンツ「Cクラス」(2017年6月8日撮影)。(c)Andrew CABALLERO-REYNOLDS / AFP〔AFPBB News〕
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年3月14日付)
ウォール街で「サブプライム」という言葉を口にすれば、多くの投資家がたじろぐだろう。無理もない。
10年前に世界金融危機が発生した主な理由は、信用ブームの時期に米国で組まれた高リスクの住宅ローンのデフォルト(債務不履行)が始まったことだった。
あれ以来、規制当局も銀行も借り手も、自分の身の丈に合わない住宅を競って買うというクレージーな状況を繰り返すのはごめんだと心に決めている。
ありがたいことに、サブプライム住宅ローンの災いが再来する兆しはほとんどない。
それどころか、ニューヨーク連邦準備銀行が発表した消費者債務の最新データによれば、住宅ローンはここ数カ月間ほとんど横ばいで、2008年よりも低い水準にとどまっている。
悪いニュースは、消費者信用の他の部門で妙な動きが見られることだ。
消費者の借り入れは、全体的には安定したペースで増えているが、自動車の購入に関係するローンだけはここ1年で急増しているのだ。
FICOの消費者信用スコアが620(米国では、コンベンショナル住宅ローン=政府機関による支払い保証がつかない住宅ローン=が組めるギリギリの水準)に満たない、リスクの高い借り手による「サブプライム・カテゴリー」の部類では特に増加が著しい。
そして、さらに衝撃的なことに、このサブプライム自動車ローンのデフォルトが急増した模様なのだ。
「信用スコアが620未満の借り手では、延滞に陥る割合が第4四半期に8%(移動合計による年率)を超えた」
ニューヨーク連銀のエコノミストたちはブログにそう記している。
また、今のところ自動車ローンを延滞(90日以上の支払い遅延)している米国人は700万人ほどで、2010年の実績より100万人多いとも指摘している。「景気と労働市場が好調な時期だけに意外な展開だ」という。
歴史は繰り返す、ということなのだろうか。いや、そこまではいかない。
これらの新たなサブプライムローンが新たな金融ショックに火をつけることは考えにくい。サブプライム自動車ローンセクターの規模は3000億ドルに過ぎず、サブプライム住宅ローンセクターよりもはるかに小さいからだ。
しかし、このデータを見た専門家は当惑している。数字が間違っているかもしれない、少なくともいずれ改定されるだろうとの声まで上がっている。
ある大手の貸付債権ファンドのトップは「統計の一時的な逸脱かもしれない」と述べている。他の消費者信用の数字とは異なるトレンドを描いているからだ。
サブプライム自動車ローンのデータが(ニューヨーク連銀の言うように)正しければ、その説明としてまず考えられるのは、金利が非常に低いために金融会社が後先を考えずに貸し込んでいるというものだ。
(筆者のもとには金融会社から、ローンを組まないかというジャンクメールが津波のごとく押し寄せている。そこから判断するなら、十分にあり得ることだと思う)
次に考えられるのは、最近の好景気においても持てる者と持たざる者の格差が広がっている、ということ。
民主党の大統領候補になることを目指しているカーマラ・ハリス氏は先日、およそ「40%の米国人は、400ドルの急な出費に対応できる現金もないと話している」と指摘していた。
もし、経済的に不安定な世帯が自動車ローンを借りているのであれば、その家計の脆弱さでデフォルトの増加を説明できるかもしれない。
しかし、これもあり得るかもしれないと筆者が注目している見方がある。
消費者行動が変化しているのかもしれない、そしてそのせいでデフォルトについての予測をエコノミストたちが外しているのかもしれない、という見方だ。
もしそうだとしたら、これは初めてのケースではない。10年前のサブプライム住宅ローンの時もそうだった。
経済学者たちが消費者行動のモデルを編み出した20世紀の終わり頃には、債務のデフォルトに踏み切る家計はクレジットカード、自動車ローン、そして最後に住宅ローンという順番でデフォルトすると想定されることが多かった。
それが昔からのパターンだったし、住宅が重視される文化であることを考えれば理にかなっているようにも思われた。
しかし、2000年代の初めにはこの順番が変わり始めていたようだ。
消費者は自動車ローンやクレジットカードよりも先に、住宅ローンをデフォルトし始めたのだ。
(見たところ、住宅を明け渡すことが以前よりも受け入れられるようになったが、米国で暮らすにはクレジットカードが欠かせないという事情もあるのだろう)
消費者の行動を現場で見ている人なら――例えば人類学者とか、非主流派の投資家とかなら――借り手を単に観察するだけでこの変化に気づくことができたかもしれない。
だが、ほとんどの経済学者やエコノミストはこれを見逃した。将来は過去と同じような動きをするという前提でモデルを組んでいたからだ。
ひょっとしたら今、これと同じようなことが再び起きているのかもしれない。
ニューヨーク連銀のデータによれば、サブプライム自動車ローンのデフォルトを細かく分析すると、デフォルト率が最も大きく上昇しているのは30歳未満の借り手であり、30〜39歳の借り手がこれに続くという衝撃的なことが分かるという。
ひょっとしたらこれは、いわゆるミレニアル世代の経済的な不安定さを反映しているのかもしれない。
あるいは、大学の学費のローンが重くのしかかっていることの反映なのかもしれない。
だが、もっとシンプルな説明があるのかもしれない。つまり、この世代は親の世代ほどには自動車に頓着しない、ということではないだろうか。
消費についての、そしてデフォルトについての優先順位が変化したのではないだろうか。
これはまだ推測の域を出ない。しっかりした研究はまだほとんど行われていない。
しかし、もしこの新種の「サブプライム・サプライズ」が一時的な逸脱以上のものなら、我々に大事なことを一つ思い出させてくれるはずだ。
将来の予測において過去を頼りにすることには危険が伴う、というのがそれだ。
時には、普通ではない統計を解釈する唯一の方法は、住宅ローンバブルとその破裂の際にほとんどのアナリストがしそこねたことを実行することだ。
先入観を捨てて街に出て、消費者の暮らしの様子を自分の目で観察するのだ。
By Gillian Tett
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55796
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