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労働力不足を解消するには「最低賃金」を大胆に引き上げるべきだ
https://diamond.jp/articles/-/196958
2019.3.15 塚崎公義:久留米大学商学部教授 ダイヤモンド・オンライン
写真はイメージです Photo:PIXTA
労働力不足が深刻さを増している。政府は外国人労働者(技術者などを除く単純労働者、以下同)を受け入れることにしたが、その前に日本人労働者の待遇を改善するのが筋だ。そこで本稿では、労働力不足と日本人労働者の待遇について考えてみたい。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
「均衡価格」を払えば
労働力不足にはならない
労働力不足という言葉は、何を意味するのであろうか。簡単にいえば、雇いたい人の方が働きたい人よりも多いので、労働者を募集しても応募がなくて困っている経営者が多数存在しているということだ。
そのとき、「募集条件」はどうなっているのだろうか。そこを見ない限り、本当に労働力が不足しているのか否かは判断できない。
もしも、日本中の消費者が「1キロ10円で牛肉を買いたい」と希望したとして、売ってくれる店がなくても「日本は牛肉不足の国だ」ということにはならないからだ。
経済学の教科書には、「価格は、需要と供給が一致する所に決まる」と書いてある。その価格を「均衡価格」と呼ぶ。均衡価格においては需要と供給が一致しているので、買い手は容易に売り手を見つけることができるはず。そうでないのは、経済学の教科書が「労働力不足」という状況を想定していないからだ。
では、何が間違っているのだろうか。経済学理論が間違っているのか、それとも現実がおかしいのか。結論をいえば、経済学が「人々は何でも知っているはず」という前提に基づいて理論を構築しており、それが現実的ではないためきちんと説明できていないのだ。
最低賃金の引き上げは
「情報弱者」を救う
個々の経営者は、需要曲線と供給曲線の形を見ながら意思決定をするわけではない。だから、自分の払っている(または提示している)賃金が、均衡価格なのか否かを判断することは難しい。
そのため、均衡価格を下回る賃金で労働者を募集し、応募がないことを嘆いている経営者は多いはずだ。そうした経営者を救うためには、最低賃金を均衡価格まで引き上げればいい。もっとも、政府も均衡価格を知っているわけではないから、急激にではなく、徐々に、しかし大胆に最低賃金を引き上げていけばいいのだ。
それにより、均衡価格を下回る賃金で労働者を募集し続けている「情報弱者」ともいうべき経営者を救うことができるのだ。ここで情報弱者という言葉は、妥当ではないのかもしれない。誰も均衡価格を知らないという意味では、皆が情報弱者だからだ。しかし、本稿ではあえて経済学の想定していない人という意味で、情報弱者と呼ぶことにした。
労働者の側にも、情報弱者は存在する。こちらは本来の意味の情報弱者に近い。自分が受け取っている(提示されている)賃金が、世の中の一般的な賃金水準より低いことを知らずに働いている(働こうとしている)人だ。最低賃金の引き上げは、こうした労働者を救う。
経営者の中には、自分が提示している賃金が低すぎることを何となく感じながらも、「情報弱者の労働者が、わが社に応募してくれるかもしれない」と考えて待っている人もいるだろう。そういう経営者を排除できることも、最低賃金引き上げのメリットといえる。
労働者の中には「他に給料のいい仕事があるのは知っているが、自分がやめたら職場に迷惑がかかる」と考えている人もいるだろう。責任感が強い立派な人だが、経済学的にいえば「お人よし」だ。いずれにしても、そうした人が正当な待遇を受けられるということも、最低賃金引き上げのメリットといえよう。
最低賃金の引き上げは
企業の過当競争を緩和する
日本の企業は、従来 “過当競争体質”だった。筆者の想像だが、高度成長期に「市場は拡大するのだから、初期の段階で赤字を出してもマーケットシェアを確保することが重要だ」という発想が経営者の間に広まったのも一因だろう。
その後、ゼロ成長時代になったが、「市場は拡大しないのだから、マーケットシェアを拡大しなければ売り上げは伸ばせない」という考え方が主流になり、「利益よりシェア」という発想が続いているのだ。
問題は、各社がシェア重視である市場においては、どこか1社が「シェアより利益」という考え方に転換するのは極めて困難だということだ。1社が値上げをすれば、客がライバルに逃げるので、値上げした会社が先に苦境に陥ってしまうためだ。
反対に、無謀な値下げ合戦は簡単に発生する。「値下げしてライバルから客を奪おう」と1社が考えれば、他社も追随せざるを得ないからだ。
こうして、各社が安売り競争を繰り広げるため、払える賃金にも上限が生まれ、その範囲で労働者を募集するから応募がなく、労働力不足が続くというわけだ。
こうした状況を改善する1つの方策として、“官製カルテル”ともいえる「最低賃金」を引き上げるということが考えられる。賃金を均衡価格まで上げてしまえば、各社とも赤字を避けるために売値を値上げせざるを得ない。
各社が利益を削る競争は続くだろうが、少なくとも「価格が上げられないから均衡価格の賃金が払えない」という企業はなくなるだろう。
ちなみに、各社が値下げ競争を繰り広げるメカニズムは、「囚人のジレンマ」と呼ばれるモデルで説明されることが多いのでご存じの読者も多いと思うが、拙稿「家電量販店の“最安値保証”は実はライバル店への『脅し』だった」をご参照いただければ幸いだ。
次の不況期には最低賃金を
引き下げる勇気が必要
最低賃金の引き上げには、1つだけ絶対に必要な条件がある。それは、次の不況期に最低賃金を引き下げることだ。不況になって労働力の需要が減り、均衡価格が下がったのに最低賃金が高いままだと、大量の失業が生じかねないからだ。
例えば、失業率に応じて柔軟に最低賃金を上げ下げするようなシステムが望まれる。実際には、失業率は景気の動きよりも少し遅れて動く性質があるし、最低賃金を引き下げてから雇用が増えるまでにも時間がかかるから、「1年後の失業率が今より高そうだと思ったら最低賃金を引き下げる」といった柔軟な変更が望まれる。
1年後の失業率を正確に予想するのは難しいので、実際の運用をどうするのかは工夫の余地があるが、例えば日銀の金融政策は、近い将来のインフレ率や失業率を予想しながら行われているわけで、政府が日銀のやり方を参考に決めていけばいいのではないだろうか。
労働力不足を解消するには「最低賃金」を大胆に引き上げるべきだ | 重要ニュース解説「今を読む」 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/fvwed8XHrl
— マクガン (@Makugan32) 2019年3月14日
賃金を大胆に上げるべきなのは、その通りなんでしょうけど、「最低賃金」を急激に上げちゃうのは…今の韓国っていう実例がありますからね…
労働力不足を解消するには「最低賃金」を大胆に引き上げるべきだ
— 💗山岸由花子💗 (@Love_Deluxe_YY) 2019年3月14日
改善策の1つとし官製カルテルともいえる「最低賃金」を引き上げるということが考えられる。賃金を均衡価格まで上げてしまえば、各社とも赤字を避けるために売値を値上げせざるを得ない。https://t.co/sNhRBv95On
労働力不足を解消するには「最低賃金」を大胆に引き上げるべきだ https://t.co/06sQ7IeFw4 #スマートニュース
— 長目もよ男: (@800088881k) 2019年3月14日
思いつきにすぎんが、ぱっと思いつく解としては、非正規雇用者にもボーナスを支給し、その額を景気連動にすることだろうか。
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