http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/378.html
Tweet |
ビジネス2019年3月5日 / 17:41 / 1時間前更新
焦点:
食品値上げ続々、それでも上がらないインフレ期待 将来不安も影響
Reuters Staff
3 分で読む
[東京 5日 ロイター] - 食品業界を中心に値上げの動きが相次いでいる。大型ペットボトルや即席麺、サバ缶、冷凍食品、アイスクリーム、スナック菓子、コーヒーなど幅広い範囲で価格上昇が始まった。ただ、専門家からは今回の値上げが人々のインフレ期待に火をつける可能性は低いとの見方が出ている。
企業経営者からも、将来にわたって社会保障制度が安定しているという「安心感」がない現状では、消費を手控えて将来に備える動きが継続し、物価が上がりづらい状況が続くとの見通しが出ている。
<物流費の上昇に悲鳴>
「人件費・物流費の上昇を吸収したいが、吸収しきれない」(味の素(2802.T)の西井孝明社長)、「われわれは耐えて耐えてここまできたが、コスト削減ではまかなえない」(コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579.T)の吉松民雄社長)──。昨年後半から今年にかけて、値上げを発表した企業経営者の口から飛び出したのは、物流費・人件費の上昇に対する悲鳴にも近い声だった。
今回の値上げはこれまでと違い、原材料価格の上昇よりも、人手不足による人件費や物流費の上昇を転嫁するケースが多いのが特徴だ。
実際、日銀の「企業向けサービス価格指数」によると、宅配便やトラック運送など道路貨物輸送の価格は、2010年から1割超上昇している。
サントリーホールディングス[SUNTH.UL]の新浪剛史社長は、2月15日の会見で「猛暑で(量が出るのに)収益が上げられないというのは考えづらい」と、現下の収益構造を嘆いた。同社は人工知能(AI)やロボットの活用などを通じ、サプライチェーンコストを下げていく方針だ。
<身近な商品の影響受ける物価観>
日銀が物価上昇2%を目標に掲げて「量的・質的金融緩和」を導入してから、4月で丸6年となる。この間、全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は一時1.5%(消費増税の影響除く)まで上昇したが、その後、原油価格の下落や消費増税による需要の弱さが足を引っ張り失速。現在も2%には届いていない。
日銀は、1)2%の物価目標に強くコミットすることで、予想物価上昇率(インフレ期待)を引き上げる、2)大量の国債を購入することで名目金利を引き下げる──の合わせ技で、実質金利を押し下げようとした。
その結果、前向きの循環メカニズムが働き出し、最終的に需給の引き締まりによる物価上昇を目指してきたが、物価の動きは鈍いままだ。
インフレ期待、すなわち物価観は人々の主観に基づくため、多様でばらつきが大きい。先行研究では、1)実際の物価上昇率よりも上振れて推移している、2)5の倍数などきりの良い数字が多い──などの性質があることがわかっている。
また、短期的には食料品やガソリンなど購入頻度の高い財・サービスの影響を受けやすく、内閣府の消費動向調査をみると、年齢や性別、年収、地域によっても異なる傾向がある。
日銀が「生活意識に関するアンケート調査」(13年9月調査)で5年後の物価予想の根拠を聞いたところ「ガソリン価格の動向をみて」との回答がもっとも多かった。
以下、「頻繁に購入する品目(食料品など)の価格の動向から」、「商品・サービスの価格や物価に関するマスコミ報道を通じて」と続いており、一部の先行研究と整合的な結果となっている。
<物価上昇実感も継続は「考えにくい」>
では、身近な商品である食品の相次ぐ値上げは、人々の物価観に影響を与えるのか。一橋大学経済研究所の阿部修人教授は「仮に今回、人々が物価の上昇を実感したとしても、今後も上がり続けるとは考えにくいのではないか」との見方を示した。
日銀は16年9月に公表した異次元緩和の「総括的な検証」で、日本のインフレ期待は、過去の物価上昇率に引きずられやすいとの見解を示した。
だが、阿部教授らが15年に全国2万人を対象に行った実験では、人々は信頼できる新しい情報が入ると、期待形成を変化させることがわかっている。
上がらないインフレ期待の背景に、何があるのか。阿部教授は「今の金融政策に物価を上げる力がないから、人々は物価上昇を予測しない可能性がある」と指摘する。人々が合理的に期待を形成しているのであれば「値上げまでかかった年数を考えると、次の値上げは当分ないと思っても不思議はない」という。
前回、インフレ期待が高まったのは資源価格が高騰した2008年のリーマンショック前だった。当時は中国経済の巨大化が資源価格をどこまで押し上げるかわからず、不透明感が強かった。
これに対して、現在の物価上昇は「程度も大したことではなく、経済見通しも高い物価上昇が続くような状況からは程遠い」(阿部教授)。
阿部教授は「食料品の支出全体に占める割合も考えると、昨今の食品値上げが一般物価上昇期待につながるというリンクは、弱くても不思議ではない」と指摘している。
<構造的問題で財布の紐固く>
今回の値上げは、人手不足による人件費・物流費の上昇が主因で、人手不足の背景には人口減による労働者不足がある。エコノミストの中には、経済の前向きな循環というより、構造的な問題が要因との分析が多い。
サントリーHDの新浪社長は、ロイターに対して「国民は人口減と高齢化で、経済成長が大変だということを良くわかっている。値上げが受けれられるためには社会保障改革が必要だ」と述べ、構造改革の必要性を訴えた。
味の素の西井社長も「社会保障費の問題が大きく底流にあって、可処分所得が増えていないのに、そんなに財布のヒモを緩められないというのが本音だと思う」と口をそろえた。
将来に対する確信が持てなければ、仮に賃金が上がっても、消費には回らない。結果として、経済・物価の体温が上がりにくい状況が続く。
阿部教授は「本当にインフレ期待が上がってないことが、今の日本経済の問題の根幹なのか。よく考えないといけない」と指摘している。
志田義寧 取材協力:清水律子 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-prices-idJPKCN1QM0U5
日銀が景気判断の下方修正を議論へ、海外経済と輸出、生産
日高正裕、藤岡徹
2019年3月5日 16:52 JST
2%物価目標へのモメンタム維持、追加緩和必要ないとの姿勢は堅持
下方修正なら輸出と生産は17年4月以来、海外経済は昨年3月以来
日本銀行は14、15両日開く金融政策決定会合で、海外経済の減速を背景に1月の輸出、生産が大きく減少したことを受けて、これら景気の個別項目に関する判断を下方修正するかどうか議論する見通しだ。複数の関係者への取材で明らかになった。
海外の中央銀行がよりハト派(金融緩和)的な姿勢に転じる中で、国内の景気判断が下方修正されれば、現在の超低金利政策がさらに長期化する可能性がある。市場の一部には日銀の追加緩和観測があるが、複数の関係者によると、日銀は2%の物価目標に向けたモメンタムは維持されており、今のところ追加緩和は必要ないとの姿勢を堅持する見込みだ。
日銀は1月の決定会合で、海外経済は「総じてみれば着実な成長」が続いており、輸出、鉱工業生産とも「増加基調」にあるとの判断を示した。その後公表された1月の輸出は前年比8.4%減と2カ月連続で減少。日銀が算出する実質輸出も前年比5.3%減と2年ぶりの水準に落ち込んだ。特に中国向けの落ち込み(7.7%減)が目立った。同月の鉱工業生産指数は前月比3.7%低下と3カ月連続で前月を下回った。
下方修正されれば輸出、生産は2017年4月以来、海外経済は昨年3月以来となる。政府は1月の月例経済報告で輸出を「このところ弱含んでいる」に引き下げ、2月に海外経済を2カ月連続で下方修正した。経済産業省は鉱工業生産の判断を「足踏みをしている」に引き下げた。中国の春節の影響で季節調整が落ち込みを大きくした可能性もあり、日銀は2月以降の統計を注視する構えだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-05/PNVOY66TTDS201
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。