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【第43回】 2019年3月1日 北野唯我
平成最後の就活へ。トヨタですら推薦した「いつでもやめられる会社づくり」
「このまま、今の会社にいて大丈夫なのか?」
ビジネスパーソンなら一度は頭をよぎるその不安に、11万部を突破したベストセラー『転職の思考法』で、鮮やかに答えを示した北野唯我氏による人気連載。今回のテーマは、「平成最後の就活」について。
「昭和を引きずった時代」としての平成
北野唯我(きたの・ゆいが)
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。新卒で博報堂、ボストンコンサルティンググループを経験し、2016年ワンキャリアに参画、最高戦略責任者。1987年生。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)は11万部。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)は発売3週間で5万部を突破中。レントヘッド代表取締役も兼務。
就活生の7割が「将来転職もありだと思う」と回答した調査レポートが出た。「転職も考慮にいれた就活」はこの一年でプラス10%と、さらに加速したようだ。
小泉進次郎氏らとともに「人生100年時代モデル」の構想づくりなどを手掛ける、高木新平氏は言った。
「平成とは、最後の最後まで昭和を引きずった時代だった。」
と。たしかに、今年は平成最後の就活となる。
しこの言葉が真実なら、いったい、平成とはなんだったのだろうか?
そして、これからの「仕事選び」はどう変わっていくのだろうか?
平成以前の仕事選びと、新時代の仕事選びは、端的にいうと3つの変化があると私は捉えている。
就活市場に押し寄せる3つの変化
キーワードは「多様化」「民主化」「分散化」だ。
キーワードは「多様化」「民主化」「分散化」
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これら3つのトレンドは、実は「仕事選び」に限らない。たとえば、1つ目の「多様化」は、LGBTや働き方など「多様性」という文脈で語られる。
あるいは、「民主化」ならテレビに対するYouTuberの台頭、「分散化」はブロックチェーン技術など、ビジネスフィールドでは「脱中央集権化」の文脈で語られることが多い。
(ここでいう「脱中央集権化」とは、一握りだけが情報や権力を持つのではなく、多くの人が自由に発信したり、取引をしたりできる世界を指す)
つまり、この3つは新時代のビジネストレンドに沿って行われていく、と言えるかもしれない。
1.(多様化)画一的な就活スタイルの限界
— 終身雇用の崩壊・価値観の多様化にともない、就活スタイルも多様化を求められている。たとえば、「セカンドキャリアを前提として仕事を選ぶこと」、「長期インターン経由での勤務経験を通じた就職」などは一般的なものに。
2.(民主化)企業中心の情報戦
— 食の領域で広告からクチコミサイトが主流になったように、「企業中心の情報戦」は終わり、「信頼性の高いクチコミ」「データ」による就活が主流に。
3.(分散化)一極集中による格差
— 就活は「情報戦」「コネの勝負」とも呼ばれ、先輩後輩の繋がりは就活生にとって大きなアドバンテージだった。しかし、インターネットの発展により「いつでも、どこでも、誰でも」均等に情報を得られる流れが主流に。
トヨタですら推薦した「最強の会社づくり」
先日、トヨタが社内での講演内容を一般公開したことで話題になった。その中で豊田章男氏はこう語っている。
「トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください」
「みなさんは、自分のために、自分を磨き続けてください」
「それでもトヨタで働きたいと、心から思ってもらえる環境を作り上げていく」
まさか豊田会長が『転職の思考法』を(転職前提で)読んだとは到底思えないが、本著でも実はまったく同じメッセージを伝えている。それは
「いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ」
と。
つまり、きちんと各人が独立独歩した上でそれでも「その会社にいたい」と思えるような魅力的な会社こそが強い。こういうことを指している。これが今の時代にあった組織なのだ。
もちろん、「これは理想論だ!」という人もいるだろう。特に私自身も経営する立場だからこそ、これを実現する大変さは痛感している。
だが、日本を代表するリーディングカンパニーですら、「転職を前提とした組織づくりを進める」のだから、我々は皆、一考の価値があるのではないだろうか。
仕事選びで、もう嘘はつけない
仕事選びはいま、明らかに「透明化」の流れにある。転職を前提とした学生たちは「その会社の実態」を見極めるツールももっている。
たとえば、学生の多くはVorkersなどの口コミサイトで「現役社員、元社員の声」を事前に調べて就職の際に参考にする。
あるいは、先輩が書いたエントリーシートや、昨年行われた面接内容、「その説明会に参加して本当に価値があったのかどうか?」などは事前に確認することができる。(参考URL→
https://www.onecareer.jp/lp/es_kokaichu/)
筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ
筆者が務める会社の説明会に実際に参加した学生からの生のクチコミ
これらクチコミが従来の2ちゃんねるやネット口コミ掲示板と違うのはその「半実名性」にある。半実名性とは、
・データベース側では、きちんとした個人情報を取得した上で
・UX上は匿名を担保した状態で公開される
状態を指す。これによってクチコミにガバナンスが効き、一方でユーザーは安心して本音を投稿できる。つまり「信頼性を担保した、生のクチコミ」を集めることができるのだ。
いま、平成が終わろうとしている。求められているのは「企業は、社員に何を約束するのか」という問いへの変化だ。その際最もダメなことは「約束したことと現実に嘘や偽り」があることだ。
「平成までの仕事選びとはなんだったのか?」
「何がこれから変わろうとしているのか?」
その答えとは、嘘や偽りが暴かれ、「仕事選びに透明性がもたらされる時代」なのだと思う。
https://diamond.jp/articles/-/195434
2019年3月1日 塚崎公義 :久留米大学商学部教授
「新卒一括採用」が今後も続くと考える理由
「新卒一括採用」が今後も続くと考える理由
写真はイメージです Photo:PIXTA
日本的雇用慣行と
欧米型は一長一短
平成最後の、そして経団連が決めたスケジュールでの最後の就職活動がスタートした。就活生にとっては大変な時期となるが、頑張ってもらいたい。
さて、経団連が学生の就職活動の時期を定めないことにしたため、就職活動のルールが変わるかもしれないといわれている。それを聞いて「それならば新卒一括採用も変わるかも」と考える人も多いようだが、筆者はそうは思わない。
第1の理由は、「新卒一括採用を前提とした就職活動を、在学中のいつの時期に行うか」に関する変更であって、新卒一括採用自体を変えようという話ではないからだ。
第2の理由としては、そもそも新卒一括採用自体が変化するとは思えないからだ。「新卒一括採用・日本的雇用慣行は合理的か」「日本人に合っているか」「変化するとしたら、契機は何か」といったところが論点となる。
日本企業は、新卒を採用し、終身雇用と年功序列で囲い込む。採用に際しては「即戦力採用」ではなく「ポテンシャル採用」なので、「何ができるか」ではなく「鍛えれば使えそうか」が重視される。そして、勤務先企業が決まり、仕事内容は後から決まる(しかも変化する)。これは「メンバーシップ型」と呼ばれる。
ある意味で合理的なシステムだ。一生勤めると思えば、愛社精神も忠誠心も持ちやすい。社内の人事異動でさまざまな仕事を体験させ、各人の適性を人事部が見定めた上での人員配置を行うことができる。しかも、ゼネラリストとして他の部署がどんなことをしているのか知っているので、部門間の連携も取りやすい。
これに対し、欧米では学校を卒業してから就職活動をして、即戦力として自分の専門の仕事に就く。仕事が決まり、勤務先は変化する。これは「ジョブ型」と呼ばれる。これには、「この道一筋のスペシャリスト」が育てやすいというメリットがある。
例えるなら、日本型は「私は巨人の選手です。投手も捕手も代打もやります」というもので、欧米型は「私は投手です。たまたま今は巨人にいます」というものだ。その意味では、欧米型は日本企業よりプロ野球に近いといえるだろう。
合理的にも見えるが
問題も多い欧米型
欧米型は一見合理的なようだが、問題も多い。人生で最初に野球をやる場所が得られないと、才能を発揮するチャンスが与えられず、一生失業してしまうようなことにもなってしまう。
プロ野球チームの採用は即戦力採用であって、問われるのは実績であるから、「私は体力も運動神経もあるので、鍛えれば立派な野球選手になります」では採用されない。プロ野球なら、甲子園や大学野球などの実績で採用されるからまだいいが、自動車の営業担当の場合はそうはいかない。
自動車を売ったことがない優秀な(ポテンシャルのある)学生は、三流会社で自動車を少しだけ売った実績があるライバルに勝てないからだ。要するに、最初に三流企業の自動車販売会社に採用されるか否かが重要で、それが無理だと一生失業者かもしれないのだ。
欧米では若年労働者の失業率が高い。要するに、実績を積み上げるチャンスを与えられないまま放置されている若者が多いのである。これは大変もったいない。
また、最初の就職がたまたま自動車の営業だと、そのまま一生自動車の営業に従事する可能性が高い。もしかすると、経理や人事に配属されれば突出した才能が開花するかもしれないのに、そうしたチャンスは与えられないのだ。これもまたもったいないことだ。
新卒一括採用は
日本人向き
医学の話であるが、日本人は不安を感じる遺伝子(SS型セロトニントランスポーター遺伝子)を持っている割合が高いそうだ。災害が多い日本列島では、不安を感じてリスクを避ける人の方が生き残る確率が高かった、ということなのかもしれない。
まして、米国人との比較でいえば、「一獲千金を目指し、わざわざ大西洋を渡って先住民族と戦った人々の子孫」とは遺伝子が違うのは当然だろう。そうであれば、日本がグローバルスタンダードの旗印を立てて米国的なシステムを採用するのは合理的ではない。
米国とは異なり、新卒で一括採用され、終身雇用でずっと同じ会社に勤めるというのは日本人に向いていると思われる。「終身雇用を保証するから、生涯所得の期待値は米国企業より低くても我慢してくれ」というのが、企業にとっても労働者にとっても合理的だからだ。
日本人労働者が安心するというのは、財布のひもが緩むということでもある。心配性の日本人労働者が「終身雇用ではないので、いつ失業するかわからない」という状況に置かれたら、仮に高給を得ていても消費せずに貯蓄するので景気は常に悪いままになってしまう。
もう1つ、終身雇用制が日本人に向いている理由がある。日本人は真面目だし、恥の文化があるので、終身雇用でも手抜きをしないということだ。外国で終身雇用制が採用されたら、「真面目に働かなくても解雇されない。うまくすれば働かずに給料がもらえる“窓際族”という最高のポストが手に入るかもしれない」と考えるサラリーマンが多数出てくる可能性がある。
変化する契機が
見つからない
さまざまな制度には、一度できあがってしまうとなかなか変化しないメカニズムが働く場合がある。終身雇用制も、その1つだ。仮に全ての企業が新卒一括採用・終身雇用制を採用しているとして、ある会社が「新卒一括採用は好かないから、今後は中途採用で即戦力を採用しよう」と考えても、その会社を受けに来る人はなかなかいないだろう。
最近では転職も増加しているので、誰も採用できないということはないだろうが、受けに来る人が優秀であるとは限らない。むしろ、優秀な人は最初に入社した会社で大切にされ、将来を約束されているだろうから、転職しない可能性の方が高い。
そうなると、そもそも飽きやすい人、我慢強くない人、最初の会社で人間関係を損なった人などが転職しようと受けに来る可能性が高いと考えるべきだ。
もちろん、転職希望者の中にも優秀な人は大勢いるはずだが、期待値としては新卒を採用した方が優秀な人が多いということはいえそうだ。
そうであれば、わざわざ他社の社風に染まってしまっているかもしれない人を中途採用するよりも、色のついていない学生を新卒採用して自社の企業文化に染め上げていく方が、企業としては合理的だといえる。
業種や職種によっては、優秀な人材のヘッドハンティングが行われる場合もあろう。例えば、すご腕為替ディーラーとして他社の為替ディーラーから恐れられている人であれば、他社からの引き抜きもあり得よう。しかし、会社の外からサラリーマンの優秀さを評価するのは、一般論としては容易ではない。
したがって、仮に政府と経団連、そして労働界が「新卒一括採用は今後一斉にやめよう」という申し合わせでもすれば別だが、そうでない限りは基本的には新卒一括採用・終身雇用制は続いていくと思われる。もし、例外が少しずつ増えていったとしても、それが多数派になるとは考えにくいといえる。
(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
https://diamond.jp/articles/-/195557
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