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セブンオーナーが悲痛な訴え、独自試算で見るコンビニ経営の過酷実態
https://diamond.jp/articles/-/195579
2019.3.1 週刊ダイヤモンド編集部 岡田 悟:記者
Photo:DOL
大阪のコンビニエンスストアオーナーの“反乱”で、フランチャイズ契約をする加盟店の過酷な実態に注目が集まっている。大手のうち2社のオーナー勧誘資料に示された収支モデルについて、「週刊ダイヤモンド」が最低賃金などを基に現実的な人件費を踏まえて独自に試算したところ、資料で示されていた手取り収入の見通しは激減。あらためてコンビニ経営の過酷な実態が明らかになった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
「本部からひどい仕打ちをされたとの声が、私のところに届いています。でも、本部は交渉や文書で動く相手ではない。“百姓一揆”をせざるを得ない状態が迫っています」――。
大阪府東大阪市で「セブン‐イレブン東大阪南上小阪店」をフランチャイズ(FC)契約で経営するオーナーの松本実敏さんは2月27日都内で記者会見し、こう訴えた。
ともに店に出ていた妻が2018年5月にがんで他界。その後アルバイトの従業員を十分に雇うことができず、松本さんは2月1日、同店の営業を午前1時〜6時まで取りやめ、「24時間営業」の看板を下ろしたのだ。
ところが、「本部」といわれるFC契約先のセブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)は、松本さんに対し「このままでは契約を解除する」と文書で通知。本部側の地域の責任者に2月7日に面談した際には、違約金として1700万円の支払いを求める書面を見せられたという。
廃棄費用の大半は加盟店負担
仕入れさせるほど儲かる本部
全国で5万店を超える大量出店による過当競争、人手不足による人件費の高騰、「恵方巻き」に代表される大量の販売ノルマや食品廃棄……。
近年、コンビニ加盟店経営の過酷さを指摘する声が上がり始めた。松本さんが直面したように、労働時間や従業員の確保も大きな課題だが、収支が厳しい加盟店もまた多いとみられる。
そこで「週刊ダイヤモンド」は2018年7月28日号で、SEJとローソンがオーナー募集の際に配布する資料に記載された、店舗の収益モデルを基に、18年時点での人件費などを加味して、より実態に近い収益性を試算した。図1はSEJのそれである。
図1 ©ダイヤモンド社 2019 ※全画面で拡大
最近では大半を占める、店舗の土地や建物を本部が用意する「Cタイプ」の場合で、月の売上高は1800万円を想定。「売上総利益」(粗利)のうち一定額を「セブン‐イレブン・チャージ」として本部に支払う。その比率はSEJの場合、売上総利益の250万円までは56%だが、利益額に応じて累進し、550万円超の部分は76%となる。
このケースの場合、チャージを差し引いてオーナーの手元に残る「オーナー総収入」は、売上総利益の半分以下の234万円だ。ここからさらに、雇い入れた従業員の人件費などのコストを支払う。さらに、仕入れたものの売れ残った商品の廃棄額のうち85%をオーナーが負担する。廃棄費用が原価に計上されないため、本部は、加盟店に商品を仕入れさせるほど利益が得られる仕組みで、恵方巻などの大量仕入れが起きる要因とされている。
都内最低賃金で雇用すると
手取り収入は半分以下に!?
ところでSEJの元の資料では、1ヵ月の人件費を110万円と想定しているが、果たして実情を反映しているといえるだろうか。
本誌が、2018年7月時点の都内の最低賃金958円(時給)に基づいて、日中・深夜にアルバイト従業員2人が勤務するという条件で、図1のように人件費を算出したところ、約149万5000円となった。営業費用のうち人件費をこの額に置き換えれば、営業費用計は約213万5000円となり、最終的にオーナーの手元に残る純利益は、SEJが示した65万円から、約25万5000円に減る。なお純利益=オーナーの手取りではない。そこから各種税金を納め、本部から借り入れた初期費用を返済するので、実際の手取りはもっと少ない。
親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)の松本稔執行役員コーポレートコミュニケーション本部長(肩書きは当時)は、本誌の取材に「オーナーやその配偶者が日中に店頭に立ち、ピーク時に1〜2人程度のパート従業員と働く。深夜はアルバイトなどの従業員2人体制でシフトを組めば、人件費は110万円程度になる」と語ったが、その積算根拠は示されなかった。
実際のところ、最低賃金で従業員を募集するのは容易ではない。特に深夜は厳しく、インターネットで日雇いのアルバイトを募集し、時給約2000円を支払って凌ぐことも珍しくない。結局、オーナー自ら深夜に一人で全ての業務をこなす“ワンオペ”で店頭に立つ店舗もある。
既存店平均の売り上げがあっても
やっぱり人件費負担は重い
また松本本部長は、この募集資料で想定している条件について「開業直後なので日販(1日当たりの店舗の売上高)を60万円としているが、SEJの既存店日販の平均額である67万円に届けば、利幅はより大きくなる」と説明した。
そこで本誌は図1の右下のように、日販67万円での試算も行った。人件費が110万円であれば、純利益は約82万円と確かに高額になるが、人件費が本誌試算の約149万5000円の場合は、約43万円にとどまる。
なお、ローソンも同様の説明会で収益モデルを示している(下図2)。日中・深夜2人体制での人件費を全国平均の最低賃金で計算すると、同社のモデルに近づくが、都内の最低賃金に基づく約149万5000円では、あくまでも計算上だが、店本来の純利益がなくなる水準だ。
図2 ©ダイヤモンド社 2019
ローソンについての試算では、廃棄費用をSEJのモデルの売上高との差に準じて、SEJの83%と仮定したが「実際の廃棄費用はもっと低い」(ローソン関係者)との指摘もある。
なおファミリーマートは、募集の初期の段階ではこうしたモデルを示していないようだ。ただ、ファミマの平均日販はSEJより少なく、ローソンと大差ない。加盟店にとって、他の2社と比べて有利であるとは言い難い。
コンビニ本部とFC加盟店との関係については、経済産業省がFC加盟店向けにアンケートを実施している。国もついに実態調査に動き出したわけだ。人件費の高騰が進む中、コンビニ業界最大のタブーにメスが入ることになるのだろうか。
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