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数年以内に人手“余剰”で失業者は急増する…さらに外国人受け入れ拡大で起きる事態
https://biz-journal.jp/2019/02/post_26467.html
2019.02.14 文=中原圭介/経営コンサルタント、経済アナリスト Business Journal
「gettyimages」より
政府は外国人の雇用拡大に向けて動きだしました。昨年秋からの臨時国会で改正出入国管理法が成立し、日本語教育や生活支援の総合対策を策定したほか、法務省入国管理局を外局となる庁へ格上げし、体制を整えました。政策を総動員して今年4月からの本格受け入れを目指しており、外国人労働者の受け入れ政策は、まさに大きな転換点を迎えたわけです。
しかし、私はこうした政策に大きな疑問を持っています。自動化システム(RPA)や人工知能(AI)が日本全体で本格導入されれば、雇用の余剰が生まれると考えているからです。
政府は人手不足という目先の状況に目を奪われてしまったようですが、RPAはともかく、AIの普及に対して疑問を持っておられる方もいると思います。仮にAIの導入がうまくいかなければ、現状の人手不足が解消できなくなると考えている方もいるでしょう。私自身も、AI導入がうまくいかないという可能性を否定するつもりはありません。
大企業は、これまでつぎはぎだらけのシステムを使ってきました。そのため、AIを導入してもうまく機能しない可能性があると思っています。しかも、日本の経済界を代表する日本経済団体連合会(経団連)の加盟企業の経営者には、いわゆるサラリーマン上がりが多い。サラリーマン型の経営者は決断が遅い傾向があり、大規模な投資は遅れがちになってしまいます。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は早い段階で倉庫の自動化を打ち出しましたが、それはオーナーだからできたことです。
仮に企業のAI導入が失敗したら、国際競争で敗退する可能性が高くなるのではないかと思っています。そうなると、今度は国際競争に負けて人手がいらなくなります。つまり、AIが普及しようがしまいが、結果的に人手不足は解消され、逆に失業者が増えていく可能性が高いわけです。
リクルートワークス研究所は、2025年ごろまでに失業率が5%台ぐらいまでに拡大すると試算しています。先般、同所の大久保幸夫所長にこの話を聞いたのですが、彼らもAIによる人手不足解消とともにAIによる国際競争力低下の可能性を考えているようです。
いずれにせよ、近い将来、労働力が過剰となる可能性が高いわけです。そんななかで、日本の企業は単純労働でも外国人労働者を活用できる体制を整えたわけです。
前述したように、数年後には人手不足が緩和され、失業率が高まるでしょう。それでも「しばらくは人手不足が続くから」と、目先の数年のために安い労働力を確保する目的で外国人労働者の採用枠を拡大すれば、どうなるでしょうか。将来、本当に優秀な外国人労働者がほしいときに、マイナスに働くと思います。そして、優秀な外国人労働者は「日本に行くぐらいなら中国に行くよ」となってしまうでしょう。中国も今後は人手不足になっていくわけですから。
■新卒採用の重要度が低い時代に
2月3日付記事『日本企業のRPA・AI導入による業務自動化で10年後に失業率2倍になる』で、今後は高齢者の雇用が増えるということをお伝えしましたが、それに伴って人事制度も変わらざるを得なくなります。これまでは定年後の再雇用の際に給料を3〜4割ほど減らしていたので、優秀な人材は逃げてしまっていました。しかし、これからは能力やスキルに応じて給料を支払うという企業が増えてくるでしょう。
すると、今度は新卒採用の重要度が低くなってきます。20年後には、新卒採用と中途採用の比率は五分五分になっているかもしれません。そして、企業は優秀な人材を中途で採るようになるのではないでしょうか。また、優秀な人材はフリーランスとして個人で大企業と仕事をする時代になっていくと思います。これまでは企業が新卒のキャリアをつくってきたわけですが、これからは自分でキャリアをつくっていかなければならない時代です。
しかも、大手が新卒で採る学生は外国人が多くなっています。日立製作所は2、3年前から新卒の2割ぐらいは海外の学生で、東南アジアや中国には優秀な学生がたくさんいます。そういった学生を採るためにも、安易に外国人労働者の受け入れ拡大を進めていくべきではないと思います。
(文=中原圭介/経営コンサルタント、経済アナリスト)
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