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コラム2019年2月13日 / 11:23 / 15時間前更新
日本の「鎖国マインド」解くための処方箋
Pete Sweeney
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[東京 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 日本の相撲界は、この国の行く末を暗示しているようだ。日本出身力士として約20年ぶりに横綱に上り詰めた稀勢の里は数週間前、涙ながらに引退を表明した。この間、彼以外の横綱は、大半がモンゴル出身者だった。
角界の多様化は、歴史的に移民に対して懐疑的な社会における、海外からの「流入」現象のほんの一端にすぎない。2019年の現在でも、一部の飲食店やホテルは「日本人専用」と掲げてはばからない。とはいえ、コンビニエンスストアから企業の役員室まで、外国人は日本の人材不足を埋めており、彼らの存在は確かに感じることができるものだ。
しかし低迷する経済成長を活性化しようとする日本政府にとって重要なのは、移民を増やすことよりも、彼らと共に働けるよう日本人を「教育」することだろう。
日本の人口における外国人の比率は現在わずか2%程度にすぎないが、今後上昇することは確実だ。高齢化する日本の人口は2010年以降、100万人超減少しており、移民労働者はその経済的影響を和らげる不可欠な要素となっている。
賃金が上昇し人手が不足する中、日本の市民ではない人たちは日本経済を走らせる上で必要不可欠である。労働参加率が劇的に上昇しない限り、日本の労働力は2015─30年に12%減少すると、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリストは試算する。
安倍晋三首相は、自身の政策が「移民」受け入れを促進しているというイメージを避けたいようだ。新たな移民はいずれオートメーション化される単純作業を埋める一時しのぎの労働力にすぎないと考える人もいる。
それが何を意味するかはさておき、日本は労働力を輸入しており、それは単純作業でも短期間でもない。昨年末に可決された改正出入国管理法(入管法)により、向こう5年で約34万人の移民受け入れが見込まれている。
西洋のような多文化主義に懐疑的ではあるものの、日本経済は海外投資に深く依存している。国内成長は長年伸び悩み、日本企業は相次いで海外企業を買収するようになった。国内総生産(GDP)に占める割合から見た日本のM&A投資額は、中国の2倍だとコンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーは指摘している。
また、TOPIX(東証株価指数)構成銘柄による売上高全体の3分の2近くは海外から来ていると、ウィズダムツリー・ジャパン株式会社のイェスパー・コール最高経営責任者(CEO)は推定する。モルガン・スタンレーによると、中国上場企業の場合はわずか12%にすぎない。
その結果、日本の大企業の多くは海外から幹部を起用するようになった。中でも有名なのは日産自動車(7201.T)のカルロス・ゴーン前会長と武田薬品工業(4502.T)のクリストフ・ウェバー社長だろう。
武田薬は約6.2兆円でアイルランド製薬大手シャイアーを買収してから、日本の企業らしさが薄れつつある。また報道によると、ジャパンディスプレイ(6740.T)が、中国の国有ファンドらと資本提携交渉に入っている。シャープ(6753.T)は台湾フォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海=ホンハイ=集団)による経営支援を受け入れた。
海外の資本家も日本企業の行動を変えようとしている。
米投資会社バリューアクト・キャピタル・マネジメントはオリンパス(7733.T)に取締役を送り込んだ。米プライベートエクイティ(PE)大手KKRと米投資会社ブラックストーンは日本の複合企業の不採算部門を買収して分離独立させ、立て直して収益を上げたい考えだ。また、年功序列よりも業績ベースの報酬制度を導入することを検討している。日出づる国にとっては大きな文化的変革である。
海外からの圧力は、不快な改革を行う好都合な口実を提供してくれる。「ガイアツ(外圧)」は痛みを伴う。ゴーン前日産会長は、外資のような高額な報酬パッケージを受けていたが、現在はそれが問題視されて逮捕され、東京拘置所にいる。
外国人とその資金が日本に流入するにつれ、文化の衝突も激しさを増す。
他のアジアから地理的に離れている島国であることも一因として挙げられる日本の隔離性は、コミュニケーション問題をもたらしている。東京以外では、一般的に外国語を話す日本人を見つけるのに苦労する。これは中国との大きな違いだ。中国では、中間層は英語を学習したがり、英語名をつけることに熱心だ。
ほかにも見えない文化のバリアがある。日本にいる「外人」の多くは民族的には日本人だが、海外で生まれたことを理由に外国人でいることを余儀なくされている。
そのような曖昧さは悪しき政策に支えられている。日本は2重国籍を許していない。その結果、日本人とハイチ人の両親をもち、米国籍も保持するテニスの全米オープン女子覇者の大坂なおみ選手は日本国籍を失う可能性がある。
こうした政策は、海外に居住する日本人130万人が帰国して働くことを阻んでいる。さらに悪いことには、海外に順応した彼らの子どもたちの帰国する意思をそぐことにもなりかねない。海外に暮らすこれらの日本人は、流入し続ける「アウトサイダー」を日本が受け入れる上で、重要な役割を担うだろう。
より優れた移民政策のモデルは数多くある。2重国籍を法律で禁じている中国でさえ、優秀な人材を海外から呼び戻すプログラムに取り組んでいる。日本が倣うことができる政策だ。
「ガイアツ」も結構だが、真の変革は自発的であるべきだ。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-jp-idJPKCN1Q205B
為替フォーラム2019年2月13日 / 11:53 / 14時間前更新
円相場に下方圧力、国際収支のフローを読み解く
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
4 分で読む
[東京 13日] - 日本の財務省が8日発表した2018年の国際収支は、貿易黒字の減少を第1次所得収支の黒字額増加が補い、高水準の経常黒字を維持する、ここ数年おなじみの構図となった。
対外直接投資も引き続き活発で、対外流出額から対内流入額を差し引いた投資超過額は、2012年末のアベノミクス開始以降に記録した年平均超過額と同水準を維持した。ここではその中身を精査した上で、国際収支に絡む円買い・円売りのフローが相場に与える影響を考えたい。
<構造転換した経常収支>
まず経常収支を見ると、貿易収支の黒字幅が2017年の5兆円から1兆2000億円に大きく減少した。輸出は前年比5.1%増の81兆2000億円と過去最高を記録したものの、輸入が同10.6%増の80兆円と2014年以来の80兆円台に膨らんだ。輸入の増加は原油価格上昇の影響が大きい。通関統計によると、原油・粗油は同24.5%増、液化天然ガス(LNG)は同20.8%増、それぞれ輸入が増えた。
一方、サービス収支は赤字額が2017年の7275億円から8986億円に増加した。わずか1兆2000億円の貿易黒字をほぼ帳消しにした格好だ。2012年に3兆8000億円だったサービス収支の赤字はアベノミクス下で毎年減少し続けてきたが、2018年はわずかながら拡大した。
このうち、旅行収支は訪日外国人の増加で2兆3000億円の黒字。前年から5330億円増え、初の2兆円台に乗せた。しかし、輸送収支やその他業務サービス収支の赤字幅が拡大した。その他業務サービスの赤字約3兆円のうち、項目別では研究開発サービスが、地域別では対米赤字がいずれも約半分を占めた。
貿易黒字が大幅に減少したのに対し、日本企業が海外から受け取る投資収益や配当金に当たる第1次所得収支は、3年ぶりに20兆円台を回復した。2017年から1兆円増え、20兆8000億円となった。
対外直接投資が高水準で推移しているここ数年の流れを反映し、直接投資収益が10兆円と、前年比12.9%伸びた。10兆円台に乗せるのは初めてだ。一方、証券投資収益は9兆9000億円と前年比4.0%減少し、6年振りに10兆円を割り込んだ。主因は前年比29.2%も減少した配当金で、2016年以降は毎年比2ケタの減少率が続いている。
では、経常収支の黒字は円相場にどのような影響を与えるのだろうか。
貿易収支の黒字はサービス収支の赤字でほぼ相殺されている。第1次所得収支は直接投資収益のうち、配当金・配分済支店収益の4兆6000兆円が円に転換される可能性が高い。一方、再投資収益の5兆3000億円は現地の工場建設などに使われ、円転されないと考えられる。
また、仮に証券投資収益9兆9000億円のおよそ半分が再投資され、円転されないとすると、第1次所得収支の黒字20兆8000億円のうち、円買いにつながるのは半分程度。およそ10兆円が円に上昇圧力を与えると推測できる。
<活発な対外投資>
次に2018年の資本収支を見ると、対外直接投資から対内直接投資を差し引いた対外直接投資超過額は14兆9000億円と、前年から1兆9000億円減少した。しかし、対外直接投資・実行だけを見ると前年比16.2%増の64兆3000億円で、日本企業による対外投資は引き続き盛んな様子がうかがえる。
興味深いのは、米国向けの直接投資超過額が2兆4000億円と、前年の5兆5000億円から半減したことだ。保護主義を強めるトランプ米政権の姿勢が影響したのか、国別データがある2014年以降、米国向けが5兆円台を下回るのは初めてのことだ。一方、増加が顕著だったのはケイマン諸島向けで、前年から1兆8000億円増えた。
証券投資は対外株式・ファンド持分投資が9兆8000億円の買い越しとなり、2017年から1兆4000億円減少した。年金(信託勘定)や投資信託以外に、投資主体として銀行と生命保険が目立ち、2018年はそれぞれ約2兆円ずつ買い越した。買い越し分9兆8000億円のうち、外貨建ては6兆1000億円と前年の倍以上に増加した。
また、ほとんどが為替ヘッジをしていると考えられる銀行を除き、日本の投資家による外国の中長期債投資は13兆2000億円の買い越しとなり、2017年から4兆5000億円も増加した。年金と個人による外債投資の増加が目立つ。全体の買い越し分のうち、外貨建ては10兆2000億円で、前年の9兆9000億円とほぼ同水準だった。
<しばらく続く下方圧力>
ここで資本収支のフローが円相場に与える影響を見ると、対外直接投資14兆9000億円に絡む円売りは、全体の半分程度の7兆円と考えられる。対外株式・ファンド持分投資と対外債券投資に絡む円売りをそれぞれ6兆円、10兆円とすると、合計23兆円の円売りと推計される。
一方、経常収支の影響はすでに見たように、貿易黒字とサービス収支の赤字はおおむね相殺。また、第1次所得収支に関係した円買いは10兆円程度と推計できる。
結果として、2018年は国際収支に絡んだ13兆円程度の円売りフローが相場に下押し圧力をかけたと考えられる。
日本の国際収支は高い水準の経常黒字を維持しているものの、その中身は貿易黒字の縮小を第1次所得収支の黒字増加で補う構造に転換した。第1次所得収支は現地で再投資されることが多く、貿易黒字に比べて円に転換されにくい。さらに企業の対外直接投資、投資家の対外証券投資は活発な状態が続いている。
日本の国際収支に絡む円売り・円買いのフローは、今後もしばらく円相場に下方圧力をかけ続けるものと考えられる。
(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
佐々木融氏(写真は筆者提供)
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-balance-tohru-sasaki-idJPKCN1Q2060
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