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福島第二廃炉、報道機関で違う使用済み核燃料処分先
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2020/06/01(月) 19:42:00 めげ猫「タマ」の日記
東京電力は5月29日、福島第二原発の廃炉の工程表となる廃止措置計画を原子力規制委員会に認可申請しました(1)。使用済み核燃料の処分先について
「すべて県外の再処理施設に搬出へ」(TUF)(2)
「全て県外に搬出する方針」(FTV)(3)
「再処理などを行う事業者に渡す」(NHK)(4)
「搬出先には触れていない。」(FCT)(5)
「搬出先は未定のため明記できず」(河北新報)
「放射性廃棄物の具体的な搬出先は明記しなかった。」(福島民友)(7)
「今回の計画には記されなかった。」(福島民報)(8)
で、報道各社で違っています。新聞社は「明記できず」(河北新報)、「明記しなかった。」(福島民友)、「記されなかった。」(福島民報)と、明記されていないことを明確に報じていますが、NHKは「再処理などを行う事業者に渡す」(4)と誤解を生むような表現になっています。NHKは正確な情報発信より、原子力ムラの利益を考えているようです。
福島第二原子力発電所は、福島県双葉郡楢葉町と富岡町にまたがって立地する東京電力の原子力発電所であるです。福島県は、東京電力の事業地域ではなく、東北電力の事業地域でり、福島に電気は供給していません。2011年3月の震災では、3本の送電系統のうち2本を喪失し(10)、さらに1、2号機ではすべての非常用発電機が停止しました(11)。
福島第二を襲った津波
※(11)を引用
図―1 津波で浸水した福島第二原発
そして、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急通報(いわゆる15条通報)が行なわれ、原子力緊急事態宣言が発せられました(10)。「原子力緊急事態宣言」が発せられたのは東京電力の核施設のみです(12)。その後に、仮設ケーブルを設置し、冷却機能を回復しました(11)。だだし、福島第二に電気を供給していたのは、東京電力でなく東北電力です(13)。東北電力による電気の供給が無ければ福島第一のように爆発したと、想定できます。東京電力は自前で福島第二を守ることができませんでした。
福島原発事故後に福島県等は国や東京電力に対し、度々の福島第二の廃炉要請をしていました(14)。ようやく、2019年7月31日になって、東京電力は、福島第二原子力発電所の廃炉を正式決定しました(15)。
廃炉となれば、使用済み核燃料の処分が必要です。昨年7月の東京電力の発表では
「廃炉を円滑に進めるため、他原子力発電所でも計画されている乾式キャスクによる貯蔵施設を構内に設置し、使用済燃料プールからの燃料取出しを計画的に進めていく予定です。」
「発電所内に保管中の使用済燃料(約 1 万体)は、廃炉終了までに全量を県外に搬出する方針ですが、できるだけ早期の搬出に努めてまいります。」
としています(16)。
核燃料サイクルは、鉱山からの鉱石(天然ウラン)の採鉱、精錬、同位体の分離濃縮、燃料集合体への加工、原子力発電所での発電、原子炉から出た使用済み核燃料を、再処理して、核燃料として再使用できるようにすること、および放射性廃棄物の処理処分を含む、一連の流れのことです(17)。
最終処分場が必要な核燃料サイクル
※(18)を加筆・修正(一部の切り抜き)
図―2 核燃料サイクル
日本では使用済み核燃料は全量・核燃料サイクルで処理することにしていますが(17)、現状は未完成です(17)。核燃料サイクルではプルトニュウムを原料とした核燃料が生じます(18)(19)。この燃料を使う高速増殖炉で(19)、日本唯一の発電炉であった「もんじゅ」は廃炉になりました(20)。プルトニュウム原料とした核燃料を通常の原子炉で使用するプルサーマルもありますが(21)、東京電力でただ一つの原発となった柏崎刈羽(22)ではプルサーマルの計画はありません(21)。2001年に立地する刈羽村(22)でプルサーマルについて住民投票が行われ、反対多数との結果になりました(23)。福島第一が廃炉になり、東京電力がプルサーマルができる見込みがありません。
青森県で使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出すと共に高レベルの放射能廃棄物を分離する再処理施設の整備が進められています(24)。ただし再処理で取り出した「高レベルの放射能廃棄物」を処分する最終処分場の目処は今はありません(25)。核燃料サイクルは未完です。完成の目処は示されていません。東京電力は日本原電と共同で青森県に、再処理開始まで使用済み核燃料を保管する施設を整備しています(26)。保管期間は最長50年との事です(27)。ただし、保管を担うリサイクル燃料貯蔵株式会社(以下RFSと略す)のHPを見る限り(26)、最長50年を担保するものはありません。東京電力は柏崎刈羽原発の安全対策工事を進めています(28)。すでに原子力規制委員会から「6,7号機の原子炉設置変更許可」も得ています(29)。再稼働を目指しているはずです。使用済み核燃料は使用済み核燃料プールで保管されています(30)。ただし、柏崎刈羽6号機の使用済み核燃料プールの93%、7号機は97%が埋まって埋まっています(31)。再稼働するならな、即時の搬出が必要です。東京電力が「廃炉終了までに全量を県外に搬出する方針」と言っても(16)、あくまで「方針」です。
5月29日に東京電力は、福島第二原発の廃炉の工程表となる廃止措置計画を原子力規制委員会に認可申請しました(1)。その中で使用前の新燃料(32)について「新燃料については、原子炉本体等解体撤去期間(第3段階)の開始までに加工事業者等に譲り渡します。」としています(33)。譲り渡された加工事業者だって再加工した後は、引き取ってもらわないと困るはずです。東京電力が引き取るには、柏崎刈羽を再稼働させそこで使うしかないはずです。福島第二の廃炉計画は柏崎刈羽原発の再稼働が前提です。使用済み核燃料については「使用済燃料プールに貯蔵中の使用済燃料は、<中略>廃止措置が終了するまでに、全量を再処理事業者へ譲り渡します。」と記載しています(33)。すなわち、使用済み核燃料は第3期で新燃料を加?事業者等に譲り渡した後で、再処理事業者へ譲り渡すことを予定しています。ところが、日本で唯一の「再処理事業者」である日本原燃が、福島第二の使用済み核燃料を引き取るとは発表は確認できません(33)。RFSも同じです(26)。東京電力が福島第二の使用済み核燃料を県外どころか、福島第二原発から運び出せる確証はありません。
福島には全県をカバーする地方紙2紙とNHKを含め4つのテレビ局があります(35)。また河北新報も福島のローカルニュースを扱っています(36)。この件、マスコミ各社の報道は以下の通りです。
テレビユー福島(TUF)は
「廃炉完了までにすべて県外の再処理施設に搬出へ」
と報じていますた(2)。
「廃炉完了までにすべて県外の再処理施設に搬出へ」と報じるTUF
※(2)をキャプチャー
図―3 福島第二使用済み核燃料を「廃炉完了までにすべて県外の再処理施設に搬出へ」と報じるTUF
だた、今回の東京電力の発表には「(福島)県外への搬出」はありません。単に「再処理事業者へ譲り渡し」としているだけです(16)(17)。県外への搬出は昨年7月の廃炉発表時のプレス文(14)にあるだけです。
福島テレビ(FTV)は
「取り出したおよそ1万体の燃料は全て県外に搬出する方針です。」
と報じていました(3)。これも今回の発表でなく(15)(16)でなく、昨年の廃炉発表時のプレス文です(14)。
福島放送(KFB)は
「計画では、使用済み核燃料を『廃止措置が終了するまでに、全量を再処理事業者へ譲り渡す』とし、『県外搬出』には言及しなかった。現時点で再処理事業者が決まっていないためとしている。」
と報じています(34)。
福島中央テレビ(FCT)は、
「なお、東京電力は約1万体ある使用済み核燃料の搬出先には触れていない。」
と報じていました(5)。
福島県の民放テレビ局は県庁所在地の福島市に2局、郡山市に2局あります(34)。テレビの報道は福島市の局(FTV、TUF)と郡山の局(FCT、KFB)で完全に割れた感じです。
河北新報は
「立地自治体に対して『県外』と約束した搬出先は未定のため明記できず、廃炉完了までに全量を再処理事業者に譲り渡すとの表現にとどまった。当面は敷地内に造る乾式貯蔵施設で保管される。」
と報じていました(6)。
福島民友は
「核燃料約1万体や、約5万2000トンが見込まれる放射性廃棄物の具体的な搬出先は明記しなかった。東電は『今後、搬出開始までに事業者を決定し、計画に反映する』としている。」
と報じていました(7)。
福島民報は
「計画では、使用済み核燃料を『廃止措置が終了するまでに、全量を再処理事業者へ譲り渡す』とし、『県外搬出』には言及しなかった。現時点で再処理事業者が決まっていないためとしている。」
と報じています(8)。
新聞メディアは、昨年の廃炉は発表時にあった「県外に搬出」(16)が、今回の発表では消えていた事に着目した記事を配信していました。
NHKは
「使用済み燃料プールにあるおよそ1万体の核燃料は、作業着手から22年かけて取り出し、再処理などを行う事業者に渡すとしています。」
と伝えています(4)。NHKの原子力報道の基本は「公式発表をベースに伝える」です(37)。今回も「公式発表」をそのまま引用し、伝えていました。(=^・^=)はこの喧伝を見たときに日本原燃が福島第二の使用済み核燃料の受け入れを決定したと誤解しました。NHKは正確な情報発信でなく、原子力ムラの利益を考えているようです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
東京電力の核燃料サイクルの説明には、問題点は記載されておらず(39)、これだけを見ていると直ぐに実現できそうな気になります。むろん、再処理でできたMOX燃料を使える原子力発電所を東京電力には無い事などは、一切の説明がありません。東京電力の最初の原発である福島第一原発1号機が稼働したのは1971年3月です(40)。まもなく50年です。この時から使用済み核燃料の「処分」の問題は発生しています。過去50年間解決できなかった問題が、次の50年で解決できるとは(=^・^=)には思いません。東京電力は50年に渡り、実現見込みが無い使用済み核燃料の「処分」を、あたかもできるかのように言い原子力発電所を運転し続けてきました。事故前は自社の原発は「安全を最優先に」だと主張していました(41)。でも違っていたことが事故報告書(42)(43)で明らかになりなした。東京電力は「嘘」を平気で発信してきました。福島の皆様は東京電力を信用していないようです。
東京電力は「フクシマ産」は「安全」で「美味しい」と主張しています(44)。福島県川俣町では養豚が行われています。そこの豚肉は美味しいとのことです(45)。福島県は福島産豚肉は「安全」だと主張しています(46)。でも、福島県川俣町のスーパーのチラシに福島産豚肉はありません。
他県産はあっても福島産豚肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
※(47)を引用
図―4 福島産豚肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県川俣町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3273.html
(1)福島第二原子力発電所の廃止措置計画認可申請および事前了解願いの提出について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(2)福島第二原発 廃炉まで44年 2020/05/29 TUFchannel
(3)2020年05月30日(土) 09:00 作業着手から44年後までに廃炉【福島第二原発】(FTV)
(4)福島第二の廃炉計画 東電が申請|NHK 福島県のニュース
(5)ニュース|福島中央テレビ
(6)東電、福島第2の廃止計画申請 64年度完了、使用済み燃料の搬出先は明記せず | 河北新報オンラインニュース
(7)第2原発「廃炉」...認可申請 規制委に東京電力、完了まで44年:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(8)核燃料の福島県外搬出明記せず 第二原発廃止措置計画 | 福島民報
(9)福島第二原子力発電所の廃止措置計画認可申請および事前了解願いの提出について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(10)福島第二原子力発電所 - Wikipedia
(11)福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか|福島第一原子力発電所事故の経過と教訓
(12)原子力災害対策特別措置法 - Wikipedia
(13)福島第一、安全設計で第二と違い 電源喪失巡り東電指摘 朝日新聞
(14)福島第2原発の廃炉正式表明 東電社長、知事に | 河北新報オンラインニュース
(15)福島第二原子力発電所の廃止について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(16)(15)⇒<別紙1>廃炉に向けた基本方針 (140KB)
(17)核燃料サイクル - Wikipedia
(18)>原子燃料サイクルとは − 原子燃料サイクル | 電気事業連合会
(19)高速増殖炉 − 原子燃料サイクル | 電気事業連合会
(20)もんじゅ - Wikipedia
(21)プルサーマル - Wikipedia
(22)東京電力ホールディングス - Wikipedia
(23)「刈羽村住民投票でプルサーマル反対が多数」 柏崎日報 Online 2001-05-28 -
(24)[再処理事業] 再処理事業の概要 | 事業情報 > 概要 - 日本原燃株式会社
(25)北欧の「最終処分」の取り組みから、日本が学ぶべきもの@|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
(26)リサイクル燃料貯蔵株式会社 │ 事業概要
(27)リサイクル燃料備蓄センター | 日本原子力発電株式会社
(28)発電所の安全対策|柏崎刈羽原子力発電所|東京電力
(29)柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の新規制基準への適合性に係る原子炉設置変更許可について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(30)燃料取り出しの状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(31)1〜7号機の燃料輸送・使用済燃料保管状況/柏崎市公式ホームページ
(32)原子燃料の輸送と安全性の確保 − 原子燃料サイクル
(33)(1)⇒福島第二原子力発電所廃止措置計画認可申請書の概要について
(34)日本原燃株式会社
(35)福島県 - Wikipedia
(36)東北ニュース / 地域別 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
(37)地震後の原発報道「公式発表ベースに」 NHK籾井会長:朝日新聞デジタル
(38)核燃料の県外搬出明記せず 第二原発廃炉計画|福島県内ニュース|KFB福島放送
(39)原子燃料サイクルについて|電力供給のしくみと設備|東京電力ホールディングス株式会社
(40)福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(41)(コメント)福島第一原子力発電所3号機におけるプルサーマル計画について|TEPCOニュース|東京電力
(42)東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
(43)国会事故調 | 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会のホームページ
(44)発見!ふくしま|東京電力ホールディングス株式会社
(45)グローバルピッグファーム株式会社 正社員/契約社員 パート/アルバイト 5362 | 農家・農業求人サイト【あぐりナビ】
(46)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(47)チラシ情報 | スーパーマーケットいちい
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