http://www.asyura2.com/19/genpatu52/msg/441.html
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[引用元] 「福島第一 3号機 MOX燃料炉内配置図」 (東京電力)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/purusamaru_H220823_1_10.pdf
はっきり指摘する人は少ないが、福島第一原発の1、2、4号機にくらべて
3号機が激しい爆発を起こしたのはMOX燃料を燃やすプルサーマルを行なっていたことが
原因だろう。
MOX(Mixed OXide 混合酸化物)燃料って何ですか、という人のために簡単に説明する。
通常、原発で使われるのは、ウラン238にウラン235が数パーセント含まれているウラン燃料で、
このウラン235が核分裂を起こす。
MOX燃料はウラン235の代わりにプルトニウム239を混合させたものだ。
なぜプルトニウムを使うのかと言うと、余って使い道がなく困っているからだ。
原発で燃やした使用済みウラン燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、
これを高速増殖炉で燃やすと、燃やした以上のプルトニウムが生成される。
これが夢の核燃サイクルだが、「もんじゅ」は失敗に終わり、夢のままで終わった。
そして大量のプルトニウムが残ってしまった。
大量のプルトニウムを抱えていると、核武装するのではないかと海外の目が厳しい。
そこでMOX燃料にしてウラン燃料と一緒に普通の原発で燃やすプルサーマルを
行なうことにしたのである。
しかし原発はMOX燃料を燃やすようには設計されておらず、プルサーマルは
非常に危険である。
最大の問題点は、ウラン燃料にくらべMOXの発熱エネルギーが極めてに高いことだ。
地下埋設できるまで何と500年も冷却が必要なのだ。
(いったい誰が責任をもって長期間冷却するのだろう?)
また、寿命の長い超ウラン元素が生じる、炉の出力が急激に変化する、
制御棒やホウ酸の効きが悪くなる、燃え方にムラが出来て燃料棒破損につながる、
破損した燃料棒が冷却材流路をふさぐ、など数々の危険性もある。
プルサーマルをやることで十分に確保したはずの安全余裕が失われてしまうのである。
灯油用の石油ストーブで、無理やりガソリンを燃やすのに似ているかも知れない。
(ガソリンは揮発性が高く危険なので、絶対にやってはいけない)
工業製品は石油ストーブから原子炉まで、まず仕様を決めて設計を行なうのであって、
仕様が大きく変わったら設計もやり直しである。
そのまま騙し騙し無理に使って安全なはずはない。
上の図は、3号機原子炉を上から見た図である。
燃料集合体は全部で548体、そのうち32体がMOXであり、白い四角がウラン燃料、
緑色がMOX燃料を示している。
MOX燃料をこのように離して配置するのは、一ヶ所にまとめると発熱が大きすぎ危険で、
何が起きるかわからないからである。
このように、プルサーマルは「MOX燃料が少なければ大丈夫だろう」と、おっかなびっくりで
行なっているのである。
最高度の安全性と信頼性が要求される原発で、平気でこういった危険な綱渡りを
やっていることに愕然とする。
大爆発が起きたのは当たり前である。
東電は、「きちんと冷却剤の対流などのシミュレーションをして安全性を確認しております」、
「MOXはたった32体ですから影響はありません」と答えるだろうが、それは通常運転の場合で、
いったん燃料が溶融したら何が起きるかは神のみぞ知る、全く関知していない。
ウラン燃料ですら、「溶融すると大量に水素が発生するとは知りませんでした」と、
慌てて建屋最上階の上部に逃がし穴を開ける体たらくである。
MOXの溶融などまじめに検討しているはずもない。
おそらく、3号機はMOXの溶融で予想外の大量のガスが発生し、格納容器がその内圧に
耐えられず破裂して火を吹いたのだろう。
そしてその高温の炎の煽りで35トンの燃料交換機の脚部が軟化し、使用済み燃料プールに
落下して保管中の一部の燃料を押しつぶし、即発臨界爆発が起きたと思われる。
プルサーマルこそが3号機が1、2、4号機と異なる激しい爆発を起こした原因にちがいない。
3号機の爆発で、原子炉内のプルトニウムは全量が環境に放出されたと見られる。
プルトニウム239の半減期は2万4千年である。
おそらく人類が滅亡するまで、日本はプルトニウム禍に悩まされ続けるだろう。
3号機爆発においてプルサーマルの危険性が強く疑われる以上、原発を再稼動するとしても、
せめてプルサーマルだけはやめるのが常識というものだ。
しかし、伊方、玄海、高浜の各原発では何ごともなかったかのようにプルサーマル続行中である。
MOX差し止め訴訟も起きたが、プルサーマルの危険性を全く理解していない裁判官に退けられた。
(伊方3号機はようやく広島高裁が運転差し止めを命じた)
このままでは、また大爆発が起きることは確実である。
危険で深刻な汚染を生じさせるMOX燃料の再処理も問題である。
使用済みウラン燃料は、冷却後そのまま処分するワンススルー方式のほうが汚染が少なく
コストもかからずにすむ。
プルトニウムを取り出す再処理では、燃料棒をブツ切りにして薬品につけ化学処理をするが、
せっかく鞘に納まっていた死の灰が大量に出てきて空気や廃液をひどく汚染する。
もちろんフィルタでは除去しきれず、大量の放射性物質を環境に放出することになる。
そのため再処理工場の環境汚染は原発の100倍にも及ぶと言われている。
日本ではまだ再処理技術が確立しておらず、英仏に再処理をしてもらっているが、
コストも高騰しており、MOX燃料の価格はウラン燃料の10倍近い。
六ヶ所村再処理工場もトラブル続きで、いつ稼動するのかわからない。
プルサーマルは安全性、環境負荷、コスト、どれをとってもメリットがない。
誰が考えても馬鹿げていると思うだろう。
ワンススルーのほうがはるかに安く汚染も少ないのに、なぜ政府はプルサーマルにこだわるのか。
理由はただ一つ、核武装である。
ワンススルーにするとプルトニウムが取り出せなくなり、核兵器が製造できなくなる。
それでは困るので、プルサーマルをプルトニウム抽出の口実に使う必要があるのだ。
原子力の問題を突き詰めると、最後は必ず核武装に行き着く。
唯一の被爆国である日本は、本来なら核兵器廃絶を世界に働きかける責務があるのだが、
実際には原子力発電を隠れ蓑にコソコソとプルトニウムを抽出し、核武装を進めている。
だからこそ天罰が下って福島第一原発が大爆発し、国土に広島原爆百発以上の深刻な汚染が
広がったのだ。
それでもまだ懲りずに核武装を進めるに日本には、さらに恐ろしい天罰が下るに違いない。
バカは死ななければ治らないとはこのことだ。
(関連情報)
「プルサーマル計画と核武装の意外な関係 小出裕章さん『再処理は核兵器保有国の技術』」
(アジアプレス・ネットワーク 2014/1/17)
http://www.asiapress.org/apn/2014/01/japan/post_5179/
「<小出裕章さんに聞く> 高浜原発のプルサーマルは経済的にも技術的にもすでに破綻」
(アジアプレスネットワーク 2015/5/14)
http://www.asiapress.org/apn/2015/05/japan/post_5493/
「玄海原発MOX燃料、使用差し止め控訴棄却 福岡高裁 (朝日新聞) 」 (拙稿 2016/6/30)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/119.html
「MOX燃料の価格、ウランの9倍 高浜原発で1本9億円」 (朝日新聞 2016/2/28)
https://www.asahi.com/articles/ASJ2V44DQJ2VPLBJ001.html
「3号機の爆発原因を再検証 最も単純で真実に近い説明をしよう」 (拙稿 2017/2/8)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/464.html
「「使用済みMOX燃料初取り出しへ 行き先なく原発で長期保管か」 (東京新聞)」
(拙稿 2019/12/13)
http://www.asyura2.com/19/genpatu52/msg/331.html
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