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原発事故を引き起こした東京電力の意識が問われる事態だ。
福島第1原発事故の裁判外紛争解決手続き(ADR)で、国の原子力損害賠償紛争解決センターが手続きを打ち切るケースが相次いでいることが分かった。センターの和解案を東電が拒否しているためだ。
東電は理由として、和解案が国の指針を超える賠償であることなどを挙げるが、平穏な暮らしを奪われた被災者は納得できないだろう。
指針は絶対条件ではない。個別事情によってはそれを上回る賠償があってしかるべきだ。そもそも東電は2014年に賠償への姿勢「三つの誓い」を表明し、「和解案を尊重する」としていた。
被災者に寄り添うような姿勢を見せながら、実際に和解案が出ると頑として受け入れない。「二枚舌」と非難されて当然だ。
住民はもちろん、国も東電の姿勢を批判している。東電は誓いを順守し、被災者の苦しみに向き合うよう強く求める。
福島第1原発事故の被災者が東電に賠償請求する主な方法には、東電と直接交渉▽訴訟▽ADR―などがある。
直接交渉はハードルが高く、訴訟も時間や多額の費用がかかる。これに対しADRは紛争解決センターに申し立てると、弁護士らが務める仲介委員が中立的な立場で双方の意見を聞き、和解案を提示する。
訴訟に比べ手続きが簡単で、費用も原則無料だ。申立件数は昨年末時点で約2万4千件あり、うち75%程度は和解が成立している。
一方で和解案には強制力がない。双方が受け入れなければ和解は成立せず、センターは手続きを打ち切ることになる。昨年は、東電の社員やその家族らの申し立てを除くと、40件のADRが東電の和解案拒否で打ち切りになった。
この中には、福島県浪江町の住民約1万5千人が参加した集団ADRもある。全町避難を余儀なくされた住民側は、国の指針に基づく月10万円の賠償では不十分だとして、25万円を上乗せするよう求めた。
センターは14年、上乗せを月5万円にするなどの和解案を提示。住民側の代理人の町は受け入れたが、東電は拒否を繰り返してきた。受け入れると、他のADRに影響し、国の指針の引き上げにつながる可能性もあるからだろう。
決裂しても訴訟で賠償を求める道はある。実際、浪江町民の一部は提訴に踏み切ったが、住民にはさらに長い時間と経費が必要になる。
事故から間もなく8年半になる。被災者の高齢化が進んでいる。浪江町の集団ADRでは、申し立てから決裂までの約5年間に800人以上が和解成立を見届けることなく亡くなった。東電は引き延ばしを図るかのような対応を改めるべきだ。
ADR制度の限界を指摘する声もある。国も、原発事故の賠償請求の在り方を再検討する必要がありはしないだろうか。
高知新聞社説 2019.08.18
http://www.kochinews.co.jp/article/301397/
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