牧田寛
2019.02.26
前回に引き続き、原子力PAを主題に、今年2月6日に八幡浜市保内町で開催された八幡浜市主催の「使用済燃料乾式貯蔵施設に関わる講演会」について執筆しています。
「PA(パブリック・アクセプタンス)」とは何か?
PA(Public Acceptance:パブリック・アクセプタンス)とは、社会的受容を意味し、より平易には、社会的影響の大きな事業について、影響を受ける市民、周辺住民に受けいれられることを目的とした諸活動を意味します。
日本では、原子力PAやワクチンPA、ダムPAなどがよく知られていますが、例えば生活習慣の改善、遺跡保存や、文芸の保護、教育制度や医療制度、福祉制度の存続・改変などもPAの成否が大きな意味を持ちます。一方で大阪では、行政の長にありながらPAの逆を行うことによって文楽への助成金ほか文芸・福祉・医療行政を意図的に破壊した政治業者もいます。
古墳などの遺跡の保護も私権制限を伴いますし、加えて公益の制限をも伴いますので、やはりPAを必須とします。これに失敗すると、デベロッパーが古墳を破壊するなどの行為が平然と行われます。合衆国の国立公園制度は、PAの成功例として挙げられるでしょう。日本でも歯磨き習慣の定着や赤痢(せきり)の防止・根絶など大成功例は結構あります。
一方、福島核災害で帰宅困難地域となった福島県双葉町の「原子力明るい未来のエネルギー」看板のように、子供を使った小手先芸で核災害のあげく撤去する羽目になった大失敗例など、資金力だけで中身空っぽのプロパガンダも日本ではたいへんに目立ちます。
今回八幡浜で行われたPA講演会は、福島核災害後の原子力PAのあり方を模索するものとしても注目されるもので、前回言及したように福島核災害前に比べ大きな改善が期待されます。
なお、講演冒頭に不規則発言、暴言の場合は退場してもらう旨主催者側から複数回アナウンスがありましたが、過去のPA活動が抱える負の遺産でしょう。かつての争いのすさまじさが想起されます。
反対の立場で語った長沢啓行博士
長沢啓行博士(長沢氏)は、大阪府立大学名誉教授で、機械工学・経営学を専門とされ、生産工学に目を引かれます。最近は、機械工学科でありながら流行を追いかける余りに生産工学がない、または途切れるというあり得ない無責任かつ見識の無い大学もみられますが、生産工学は工学の柱です。
長沢氏の講演資料は、配布されたもので42面です。今回のものとは全く異なりますが、伊方発電所高松高裁訴訟で2018/6/1に長沢氏の行った証言資料が公開されていますので、どういった資料を作られるかの参考になります。(参照:長沢 啓行 証言内容 2018/6/5 高松高裁)
今回の講演では、「使用済み燃料乾式貯蔵施設について」と題して次の順で講演が行われています。
1) 四国電力は、何のために乾式貯蔵を行うのか
2) 乾式貯蔵後、使用済み核燃料(SF)の行き先はあるのか
3) 乾式貯蔵キャスク優位論の誤謬
4) 核燃料サイクルの現状とプルサーマルの矛盾
5) 日本における乾式貯蔵の実際と問題点
6) 日本におけるバックエンド、デコミッションの現実と将来
7) 海外事例紹介
8) 地震・火山国日本の特異性
概ね上記1)〜8)となります。経験上、これだけの内容ですと大学の共通教育で90分二コマでも時間が足りませんが、時間が限られており仕方ありません。ここでは、長沢氏の講演内容を非常に短く要約してご紹介します。なお、用語は、筆者が通常使う用語に統一しています。また、括弧内は筆者による補足説明となります。
「反対派」長沢氏が語った、「乾式貯蔵施設」の無意味さ
1)四国電力は、何のために乾式貯蔵を行うのか
伊方発電所には、全炉合計2609体のSFP容量がある。2018年5月25日現在で全炉合計のSF貯蔵量は、1658体である。(単純計算では運転継続年数19年余りの余裕があり燃料交換作業用の余裕も含めると16年分余りとなり、ぎりぎり足りている)
しかし、1号炉2号炉の解体廃炉のために、1号炉SFPから2026年までにSF237体を取り出し、3号炉SFPに移設のうえで原子炉建屋等の解体を開始する。数年をおいて2号炉もそれに続きSF316体を3号炉SFPに移設する。結果、2030年までには553本のSFが3号炉SFPに移設されることにより、これらを想定した場合、3号炉SFPの残容量は現時点で350体分余りとなる。また、燃料交換作業用に207体分の空き容量が必須。そのため、実効残容量は150本分足らずとなる。
そのため、1回の定検で50体のSFが発生するので、残り定検回数は3回、2022〜23年には3号炉の運転は不可能となる。
四国電力は、乾式キャスク貯蔵施設を建設することにより、1200体のSF収容力を新たに加えようとしている。これによって新たに20年分以上(約24年弱)のSF貯蔵容量を加えることにより、2034年に40年を迎える伊方3号炉(残余寿命15年)の運転が全期間可能となることを目指している。
四国電力が乾式キャスク貯蔵施設建設を行うのは、あくまで3号炉の運転期間を稼ぐためである。(長沢氏は、40年運転までで四電は満足するだろうという見立てだが、筆者は60年を目指すと見込んでいる)
伊方発電所は、燃焼度の比較的低い(発熱量や破損リスクの低い)二酸化ウラン燃料集合体が1221体あるため、乾式キャスク貯蔵(最大1200体)にはこれらが回される。
現実には、解体廃炉のためには、解体発生放射性廃棄物の処分先が必須であるが、日本では全く立地の目処が立っていないために解体廃炉はすぐに中断に追い込まれるであろう。事実、東海発電所(GCR; 炭酸ガス冷却黒鉛炉)の解体廃炉は中断している。(東海GCRの場合、炉心の減速材である黒鉛が強く放射化しており、解体廃炉には放射能の減衰期間として長期間を要する。実際にGCRを多数運用してきた英国では、約150年の世代間管理によって解体廃炉を目指している。従って、軽水炉である伊方などを同列に語ることは誤っている。一方で、国内初の発電用軽水炉解体事例となったJPDR(動力試験炉)では、放射性解体瓦礫の所外処分に合意が得られず、すべて敷地内管理となっている。JPDRに比して100倍程度の解体瓦礫が見込まれる大型商用炉では、解体瓦礫の敷地内管理は不可能であろう)
2)乾式貯蔵後、使用済み核燃料(SF)の行き先はあるのか
日本国内でHLW(High Level Radioactive Waste; 高レヴェル放射性廃棄物)最終処分場が立地出来る目処は全くない。後述するが、核燃料サイクルによるSF減量も止まっていて、再開の見込みはないし、再開すべきでない。
従って、乾式キャスク貯蔵所がなし崩しに永久貯蔵所と化すであろう。
3)乾式貯蔵キャスク優位論の誤謬
10年経過したSFは、10年のSFP保管後には人体程度の発熱量(冷却開始後1/100程度)になっており、SFP内であっても溶融を起こす可能性は低い。
一方で、使用済みMOXは、二酸化ウラン燃料の場合と同等にまで冷却するには100年近くを要する。故に乾式キャスク貯蔵は行わない。(日本に35年近く商用で先行する合衆国では事例がない)
乾式キャスクに移した分だけ新たに使用済み核燃料を発生させることになり、(簡単な論理学的に)乾式キャスク貯蔵により安全性が向上すると言うことはあり得ない。むしろ危険は増大する。
さらに使用済みMOXや高燃焼度SFといった乾式キャスク貯蔵が出来ないまたは難しいSFが増えることによって、むしろ危険性は増す。
4)核燃料サイクルの現状とプルサーマルの矛盾
日本国内で唯一稼働していた東海再処理施設は運用廃止済みであり、すでにデコミッションが始まっている。
フランスへの委託再処理はすでに契約が終わっており今後のSF搬出はない。英国は再処理工場を事故により廃止し、再処理事業そのものを取りやめた。六ヶ所村再処理工場は完成のめどが立っておらず、毎年完成予定が延期されている。従って、再処理に出荷することは出来ない。
MOXの価格は、二酸化ウラン燃料の10倍であり、仮に六カ所村再処理工場が運開すると、さらに価格は上昇する。結果、燃料費増大を嫌い、各電力はMOX装荷量をおおきく減らしている。
このため、もともとPu在庫量の少ない四国電力や九州電力の場合は、フランス在庫分に限ればMOX燃料あと1〜2体分のPuを消費すると責任分を全量消費し尽くす(英国には、それぞれ数十体分とさらに多くのPuの在庫があるが、英国の都合と契約上の問題でMOX化の目処が立たない)が、関西電力、東京電力、中部電力は、二桁多いPu在庫を抱えており、発電コストへの影響を避けるとMOX燃料を消費しきれない。
経産省は、「事業者間の連携・協力を促す」として、Pu在庫のない電力に東電、関電、中部電のMOX在庫を押しつける方針を示しているが、電事連は、今のところ拒否している。これまでの経緯から、経産はごり押しするだろう。
結果、四電は、責任分以外にもかかわらず価格10倍の高くて安全性の低いMOX利用を強制される恐れがある。使用済みMOXは100年経たないとSFPから取り出せず、100年後にどうするかは技術的に未解決である。100年後以降もSFPで貯蔵出来るか分からないし、乾式キャスク貯蔵も出来るか分からない。使用済みMOXは、再処理技術も無い。(増殖炉サイクルならば、計算上はウランの資源量を80倍効率的に使うことが出来、ウランの資源寿命が80年から6400年へと伸びて事実上無尽蔵となり、結果として燃料費はただ同然となるというのが核燃料サイクル開発を行ってきた理由である。仏英日などの核燃料サイクル政策をとる原子力開発国は、高速増殖炉の開発に事実上失敗し、軽水炉サイクルを行っている。しかし、商用軽水炉の増殖率・転換比※は極めて低く、ウラン資源寿命はせいぜい1割しか延びない。また、核燃料再処理も当初見込まれたより遙かに難しく高コストである。最大限見積もって、80年の資源寿命を88年に伸ばすことに対して価格が4〜数十倍と高く、安全性、炉心での挙動、取り扱い、SFの性質すべてで劣るMOX燃料の利用は、経済的にも資源論的にも完全に無意味である)
(※増殖率・転換比:核燃料である235Uを1消費したときにどれだけ239Puを作り出せるかという数値。FBRでは1.1〜1.2であって、235Uを1燃やすと1.1~1.2の239Puが生じる。これを増殖率1.1または1.2と呼ぶ。現実のFBR1基を10年運転すると、10年分の239Puに加えて1年分の239Puが余分に生じ、増殖率1.1である。FBRの運転10年で原子炉二基分の核燃料が得られ、増倍時間10年となる。ATRの場合は、0.7~0.8であり、この場合「転換比」0.7~0.8と呼称する。軽水炉の場合は、転換比0.6~0.7である。現実には自分で6割ほど燃焼してしまうため、転換比は0.3程度であるが転換されたPuのうち発電に使える239Puと241Puのみで評価すると、0.1~0.2程度となる)
長沢氏が指摘する「多すぎる問題点」
5)日本における乾式貯蔵の実際と問題点
現在日本では、福島第一と原電東海で乾式キャスク貯蔵の実施実験を行っており、実用化していない。(合衆国では、1986年から商用利用が始まっている)
日本の乾式貯蔵キャスク=金属キャスクは、設計貯蔵期間50年であり、加速試験で実証した寿命も60年までである。(合衆国では80年を想定している。)
日本の金属キャスクは、中性子遮へい材としてエポキシ樹脂を使っており、それ自体が消耗品であって、50年後、60年後以降の性能は保証されていない。(エポキシ樹脂は、優れた中性子遮へい材だが、中性子照射によってエポキシ樹脂は減損してゆく)
50年後にHLW最終処分場がない場合、遮蔽性能を失った(減損した)金属キャスクからSFをどうするのか全く見込みがない。
日本の金属キャスクがもし火砕流等に飲み込まれた場合、SFを保護する能力が維持されるかは分からない。キャスク、核燃料共々破壊される可能性はある。また、キャスク内のエポキシ樹脂は高温には耐えられず、燃えてしまうか著しく劣化する。(例えば姶良・加久藤カルデラ破局噴火の場合、川内発電所は数十メートルの火砕流に飲み込まれる。阿蘇カルデラ破局噴火の場合、伊方、玄海、川内発電所は火砕流に飲み込まれる可能性がある)
SFの放射能が減衰する速度は遅く、1/10になるのに100年、1/400になるのに1000年かかる。これに対して金属キャスクの寿命は40〜60年程度と極めて短い。
制度も穴だらけであり、設計貯蔵期間を超える場合の措置が規定されていない。仮に操業停止命令を出してもその後どうするか規定がない。50年を超える期間のSFに関するデータが無い。火山噴火の影響が規定されていない。電力会社が経営体として消滅した場合の規定がない。
そもそも、乾式貯蔵キャスクの形式認可に使われたデータに矛盾があり、遮蔽性能の維持に疑問がある。
日本では、乾式貯蔵キャスクの価格が1基2.4億円と高く(合衆国では3000万円程度)が、建屋建設費、操業費は低い。結果として、地元への経済効果は無い。(電中研のモデル試算では、5000t級の乾式貯蔵キャスク貯蔵所の場合、キャスク費1195億円、建設費105億円、解体・処分費10億円、操業費238億円、輸送費60億円が54年間の費用となる)
6)日本におけるバックエンド、デコミッションの現実と将来
日本において発電炉の解体実績はJPDR(12.5MWe)しかない。これは、伊方1の1/50の規模しかない。JPDRでも放射性解体瓦礫は所内保管となっている。
日本では、放射性解体瓦礫の最終処分場について全く目処が立っておらず、放射線管理区画の解体に着手することは不可能と言って良い。
現在、国と電力は、放射性解体瓦礫の行く先がないのに原子炉の解体に着手しており、すぐに行き詰まることは自明である。
解体廃炉は被曝労働とセットであり、解体瓦礫の行き先がなく行き詰まることは必至であって「何のために解体・撤去」するのか原点に立ち返る事が必要である。
長沢は、「長期密閉管理」(管理廃止・世代間廃止)しかないと考える。故に、1)に立ち返り、伊方発電所における使用済み核燃料乾式貯蔵施設の建設は必要ないと結論する。
7)海外事例紹介
旧東独グライフスヴァルト発電所(VVER-440/230)の事例を紹介。
8)地震・火山国日本の特異性
経産省は、HLW最終処分場選定にあたって「科学的特性マップ」を2017年7月28日に提示したが、すでに「科学的有望地」から「将来的に段階的な調査の対象になる可能性がある地域」へとわずか1年半でおおきく後退させて全国でPA活動をしている。
「科学的有望地」だけで国土の6割を占め、その中の望ましい地域で国土の3割を占めており、科学的検討をした結果とは考えがたい。
日本列島は、プレートの沈み込みのうえに存在し地下水の深地層への浸入も多いためにマグマが発生しやすく、全土に火山が存在する。(ただし、四国だけは第四紀火山が存在しない。フィリピン海プレートの沈み込みの条件から、火山フロントは、中国山地山陰地方側である)
火山の影響と地震、地層の安定性から、国内にHLW最終処分好適地は存在しない。(火山の影響や地下に存在する油層、炭層、ガス層、塩水層に着目すると、可能性が見込まれるのは唯一四国のみである)
内容は高度だが、面白く有意義だった講演
非常に密度の高く、国立大の共通教育の講義が出来る内容でしたが、20分の時間いっぱいの質疑がなされました。牧田も4つほど質問をし、現職の市議数名ほか市民からの質問もありました。
やはり、安全性は十分であるか、50年後にどうなるかといった質問がありましたが、妥当な応答であったと思います。とくに興味を持たれたのは、伊方で今後、炉寿命40年として、最大限MOXを燃やすと何本のMOX・SFが生じるかというものでした。現在の使用中・未使用MOXの在庫は21体です。内訳は、原子炉内で使用中が16体、未使用在庫が5体。Puの在庫はフランスに残り1体分で英国に残り 21~22体分ありますが、契約最少量に満たず現在時点でMOXへの加工は出来ません。仮に何らかの手法ですべてをMNOXとしても総計で42~43体分であり、他電力のMOXを押しつけられない限り、四電本社の庭にでも置いておける分量です。ただし、60年運転で他電力のMOXを押しつけられた場合、1/4MOX装荷で最大400体余りの使用済MOX燃料が発生する計算になります。
長沢氏の講演における「論旨」
この講演は、かなり内容が高度であって、理解が難しいところが多々ありました。とくに前項の1)で触れた、伊方におけるSFP容量とSFの本数の関係は、私でも1時間ほど検証に時間を要しました。聴衆が理解し得たかについては、悲観的になるほかありません。
前後を並べ替えて論旨は次のようになります。
1) 原子力発電はすでに質(経済性)、量(発電容量)ともに競争力を失っており、内包するリスクに対して運転する意味は全くない。
2) バックエンド(最終処分)は全く方策が決まっておらず、今後数十年かけても無理だろう。従って、デコミッション(廃止措置)において、解体廃止はすぐに行き詰まる。
3) 従って、伊方1,2の解体廃止による1,2号炉SFPの運用中止・解体を前提とした3号炉SFP容量枯渇には根拠がない。
4) 故に、乾式貯蔵キャスク貯蔵施設の建設も根拠がなく無意味である。
5) 乾式キャスク貯蔵施設の建設は、四国電力が主張するような安全性の向上には全く効果が無い。むしろ新たな熱いSFがSFPの中に増えてゆき、危険が増すだけである。
6) 四国電力は、形式的に1,2号炉の解体に着手し、結果として行き詰まる3号炉の運転を可能としたいだけである。
7) 日本の乾式キャスク貯蔵は50年の寿命しかなく、そのあとが行き詰まり、たいへんに困ることになる。
8) 原子炉の解体廃止は日本では不可能であり、「長期密閉管理」に移行すべきである。これによって廃炉作業時に問題となる誘導放射能(鉄など原子炉材料が中性子線を浴びることによって放射能を持った物質)は、100年程度の密閉管理でほぼ無くなり、遙かに安全且つ作業が容易となる。
9) 被曝労働の発生、次世代への責任という視点からも、無意味な原子力発電の運用でこれ以上の放射性廃棄物の発生は許されない。
10) 伊方発電所は直ちに運転を取りやめ、廃止措置について根本的に見直しの上で長期間をかけて後始末すべきである。
有意義だった講演への参加
この連載は、四回を予定しており、次の第三回では、賛成の立場からの奈良林直博士(東工大特任教授)の講演をご紹介します。
私は、原子力に反対を主張する学者の講演を余り聴講したことがなく、長沢氏の講演はたいへんに興味深いものでした。ただ、様々な聴衆があつまるPA講演会では、かなり難解な講演となり且つ、聴衆が最も興味を持ち、八幡浜市の将来にも深く関わる50年、60年後に何が起こるのかという事については物足りないと感じました。
PAに長沢氏のような反対の立場の人間を呼ぶという試みは日本では歴史がきわめて浅く、やむを得ないことではありますが、やはり主催者側にも改善の余地は多々あります。
いずれにせよ、とても面白く、有意義な講演でした。 なお、日本におけるSF乾式貯蔵所問題の理解と議論には、原子炉解体についての一般的知識が必須です。次の映像が極めて有用です。
●NHK特集「原子炉解体 〜放射性廃棄物をどうするか〜」 (1988年6月27日 総合 45分)
●NHKスペシャル原発解体 〜世界の現場は警告する〜 2009年10月11日 総合45分
NHKのドキュメンタリー番組全般にいえることですが、古い作品はとても優れています。前者は特におすすめですが、両者を視聴比較すると、日本の後進性が露わになります。視聴は、再放送のリクエストや、各県の視聴センターでの視聴となります。
『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』第4シリーズPA編−−2
<取材・文/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado 写真/Mugu-shisai via Wikimedia Commons CC BY-SA 2.5> まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中